第159回国会 衆議院 予算委員会第八分科会-第1号
○古屋(範)分科員 公明党の古屋範子でございます。
昨年初当選いたし、本日、二回目の委員会質問でございます。まだまだ緊張しております。
先日、羽田空港再拡張事業神奈川口構想について、石原大臣に申し入れに参りました。その折、大臣のお母様、私が現在住んでおります横須賀市の御出身とお伺いいたしまして、大臣は神奈川にさまざまな御縁があると推察をしております。本日、私が御要望申し上げる神奈川口構想につきましては、ぜひとも最優先で実現をしていただきたいと心からお願いを申し上げる次第でございます。
まず最初に、私ども、神奈川県の京浜臨海部、重厚長大産業を主体として、これまで日本の経済を牽引してまいりました。しかしながら、近年の産業構造の変化や土地利用の利用率の低下に伴い、活力の低下が懸念をされております。ここも、大変大きな土地を占めておりますいすゞ自動車工業が撤退を決定しております、私もしょっちゅうこの辺は車で走っておりますけれども。
一方、この地域は首都圏という人口と巨大なマーケットのある地域を後方に抱えており、高度な技術の集積など産業資源を持っております。さらに、陸海空の広域交通の要衝の地であることなど、数々のすぐれた立地特性を兼ね備えております。
こうした立地条件を生かして、新しい産業地域としての再生を図ることは、単にこの地域、川崎また神奈川ばかりではなく、首都圏、ひいては我が国経済の活性化に大きく寄与するものであるというふうに考えます。
一方、国におきましても、京浜臨海部を対象に、都市再生プロジェクトとして、東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点の整備、また全国で唯一の都市再生予定地域の設定、構造改革特区の認定など、さまざまな施策により、産業の活性化と新たなまちづくりへの動きが活発化してきております。
大臣も御存じかと思いますけれども、神奈川県は、ここから横浜、また古都鎌倉、湘南、箱根など、大変観光資源に恵まれておりまして、世界に誇れる県であると私も自負をしております。さまざまな観点で、今回の羽田空港拡張事業、地元といたしましても多大な期待を寄せているところでございます。
まず初めに、羽田空港拡張事業の必要性について、大臣の御認識をお伺いいたします。
○石原国務大臣 先日、古屋委員が役所の方においでいただきまして、今お述べになりましたような、羽田の四本目の滑走路によります再拡張と国際化によって、これまで日本の経済発展を支えてきた京浜臨海工業地帯、現在、今いすゞのお話をされましたけれども、それ以外にも、川崎から南の方に、ずっと横浜にかけましてかなり虫食い状態になってきている、そういうものの再生の起爆剤に羽田の再拡張というものをぜひ利用したいというお考えには、私も、そのときも申しましたように、大変賛成でございます。
それでは、どんなような波及効果があるのかな。一言で言いますと、滑走路が一本ふえますので、今およそ年間二十八万回の発着から、四十一万回近くになる。そのうちの三万回部分を国際線に割り振ることができる。すなわち、国際定期便の運行が可能になってくる。これによりまして、委員が今御指摘されましたように、神奈川県というのは大きな工業地帯もありますけれども、古都鎌倉や箱根や湘南海岸といったような大変観光明媚なところでございますので、観光というふうにも外国のお客様をお連れすることができる。そういうものにお役立て願えればと考えております。
そして、経済波及効果がどのぐらいあるのか。これは試算の上でございますけれども、調べてみましたら、生産額等々の増加で、一都三県で一兆二千億円、雇用増は一都三県で十一万人。これが全国ベースにしますと二兆円と十八万人と、さらに我が国の経済の再活性化にこの羽田空港の再拡張事業というものが資するところが明らかになったわけでございます。
それに伴いましてと申しますか、ただ、事業規模が大変大きい事業でございますので、節約できるところは節約して、必要なものは必要、委員がこれから御質問をされます神奈川口構想というものも、神奈川県とのアクセスという上で私も大変重要だと認識しておりますので、そういう部分にしっかりと予算を回す上でも、節約できるところは節約して、民間にお願いできるところは民間にお頼みして、この再拡張事業というものを進めてまいりたいと考えております。
○古屋(範)分科員 大変な経済効果があるということでございますけれども、現在、私なども住んでおります首都圏におきましても、地域によりましては、成田にあります新東京国際空港に参りますには大変時間がかかる地域がございます。例えば、近隣諸国にここから旅立つ場合には、旅立って飛行機に乗っている時間よりも、逆に成田に行く方が時間がかかってしまうとか、また宿泊しなければならない。また、成田に着かれた海外からの観光客も、同様のことが言えるかと思います。
ただいまも大臣から簡単な御説明がありましたが、このたびの羽田空港再拡張後の国際化のあり方について、もう少し詳しくお答えいただきたいと思います。
○石川政府参考人 先ほど大臣からお話がありましたように、羽田の再拡張後の便数でございますが、現在が年間二十八・五万回から四十・七万回というふうに増強されることとなっておりまして、さらに、そのうちの三万回程度については国際定期便の受け入れということが可能だろうと思っております。
首都圏における国際空港についてでございますが、基本的には、羽田空港が国内線、成田空港は国際線、それぞれの拠点空港であるということは変わりはないわけでございますが、羽田空港の再拡張後に就航する国際定期便の路線、こういうものにつきましては、今お話がありましたように、特に近距離国際路線ということを基本的に考えておる次第でございます。
具体的にどこかということにつきましては、現時点では決定しているわけではございませんが、現在の羽田発着の国内線の最大距離は、実は羽田と石垣空港間でございまして、これが千九百四十七キロという距離にございます。これを一つの目安として、今後検討していくということになろうかと思います。
○古屋(範)分科員 この羽田空港の再拡張また国際化は、首都圏、特に神奈川にどのような波及効果をもたらすとお考えでしょうか、御質問いたします。
○石川政府参考人 羽田空港の再拡張事業でございますけれども、新しく滑走路の容量がふえるということで、全国的に空港のネットワーク網というものが拡充するわけでございますし、さらに、今申し上げましたように、近距離の国際線というものも実現できていくわけでございます。そういう中で、航空利用者の利便の向上ということのみならず、やはり、都市の再生あるいは観光の振興、さらには地域交流の促進というふうなさまざまな効果があろうかと思います。
それで、先ほど大臣からもお話ございましたように、一都三県、これで考えますと、生産額増加というものは年間一・二兆円、それから、雇用増というのは年間約十一万人ということになりまして、このうち、神奈川県につきましては、生産額増加は年間約一千億円、雇用増は年間約三万人というふうな大きな経済波及効果をもたらすものと試算をしてございます。
○古屋(範)分科員 神奈川県は大変観光の名所が多いわけですけれども、都心から近過ぎてなかなか宿泊客が少ないというような声もございまして、この国際化により、アジアの近隣諸国からたくさんの観光客が神奈川にいらしてくださればというふうに期待をしているわけでございます。
次に、神奈川県等から提案されております神奈川口構想、この具体的な内容についてお尋ねをいたします。
○石川政府参考人 神奈川県の方から御提案いただいています神奈川口構想でございますが、これは、神奈川県の羽田空港に隣接する地域を神奈川口ととらえまして、これを核とするまちづくりあるいは空港アクセスの改善等を内容とするものでございまして、中身といたしましては、一つは、まず、神奈川口における空港機能の分担というのがございます。神奈川口を核として、ホテル・コンベンション施設、保税上屋、ケータリング工場などの臨空産業の立地促進というものが一つ、今申し上げました神奈川口における空港機能の分担という形で提案をされております。
さらに、神奈川方面からの空港アクセスの改善ということで、連絡道路や鉄道の整備、あるいは首都高速の湾岸線の通行料金の割引、バスアクセスの改善などというふうな空港アクセスの改善というものも御提案をされております。
さらに、都市再生、まちづくりの支援、観光振興のための集客プロモーションの推進、さらには、港湾機能の強化等につきましても御提案を受けているところでございます。
○古屋(範)分科員 現在、国そして神奈川県、横浜市、川崎市、このような四者で協議が重ねられていると聞いております。この神奈川口構想に対する現在の検討状況を御説明いただきたいと存じます。
○石川政府参考人 今お話がありましたように、この二月の十二日に、国土交通大臣と神奈川県知事、横浜市長、川崎市長、これを構成員といたします神奈川口構想に関する協議会というのを二月十二日に設置したところでございまして、今後、この協議会で検討を進めていくところでございます。
○古屋(範)分科員 提案のありましたそうした羽田空港から神奈川への連絡路の整備、首都高速湾岸線の通行料金割引、また観光振興等、今後の取り組みについていかがお考えでしょうか、御質問いたします。
○石川政府参考人 連絡路の整備でありますとか首都高湾岸線の通行料金割引、このようないわば神奈川方面からの空港アクセスの改善ということにつきましては、実は、先ほど御説明申し上げました神奈川口構想に関する協議会のもとに、空港アクセスワーキンググループというものを設置し、検討を進めてまいりたいと考えております。
また、観光振興につきましては、やはり同じようにこの協議会のもとに設置する予定でございます空港機能・まちづくりワーキンググループというのをつくりまして、神奈川県サイドからの具体的な御提案を踏まえて、ビジット・ジャパン・キャンペーンなどの集客プロモーションの推進ということについて検討をしていくこととしております。
○古屋(範)分科員 神奈川といたしましても、二〇〇九年までに何としても連絡路の整備を要望しているわけでございますけれども、こうした神奈川口における空港機能の分担、また、現在この工業地帯に走っております東海道貨物支線、この貨客併用化、連絡道路の整備、首都高速の通行料金割引、バスアクセスの強化、そして、羽田から横浜に向けての水上交通の確保等の要望がございます。
また、横浜市におきましても、拡張工事が完成する予定でございます二〇〇九年、これが開港百五十周年にちょうど当たっております。現在、文化芸術創造都市を目指しまして、仮称ナショナルアートパーク構想を温めているところでございます。まさに観光立国を目指す我が国の国際観光の拠点を目指しております。
最後になりますけれども、以上のような県民の要望、期待を踏まえ、この神奈川口構想に関する今後の協議会の進め方につきまして、大臣の御見解を伺います。
○石原国務大臣 ただいま石川局長の方から、協議会はまさに検討の緒についたばかりだという御答弁をさせていただきましたが、本当に幅広く、多岐にわたる御提案をいただいていると思うんです。
重複して若干恐縮なんですけれども、空港機能をどういうふうに東京都と川崎市で分担していくのかといったような問題。あるいは、南部の人たち、先ほど委員も御開陳になりましたように、成田に行くのにすごい時間がかかると同じように、羽田へのアクセスもやはり利便性を高めないと、首都圏の国際空港でありますから、神奈川県民の皆さん方にも配慮した空港アクセスの改善というものをやっていかなければならないといった問題。それと、先ほど来委員の意見の御開陳の中にありますように、臨海工業地帯としてやってきた川崎から横浜にかけての、臨海部ベルト地帯の空洞化の問題に関しての都市再生とまちづくりをどうやって支援していくのか。あるいは、そこにどうやって人を、委員の御指摘ですと、いろいろな観光地があるけれども、近過ぎるということで逆に宿泊客が来ないといったような問題、こういうものに対してどういうプロモーションの強化ということができるのか。さらには、横浜も川崎も大井もすばらしい港でございます。港湾機能の強化と相まって、その産業の活性化をどうやって促進していくのか。
今、前回の協議会の席で、ぜひワーキンググループをつくらせていただいて、事務的に詰めて、次の会に少し具体的なものを上げてもらいましょうということで、知事さん、二人の市長さんとお話がついております。まだ具体的なものは、本当に始まったばかりでございますので、きょうはまだ御披露できる段階までは来ておりませんけれども、今後は、この協議会というものも定期的に、次はゴールデンウイークの前ぐらいにはやりたいですなというような意見もいただいておりまして、私も、そうですねとそのときはお答えさせていただいておりますが、再拡張の効果を最大限発揮させるという意味からも、神奈川口構想の検討というものを積極的に進めてまいりたいと考えております。
○古屋(範)分科員 検討が始まったばかりということで、今後のその推進、大きく期待をしてまいりたいと思います。
これまでさまざま御要望申し上げてまいりましたが、神奈川口構想の早期実現のためには、やはり石原国土交通大臣を先頭に、関係省庁ともに国の総力を挙げて取り組んでいただき、何としてもこの京浜臨海部の再生と我が国経済の活性化に努められますよう再度強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。