第171回国会 衆議院 厚生労働委員会-17号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 先ほどのお二人の委員と若干重なる部分もございますけれども、確認をする意味で順次質問させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 現在、我が国は未曾有の経済危機の中にあります。こうした中で、企業も労働者も生き残るのに必死ということで、ワーク・ライフ・バランスどころではない、そのような声もございます。しかし、危機は同時に価値観を変えていく、そういうチャンスでもあると思います。今こそ、働き方や仕事のあり方を見直して、長時間労働を是正しつつ、企業や社会が活力を取り戻すための取り組みを進めることが肝要であるかと思います。

 ワーク・ライフ・バランスの実現は、労働者本人にとって、子育てしながら働き続けたいとか、あるいは、仕事だけではなく私生活も充実をさせたいといった希望をかなえるだけではなく、企業にとっても、労働者のモチベーション、また定着率を高めて生産性を向上させるといったプラスの効果があると思います。

 さらには、社会にとっても、これから減少していく労働力、とりわけ子育て期の女性の労働力を確保して社会を担う人々をふやすという面、また、出産、子育てと仕事の二者択一、こうした状況を解消する、少子化対策の面においてもプラスの効果が期待されるものでございます。

 かねてより私は、当委員会また別の委員会でも、少子化対策の取り組みの強化、また、仕事と生活の調和基本法の制定についても訴えてまいりました。育児・介護休業法の改正について、早急に行うよう当委員会において舛添大臣にお願いをしてまいりました。

 今般、育児・介護休業法の改正案が国会に提出をされまして、きょう審議されるに至ったことを大変喜んでおります。私といたしましても、今回の改正によって、子育てをしながら安心して働き続けられる社会を一日も早く実現をしたい、こう思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、仕事と家庭の両立についてでございます。

 育児休業の取得率は女性で約九割に達するということで、制度の定着が進んでおります。しかし一方で、女性が第一子出産を機に離職する割合は依然として約七割ということで高いわけであります。女性が子育てしながら働き続けられる環境はいまだ整っておりません。第二次ベビーブーム世代が三十代半ばを迎える現在、仕事と子育てが両立できるよう、働き方の見直しは喫緊の課題でございます。

 改めて、今回の育児・介護休業法の改正について、大臣の御見解をお伺いいたします。

○舛添国務大臣 今冒頭に、古屋さんが価値観の転換が必要だということをおっしゃった。私もそのとおりだと思うので、職員に対して、特に村木局長初め女性職員も多うございますから、定時に帰りなさい、週末はしっかり休みなさいと。厚生労働省は、五時になったら、定時に帰りましょうというチャイム、アナウンスが鳴るんです。ただしかし、国会の事情もありますし、それから新型インフルエンザなんかはやると、もう休みも何もなくて一月近くやりましたから。

 だけれども、価値観の転換はわかってはいるんですが、制度の面から後押ししないと無理なんですね。だから、みんなが一斉に価値観の転換をすればいいけれども、やはり制度の面でのサポートが必要だということで今回の育児・介護休業法の改正ということがあるわけで、やはり環境整備がなきゃ。だから恐らく我が省でも、五時になって、うるさいな、アナウンス聞こえているなというぐらいで、みんなそのまま仕事をしている状況ですから、これは変えたいと思っています。

 そこで、改正案の中身は、短時間勤務制度、これは、出産したりしたら、子育てのときは午前中だけ働きたいということもありますから、こういうものを単独の措置義務にする。それから、所定外労働を免除する。お医者さん不足のときでも、出産が終わった女性医師が戻ってくる条件は、残業嫌だ、こういうことがあるわけですね。

 それから、パパもママも両方育児休業ができるパパ・ママ育休プラスということで、父親にも育児休暇をとってもらおうということであります。

 それから、介護のための短期の制度を入れた。ある程度やっていても、その後ちょっと親のぐあいが悪いというようなことで一日休みたいというときに有給休暇もとり切ったということがあるので、こういうこともやりたい。

 それから、やはり法律違反のときにはきちんと勧告して是正しよう、こういうことを盛り込んでおりますので、そういう制度をしっかりやって、価値観の転換をさらに促したいと思っております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 厚生労働省のトップであられる大臣がそういう働き方の転換に関してお考えを持っていらっしゃることを非常に力強く思っております。これからまた、それに続く制度がきちんと整っていくよう推進をお願いしたい、このように思います。

 私は、ことしの二月なんですが、エトワール海渡という会社、短時間勤務など非常に先進的な取り組みをしているところに行ってまいりました。

 例えば、小さいお子さんを持っている従業員が朝の通勤ラッシュに子供を保育園に預けてこられるように、育児休業明けから三歳まで八時間の勤務時間に対して三時間短縮を可能としている短時間勤務制度が設けられておりまして、非常に多くの従業員が利用して、長く女性の方も働き続けていらっしゃいます。

 会社の側の意見としても、女性が働き続けられるということは、ここは特に女性のものを扱っているので、母親になって女性は商品に厳しい目を向けるようになるので、女性向けの商品を扱う会社としてはプラスだというお話でございました。

 また、社員の方も、保育園の設備や短時間勤務制度は非常に助かるということで、周りの社員の理解や助けがあっての制度なので、仕事も意欲的にやっている、引き継ぎもきちっとやる、そういう気持ちで多くのことを提案しながら効率的にやろうという意欲があるとおっしゃっていました。

 このように、保育所の送り迎えなどを行う労働者にとって、働きながら子育ての時間を確保できるという点で、この短時間勤務制度は大変重要であると考えます。

 今回の改正では、育児のための短時間勤務制度を義務化する、すべての労働者がそうした働き方を選べるようにすることが盛り込まれております。短時間勤務制度の現状、そして、改正により義務づけられる内容についてお伺いいたします。

○村木政府参考人 お答え申し上げます。

 短時間勤務制度でございますが、まず、現行の法律におきましては、勤務時間短縮等の措置ということで、事業主が三歳に達するまでの子を養育する労働者に対して、短時間勤務、それからフレックスタイム、時差出勤、所定外労働の免除、事業所内託児施設の設置等のメニューの中のいずれか一つの措置を講ずるということを義務づけているわけでございます。

 こうした中で、労働者側のニーズを見ますと、特にお子さんが小さいときには短時間勤務を希望する方が多い、少し大きくなると残業のない働き方でもいいというふうに変化をしていくということで、とりわけ短時間勤務をしている方につきましては、仕事と生活時間のバランスについての満足度が非常に高くなっているということがございました。また、実際問題考えましても、育児休業明け、お父さんやお母さんが保育所への送り迎えをゆとりを持ってできる、また、実際に子育てを自分でできるという点で非常に重要だと思っております。

 一方、企業の取り組みはこれまでどうであったかということを見ますと、メニューの中から選択でどれかの措置を選ぶということでございますが、この中では、短時間勤務制度を選んでいる企業が三一・四%と、一番選択をされる割合が高いという現状にございます。

 ただ、この措置は、今の制度でございますと、企業の側がどの措置を自分の企業でやるかを選ぶということでございますので、労働者の側から見たときに、自分が選びたい制度が自分の企業にあるということには必ずしもならないということがあったわけでございます。

 こうしたことを勘案いたしまして、今回の改正法におきましては、労働者からの希望が高く、また意義の大きいこの短時間勤務制度を選択的措置義務ではなくて単独の措置義務、すなわちこの制度は必ず設けなければいけない制度というふうに定めることとしたところでございます。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

○古屋(範)委員 働く側にとってはさらに短時間勤務制度というものが使いやすくなる、また、子供の成長の度合いに合わせて柔軟な働き方が選べる可能性が出てきたということで、今回の改正案のポイントになるかというふうに思います。

 次に、男性の働き方の見直しについてお伺いしてまいります。

 子供を産み育てたいと思える社会にしていかなければいけないわけなんですが、やはり母親のパートナーである男性の育児参加は欠かせないと思います。公明党でも、もっと男性の育児休業をとりやすくするようにという観点から、かねてからマニフェストにもパパクオータ制の導入というものを掲げてまいりました。

 今回の改正の柱といたしまして、男性の育児休業の取得促進が掲げられており、その中に、父母ともに育児休業を取得した場合に育児休業をとれる期間を延長する、パパ・ママ育休プラスという内容が盛り込まれております。これらの改正の具体的内容について説明をお願いいたします。

○村木政府参考人 お答え申し上げます。

 男性の育児参加は非常に大事な課題でございまして、育児休業は特にそのきっかけになる大事な制度というふうに考えております。法律面でもぜひ男性の育児休業取得を後押ししたいということで、今回のパパ・ママ育休プラスの制度の導入を図ったところでございます。

 具体的には、父母ともに育児休業を取得した場合に、育児休業取得可能期間を子が一歳までではなく子が一歳二カ月に達するまでに延長をすることができるという制度でございます。父母、お父さん、お母さんお一人ずつが取得できる休業期間についてはこれまでどおり一年間に限るということで、事業主の負担が余り大きくなることは抑えながら、お父さんが参加をすれば得になるという制度を盛り込んだところでございます。

○古屋(範)委員 父親が育児休業をとる場合に、逆のケースももちろんあるんですが、こうした延長期間がとれるということ、これは社会にとっても、育児休暇をとろう、あるいはとった方が得である、とらなければいけない、こういう空気を醸成することにも非常に役立つのではないかというふうに思います。

 私の体験で恐縮でございますが、我が家の夫も企業戦士でございまして、今でも、自慢しているわけではないんですけれども、二年間で子供を三回おふろに入れたということで、年間一・五回ということで、もう少し父親が育児にかかわれたらいま少し状況は変わっていたかなというふうにも思うんですが、ともかく今の若い方々は育児をしたいというお気持ちは大変あるわけですので、こうした制度を一日も早く成立をさせていきたいと思っております。

 女性の育児休業については取得率が約九割になりまして、平成四年に育児休業が制度化をされて以来十五年がたって、ようやく制度が定着をし始めているように思われます。一方で、男性の育児休業を見ますと、取得率はわずかに一・五六%となっております。これは、男性が育児休業をとりたくないと思っている結果このような低い数字になっているのかというと、そうではない。データによれば、約三割の男性が育児休業を取得したいと答えていらっしゃいます。つまり、現在の一・五六という低い取得率は、育児休業をとりたいという男性の希望が十分にかなえられてはいない状況であるということをあらわしております。

 政府は、一昨年の十二月に策定をいたしました仕事と生活の調和推進のための行動指針において、男性の育児休業取得率の目標として、二〇一七年までに一〇%という数値目標を掲げております。現在、非常に遠いというのが現実であります。

 男性の育休取得を促進するために、改めて現行制度を日本の家庭、育休のニーズに合った見直しをすべきであると考え、これまで委員会質疑等で、妻が専業主婦や育児休業中の場合でも育児休業取得を可能にする、あるいはまた複数回に分割するなど機動的に育児休業を取得できるようにする、そして先ほども述べましたように、育児休業を父親が必ず何日か取得する父親割り当て制の導入を図るべきと訴えてもまいりました。今回の改正案におきましては、こうした主張が実現に向け大きく前進したものと評価をしております。

 一方、制度が変わっても、企業の意識が変わり、実態として企業が前向きに取り組まなければ、男性の育児休業取得もふえないと思います。企業の意識改革に向けた取り組みをあわせて行うことが大事であります。

 そこで、こうした目標を達成するために、今回の改正でパパ・ママ育休プラス等の制度を導入すると同時に、男性が育児休業を取得しやすい職場環境づくりや、社会全体として男性の育児参加を進める機運の醸成を早急に進めることが必要であると思います。

 大臣、今後どのように取り組まれていくのか、お考えをお伺いいたします。

○舛添国務大臣 昨日も幼稚園児の息子をおふろに入れた私が説得力を高めながら申し上げたいと思いますけれども、やはり制度的な枠組みがないと大変だというふうに思います。

 私なんか、子供が小さいですから、特に、政治家の皆さん方と食事会というのをやりますね、でも大体八時半門限というか、帰り着けば、ぎりぎり子供をおふろに入れられる。そして、きのうは食器洗いをして、おふろの残り水で洗濯をやって、けさ、朝六時にちゃんとごみを出してきました。

 でも、妻も働いていますけれども、子育てはやはり妻の家事負担の方が圧倒的に大きいですよ。ですから、我々は国会議員ですから特別な職業ですけれども、いわゆるサラリーマンから見たときに、やはり制度が必要だというふうに思っております。圧倒的に子育てとか家事に対する男性の参加が少のうございますので。

 それで、職場でいろいろな支援をしないといけないので、特にワーク・ライフ・バランスということをもっと広めたいというふうに思っています。それで、人事とか労務担当者に対してのセミナーもやりたいということと、パパ・ママ育休プラス、これがあると非常に使いやすい。それから、出産後八週間以内の父親の育児休業を促進する。本当に猫の手も借りたいぐらいに赤ちゃんのときは要りますから、それも必要だと思います。

 それで、先ほどおっしゃったように、専業主婦なら夫はいなくていいだろうということではないんですね。専業主婦であったって、それは取得除外なんということをしないで労使協定をちゃんと結びましょうというようなことで、本当にこれは、日本の男が悪いとかだめだとかいうことのレベルを超えて、制度から攻めていかないとなかなか、おれだけきょう早く帰るのか、あんただけ残業しないのかと言われると、子供をふろに入れたくても入れられない事情はよくわかりますので、そういうことで、ぜひこういう施策をさらに進めたいと思っております。

○古屋(範)委員 子育て真っ最中でいらっしゃる大臣に、実感を込めて今後の取り組みについてお答えいただきまして、ありがとうございます。

 次に、事業所規模別に女性の育児休業の取得率を見てみますと、五百人以上が八七・三%、百人から四百九十九人までが七九%、そして三十人から九十九人までが七六・九%、五人から二十九人までが五八・五%となっておりまして、育児休業の取得率は規模が小さいほど小さくなってしまうという結果が出ております。とりわけ、過去に育児休業の取得者がいないような中小零細企業においては、働く側も育児休業をとりたいと申し出ることがなかなか厳しい環境にあるのではないかと思います。

 事業所の規模にかかわらず、すべての労働者が育児休業をとって仕事を続けていく、そのためには、特にこうした中小零細企業に対して、育児休業をとりやすい環境を整備していくための支援が必要だと思いますが、この点に関してお伺いいたします。

○村木政府参考人 中小零細企業への支援というのは非常に大事なことだと考えております。

 そういった意味で、中小企業が非常に使いやすい助成金制度として、育児休業取得者が初めて出た中小企業に対する助成制度を平成十八年から設けておりますが、これを二十年度補正予算で強化いたしまして、これまで育児休業取得者、最初の一人目それから二人目までを支給対象としていたものを五人目まで拡大する、また二人目以降の支給額も増額をするというようなことをしております。

 また、ベビーシッターのように大変お金がかかる保育サービスを利用した場合に、企業がその利用料の一定額を助成するというような企業もございます。そうした場合の助成金についても、中小企業に対して助成率、限度額の引き上げをしたところでございます。

 こうした助成金といった制度も使って、中小企業に対して、私どももできるだけ丁寧に、制度をつくるための相談、指導、そして実際の利用者が出ることの後押しをしていきたいというふうに思っております。特に、中小企業ですと規定の整備とかなれないことが多いということもありますし、それから、なかなか役所との距離も、日ごろおつき合いがないということもありますので、役所としてしっかりやることはもちろんでございますが、事業主団体とも連携をしてこうした施策をさらにしっかりやっていきたいと考えているところでございます。

○古屋(範)委員 ぜひこうした中小企業へのきめ細やかな支援を推進していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 最近マスコミなどで報道されておりますけれども、育児休業をとったら解雇されてしまったという相談事案が増加をいたしております。厚生労働省の調査によりますと、育児休業に係る不利益取り扱いで労働者からの相談件数は、平成十九年度、平成二十年度、両者を比較いたしますと、平成十九年度で八百八十二件に対しまして、平成二十年度千二百六十二件と、一・四倍に増加をいたしております。

 今回の改正では、短時間勤務や残業の免除など、子育てをしながら働き続ける上で大変有効な制度が盛り込まれておりますけれども、しかし、せっかくこうした制度が導入をされたとしても、それを使うことによって不利益な取り扱いを受けるといったことがまかり通るようでは、働く側としても安心して使うことができないわけであります。育児休業などの制度を利用したことを理由とする不利益な取り扱いは決して許してはならない、このように思います。その対策についてお伺いいたします。

 また、あわせて、今回の法案においてこうした不利益な取り扱いに対する対策が盛り込まれているのかどうかお伺いいたします。

○村木政府参考人 お答え申し上げます。

 育児休業の取得を申し出た、あるいは取得をしたというようなことを理由にした解雇等の不利益取り扱いは、これはもう育児・介護休業法違反であって、あってはならないことでございます。これまでも、都道府県労働局長により、助言、指導、勧告をして厳正に対処をしてきたところでございますが、先生御指摘のとおり、相談も非常にふえているという状況でございます。

 そうした状況を踏まえて、三月に各都道府県労働局長に対しまして、こうした不利益取り扱いの事案への厳正な対応をしていただきたいということで通達を発出したところでございます。

 具体的には、まず労働者からの相談に丁寧に対応すること、それから、違反があった場合には迅速かつ厳正に対応すること、また、未然防止が大事でございますので、新たに非常に簡単なリーフレットを使いまして、企業へ、こういったことはやってはいけないこと、法違反であるということをお示しするリーフレットを配ること、それから相談窓口をぜひ皆さんに知っていただくということで周知を図ったところでございます。

 こうしたことに加えて、さらに、審議会でも、この育児・介護休業法があるということ、それから不利益取り扱いが禁止をされているということは現行の法律でもそうなんですが、そのことがきちんと担保をされるためにはこの担保措置の強化が大事ではないかということを言っていただきまして、いろいろ議論をしていただきました結果、一つには、育児・介護休業法違反に対する勧告に従わない場合には企業名が公表できるということ、それから、都道府県労働局からの報告徴収に応じない場合、あるいは虚偽の報告を行った場合の過料を創設すること、こういったことを盛り込んでいただきました。

 また、苦情処理や紛争解決の援助のために、都道府県労働局長による紛争解決の援助制度、それから調停制度も新たに創設をしていただくという内容を盛り込んだところでございます。

 こうした制度を使うことによりまして、法の実効性を高め、不利益取り扱いに対して迅速に対応することができると考えているところでございます。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

○古屋(範)委員 ただいま御説明がございましたけれども、法違反に対する勧告に従わない企業についてその企業名を公表するという、実効性確保のための新しい枠組みが設けられております。

 先ほど申し上げましたけれども、育児休業をとったら解雇された、こういったことは絶対に許すべきではないと思います。就職の内定取り消しに関しても同じようなことがございましたけれども、新たな実効確保措置も十分に活用して、法違反に対しては企業名公表を実際に発動して厳正に対応していただきたい、このように思いますけれども、重ねてもう一度お伺いいたします。

○村木政府参考人 御指摘のとおり、育休をとったことによって解雇されるというようなことは本当にあってはならないことでございます。

 私ども行政指導の最終目的は、もちろんその方が職場に復帰できることでございます。そういう意味では、粘り強く指導するということは当然でございますが、やはり最終的な手段がないと、粘り強い指導もなかなか効果を、最終的に非常に悪質な事業主だと発揮をできないということもございます。今回、こういう公表制度ということを法案に盛り込んでいただきましたら、これを機動的に活用して、そういった事業主にしっかり対応していくことができるというふうに考えております。しっかりやっていきたいと考えております。

○古屋(範)委員 こうした育児休業取得による解雇、これに対して厳正な対処をしっかりお願いいたしたいと思います。

 法律の実効性を高めるために、法律上の規定を設けるだけでなく、それが現場においてしっかりと運用されていくことが必要だと思います。先ほど、育児休業の取得を理由とする解雇の相談が最近ふえているという指摘もさせていただきましたけれども、こうした育児・介護休業法に関する相談、指導は都道府県労働局の雇用均等室で行われているわけであります。ほかにも、この雇用均等室では、妊娠、出産を理由とする不利益取り扱いの禁止、またセクシュアルハラスメントに関する相談といった男女雇用機会均等法に関する業務も行われております。

 この雇用均等室の職員の数というのは、小さい県では四人ぐらいしかいない。非常に小さな規模ではありますけれども、こうした法律の実効性の確保をきちんと行っていくためにも雇用均等室の体制強化が必要なのではないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。

○村木政府参考人 大変ありがとうございます。

 雇用均等室は大変小さい組織でございますが、均等法それから育児・介護休業法、パート労働法などの所管をしておりまして、非常に大事な機能を担っていると私ども考えております。特に、こういう不況の時期、育児・介護休業にまつわるさまざまな不利益取り扱い、それから妊娠をしたことなどという均等法関係の案件など、非常にふえているところでございます。

 企業の方にしっかり法律を理解していただくための集団指導、労働者から相談があったときの実際の援助、企業に入っていっての指導、それから、日本の労働者の方はなかなか役所に訴えてくるというところのハードルが高いという現状もございますので、場合によってはそういうお訴えがなくても定期的に企業を回って、法律がきちんと守られているか、規定が整備をされているかというようなことを指導していくということで、さまざまな業務を果たしております。

 御指摘のとおり、大変小さい組織でやっております。これから、こういった分野はいずれも大事な分野でございますので、機能強化をするためには、私どももぜひ体制をしっかり整備していきたいというふうに考えております。人数の点、それから、これは企業に入り込んでいって実態をしっかり見ていくということで大変難しい面もございますので、職員の質の問題も含めてしっかり体制強化を図っていきたいと思っておりますので、御支援をお願いしたいところでございます。

○古屋(範)委員 働く女性がふえ、こうしたいろいろな問題、悩みを抱えながら働いている。雇用均等室は、そうした女性たちを守るいわばとりでであると思います。さらに拡充を図るべきだと私自身も考えております。

 ところで、昨年十二月に地方分権改革推進委員会から出されました第二次勧告では、都道府県労働局を廃止してブロック機関である地方厚生局に統合するという案が出されております。都道府県労働局では、雇用均等室だけでなく、個別労働紛争の解決のためのあっせんなども行われておりまして、第一線機関としての役割が期待されるものでございます。

 そこで、安易にブロック化を進めるのではなくて、労働局のあり方についても国民サービスの維持の観点から十分慎重に検討する必要があるのではないか、このように考えますけれども、いかがでしょうか。

○森山政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県労働局等の国の出先機関の統廃合につきましては、先生御案内のとおり、三月末に決定されました出先機関改革に係る工程表に基づいて検討することにしておりますけれども、この工程表におきましては、検討の際に、「社会経済・雇用失業情勢の急激な変化への迅速で機動的な対応や、国民に対する直接的な行政サービス水準の維持など、国の事務・権限の的確かつ確実な実施を確保する」ことというふうにされたところでございます。

 この都道府県労働局は、これも先生御指摘のとおり、男女雇用機会均等法等に基づく相談、指導、あるいは個別労使紛争の調整、労働者派遣事業の指導監督等、国民に直接サービスを提供する第一線機関としての機能等を担っているところでございます。

 今後、改革大綱の年内策定に向けまして引き続き議論を行っていくことになりますけれども、こうした都道府県労働局が担っている機能を踏まえまして、利用者の利便性や労働者保護の実効性、また機動的かつ効率的な行政運営を損なわないよう十分に検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。

○古屋(範)委員 この雇用均等室を初め、働く側にとって必要なものはやはりしっかりと整備をしていかなければいけない、強化をしていかなければいけないと思います。そうした観点でも、私もしっかり支援をしてまいりたい、このように思います。

 最後の質問になりますけれども、子育てをしながら働き続けることができる環境づくり、これまで質問をしてまいりました働き方の見直しとあわせて必要なのが、安心して子供を預けられるよう保育サービスを充実させていくということが大事でございます。

 今回の補正予算で、保育所の賃貸料補助の対象拡大などの措置が盛り込まれております。こうしたものも含めて、今後の保育サービスの充実に向けた取り組みについてお伺いいたします。

○村木政府参考人 次世代支援のためには、働き方の見直しとともに、保育サービスの充実は非常に大事だというふうに思っております。

 先生が今触れていただきましたように、新待機児童ゼロ作戦を加速化するということで、補正予算でも、都道府県に安心こども基金を創設して、一般的な保育所の整備はもとよりでございますが、賃貸で保育所を整備するといったような柔軟な方法も取り入れて、できるだけ早期に保育所が整備をされるようにということで一生懸命今努めているところでございます。

 また、これから将来に向けても、働く女性がふえれば保育のニーズというのは非常にふえていくわけでございます。今相当大きな潜在的なニーズがあると私ども考えておりまして、それにこたえていくためには、しっかりした財源確保をしながら、安心して預けられる、質の確保がされた保育をしっかり整備していく、きちんとした仕組みをつくることが大事だろうということで、今、審議会の方でも議論をいただいておりますので、足元で基金を使った緊急の整備と、それから将来に向けては、しっかり財源も確保した上で、質の確保された保育サービスがしっかりと供給される仕組みをつくっていきたいと考えているところでございます。

○古屋(範)委員 保育環境が整えば働きたい、自分の能力を発揮していきたい、そういう女性は非常に多いと思います。この安心こども基金の活用とともに、将来に向けての保育サービスの整備というものは非常に重要になってくるかと思います。

 今、日本は人口が減少している、重ねて経済危機であるというかつてない困難な状況にあるわけでございますけれども、国民の将来の不安も大きい。一刻も早い経済の立て直しが求められております。しかし、経済だけではなくて、この子育て支援というものを怠っていけば日本の将来はさらに危うくなる、このように思います。

 国民の安心感をはぐくみながら、将来の日本を見据えた必要な施策、今回の改正案を一刻も早く成立させ、仕事と生活の調和、両立、この実現に向けて着実に進めてまいりたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

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