第186回国会 厚生労働委員会 6号

○古屋(範)委員 おはようございます。古屋範子でございます。

 きょうは、法案の質疑に入る前に、今般発生をいたしましたベビーシッター問題についてお伺いをしたいと思っております。

 埼玉県富士見市のマンションの一室で、十七日、ベビーシッターに預けた二歳の男の子が遺体で見つかるという大変痛ましい事件が起きました。この事件が浮き彫りにしているものは、保育施設の不足を背景にしたシッターの需要の高まり、あるいは母親の孤立とか、子供の安全確保の手だてがそこに追いついていないのではないかというふうに感じられます。

 ベビーシッター業というのは、保育士のような公的資格、行政への届け出も必要としておりません。子供の自宅を訪ねて面倒を見るというのがいわゆるベビーシッターと言われているような仕事ですけれども、法令上は五人以下なら子供を自由に預かることができるとなっております。

 小規模とはいえ、なりわいとして子供を預かる限り、行政の目が届くよう、さらなる対策を考えていかなければならないのではないかと思っております。

 田村大臣、十八日に、ネット上のベビーシッター仲介サイトの実態調査を行うという方針を明らかにされました。そして、この事件を受けて、厚生労働省は、ベビーシッターなどを利用する際の留意点を十項目まとめて、十九日にホームページで公開されました。非常に速やかな対応をしてくださったと思います。行政の目が届かない中で生まれた悲劇。利用の仕組み、また質の確保について、ぜひとも早急に実態調査をお願いしたいと思っております。

 緊急の場合、公的な託児としては一時預かりというのがあります。宿泊を伴うショートステイ、夜間に預かるトワイライトステイといった事業を市区町村で行っているんですが、実際、利用実績というのは低い状況なんですね。また、厚生労働省の調査では、母子世帯のショートステイ利用経験者は一・二%、未利用者の五四・六%は制度を知らなかった。必要としているお母さんたちに、このサービス、システムがあるということが届いていない。

 このような公的制度を周知させるという努力も必要だと思います。また、病気の子供は対象外であったり、年齢制限があったり、預ける場所が遠かったりなどなど、使い勝手が悪いというようなこともネックになっているかと思っております。

 ベビーシッター業者と利用者の需要のマッチングの、非常に匿名性の高いネット。相手が本当にどういう人物なのか、どこで行っているのか、そこはどういう環境なのか、これがなかなか見えにくい、非常に危ないものとなっているにもかかわらず、リスクを背負いながら素性のわからない相手に頼らざるを得ない、こういう親もいるのが事実だろうと思います。

 子育て中の親にとって、安くて、急な依頼、夜の依頼など、せっぱ詰まった注文に応じてくれる、こうした利便性が需要を生んでいるのではないか。こうした親たちの苦境にも目配りをしたいところであります。

 こうした実態がどうなっているのか、これは早急に行っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○石井政府参考人 大変痛ましい事件でありまして、次なる事件を起こさないため、我々はできる限りのことをやらなきゃいけないと思っております。

 お尋ねの調査の件でございますが、現在、関係府省、地方自治体、関係団体、インターネット上の仲介サイトの運営事業者などの協力を得ながら、ベビーシッター事業の実態、業態とか利用方法、登録者数、苦情相談の状況など、そして、認可外保育施設や家庭的保育の実態、これは、国の制度上届け出対象とされていない認可外保育施設、国や地方自治体の事業以外の家庭的保育者などで地方自治体が把握しているものなどについて、把握を進めているところでございます。

 これらについて、現在のところ確定的な見込みは立てにくいわけでございますが、現時点では、四月半ばを一つの目途として回収を図った上で、結果を整理していきたいと考えております。

 いずれにせよ、今後の対応方針を検討する上で、必要な情報をできるだけ速やかに整理できるように努力をしていきたいと思っております。

○古屋(範)委員 ただいま局長の方から、四月半ば目途というお答えをいただきました。子供の命がかかっている問題でありますので、まず現状がどうなっているのかということがわからなければ、その先の方針というものも決められないわけであります。今、子ども・子育ての新制度が本当に動いているその真っただ中でありますけれども、そこに、やはりこれも含めた形で検討ができるように、早急な調査を、また着実に行っていただきたいと思います。

 二〇一五年から、研修を受けたベビーシッターを市町村が認定をして、優良事業者を国が財政支援をするという制度がございます。多様な保育を支えるためにも、こうした社会的投資というのは必要です。必要性の高い病児保育など、利用をしやすく質を向上させる、そのためにも、やはり公費の投入というのは必要である、財源の確保は欠かせないと思います。

 そこで、この再発を防ぐためにも、ベビーシッター研修のあり方、それから安全確保のガイドライン、あるいは情報公開の仕組み、正しい情報をどうやって利用者に伝えていくのか、また、不正な業者をどうやって見分けていくのか。ネットを含めた既存の事業者を制度に導く、こうしたことも積極的に検討すべきではないかと思っております。

 確かに、実態調査が出なければ、その後の方針というのは見えてこないとは思うんですが、この事件に対して、これからの方針についてお考えがあればお伺いをしたいと思います。

○石井政府参考人 現在の児童福祉法上、ベビーシッターなど子供を預かる小規模な事業については、届け出等の法制度はございませんで、また、法律に基づく資格制度が設けられていないところでございます。

 平成二十七年四月に施行予定の子ども・子育て支援新制度においては、保育所などにおける一般的な集団保育が困難な場合に、それを補完できるように、乳幼児の居宅で保育を行う事業を居宅訪問型保育事業と新たに規定をして、市町村が認可する事業として児童福祉法に位置づけた上で、地域型保育給付の、まさに公費の投入の対象とする仕組みになるわけでございます。

 また、新制度のもとでは、居宅訪問型保育事業に準じた形で、市町村事業であります一時預かりやあるいは延長保育につきましても、利用者の居宅に訪問して行う訪問型の創設を予定しているところでございます。

 公的な制度に基づいて行われる事業以外の、子供を一時的に預かる事業やサービスの利用についても、子供の安全、これが確保される必要がございまして、いずれにしましても、現在進めている調査を通じて可能な限り実態を把握して、関係府省とも協力し、また、先ほど御指摘いただいた点も踏まえつつ、実効性のある対応を検討していきたいと考えております。

○古屋(範)委員 確かに、新制度の家庭的保育とか、それから居宅訪問型に入ってきてくだされば、これは何の問題もないとは思うんですが、どうしてもやはりそれ以外の事業者というものもあり、それを利用せざるを得ないという事情もあるでしょう。また、党内でも議論をしましたが、余りに規制を強めていった場合に、逆にアンダーグラウンドといいますか、そういう部分を、劣悪な業者を残してしまうというようなことが起きても、これは逆効果であるというふうにも思われます。

 やはり、実効性のある、また早急な対応がいかなるものか、これは私たちも今検討している最中でもございます。ぜひ、早急な実態調査の上に的確な対応をとっていただきますよう、よろしくお願いをいたします。

 ベビーシッター問題は以上にいたしまして、法案の質疑に入ってまいります。

 次世代育成支援法でございます。

 女性の活躍を推進する上で、子育てとの両立を初め、ワーク・ライフ・バランスの取り組みは非常に重要だということでございます。近年、これもかなり認知をされてきたと思います。

 総理が、成長戦略の柱の一つに女性の活躍ということを挙げてくださっています。役員に一人は女性の登用ということも提言をされておりまして、私も先日、予算委員会でも申し上げました。女性の活躍を成長戦略の中核と位置づけている、女性の活躍、ワーク・ライフ・バランスの取り組みが今進められております。

 前回審議をいたしました雇用保険法改正案が成立をいたしますと、育児休業給付が拡充をされます。これを起爆剤として、男性の育休取得が進むということが期待されるとともに、女性も男性も育休を取得しやすい環境づくりを進めていただきたいと思っております。

 日本生命が男性職員の育休取得一〇〇%を達成したというニュースが出ておりました。非常にすばらしい、こういう企業も出てきたという明るい兆しがございます。

 これまで、私たちも一貫して提案をしてまいりました、この次世代育成支援対策推進法を延長、拡充してほしいということを主張してまいりました。次世代育成支援対策の推進、強化が図られる、また、あわせて一人親家庭の支援策も充実が図られる、大いに評価ができると思っております。

 政府は、二〇二〇年、あらゆる分野で女性が指導的地位に占める割合を三割という目標を掲げています。女性の力を最大限引き出すために、どうしても両立支援は欠かせないと思っております。出産か仕事か、これを二者択一、選ばなければいけないというような、これはぜひ、もう終わりにしていかなければなりません。

 今回改正される特例認定の基準について、新たな基準を設ける、現行基準の引き上げが言われております。

 そこで、この基準の改定について、女性の就業継続、活躍する女性を支援する取り組み、また、前回も取り上げました、私が取り組んでおりますテレワークを推進する、このような取り組みへの新たな基準を設けたり、男性の育児休業取得の基準の引き上げ等が必要と考えます。この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。

○田村国務大臣 次世代法で、子育てサポート企業ということで認定をさせていただく認定制度、くるみんマークをつけていただくということで今までやってきたわけでありますが、さらに新しい認定制度、プラチナくるみんとよく言っておりますけれども、これを検討しておるわけであります。

 今現状も、まだまだ所定外労働時間が長かったりでありますとか、また、年次有給休暇の取得率が低いというような問題もございます。

 そういうことで、新制度の認定基準、これに関して今いろいろと検討を行っている最中でありまして、労働条件の整備等々も含めて、今言われましたテレワークというものも具体的にこの中に入れていってはどうか、このような検討もさせていただいておりますし、また、男性の育児休業取得、これもさらなる高い数値を考えていかなきゃならぬなと思っております。あわせて、女性の継続就労、そして子育てと活躍という部分、これが両立できるような、そういうような部分にも取り組んでおる、どのような形で指標を入れるのかというのはありますけれども。

 そういうものを新しい認定基準の中に盛り込みながら、さらなる次世代法延長、拡充の中において、企業に御努力いただきながら両立支援が進められるような、そんなことをこれから検討させていただきながら、プラチナくるみん、これは本当の名前になるかちょっとまだわかりませんけれども、これを推進してまいりたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 今大臣からも触れられましたプラチナくるみん、こういう名前になるかどうかまだ決まっていないそうでありますけれども、くるみん、プラチナくるみん、この認定を取得した企業への経済的インセンティブについてお伺いをしてまいります。

 ただいま大臣もおっしゃいましたように、くるみん認定がワーク・ライフ・バランスを引っ張っていく、象徴なのだというふうに思います。このくるみん認定を目指す企業をふやしていくために、やはり企業ですから、経済的なインセンティブが必要だと思います。

 次世代法に基づいて子育て支援に取り組む企業を認定するくるみん認定については、徐々に周知されつつあると思いますが、まだ十分とは言えないと思います。その一因として、インセンティブ効果が弱いのではないかという指摘がございます。

 今回の改正では、現在のくるみんよりもさらに高い基準のプラチナくるみんの認定が盛り込まれております。

 現在、くるみん認定を取得した企業については、税制上の優遇措置、一定の建物等について割り増し償却が可能となるということが利用できることになっております。このくるみん税制を利用した企業は五十三件にとどまっています。認定取得企業が八百十件ですので、非常に少ない利用率となっております。

 くるみん認定制度の効果について、二〇一三年九月の発表によれば、認定を受けている企業では男性の育児休業取得率が高いということが明らかになっていまして、一定の効果は出ているというふうに思われます。

 もっとも、現状では、マーク自体がなかなかまだ社会全体には周知されていない。また、マークの価値を引き上げるために、プラチナ化と同時に、くるみんマーク自体がもっと広がっていなければいけないというふうに思います。社会全体にくるみんマークが浸透してこそ、マーク取得のメリットが確実なものとなり、プラチナくるみんの意義というのもその上に出てくるものと思われます。

 そこで、現行のくるみん、またプラチナくるみん、この認定を目指す企業をふやすためにも、税制措置の拡充など企業へのインセンティブを強化すべきと考えます。いかがでございましょうか。

○田村国務大臣 子育てサポート企業のあかしとして、くるみんマークがあるわけでございます。

 一つは、くるみんマーク自体を名刺だとかいろいろなものにつけていただくこと自体、企業として、非常にワーク・ライフ・バランスを考えた、両立支援を応援している、そういう企業だなということを御理解いただく中で、社会的な地位といいますか評価といいますか、そういうものを御理解いただけるような意味もあるわけでありまして、それが社会的に評価されてくること自体が我々としては望むところでありますが、しかし一方で、経済的なインセンティブも取得いただく一つの動機づけになるのは間違いないわけでございます。

 今、割り増し償却という話が出ました。なかなか、使い勝手が悪いのかもわかりません。何かしら、やはり税制優遇も含めて、検討していかなきゃならぬ。これは労働政策審議会の方でも、もっと知名度を上げろというのと同時に、インセンティブをというお声もいただいておりますので、税制優遇も含めて、しっかり検討させていただきたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 くるみんマークが企業のイメージアップにつながる、これは、大臣を先頭にその空気をぜひ醸成していただきたいと思います。

 また、現実の上で、企業に経済的なインセンティブが働くような税制措置を初め、ぜひとも前向きに御検討いただきたいと思います。

 次に、一人親家庭に対する施策についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 多様な働き方の確立という視点で、テレワークに着目をしてまいりました。働きたいという意欲を持った人に仕事が提供できる、それも在宅で、情報通信技術を利用して。今、クラウドコンピューティングが発達をし、テレワークはさらに使いやすいネット環境もつけられております。また、通勤時間が要らないということであります。長時間の通勤から解放されて、保育園の送り迎えなどもできる。また、キャリアアップのための学習機会ができる。あるいは介護も。

 こういうことをいろいろ考えますと、このテレワーク、非常に重要な働き方かと思っております。また、母子家庭のお母さんたち、また、高齢者、障害者、こういう方についても非常に有効な働き方であると思っております。

 せんだっても申し上げました、二〇〇五年、私も、総務大臣政務官を務めていたときに、テレワーク推進会議というものを設置いたしました。積極的に取り組んでまいりました。

 被災地で、福島のいわきというところで、いわきテレワークセンターという会社をつくっている、やはり女性の社長でありまして、これまでも非常に多くの雇用をつくってまいりました。震災以降も地域に貢献をいたしております。

 また、熊本のNTTネオメイトという会社があるんですが、ここは、母子家庭のお母さんあるいは障害者を中心に、非常にすばらしいテレワークの仕事を進めております。これは航空写真を地図に起こしていくという仕事、あるいは、コミックなども今携帯で見られるようになっておりますので、実際の、もともとの原画を携帯にレイアウトし直す、このような仕事を行って、障害者の方も一かどの収入を得て、自立をしているそうであります。

 また、NTTデータにも参りましたけれども、ここでは、子育て中の方も学校の役員までできる、中にはPTA会長までやっている人もいる。テレワークと短時間勤務とか、休憩時間、さまざまなものを組み合わせて、役員を初め六千人以上の社員が活用しているということで、非常にうまく回しております。

 これも、震災対応などBCPということを考えても、非常に重要なことだと思っております。

 こうしたテレワークをさらに母子家庭、一人親家庭にも普及させたいと思っております。これは議員連盟で丹羽先生を中心に取り組んでいる課題でございます。家事や子育ての負担、仕事をたった一人で背負わなければいけない一人親、その事情を考えますと、テレワークというのは非常に重要な働き方と思っております。

 在宅就業に関する支援体制の整備、なかなか仕事がない、あるいは単価が安いなど、さまざまな問題がございます。一人親家庭のみならず、高齢者、障害者にとっても大きな効果が認められる働き方、テレワークの飛躍的な拡大に向けた環境整備、ぜひとも進めていただきたいと思っております。

 これについてのお取り組み、また、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○石井政府参考人 テレワークとは、実は、これは情報通信技術、ICTを活用した場所や時間にとらわれない働き方ということでございまして、雇用形態によるものと、それから雇用形態によらない在宅就業と呼ばれるものに分けられるわけでございますが、特に雇用形態によるものにつきましては、議員御指摘のように、育児や介護を行う男女の労働者にとって、通勤時間の削減によって生活時間の確保ができる、増加する、それから企業にとって、多様で優秀な人材の確保が可能になるといったようなさまざまなメリット、また可能性を有している働き方だろうと思っております。

 このため、厚生労働省としては、雇用される方のテレワークの普及のため、これまでも実施してきたテレワークセミナーやテレワーク相談センターに加えて、来年度から新たに、子育て、介護のためのテレワーク活用好事例の事例集を作成して、関心のある企業等に広く周知をすることとあわせまして、これまで普及が余り進んでいなかった中小企業やIT関連以外の分野で参考としていただけるようなテレワークモデルを構築する、さらには、自宅のパソコンから会社のネットワークに安全に接続する機器等の購入に対して一定の助成を行うといったような施策を推進することといたしております。

 また、雇用形態によるもの以外の在宅就業につきましても、一人親対策としてやってきたものもございますが、それがより効果的、効率的な形で在宅就業支援を進めることができるように、現在の仕組みについて成果の検証をしているところでございまして、その結果を踏まえて、二十七年度の概算要求に向け、今後の在宅就業支援のあり方、とりわけ一人親に対してですが、それを検討してまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 総務省では中央省庁で本格実施をしておりまして、これまで、私、何度もテレワークのことを厚生労働委員会で厚生労働省に質問してきて、消極的だなといつも思っておりまして、こういうことには後ろ向きなんだなとか、非常にそういう印象を今まで持ってきたんですが、初めてといいますか、大変積極的な方針を伺えて、うれしく思います。

 こうした好事例集をつくり、あるいは一定の助成もしていくということでございます。また、そうした検討も前向きに進めていってくださるということですので、ぜひとも、これを着実に進め、実現をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、児童扶養手当改正案についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 この児童扶養手当制度、母子家庭の生活の安定と自立の促進に寄与する制度として創設をされまして、今日まで、父と生計を同じくしていない児童の育成支援策として大きな役割を果たしてきた。しかし、現行制度は、所得保障を二重を避けるという理由で、養育者などが公的年金給付を受給できる場合には児童扶養手当を支給対象としない、併給調整を行っています。

 この併給調整について、子供の母が失踪してしまう、育児ができないというような場合には、祖父母がかわって孫を養育するということがあるわけです。当然、生活費が増大をしてくる。しかし、祖父母が老齢年金を受給している場合は児童扶養手当を受給できない、こういう状況を見直すべきだと主張をしてまいりました。

 二〇一〇年五月ですか、前回改正の際に、公明党はこの修正案を提出いたしました。児童を扶養している離婚係争中のDV被害者とか、あるいは年金受給者の祖父母等も支給対象とすべきだ、このような修正点を盛り込みました。

 それで、このうち、配偶者からの暴力被害者に対する支給については、二〇一二年七月に政令改正で、裁判所の保護命令が発令されていることを要件に支給対象という改正を行っていただきました。配偶者の暴力被害者、DV被害者は、一年以上父親から養育放棄をされているということを要件とせずに、裁判所の保護命令が発令されていることを要件として支給対象としていただきました。

 そして、今回の法改正で、併給制限が見直されて、年金額が手当額を下回るときは、その差額分が支給されることになった。これは一歩前進だと評価しています。さらに全額支給に向けて御努力をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

○石井政府参考人 委員のお尋ねでございますが、児童扶養手当と公的年金は、稼得能力の低下に対する所得保障という同一の性格を有しているものでございます。児童扶養手当も老齢、障害年金も、何らかの事由に基づいて稼得能力が低下したことに対する所得保障という性格は共通しているものでございまして、この稼得能力の低下の程度が加重されるものではないことから、両者の完全併給は、重複した所得保障となって、適当ではないと考えているところでございます。

 しかしながら、老齢年金の関係でございますが、これは、実は、平成十四年度に、総務省の行政評価局からの指摘を受けた結果でございますが、老齢年金を受給する祖父母が孫を養育する場合には、親族里親制度、これを設けまして、それを活用すれば、今回導入する併給調整による給付よりも高額の給付が受けられることから、この制度の活用についてどんどん進めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 親族里親制度を活用していく、これが一つの方法であるということでございます。これを利用するということを知らない方々が非常に多いかと思います。これができたということもさらに周知徹底をしていただきたいと思っております。

 さらに、児童扶養手当一部支給停止措置の現状についてお伺いしたいと思います。

 現行制度で、母子家庭の自立を促進するという観点で、支給後五年を経過すると最大二分の一削減するということを定めています。二〇〇八年の四月から実施予定でしたけれども、これはいわば、現実、凍結をしているわけでございます。この結果、本人の意思に反して一部支給停止となる事例というのは基本的には見られないはずなんですが、現状についてお伺いをいたします。

 また、そうであるならば、この規定を撤廃するのは特段支障がないのではないかと思いますけれども、この点についての御見解を伺います。

○石井政府参考人 御指摘の児童扶養手当の一部支給停止でございますが、障害、疾病等による就業困難な事情がない上に就業意欲も認められない人に限定をして適用しているものでございまして、児童扶養手当受給者に占める割合は〇・四%となっております。

 また、受給資格者の手続による負担、これが軽減されるように、平成二十四年六月に省令を改正いたしまして、一部支給停止の適用除外を受けるために必要な届け出を年一回行うわけでございますが、その年一回の八月の現況届と同時に提出すれば済むように、運用の改善を図ったところでございます。

 その上で、就業困難な事情がない上に手続もとらない人に対してまでこの一部支給停止を適用しないことはなかなか難しいと考えておりまして、御理解賜れれば幸いに存じます。

○古屋(範)委員 時間ですので、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

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