子ども手当法案 古屋さんの質問要旨(公明新聞 2011年2月25日)

子ども手当法案について質問する古屋さん(右)=24日 衆院本会議

子ども手当法案について質問する古屋さん(右)=24日 衆院本会議.24日の衆院本会議で審議入りした子ども手当法案に関する公明党の古屋範子さんの質問(要旨)は次の通り。

保育サービスなど現物給付が不十分

(民主党)マニフェストに基づいて考えるならば、2011年度から、中学生までのすべての子どもを対象に、月額2万6000円を全額国費で支給する恒久的な法案となっていたはずだ。

公明党は10年度の子ども手当法に修正を求め、「平成23(2011)年度以降の子育て支援に係る全般的な施策の拡充」を盛り込んだ。「23年度以降」ということは、恒久制度を志向している。時限法はあり得ない。(今回の子ども手当法案は)修正条項に反している。

さらに、現金給付に対し、保育サービスなどの現物給付は、十分な拡充がなされているとはいえない。バランスが非常に悪い。

本法案は明確なマニフェスト違反だ。民主党が国民と約束した子ども手当の本当の姿とは何なのか。昨年末の子ども手当の財源確保をめぐる政府の迷走、提出された法案を見る限り、マニフェストの実現はもはや困難と認めるべきではないか。

3歳未満増額の理由は制度設計ミス

3歳未満のみ2万円に(支給額を)引き上げる理由に関して、国会質疑の中で関係閣僚から、3歳未満の子どもを持つ家庭は比較的若い世帯が多く、収入も少ないという答弁があったが、これは後づけの理由ではないか。

3歳未満の児童手当を5000円から1万円に引き上げる乳幼児加算創設の際、「むしろ負担の重くなる3歳から5歳及び学齢期に厚くすべき」などと言い、法案に反対したのは民主党だ。当時と考え方は変わったのか。

もう一つの理由として、年少扶養控除の廃止により3歳未満の子どもを持つ世帯では、児童手当と比べて実質的な手取り額が減ってしまうことを挙げている。しかし、これは支給額の見通しも立たないまま増税を先行したために起きた制度設計ミスではないか。

3歳から小学生までの子どもを持つ年収800万円の世帯では、12年度以降、負担増となる世帯が出てくる。

また、第3子以降の子どもを持つ世帯では今回の措置でも負担増を回避できないケースがある。3歳未満のみ支給額を引き上げることの必要性や税制改正の影響を含めた子ども手当の効果について、改めて検討する必要があるのではないか。

公明党は11年度以降の本格的な制度設計に向けて、恒久財源の確保が必要であることを強く主張してきた。

マニフェストで約束した無駄遣いの一掃による財源捻出が極めて不十分なまま、かつ赤字国債を発行したまま、子ども手当を支給していることは、将来世代にそのツケを回すことにつながらないか。

単年度措置で子育て世代の不安増す

読売新聞の調査によると、地方負担の存続に反発し、その負担分を予算計上しないことを決めた、あるいはその方針であるという自治体が2県63市町村に上ることが明らかになっている。

これは、もともと、子ども手当は全額国費で賄うと言っていたにもかかわらず、地方への丁寧な説明と理解もないまま、一方的に負担存続を決めた政府与党の責任だ。

地方負担の存続をめぐっては、一昨年からこうした反対意見があることを認識していたにもかかわらず、その後十分な協議の場を設けることもなく、1年間もいったい政府は何をしていたのか。最終的な制度設計では地方負担をどうするのか。

もともとの子ども手当額は1万6000円だったわけであり、直近の閣僚のあいまいな答弁を見ても、確たる根拠などなかったことを後づけの理由でごまかしているにすぎない。金額の詳細な積算根拠を示すべきだ。

10年度に続き、単年度限りの措置となった。毎年、このような場当たり的な法案提出を繰り返していては、子育て世代の安心につながるどころか、制度への不信感は増長することになる。不信感を取り除き、安心して子どもを産み育てられる環境をつくるためには、恒久的な子ども手当の制度設計や「子ども・子育て新システム」などを含めた、子育て支援の全体像を示すことが政府に求められている。

「子ども手当法案が通らなかったら、国民生活が混乱する」としたら、政府与党の責任だ。民主党が国民との契約とまで言い切ったマニフェストの破綻を認め、修正するのであれば、首相は国民に対して即刻謝罪すべきではないか。

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