第161回国会 衆議院 厚生労働委員会 第2号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
 まず冒頭に、二十三日夕刻から深夜にかけて発生いたしました新潟県中越地震に対しまして、不幸にも亡くなられました方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。
 地震発生から五日を迎えましたが、避難生活者は十万人を超えております。また、三十回を超える震度四以上の地震もあり、雨や寒さの中、疲労が重なり、避難住民の健康被害が大変心配されております。今後も強い余震が予想をされますが、我が党といたしましても、即日、対策本部を設置いたしまして、議員団も現地入りをいたしました。また、今後は正確な被害状況の調査を行うとともに、早急な救済策の実施にも努めてまいりたいと考えております。

 まず、厚生労働省として把握している本日現在の被害状況をお知らせいただきたいと思います。次に、厚生労働省管轄の災害救助法による指定状況はどうなっておりますでしょうか。今後の見通しもあわせてお伺いいたします。
 今後被害がふえていくことが予想をされますが、被災者が希望が持てる再建への道筋を示すとともに、自治体を強力に支援するなど、被災者住民の立場に立った迅速な対応を大臣に強くお願いしたいと思います。
 そして、厚生労働省におかれましては、省でできることはスピーディーかつ全力で救済策を実施するとともに、補正予算の編成に当たりましては、遅滞なく要望に応じたきめ細やかな対策を十分に実施できるしっかりとした規模の予算を組むよう、総理に対して進言されることを望みたいと思います。この点に関しまして、尾辻大臣の御所見をお伺いいたします。

○小島政府参考人 まず、私の方から中越地震の被害状況及び災害救助法の適用状況について御説明を申し上げます。
 本日、朝七時半現在の新潟県の報道発表資料によりますと、死者三十一名、行方不明者三名、重軽傷者千七百六十四名、住居被害につきましては全壊二百二十七戸を含む五千五百三戸に及んでいるということでございまして、避難所四百七十カ所に八万六千人の方が現在避難をしておられます。
 新潟県におきましては、こうした状況を踏まえまして、二十四日九時までに、六市二十三町村、合計二十九市町村につきまして災害救助法の適用を決定したところでございます。今後とも、必要があればさらに災害救助法について適切に対応をしていくというふうに聞いております。
 以上でございます。

○尾辻国務大臣 補正予算についてのお尋ねでございました。被害者の被害額の早期把握にまず努めなければなりません。そしてその後、政府全体の方針もございますので、それに従いまして必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員  ともかく、全力を挙げての救済、復旧支援をお願いしたいというふうに考えております。
 このたび厚生労働大臣に就任されました尾辻大臣におかれましては、私たちの生命と生活に密着した重要課題が山積する中で、大変な重要な責務を担われるわけでございますけれども、心からお祝いを申し上げるとともに、エールを送りたいというふうに考えております。
 報道によりますと、大臣も学生時代、五年をかけまして七十七カ国を車で放浪されたことがあるということを聞いております。車の運転も大変お得意でいらっしゃるんだなというふうにも思いますけれども、私はぜひともその行動力で諸問題の改革に取り組まれることを大いに期待をしております。

 さて、御承知のように急速に進む日本の少子高齢化社会、この対応策が待ったなしで求められている中で、公明党は少子化対策の大きな柱として、児童手当の拡充、また待機児童ゼロ作戦の推進、そして育児・介護休業法の拡充など、希望と喜びを持って子育てできる環境整備を推進するために全力で取り組んでまいりました。
 また、本年三月、仕事と生活の調和に関する検討会報告書が厚生労働省によりまとめられました。その中には、働く者の意識が多様化する中で、一人一人が、仕事、家庭、地域、この活動を組み合わせ、バランスのとれた働き方を選択できる仕事と生活の調和の実現が重要であると訴えられております。

 これらを踏まえまして、私たち公明党といたしましても、みずからの働き方を見直し、また安心、納得できる環境整備をしていこうと、党内にワーキングチームを設置いたしました。識者から意見を聴取したり、先日も慶応大学の清家教授をお招きいたしましたけれども、また仕事と生活、この両立に先進的に取り組んでいる企業の視察などを企画し、精力的に取り組んでいるところでございます。
 私は、子育てをしていく中で特におくれているこの働き方ということについて考えてみますと、大臣が先頭に立って国、地方自治体、さらに企業も巻き込んでリーダーシップをとられて重要課題に取り組むべきというふうに考えております。
 そこで、長期的な展望ではございますが、仕事と生活の調和に向けて、多様な働き方を認める社会の構築に向けまして大臣の御所見をお伺いいたします。

○尾辻国務大臣 公明党がワーキングチームをつくられて、委員が座長になられたということをお聞きいたしております。敬意を表させていただきたいと存じます。そしてまた、いろいろ御議論いただきまして、御指導いただければ大変ありがたいと存じます。

 そこで、今働く皆さんの意識やニーズが非常に多様化しておる、そういう中での働き方ということについての御質問でございましたけれども、これはもうお話しのとおりに、バランスのとれた生き方、働き方が選択できるように考えることが大変大事なことだと私も認識をいたしております。
 そうしました観点から、時短促進法につきましては、個々の労働者の健康や生活に配慮した労働時間の設定を促進するものへと見直しますとともに、労働安全衛生法につきましては、過重労働による健康障害防止対策及びメンタルヘルス対策を充実することなどをいたすための検討を今いたしておるところでございます。

○古屋(範)委員  これは長期的な問題でもございます。二十一世紀を展望して、さまざまな少子化対策やまた高齢者対策、それから家庭のあり方、ましてや個人の生き方、経済活動、こうした根幹をなすべき問題であるというふうにとらえておりますので、ぜひともまたこの辺の熟慮もお願いしたいというふうに思っております。

 次に、単発の質問ではございますが、小児難病の薬、フルナリジンについてお伺いをいたします。
 非常にまれですが、小児交互性片麻痺という疾患がございます。発作性に片麻痺あるいは四肢麻痺を来し、原因はわかっておりません。発作は生後十八カ月以前に発症し、左右いずれか一方から始まり、他方の片側に移行し、四肢麻痺となったりいたします。多くは弛緩性の麻痺で、数分間から数日間続き、強直発作、眼球運動異常、けいれん発作、自律神経異常及び知的障害を伴うことがある疾患であります。

 治療に関しては、抗けいれん剤や偏頭痛治療剤などが用いられており、現在、フルナリジンが最も効果があり、発作時間短縮、発作強度の減少が認められていることがわかっております。
 海外での報告には、一九八四年、カエザルとアゾウが報告して以来、発作の軽減や発作持続時間の短縮などが認められております。また、我が国におきましては、国立精神・神経センター武蔵病院小児神経科の佐々木征行先生らが全国の集計を行い、第四十二回小児神経学会で発表された報告によりますと、対象の六〇%余りに発作持続時間の短縮や発作強度の軽度化が認められております。
 しかしながら、このフルナリジンは、その適応が脳梗塞後遺症や脳出血後遺症に伴う慢性脳循環障害による諸症状の改善とされており、再評価においてはその申請がなく、平成十一年秋より日本国内においては販売中止となりました。結果として、小児交互性片麻痺の患者では、薬剤の服用の中断が余儀なくされている事例が発生しております。

 前述の佐々木先生の報告では、フルナリジンの服用の中止により、発作の悪化を引き起こした事例がかなり存在することが指摘されており、小児交互性片麻痺の親の会の方々からは、何とかこのフルナリジンの入手が国内において容易にならないかという要望が出されております。
 医薬品の製造販売にかかわる承認の申請は専ら製薬企業の判断によるものでありますが、このようなまれな疾患に関しての治療薬は、その市場規模が小さいために、企業の経営判断により治験などコストのかかる承認申請に至らないことが以前から指摘をされております。そのような問題を解決するため、医師主導の治験などの制度もスタートいたしました。
 個人輸入の薬剤の入手に頼っている現在の状況を改善するため、何らかの国の対応が必要と考えますが、この点、御見解をお伺いいたします。

○阿曽沼政府参考人  お答え申し上げます。
 今御指摘の塩酸フルナリジンでございますけれども、御指摘ございましたように、脳梗塞後の後遺症や脳出血の後遺症に伴います慢性脳循環障害による諸症状の改善ということで効能、効果として、昭和五十九年の十一月に国内で承認を取得しております。
 その後、お話にもございましたように、平成十一年に再評価指定が行われましたけれども、企業の方から再評価申請を行わないということで承認が整理されておりまして、現在、国内での供給は行われておりません。
 一方、海外の事例でございますけれども、目まいとか偏頭痛を効能、効果としてこの薬を承認している国はございますけれども、残念ながら小児交互性片麻痺を効能、効果として認めている国はございません。
 ただ、お話がございましたように、こういう対象患者数が極めて少ない疾患の治療に使われる医薬品につきましては、大変重要でございますので、厚生労働省といたしましても、希少疾病用医薬品、いわゆるオーファンの指定をいたしまして、優先的に審査をしたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員  引き続き調査検討をお願いしたいというふうに考えております。

 いよいよ、今回の私の質問の中心のテーマでございます女性の健康づくり、また、働く女性の支援に資する乳がんの検診の充実についてお伺いをしてまいります。

 私ども公明党は、本年初頭から、マンモグラフィー検診の普及を求めまして全国で署名運動を展開してまいりました。全国から寄せられました三百九十五万人分もの署名を当時の坂口厚生労働大臣に提出するなど、一貫してマンモグラフィーの対象年齢引き下げと早期導入を推進してまいりました。
 そして、本年四月、厚生労働省の指針改正では、対象年齢が五十歳以上から四十歳以上に拡大され、従来の視触診にマンモグラフィーの併用を求め、実施体制の整備に努めるよう都道府県に通知をされましたが、これは多くの国民の皆様の声が反映されたものと大変感謝をいたしております。大臣におかれましても、女性の大敵である乳がんの死亡率減少に向けた支援を引き続きお願いいたします。

 さらに、来年度の予算概算要求には、五百台のマンモグラフィーを整備するため、七十九億円の計上が盛り込まれており、死亡率第一位の乳がんの対応として厚生労働省が迅速な対応をしていただいたことに全国から喜びの声が私のもとにも届いております。
 また、厚生労働省がこの九月に発表されましたマンモグラフィーによる乳がん検診実施状況等の調査結果によりますと、本年三月時点で五八・三%、千八百三十九市町村だった導入率が二〇〇五年には九〇・六%、二千八百五十九市町村に上昇することが明らかになりました。
 マンモグラフィー検診ができる体制を推進するには、各自治体の財政事情と、検診に必要な高い技術を持つ技術者、医師の確保が必要であることはこれまでも指摘されております。改めまして、マンモグラフィー導入拡充への意気込みをお伺いいたします。

○西副大臣 お答え申し上げます。
 古屋委員の熱心なお取り組みにまずもって心から敬意を表したいと思います。
 既にほとんどの部分、委員から御説明がございましたけれども、我が国では最近、急速なライフスタイルの変化で、年々乳がんの患者数が増加しているということは御存じのとおりでございます。その結果、現在、女性のがんの第一位を占めるという現状になっております。そして、約一万人の女性が乳がんによって亡くなっている、こういう大変重大な結果になっております。そんな意味で、乳がんの対策というのは大変重要なものだというふうにとらえております。

 しかしながら、現状を御報告申し上げますと、我が国における乳がん検診の受診率はまだまだ低くて約一〇%程度という水準でございまして、欧米諸国は大体七〇%という受診率を示しております。そういうわけで、早急な対策を講じなければならない、これが現状でございます。

 先ほどお話がありましたように、厚生労働省といたしましても、本年度の概算要求で約五百台分のマンモグラフィーを早急に設置しようということで要求を出しておりますが、省といたしましても、マンモグラフィーの導入拡充を含めて、乳がん検診の実施体制整備に向けて積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。

○古屋(範)委員 ただいまもお話がございましたけれども、導入が進まなかった自治体においては、やはりマンモグラフィーの機械が一台約三千万と高額であるということが一因となっております。これが来年度の概算要求で五百台、七十九億、この予算措置によりまして多くの自治体は救われるのではないかというふうにも思っております。

 しかしながら、三月時点で、乳がんの検診を実施していない市町村のうち、今後も予定なしと答えたところが二百九十六市町村ございます。このうち、財政的に困難と答えたのが六十二。今回の財政支援によって少しは導入の意欲が出てくるのではないかとお考えでしょうか。マンモグラフィー検診を身近な市区町村で受けられるかどうか、全国一律の受診機会を確保するという観点が大きな課題でございます。この地域格差解消の具体策についてお伺いいたします。

 また、現在ある三千台のうち半数は基準に適合していない古い機械であると伺っております。この基準に適合していないものを新しい機械に切りかえていく必要がある。こうした市区町村への支援についての具体策をお示しいただきたいと思います。

○中村政府参考人 
 お答え申し上げます。
 ただいま先生からお話がございましたように、乳がんの検診につきましては、老人保健法の老人保健事業に基づきまして、市町村にお願いをしております。さまざま従来の検診方法に問題があるというふうに指摘されておりましたので、ことしの三月に、がん検診に関する検討会から、乳がんの検診の仕方、やり方を直すということで、エックス線を使った検診、これはマンモグラフィーでございますが、マンモグラフィーの検診を基本とするというか、マンモグラフィーで検診していただくことにしたわけでございます。

 そこで、私ども、現在、市町村でどのようにマンモグラフィーが使われているかを緊急的に調査いたしましたところ、御指摘ございますように、平成十五年度でマンモグラフィーの検診を実施している市区町村の割合が五八・三%でございました。平成十二年度では二九・二%でございましたので、年とともに拡大していることは確かでございますが、まだまだ低いということで、先ほど来お話に出ておりますように、十七年度の概算要求で五百台のマンモグラフィーの設置をお願いしております。
 五百台設置させていただきますと、これによりまして、老人保健事業の乳がん検診対象者の半数の方はカバーされる、こういう状況でございます。半数では少ないんではないかという御指摘があるかもしれませんが、現在の乳がんの検診の受診率が一二%ということで大変低いこと、これが問題になっておりますので、まず検診の受診率を上げる、それからマンモグラフィーを整備する、この両面からやってまいりたいと思います。

 先生から御指摘がありましたように、財政力がなくて整備ができないとか、いろいろな問題がございますけれども、先ほどお話がございましたように、こういう必要な検査が全国民に機会が与えられることが一番大事だと思っておりますので、まずは都道府県で計画をつくっていただきまして、漏れが出る市区町村がないように、例えば、三千万円の機械ですから小さな町村は設置できないというようなことがあると思いますので、お話がございましたように、広域的に利用していただくとか、さまざまな手法を通じまして、乳がん検診を全国民が受けられるように努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 ぜひとも、市区町村へのそういった的確な指導をお願いしたいというふうに思っております。

 次に、このマンモグラフィーを的確に読み取る技術者、医師の養成についてお伺いをいたします。
 財政支援とともに市区町村を大いに悩ませているのが、この撮影技師や画像を的確に読み取ることができる医師の不足でございます。実際、撮影する技師、フィルムを分析する読影医の不足などを理由に導入を見送る市町村も多いわけであります。

 私の住んでおります神奈川県では、神奈川県予防医学協会のマンモグラフィー検診車が集団検診を希望する県内八市十三町村を回って検診を行い、そのフィルムを、県内四つの大学が週ごとに担当を決めて、マンモグラフィ検診精度管理中央委員会が認定した読影医が持ち回り読影を始めるなど、体制づくりを進めております。
 マンモグラフィーや読影医、技師などが不足している市町村にとって、市町村の枠にとらわれず連携することができるような体制が必要であり、国としても早急に取り組むべき課題であると思います。

 また、人材育成について、現在、医学界で独自の認定制度を設け、撮影技術や読影能力の習得に取り組まれているというふうに伺っておりますが、その習得の機会が少ないことが指摘をされております。
 マンモグラフィー普及のためには、習熟した撮影技師、また読影医師の確保が必要であり、国としても技術者養成のため講習会を開くなど人材育成への支援を早急に行うべきと考えますが、いかがでございましょうか。

○中村政府参考人 先生御指摘のとおり、機械が設置されたとしても、きちんと撮影できること、またそれを読み取ることができることが必要で、そのための医師や撮影技師の養成が大事になっております。

 先ほど先生からも御紹介いただきました、来年度の概算要求でマンモグラフィーの機器の緊急整備で予算要求をいたしておりますが、それとあわせまして、マンモグラフィー撮影技師、読影医師の養成研修の費用につきましても予算要求をさせていただいておりまして、都道府県がこの養成研修を実施していただく場合に国として助成してまいりたい、こう考えております。

○古屋(範)委員 乳がんの検診の受診者、二〇〇二年におきましては受診率が一二・四%となっておりまして、大変低い状況にございます。また、さらに、マンモグラフィーによる検診の受診者に至りましては、五十六万三千八十二人、受診率わずか二・一%となっております。一方、欧米では乳がんの検診の受診率が七〇%以上に達しておりまして、近年乳がんの死亡率が減少している原因はこの高い受診率にあると言われております。日本では、一二・四%。残りの八七・六%の方々はほうっておかれているということになるわけでありますけれども、この一番の問題点は受診率を上げることではないかというふうに思っております。

 私もこの夏、マンモグラフィーを受診いたしましたけれども、実際、吸引をするわけなんですが、それも多少の痛みが伴いまして、吸引するだけではなくて、引っ張って挟んで撮るということがございまして、女性にとっては行くということもなかなか勇気が要ることでございまして、たまたま私はその技師さんが女性だったものですから、非常に個人的には心情的にありがたかったというふうに思っているわけなんですが、このように、簡単に、気軽に受診に行くというのが、女性にとっては子宮がんの検診も含めましてなかなか難しいというのが現状ではないかというふうに感じております。

 公明党におきましては、そういったものを、女性のために女性専門外来というものも設けまして、女性医師が懇切丁寧に悩みを聞いてあげるというような場を多く設置しよう、そういう活動もしておりますけれども、このような環境づくりというものが一つには必要ではないかというふうに思っておりますが、欧米から比べると大きくおくれている受診率の現状と改善についてお伺いしたいと思います。

○中村政府参考人 先ほど来御紹介しておりますがんの検診の検討会でも、受診率の低いことが問題になりました。乳がん検診によりまして死亡率が下がる程度に検診の効果が上がるには、六割から七割の受診がないとだめだろうと専門家は言っておられます。そういう意味では、我が国の一二%という受診率の低さは非常に問題だと考えております。

 原因はいろいろ検討会でも出たわけですが、とにかく女性の三十人に一人は乳がんになるというような状況でありますが、専門家の御意見によりますと、ヒアリングも行ったわけですが、自分はがんにならない、自分に関係ないと思っておられること、それから、検診を受けてがんと言われるのは怖いという一般的な話のほかに、確かに、先生から御指摘がありましたように、乳がんの検診について男性医師に診てもらうことの抵抗感とか、さまざまな問題があると思います。

 それにしても一二%という低さは問題ですので、我が国の女性に対する啓発も必要だと思いますけれども、検診の実施の仕方等につきましては、先生から御指摘のあったことなどもよく考慮して進めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員  次に、今回の見直しにおいて、三十代の検診が廃止されたことについてお伺いをいたします。
 今回、三月に出されましたがん検診に関する検討会中間報告の中で、乳がんにかかる年代が四十代以上に最も多いということから、四十歳以上の女性をその対象として、三十歳代に関しては、その効果を証明する根拠がないという理由で検診が廃止となっております。
 三十代、せめても一度は検診を受けられる、そのような通知を出すなど、また意識啓発、そのようなことも必要なのではないかというふうに考えますが、三十代の検診を廃止した理由また説明をお願いいたします。

○中村政府参考人  まず、今回の検診の見直しに当たって検討会で一番重視されましたことは、検診してがんの死亡率が減るということについて科学的根拠があること、これが一番重視されました。
 その結果、マンモグラフィーは検診による死亡率減少効果がある、これは実証されておるし、科学的根拠があるということになりました。それでは全年齢でマンモグラフィーすればいいかということですが、エックス線撮影でございますので、副作用もあるので、効果と被害とを見て、大幅に効果がある年代からすることが好ましいということで四十歳以上になりました。三十代からは、マンモグラフィーすることは副作用の方が大きいと判断されたわけでございます。

 従来やられてきました視触診による検診は、死亡率減少について効果がないとする根拠がある、つまり効果がないということについて根拠があるということでありましたので、視触診による三十代の検診はやめようということになりました。実は、検診見直しの経過の中で、三十代の女性で、視触診によって大丈夫ですよと言われた方が実は進行性のがんであったというようなこともあって、むしろ弊害が大きいのではないかということでありました。

 そこで、検診の対象年齢につきましては、検討会では、三十代については、現在のところ、検診による乳がん死亡率の減少効果について根拠となるような研究や報告がなされていないため、今後引き続き調査研究を行うことが必要である、本検討会としては、乳がん罹患の動向や検診による死亡率減少効果、発見率等から判断し、四十歳以上とすることが妥当であるとされたところでございます。ここに書いてありますように、引き続き調査研究を行ってまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員  もう時間ですので最後の質問になりますが、今回、改めてこの健康診査に関する制度の資料を見て感じましたことは、制度は、老人保健法、労働安全衛生法、健康保険法、国民健康保険法、母子保健法、学校保健法など根拠法ごとに制度が分かれ、実施主体も、市町村、事業者、保険者、学校など多岐にわたっております。このように、年齢や職業によってばらばらに実施されている健康診査では、せっかくの健診データも生涯にわたる健康づくりに役立っていないのではないかというふうに思われます。

 健診事業の改革をめぐっては、公明党が推進した健康増進法に基づき、厚生労働省により健康増進事業実施者に対する健康診査に関する指針が八月に施行されました。これは各制度に共通する基本的な事項を定める初めての試みとなる画期的な指針でございます。ここには、将来的には統一された生涯にわたる健康手帳の交付等により、健診結果などの情報を継続的にすることが望まれるとあり、今後の健診事業の改革に方向性が示されました。

 この指針を踏まえ、来年度概算要求には四億円の研究予算が盛り込まれ、生涯にわたるあるべき健診モデルの構築が期待をされております。個々ばらばらの健診事業を結びつけ、その健診データとともに、生涯にわたって健康状態の変化を把握でき、予防に役立てるよう力強い取り組みを期待しております。
 このように、生涯にわたる健康手帳等による健診体制の構築について、最後に御見解をお伺いいたします。

○西副大臣 お答えを申し上げます。
 古屋委員御指摘のとおりだというふうに思っております。先ほど御指摘がありましたように、健康増進法ができまして、健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針を策定いたしましたが、それをもとにいたしまして、さらに具体的な内容について、これからそのあり方について検討していきたいと思っております。

 具体的には、厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会というところでも議論していただくこととしておりますが、こうした議論を踏まえまして、より効果的また効率的な健診体制はいかにあるべきか、特に、御指摘の、お一人お一人の生涯にわたる健診体制の履歴をきちっと把握した上で健康の増進に努めていくという観点は、大変大事なものだというふうに考えております。

○古屋(範)委員 国民全員におきます概念の調整また健康づくりに、今後とも全力で施策を遂行されますよう強く希望いたしまして、質問を終わりにいたします。ありがとうございました。

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