第168回国会 厚生労働委員会 第12号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 私たち公明党は、福田政権との連立合意の実現に向けまして、現在、自民党と精力的に協議を続けてまいりました。本日は、この政権合意の実現に向けて、大臣のお考え、また御決意をお伺いしてまいりたいと思います。

 私たちは、連立政権協議におきまして、改革は継続しつつも、負担増の緩和、また格差の是正など、生活者の目線、庶民の目線から、国民のための政治を実現するために全力を挙げております。政権合意の中には、来年四月から予定をされておりました高齢者医療費の負担増、また母子家庭への児童扶養手当削減の凍結、また利用者負担が実情に合わないなど課題のある障害者自立支援法の抜本的見直しなどでございますが、先週まで、自民、公明の与党プロジェクトチーム、私も微力ながらこの三つのPTにはかかわらせていただきましたけれども、議論を進めてまいりました。

 この中で真っ先に決まりましたのが、高齢者医療費の負担増凍結でございます。来年四月からスタートいたします高齢者医療制度で、まず一年間負担増を凍結し、自己負担のあり方も含めて制度のあり方を検討することで与党合意ができました。さらに、来年四月からの支給額最大二分の一を削減する予定となっておりました母子家庭に支給をされている児童扶養手当の凍結も決まりました。今回の合意では、働く意欲のある人、また働けない特別な事情を抱えている人は継続して支給を受けられるよう、与党で合意をしたところでございます。

 先般の委員会質疑におきましても、私は、児童扶養手当削減の凍結について、自立を目指してまじめに働こうとしている母子家庭の児童扶養手当の削減は凍結すべきと主張いたしました。また、与党PTにおきましても、その実現に努力をしてまいりました。この今回の合意には胸をなでおろしたところでございます。

 大臣、今後も、高齢者また母子家庭の母など、弱い立場にある方々が安心して暮らせる社会の実現へ効率的な支援策を提案し、安定した生活が送れる社会の構築に私たち与党とともに全力で取り組んでいただきたいと思いますけれども、この点の御所見をお伺いいたしたいと思います。

○舛添国務大臣 今委員がおっしゃられた、高齢者、母子家庭、こういう方々が安心して暮らせるようにきめの細かい配慮をやるということを与党の皆さん方がお決めになり、これは福田政権の政権公約でもあるということでありまして、高齢者医療制度の激変緩和措置、それから母子家庭への支援対策、今委員が中身はおっしゃいましたので、それについて繰り返しは避けますが、こういう弱い立場にある方々に光を当てていく、御支援申し上げる、それが我々の立場でもございますので、この与党の皆さん方のおまとめになった案を真摯に受けとめまして、適切に実施をしてまいりたいと思います。

○古屋(範)委員 大臣の御決意を伺うことができました。ぜひ、今後とも、弱い立場にある方々、また生活者の視点に立った政策、強力に推進していただきたい、このように期待をいたしております。

 また、さらに、先週十二月七日には、きょうも話題になりました障害者自立支援に関する与党PTにおきまして、障害者自立支援法の抜本的見直しに関する報告書も取りまとめました。

 この中で、緊急に措置すべき事項といたしまして、障害者が福祉サービスを利用する際にかかる原則一割の自己負担について、平成二十年度までの軽減措置を二十一年度以降も実質的に継続することを柱としております。さらに、障害者のいる世帯につきまして、子育て支援の観点から軽減対象を拡大すること、また、障害者に支給する障害基礎年金の引き上げなどの検討も盛り込んでおります。

 今後、これら緊急に措置すべき事項は、与党・政府一体となって取り組んでいかなければならない課題であります。また、財源が限られている中で、予算の確保が重要なかぎとなっております。舛添大臣には活躍をしていただかなければならないというふうに考えております。

 そこで、このように政権合意の重要課題の中で、厚生労働分野が多く占めており、大臣の手腕が大変期待をされているところでございます。大臣、与党がまとめました障害者自立支援法の抜本的見直しの実現についての御決意をお伺いいたします。

○舛添国務大臣 与党の皆さん方のプロジェクトチームの報告書、十二月七日、私もしっかりとちょうだいいたしました。そして、今委員がおっしゃいましたように、障害者の自立を支援していく、これは非常に重要なことでございますので、特に今おっしゃった緊急措置については、予算措置も含め、きちんと実施していくように、厚生労働省としても頑張ってまいりたいと思います。

○古屋(範)委員 予算の確保、この点につきまして、どうか御努力をよろしくお願いいたしたいと思います。私たちもしっかり頑張っていく決意でございます。

 次に、大臣、御就任になられてから、これまで数々の課題の解決に大きな前進が見られるというふうに思います。これも大臣の、生活者、また庶民の視点に立たれ行動されているからこそと、私も評価をしているものでございます。

 例えば、十二月七日、与党原爆被爆者対策PTにおきまして、在外被爆者が、来日しなくても現地の在外公館などで被爆者健康手帳の申請を可能にする被爆者援護法一部改正案を今国会に提出することで合意をいたしました。

 また、四日の衆議院本会議で、給与から天引きされた年金保険料を企業が国に納付しなかったために給付を受けられない従業員らを救済する厚生年金給付特例法案が、一部修正の上で、全会一致で可決をされました。一刻も早い成立が待たれているところでございますが、年金記録確認第三者委員会で確認をされております三百件以上の方々が、これにより対応、救済がされるという見通しになっております。

 また、さらに、先月二十八日、中国残留邦人、この新たな支援策を盛り込んだ改正残留邦人支援法が成立をいたしました。公布された十二月五日には、全国の残留孤児訴訟の原告十二人と総理が面会をされ、これに舛添大臣も同席され、謝罪をされるという英断を下された。これは非常に大きな意義があったと考えております。

 公明党は、帰国事業が本格化いたしました一九八〇年代から、この中国残留邦人への支援策の充実を推進してまいりました。今回、残留邦人の方々が訴えていた人間としての尊厳の確保、基礎年金の収入認定の撤廃、残留邦人が死亡の際も配偶者に支給を継続する、こうした、生活保護とは全く違う給付制度が実現をしたわけでございます。

 そこで、政治の力で、残留邦人の皆様方が、日本に帰ってきてよかった、そう思える支援をぜひとも実現させていただきたいと思いますが、大臣、この点、いかがでございましょうか。

○舛添国務大臣 今委員からお話がありましたように、十二月の五日に、中国残留孤児の代表の方々が官邸で総理にお会いしました。私も同席をいたしました。総理から、これまでの、手を差し伸べるのが遅かったということを謝罪され、しっかりと支援していくということをおっしゃっていただき、残留邦人の方々も大変感激しておられました。まさにこの新しい法律の公布の日でありました。

 私は二つ感想がありまして、一つは、やはり与党のPTの皆さんが、こういう政府がなかなか腰を上げない問題についてまず先に問題提起をしてくださる、そして議員立法という形でお進めくださって、そして、これは与野党を問わず、いい法律であればみんなで協力して実現させるんだ、そういう形で実現した法律でありまして、この法律が成立しましたことによりまして、来年四月分の老齢基礎年金から満額支給することができるようになりますし、それから、老齢基礎年金を補完する生活支援給付も実施できるようになります。

 これで、私たちが忘れ去っていたというか、そういう大事な問題について、つまり中国残留邦人の方々に対する支援が一歩前進するということは大変喜ばしいことと思います。この点もまた、予算の確保を含めて、厚生労働省として全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

○古屋(範)委員 大臣より、与党PTまた議員立法への御評価もいただきました。この実現に向けて、さらに推進の方をぜひよろしくお願いいたしたいというふうに考えます。

 次に、介護の問題に移ってまいりたいと思います。

 少子高齢社会でございます。この福祉人材の確保は非常に重要な問題でございます。介護は命を支える重労働であり、にもかかわらず、それに見合わない低賃金、雇用の不安定、そして経営環境の厳しさ、社会保障費が抑制をされる中、介護労働者の、また介護事業者の現場から悲鳴が私のもとにも届いております。さらに、介護報酬を不正請求したコムスンの事件、高齢者介護の現場が深刻な人手不足に陥っている現実を浮かび上がらせてまいりました。

 これからの超高齢社会におきましては、要介護認定者の急増が予想されます。必要となる福祉人材、質、量、両面において確保をしていかなければならない喫緊の課題でございます。

 職業安定業務統計から介護関連職種の有効求人倍率を見ますと、平成十六年度、パートタイム労働者を含む介護関連職種全体で一・一四倍、十七年度には一・四七倍、そして十八年度には一・七四倍、全職業における一・〇二倍を〇・七二ポイント上回る、いずれも高い水準でございます。近年、特に都市部で急速に上昇しておりまして、その人材確保が厳しい状況であるということがわかります。

 また、平成十八年度介護労働実態調査によりますと、介護職員、ホームヘルパーを合わせました離職率、これが二〇・三%ということでございまして、全産業の平均一六・二%よりも高い水準にございます。高い事業所、また低い事業所、この二極化が見られるということであります。しかも、過半数の介護サービス事業所では、従業員が不足していると感じているという結果が出ております。

 さらに、介護給付費実態調査では、介護サービスの経営につきまして、全体的に経営環境は厳しさを増している。特に訪問介護、通所介護は、受給者数の増を超える事業所数の増加に伴い、競争が激化をしてしまったという現実がございます。

 一昨日、十二月十日でございますが、社会保障審議会介護給付費分科会の介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチームにおかれましても、介護サービス事業所運営上の問題点として、介護報酬の水準、労働条件、環境の改善、また良質な人材の確保に加えて、書類作成や事務手続の煩雑さを挙げる事業所が多いことが指摘をされております。

 私も、地元神奈川の介護の現場に足を運びましてさまざまな御意見を伺っております。やはり介護事業者は経営が非常に大変である、あるいは、ケアマネジャーの方々も事務処理が非常に多くて重労働である等々、また、若い方々の離職率が高いなど、お声を伺っております。

 非常に問題でありますのが、介護サービス以外の事務負担の多さであるということが言えます。事務が余りにも煩雑であるため、介護サービスの本当の意味でしなければいけないサービスが効率的に届かない、また、書類作成、事務に係る負担をできる限り軽減してほしい、見直してほしい、また、実地指導、監査が入ります、その事業者の事務負担の増加を招かないでほしいなどなど、要望をいただいております。

 それで、最初ですけれども、介護労働者、事業者を取り巻く状況、そして介護サービス事業経営の改善の方策、特にこの事務負担の軽減についてお伺いをいたします。

○阿曽沼政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のように、介護を取り巻く状況は大変厳しいものがございまして、離職率が高いという問題、それから経営の苦しい事業者もかなりあるという現実がございます。

 こうしたことから、先生御指摘ございましたように、私どもとしても、社会保障審議会の介護給付費分科会に公益委員の先生方から成りますワーキングチームを設置いたしまして、事業者、労働者団体九団体からヒアリングを行いました。それで、御指摘ありましたように、今月の十日に、今後の検討課題ということで報告書をまとめていただきました。

 その報告によりますと、御指摘のように、介護事業の経営あるいは介護労働者の処遇に一つ影響を与えるということで、書類作成あるいは事務に係る負担が大変大きい、したがって、それをできる限り軽減するべきではないかという指摘がなされております。

 この点につきましては、私ども厚労省としても大変重要な問題意識を持っておりまして、今後、事業所の経営あるいは従事者の実態等を十分把握いたしまして、事務負担の軽減ができますように、可能なものから順次検討し、実施をしていきたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 やはり、この事務負担というものは非常に大きいという声が多いわけでございます。介護報酬の見直しの前に、ぜひできるところから速やかにこの膨大な事務処理の負担軽減を実行していただきたい、このように重ねて要望いたします。

 それから、この高齢社会におきまして、福祉人材を確保すること、これは非常に難しい課題でございます。また、団塊の世代が高齢に達してくる、この介護ニーズにこたえるためにも、早急な対応が必要である。ある試算では、年々六万人の新たな介護人材が必要であるということもございます。

 本年八月に発表されました新福祉人材確保指針におきまして、高齢者やボランティアが参入しやすい研修制度の整備などとともに、何より、介護サービス従事者が多く女性であることから、女性に対する就業支援が欠かせないと指摘をされています。私の周りにも、多くの女性がこうした介護に携わっていらっしゃいます。

 また、日本介護福祉士会の就労意向調査によりますと、介護福祉士の資格を持ちながら介護現場で働いていない約二十万人の潜在的介護福祉士のうち、一年以内に介護業務に従事したい、一〇・六%、将来的には従事をしたい、三八・八%という、約半数の方が再就職の意欲があるということが明らかになっております。こうした潜在的介護福祉士の多くは女性であると考えられます。

 そこで、出産、育児で離職した女性に対して再就職の働きかけ、また再就職のための教育を行うなど、その持っている能力を発揮できる再就職支援が重要であると考えます。

 厚生労働省は、介護福祉士の職場復帰を進めるために、来年度、初の実態調査を行う方針と伺っております。この実態調査を早期に行い、その結果に基づきまして、女性が生涯を通じて意欲を持って働き続けることができるよう、その環境整備を行う必要があると考えますが、この点はいかがでございましょうか。

○中村(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からお話ございましたように、現在、介護職員として働いておられる方の八割は女性でございますので、介護の現場を女性の方々が働きやすい職場環境としていくこと、これが大事であるというふうに考えております。

 また、御指摘ございましたように、介護の中核的人材であります介護福祉士については、資格をお持ちになりながら介護に従事していない方が約半分くらいおられる、こういうことでございますので、いわゆるこういった潜在的な有資格者の就労促進を図っていくということが、今介護の人手が足りないという状況の中で大変大事なことではないかと考えております。

 そこで、どうして今介護の資格を持ちながら介護の現場に就労されておられないのか、また、どういった介護以外の場所で働いておられるのか、そういったことについての現況調査を行うということで、来年度、この調査をぜひ実施したいというふうに考えております。

 具体的には、介護福祉士、精神保健福祉士、社会福祉士といった資格をお持ちになって、今現場で働いておられない方々について詳細な調査を実施し、それを踏まえて、こういう有資格者の方が介護の現場に戻ってこられるような施策を打ってまいりたいと思います。また、女性が働きやすいというようにするため、都道府県の福祉人材センターで、介護現場へ復帰する方々に対する再研修や就労希望者の説明会などもやっております。

 こういったさまざまな取り組みを行いまして、女性の活用を含め、国民各層の方々が、意欲があられる方々が介護分野へ就業や参画しやすい環境づくりを図ってまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 高齢者が増加をしてくるということを考えますと、やはり女性の力をここで多く発揮してもらわなければ、到底これはカバーすることはできないんだろうというふうに思います。ぜひ、その調査が早急に行われ、またその結果に基づきこうした環境整備がされていくことを強く要望しておきたいというふうに思います。

 次に、介護従事者の待遇改善についてお伺いをしてまいります。

 高齢者介護の現場が深刻な人手不足に陥っている、これは先ほど指摘をいたしました。意欲を持って、志を持って介護の現場に就職したにもかかわらず、一年のうちに二〇%、五人に一人がやめていってしまう。これは何としても歯どめをかけていかなければならないと思います。

 厚労省によりますと、ヘルパーの時給千二百十円。全産業の平均時給より六百円近く安い水準にとどまっております。時間単位で働く登録型ヘルパーは、月収十万未満という人たちが少なくはございません。

 若い方々がこうした福祉の分野に就職をしてきて、そして、家庭を持ちたい、子供を持ちたい、そうした生計を支えていくことができない、その不満や悩みの原因となっておりますのがこの給与体系でございます。また、キャリアや能力に合ったものにこの給与体系を見直していかなければならないのではないかというふうに考えます。他の分野の労働者と給与水準の格差を埋めていかなければならないと考えます。

 もちろん、介護報酬の水準のみでは介護労働者の処遇に係る問題の根本的な解決にはつながらないということも承知をいたしております。しかし、まず介護労働者が要求される質、またその労働量に見合った対価が得られますよう、介護報酬上の対策を講じる必要があるというふうに考えますけれども、この点はいかがか。

 また、その際、介護報酬をアップしても、実際それが現場で働いていらっしゃる労働者に反映をされていかなければ意味がありません。また、一定の給与水準を保障できるような仕組みづくりが必要と考えます。この点について厚労省のお考えをお伺いいたします。

○阿曽沼政府参考人 お答えを申し上げます。

 介護経営の問題でございますけれども、先ほど申し上げましたワーキングチームの報告におきましても、望ましい人件費配分のあり方、あるいは適正な人件費配分を促す仕組みについて分析が必要ではないかという御指摘をいただいております。

 この問題、大変いろいろ難しい問題はございますけれども、介護労働者の賃金といいますのは、基本的には、事業者とそれぞれの労働者の個々の契約で決められているということでございます。ただ、この点についてワーキンググループとしては、事業者が適正な人件費配分を行うべきではないかという問題意識でこういう御提言をされたのではないかというふうに思っております。

 私どもとしては、事業者が収入をどの程度人件費に配分しているかどうかということについては、今後十分精査、分析が必要ではないかと思っております。

 また、介護報酬全体の問題でございますが、現在、事業所の経営あるいは従事者の実態等につきまして調査を行っておりまして、来年三月以降、結果が順次取りまとめられるというふうに予定をいたしております。調査結果を詳細に把握、精査いたしまして、介護報酬につきましては、一方、介護保険料等の水準の問題もございますので、社会保障審議会介護給付費分科会等において十分な御議論をいただきまして、適切な報酬の設定に努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 若い方々が介護の現場で働いていらして、働き続けられるような報酬アップに向けての仕組みづくりというものをつくっていただけますよう、重ねて要望しておきたいと思います。

 次に、介護労働環境の整備についてお伺いをしてまいります。

 平成十八年度介護労働実態調査によりますと、年次有給休暇制度がない事業所、これが約一割ございます。また、ホームヘルパーに対する、移動時間、書類・報告書作成時間、待機時間への賃金支払いも低いということが明らかとなっております。厚労省は三年前、平成十六年に、ヘルパーの労働条件を守るよう全都道府県に通達を出していらっしゃいます。これが守られているとは余り思えないのが現状であります。

 今後は、急増する認知症への対応、また介護現場では今まで以上に専門性が求められております。人手不足だからといって、質の低い人材の採用や、また過労による職員の離職が続けば、介護を受ける高齢者へも悪影響が及ぶわけであります。そこで、有給休暇、育児休業、福利厚生等、介護労働の環境整備をするとともに、長時間労働の是正も含めまして適切な労働時間の管理、設定が必要であると考えます。こうした介護労働環境の整備について厚労省のお考えを伺いたいと思います。

 また、もう一つ、仕事にやりがいがないということが離職をしていってしまう一つの理由とも伺っております。こうした社会からの評価、認識ということが低いことも不満の一つであろうかと思います。そこで、働きながら専門的な資格を取得できるなど、キャリアアップをしていける仕組みづくりが必要と考えますが、この点に関してもいかがでしょうか。

○太田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話ございましたように、介護労働者の方々が働きがいのある魅力ある職場となるように、労働環境の改善に取り組むことは大変重要なことだと考えているところでございます。

 ことし八月に取りまとめました福祉人材確保指針におきましても、労働時間の短縮の推進や年次有給休暇、育児休業の取得の推進、過重な業務負担を強いることのないような適切な勤務体系の確保等を盛り込んでいるところでございます。

 厚生労働省といたしましては、この指針につきまして、経営者や関係団体等への周知、働きかけを行うとともに、今お話のございました労働基準法等関係法令の適用の徹底によりまして、所定外労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進を進め、さらには、雇用管理の改善に向けた事業主に対する支援等にも取り組んでまいりたいと考えております。

 また、介護労働者の社会的地位の確立のためにはキャリアアップが大変重要であるというふうに考えているところでございまして、知識、技術の向上を図るための研修やキャリアアップの仕組みの構築等を行うことによりまして、介護労働者の労働環境の改善を図ってまいりたいと考えているところでございます。

○古屋(範)委員 最後になりますが、日本・フィリピンの経済連携協定、EPA署名によりまして、フィリピンより介護福祉士を二年間で最大六百人受け入れるということが決まっております。

 現在、介護関連職種につきましては技能実習移行対象職種には含まれてはおりません。私は、百六十万人の介護職員確保のためにも、将来的に、介護福祉士等の介護労働者の資質をさらに高め、社会的な地位を確立し、公的な評価制度を整備することによって、技能実習の移行対象職種として追加をすべきではないか、このことを検討すべきと考えておりますけれども、大臣のお考えをお伺いいたします。

○舛添国務大臣 外国人研修・技能実習制度、これは基本的に、物づくりに対して行うということで、そういうことを通じて国際的な貢献をやっていくというのが我が国の立場でありまして、先ほど松本委員から御発言があった技能五輪もそういう試みの一つだと思いますが、一つは送り出し国側のニーズがあるということ、それから技能として、物づくりのようなことは、習熟して、わざを身につける、それからきちんと技能レベルについて、あなたはここまで行きましたという公的な評価制度がある、これを三つの基準として、今、物づくりを中心に六十二職種が対象となっています。

 フィリピンとかインドネシア、特にフィリピンの場合は、例えば、介護の職、看護の職は、もう非常に昔から水準が高くて既に外国にお行きになっている。ですから、そういう意味でこちらからさらに教える必要があるのかというのが一つ。それから、技能移転というカテゴリーに入るのかどうかが一つ。そういう問題点はありますけれども、今委員がおっしゃった問題意識を踏まえまして、今後、どうできるか、一つの検討課題としてみたいと思います。

○古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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