第168回国会  厚生労働委員会 第7号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、安心して子供が産める環境整備について質問をしてまいります。

 先ほども話題に出ました、本年八月、奈良県で妊娠中の女性が多数の病院に受け入れを拒否され、救急車内で死産をするという大変痛ましい事件が発生をいたしました。このような事態が、これが決して特異なケースというわけではなく、各地で散発をしていることを公明党は真剣に受けとめ、国民の生命にかかわる救急医療体制の強化を最重要課題と位置づけ、先月、救急医療対策推進本部を設置いたしまして、産科を含めた救急医療体制づくりへ、現在、精力的に調査、また視察を続けているところでございます。

 一昨日も、渡辺孝男本部長等とともに、舛添大臣に申し入れをさせていただきました。大きな柱といたしましては、全都道府県に救急中央情報センター、仮称ですけれども、設置するなど、二十四時間三百六十五日受け入れ可能な救急医療の情報提供体制整備、また、搬送体制の強化、延命率の向上、五年間で搬送時間を二十分に短縮させていきたい、また、安心、安全の周産期救急医療体制の整備、救急医療を担う人材の確保、救急蘇生法、AEDの普及啓発など、五本を柱とした、二十二項目にわたる内容でございました。

 そこで、まず初めに、救急中央情報センターの設置に関してですけれども、先日、東京消防庁にも行ってまいりました。恐らく、我が国では最も進んだセンターであるというふうに思いますけれども、二十三区内とそれから二十三区外、この二カ所で集中して情報管理をしている。要請があったときには瞬時に、ここの病院のこの科があいているという情報が提供できるという、非常にそこに集中をしてできる。地方、市町村ではなかなか難しいなという感じもいたしましたけれども、全都道府県に、二十四時間三百六十五日対応の救急中央情報センターを設置して、リアルタイムでの受け入れ表示システムを導入するなど、広域連携体制を構築すべきと考えますが、大臣、いかがでございましょうか。

○舛添国務大臣 緊急医療体制の整備につきまして、まず、公明党の皆さん方が本当に御熱心に取り組んでおられることに敬意を表したいと思います。

 やはりこれは、私も救急車のお世話になったことがある、私の子供も非常に体が弱くてしょっちゅうお世話になっている、そういう国民の観点から見て何が足りないか、これをやるのが厚生労働行政だ、そういうような考えを私は持っております。

 それで、二十四時間三百六十五日対応できる救急中央情報センターですけれども、今、四十四都道府県に設置されまして、あと残すところ三つだけであります。これは、都道府県の消防本部にも提供されておりまして、検索可能だということですから、できるだけ早く全都道府県に設置したいというふうに思っています。

 総務省の消防庁とこれは連携をとらないといけない。私自身は、千葉県を視察したときに、君津の消防署を見させていただきました。それでやはり、もうちょっとデジタル化が進めばいいな、ITをもっと活用してくれないかなというようなことがございますので、総務省と連携をとりながら、一日も早くこの体制を整備して、国民の命を救う、このシステムを整備して救われる人がふえれば、それは大変結構なことですから、そういうために全力を挙げていきたいと思います。

○古屋(範)委員 今大臣からも、国民の視点で、また国民の命を守る、これこそが厚生労働行政だという強い御決意を伺いました。ぜひとも、全都道府県での整備、一日も早くよろしくお願い申し上げます。

 次に、先月の二十九日でございますが、福岡県にある久留米大学病院に行ってまいりました。ここは、総合周産期母子医療センター、高度救急救命センターなどございまして、同センター、そしてドクターヘリなども拝見をしてまいりました。

 ここでは、平成十八年度、約三百回ヘリが飛んでおりまして、今年度はもっと多くの回数飛んでいるそうでございます。最初、平成十四年にスタートしたころは、病院間の搬送というようなことが主な仕事だったそうなんですが、現在ではもう救急の現場に行って医師がそこから患者を直接治療しながら病院に搬送する、こういうところが主流になっているということでございました。病院を挙げて救急医療に取り組んでいらっしゃる。福岡県のみならず、隣接の佐賀県、また大分の一部まで含めてこの大学が救急医療を担っているということでございました。県を越えた広域の搬送を視野に入れたドクターヘリの配備、また周産期救急医療の拡充というものも痛感したところでございます。

 そこで、初めに、このネットワーク構築の中心となりますのが総合周産期母子医療センターでございます。この整備状況についてお尋ねをいたします。

 厚生労働省は、これまで、安心して子供を産み健やかに育てる基盤として重要な、この総合周産期母子医療センターを中核としたネットワーク整備を進めていらっしゃいます。平成十六年十二月に策定された子ども・子育て応援プランでは、平成十九年度までに周産期医療ネットワークを全都道府県で整備することを目標に掲げておられます。

 年度末まで半年を切っておりますけれども、現在、この総合周産期母子医療センター、四十二都道府県、六十八施設が整備されたと伺いました。昨年よりも整備されたとはいえ、未整備の県はまだ五県。山形、岐阜、奈良、佐賀、宮崎が残されております。十九年度末までに本当にこの残り五県を整備できるのか、国民が安心できる体制を一刻も早く整備していただきたいと思いますが、この点について、いかがでしょうか。

○大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話がありましたように、周産期の医療ネットワーク事業と申しますのは、リスクの高い妊産婦や新生児などに高度の医療が適切に提供されるよう、各都道府県において、周産期医療の中核となる総合周産期母子医療センターの整備や、地域の医療施設と高次の医療施設との連携体制の確保などを目的とした事業でございます。

 今お話がありましたように、現在のところ、四十二都道府県において整備されておりまして、このうちの三県は今年度に入ってから整備されたものでございます。現在、さっき御指摘のありましたまだ未整備の県について、個別の事情をそれぞれ聴取して、その整備に向けた取り組みや、それから整備までの対応について必要な助言を行っているところでございます。

 聞いてみますと、各県には各県の個々の事情があるということも承知しているわけでありますけれども、十九年度の全県整備という目標に向けまして、各県にさらに努力を促しているところでございます。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

○古屋(範)委員 それぞれ個別の事情がある、あるからこそできないんだと思いますが、ぜひ国として指導、助言、支援をよろしくお願いいたしたいと思います。

 また、先日の委員会で、NICU、新生児集中治療室、またその後方支援の施設の整備の拡充について質問させていただきました。周産期医療の充実と申しましても、その根っこには、小児科医、産科医、また看護師などの不足、こういう大きな問題が横たわっているというふうに感じます。ここで指摘しました周産期医療ネットワーク整備がおくれている背景に、こうした医師不足というものがあるということは指摘されております。

 産科医がやめてしまう理由、それには、過酷な勤務実態、また訴訟が多い、また若い世代で増加している女性医師が結婚、出産を通してやめてしまう、このような事情があるようでございます。産科医会は、過重労働やそれに見合わない対価が、産科医やお産ができる施設の不足に拍車をかけ、それが妊婦の搬送先が見つからない一因になっていると指摘をしております。女性の産科医は、出産、育児によっておよそ三分の一が現場を離れてしまうということでございます。それを考えますと、女性医師が出産、子育てを経ても働き続けられる、こうした環境整備が非常に重要ではないかと考えます。

 私は、かねてから、小児科医、産科医の確保の観点から、女性医師の就労を支援するため、女性医師バンクの創設を提案してまいりました。この女性医師バンクは、女性医師の再就職をあっせんする機関としまして本年一月にスタートをすることができました。非常に期待をされているところでございます。

 私も五月に行ってまいりまして、ここで実際に女性医師バンクを運営していらっしゃる保坂シゲリ運営副委員長から現在の状況を伺ってまいりました。十月三十一日現在では、登録者が百十七名、また求人登録一千七十六件、このうち四十三件が、一月から今日まで就職が決まっているという大きな成果を上げているということでございます。

 しかし、コーディネーター、女性医師バンクという名前は非常に立派なんですが、実際、保坂先生がたったお一人で実質的にはコーディネートをされていまして、御自身は横浜で開業されていますので、深夜、電話連絡やらメールを打ったり、非常に大量の業務、登録から就職相談、再就職支援など、たったお一人で担っているような状況であります。

 医師の偏在による特定の地域や、小児科、産科の特定の診療科における医師不足は非常に深刻でありまして、早急に解決していかなければなりません。その一方で、出産等で一時的に現場を退いた女性医師は、やはりパートタイムなどで柔軟な働き方をしたいという希望もございます。しかし、病院勤務ということになれば、やはりフルタイムで働いてほしい、夜間もやってほしいというような希望もあるわけで、ここのマッチングというのは非常に難しいわけであります。

 女性医師の育児支援あるいは再就職しやすい環境づくりを推進するために、女性医師のためだけではなくて、我が国の医師不足の解消、子育て支援、安全、安心の医療体制整備のために、私は需要と供給のミスマッチを効率的に解消するために、女性医師バンクの強化が必要であると考えます。

 このコーディネーターを予算として、増員の予算をぜひ確保していきたいと考えておりますけれども、この点に関しまして、大臣、いかがでございましょうか。

○舛添国務大臣 医師不足、そして特に産科、小児科における女性医師の比率が非常にふえている、御本人が出産、子育てということで一時職を離れられる、そこからくる問題という、これはもう古屋委員と私は全く問題意識を一にしておりますし、女性医師バンクの設立に当たりましても、古屋委員初め公明党の皆さんが大変すばらしい提案をしていただきまして、本当にありがとうございました。

 ただ、今おっしゃられたようなミスマッチがある。実は、求職登録者は全体で二百二十九人いるんですが、四十三人というのは、ことしの十カ月ぐらいでできたというのは非常に結構だと思いますけれども、もっとふやしたいなと。ただ、今おっしゃったようないろいろな要望と病院側のニーズとが合わないということですから、ことしの五月に緊急医師確保対策を政府・与党で組みましたので、これを一つのてこにしまして、来年度は相談体制を拡充するように全力を挙げて、予算獲得を含めて頑張りたいと思いますので、またいろいろ御支援を賜りたいと思います。

○古屋(範)委員 ぜひ女性医師への強力な支援、大臣を先頭にお願いしたいというふうに思います。

 さらに、私も先日、文京区内にある順天堂大学の院内保育所にも足を運びました。太田代表とともに参りましたのですが、ここの病院では、女性医師、また看護師の、ちょうどそのときは十二名の乳幼児が預けられていまして、開設三十年という歴史のある保育所でございました。しかし、都内でもなかなかこうした院内保育所という施設は少ないわけであります。太田代表も、若い世代、働く女性にはこういう施設が必要だ、女性医療関係者が働き続けられる環境づくりに全力を挙げていこうというふうに申しております。こうした深刻な医師不足問題に重要なかぎを握る女性医師の働く環境の整備に総力をさらに挙げていかなければいけないと感じたところでございます。

 そこで、医師、看護師、また女性医療スタッフの就労支援のために、院内保育所の整備、勤務時間の調整への支援を強化すべきと考えます。東京都医師会の先生方にもお伺いしましたが、民間病院は、この院内保育所の大切さはわかっていても、やはり人件費の高騰等、経営の厳しさからなかなか開設ができないというお声も伺っております。

 厚労省、この取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○外口政府参考人 緊急医師確保対策におきましても、それから女性医師を初めとする女性の医療関係者の働きやすい環境づくりということにいたしましても、この院内保育所の整備は大変重要でございます。それで、平成二十年度予算におきましても、予算の増額はもとより、補助要件の緩和等も含めて充実強化を今お願いしているところでございます。

 また、院内保育所以外につきましても、女性医師の支援対策としては、医師の交代勤務制等の導入の支援でございますとか、それから先ほど御議論いただきました女性医師バンクの体制強化の問題、それに加えて、また、女性医師の方のキャリアを中断することなく柔軟な勤務体制が可能となるような、こういった短時間正社員制度の周知、これも進めていきたいと考えております。

 今後とも、女性医師、看護師を初めとした女性の医療従事者の方々が安心して就業できるよう、きめ細かく対応していきたいと考えております。

○古屋(範)委員 厚労省におかれましても、こうした院内保育所の増設など、さまざまな取り組みをされているということでございますが、地方においても非常に深刻であり、都内はいいかといいますと、やはり都内も産科医が不足し、一軒の病院が産科を閉鎖する、そうすると、その隣接の病院にまた荷重がかかり、ドミノ現象で非常に厳しいというような意見も伺っているところでございます。

 次に、助産所との連携についてお伺いをしてまいります。

 現在、産科医の医師不足というものは非常に深刻であるわけなんですが、分娩を取り扱う施設も減少していることが指摘をされております。昨日発表されました読売新聞の調査でも、昨年四月以降、出産の取り扱いを休止した病院が全国で少なくとも百二十七カ所である、出産を扱う病院がこの一年半で約一割減っているということがわかりました。

 こうした現状を考えますと、産科の人材確保の観点からも、助産所のさらなる活用を進めていかなければいけないのではないか、このように考えます。

 私の住んでおります横須賀市におきましては、市民病院と助産師、ここが連携をしていかなければいけないということで、市が、行政が積極的にかかわっていきまして、今、市民病院には助産師外来が開設をし、市の支援によりまして助産師の人材バンクなども創設をされております。地域で安心して出産ができるよう、役割分担と連携で助産所の分娩が推進をされれば、産科の負担も多少減るのではないかということでございます。

 先月発表されましたNICUの全国調査を見ますと、助産所のネットワークの組み入れでは、十六自治体で助産所がネットワークに入っているということが明らかになっております。今後、助産所や助産師外来の開設を推進して、正常分娩における助産師のかかわりを強化すべきと考えます。この点に関しまして、いかがでしょうか。

 また、もう一つ。先日、日本助産師会との懇談の折に、開業助産師が引き続き安心して業務が継続できるよう、医療法第十九条に規定をされています産科嘱託医師、嘱託医療機関が確実に確保できるようにと要望を伺っております。

 医療法第十九条の改正で、開業助産所では出産の安全性が確保されるよう定められまして、来年の四月までに嘱託医療機関を確保することとなりました。助産師会の調査によりますと、これまで、助産師個人の自主的な努力によりまして約八割が確保された、全国的にもう一歩、国としても後押しをしていただきたい、このような声を伺っております。

 そこで、周産期医療ネットワークに組み込まれている助産所につきましては、嘱託医療機関を確保できたものとみなしてもいいのではないかというふうに考えますけれども、この点についていかがでございましょうか。厚労省の御見解をお伺いいたします。

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

○外口政府参考人 助産師外来等の推進によって助産師の活用を図ることは、限られた医療資源のもとで安全、安心なお産ができる体制を確保するために大変重要だと考えております。

 本年五月の緊急医師確保対策も受けて、平成二十年度の予算の概算要求でも、院内助産所や助産師外来の整備の促進や、これらに携わる医師や助産師を対象とした研修事業を新たに盛り込むなど、助産師の活用についての支援を進めているところであります。

 また、嘱託医療機関を確保できていない助産所に関する今後の取り組みでございますけれども、これは、今後必要になってくるのは、それぞれの個別事情を勘案した上での対応になってくるかと思いますので、この点については、都道府県に対しても、嘱託医療機関の確保が着実に進むよう指導を要請して、進めていきたいと思います。

 それから、御提案の、周産期医療ネットワークを構成しているときは要件緩和という観点でどうかという御指摘でございますけれども、やはり、嘱託医療機関にとって必要不可欠な日ごろからの連携関係というものもございますので、周産期医療ネットワークを構成しているだけではちょっと無理があるのかなと思います。
 ただし、例えば要件緩和という観点から見れば、周産期医療対策協議会の場を活用するなどして、都道府県の支援のもとで、助産所が嘱託医療機関として特定の複数の医療機関を確保するといった方策については、これは有効ではないかと考えておりますので、そういった点も含めて、今後、嘱託医療機関の確保が着実に進むよう一層取り組みを強化していきたいと考えております。

○古屋(範)委員 さらに、たらい回しの原因として、飛び込み出産というケースが非常にふえているということでございます。かかりつけ医がない、要するに妊婦が健診を受けていない方がふえているということでございます。

 今回の調査によりますと、無料の妊産婦健診を行っている回数、全国平均二・八回ということでございます。五回を目指そうということでございましたけれども、まだまだそこに至っておりません。

 この妊産婦健診につきまして、各自治体に運用が任されているわけですが、この中で、国としても、自分自身が住んでいる市町村を離れて、里帰りなどで他の自治体で健診を受ける場合にも、ぜひ公費助成が受けられるよう医師会また自治体へ働きかけて、自治体が取り組みやすいインセンティブを与えるなど工夫が必要かと思います。全国どこにいても安心して出産できる体制の整備に取り組んでいただきたいと思います。

 また、将来、望ましい健診回数十四回を確保できるよう、妊婦健診の支援を拡充すべきと考えますが、大臣、いかがでございましょうか。

○舛添国務大臣 奈良県のたらい回しされた妊婦さんのように、一度も健診を受けていなかった、それで恐らく救急隊員の方もすぐ対応できなかったというのはあると思いますから、おっしゃるように、最低五回やるとこれは基本的な線はいけるということなので、そうするように、今年度、十九年度予算措置を地方財政上とってありますので、これはぜひ各都道府県、きちんとやっていただきたい。

 それで、秋田県なんかは十回、これは知事さんのリーダーシップでやっているんですね。それから、市町村によっては十四回やっているところもあるというのをお伺いいたしました。

 ですから、少し市町村、地方自治体のレベルで頑張っていただくということとともに、今おっしゃられた、里帰りで可能なためには、後払いという、償還払いのことができればいいので、現物給付だとなかなかこれはできませんから、そういうことも含めて、きめの細かいサービスを各自治体でやっていただくように今後とも促していきたいというふうに思います。

○古屋(範)委員 ぜひ妊産婦健診の無料化を国としても後押ししていただきたい、このことをお願い申し上げます。

 最後になります。乳幼児突然死症候群、SIDSへの取り組みについてお伺いをいたします。

 このSIDSとは、元気な赤ちゃんが突然死亡するという、サドン・インファント・デス・シンドロームという病気でございますが、公明党としても、この予防キャンペーンを全面的にバックアップし、進めてまいりました。
 日本でその発症頻度はおよそ出生四千人に一人と推計をされておりまして、生後二カ月から六カ月に多いとされております。厚労省においても、二〇一〇年までにこの死亡率を半減することを目標に掲げて、十一月を対策強化月間とされています。

 このSIDSが、保育園等の預け始めに際立って多発している。昨年六月、横浜市内で行われたSIDS国際学会でそのことが報告をされています。国として注意を喚起すればこの発生の頻度を低下することができるのではないか、この調査を早急に行うべきと考えます。

 また、もう一つですが、無認可保育施設など、保育ママ、ファミリー・サポート・センターなど、こうしたボランティア保育の現場で子供がSIDSなどの病気で亡くなった場合、今は何の補償もないわけでございます。この事故発生時の保険、共済制度などの創設が必要と考えますが、この点、厚労省のお考えをお伺いいたします。

○大谷政府参考人 乳幼児突然死症候群であります。今、SIDSというふうにおっしゃったわけですが、これは何の前ぶれもなく乳幼児に突然の死をもたらす病気のことで、その発症原因はいまだ不明であるとされておりますが、その予防が大変重要であるとされているところでございます。

 今、発症率についても、死亡率についても御指摘ございましたけれども、この死亡率、平成十二年には人口十万対で二十六・六でありましたものが、平成十七年には十万対について十六・四というふうに低下をしてきているところでございます。

 これは、うつ伏せに寝かせる、あるいは母乳によらない保育をする、あるいは保護者等の習慣的喫煙、こういった育児環境がこの発症のリスクを高めるという研究結果を受けまして、一つは、母子健康手帳へのSIDSに関する情報の掲載をする、二つとして、この十一月でございますが、SIDS対策強化月間を設定して、ポスターやリーフレットによる予防キャンペーンの実施、これらによりまして、自治体や保育所等の関係機関を通じて広く普及啓発に努めてきたということも一定の効果を上げたのではないかと考えているところでございます。

 さらに、その調査というお話がございましたけれども、平成十八年度の厚生労働科学研究におきまして、SIDSの診断基準を見直しまして、診断のための手引を作成し、現在、自治体、医療従事者など関係者への普及を図るとともに、引き続きその原因究明等に関する調査研究を実施しているところであります。

 また、認可外保育所についてのお尋ねがございましたが、認可外保育所におけるSIDS発生の予防対策につきましては、これは保育所保育指針というものを認可外の保育施設でも踏まえていただくというように現在周知しているところでありまして、引き続きその対策について徹底してまいりたいと考えます。

 それから最後に、SIDSが発生した場合の補償でございます。

 これは、現在は、各施設が任意で加入しております民間保険会社の保険により対応いただいているということでございます。これを新たな、例えば強制的な補償制度、こういったことの創設につきましては、その財源や給付の範囲をどう考えるかであるとか、既に民間保険会社に保険加入が相当程度普及している、こういったこともありまして、さまざまな検討課題がまだあるのではないかというふうに考えるわけでございます。

 厚生労働省としましては、第一義的にはこの発生の予防に努めることでありますけれども、万が一発生した場合について、保険に加入するよう関係者に促進してまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 安全、安心な出産、この体制整備を強く求めまして、質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

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