第168回国会  青少年問題に関する特別委員会 第2号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 このたび、上川大臣、御就任大変おめでとうございます。少子高齢社会への対応策が待ったなしで待たれる中、重責を担われたこと、心からエールを送りたいと思っております。働きながらお二人のお子さんを育てたその経験も踏まえ、諸課題に当たっていかれることを期待しております。

 さて、私たち公明党は、一昨年一月に少子社会総合対策本部を発足させまして、昨年四月、少子社会トータルプランを取りまとめました。その二つの柱の一つは、生活を犠牲にしない働き方への転換でございます。この少子化に歯どめをかける総合的な施策として、目標も明確にしたところでございます。現在、それをもとに、仕事と生活の調和推進基本法という立法を検討しているところでございます。

 政府におかれましても、子どもと家族を応援する日本重点戦略会議におきまして、働き方の改革によるワーク・ライフ・バランスの実現のために、ワーク・ライフ・バランス憲章の策定、また、「働き方を変える、日本を変える行動指針」の策定など、働き方の改革を最優先課題として取り組んでいられることと思います。

 そこで、まず初めに大臣に、この検討状況の発表の予定、そしてどのような社会を目指していかれるか、そのことにつきましてお伺いをいたします。

○上川国務大臣 少子化の問題については、我が国の社会の一番の基本をなす将来を担う若い世代の問題ということで、大変大事なものであるというふうに認識しております。

 少子社会トータルプランということで、今御指摘いただきました働き方の改革ということについて公明党さんの方でも御議論いただいているということで、大変力強く思っているところでございます。

 政府におきましては、ことし、骨太の方針、経済財政改革の基本方針二〇〇七というところで、本年内をめどに策定することということで、ワーク・ライフ・バランス憲章、これはまだ仮称ということでございますが、そして同時に、「働き方を変える、日本を変える行動指針」、これも仮称でございますが、これを年内をめどにということで、策定のための精力的な検討をしているところでございます。

 本年七月にワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議を設けまして、そして、ここの場におきまして、学識経験者や労使の代表の皆様から成る「働き方を変える、日本を変える行動指針」策定作業部会を設け、そしてこの憲章及び行動指針についての具体化に向けての検討を進めていただいているところでございます。

 私自身、このワーク・ライフ・バランスの実現によって目指す社会ということでの御指摘でございますが、この作業部会においてのさまざまな専門家の皆様の視点、また、将来のあるべき日本の社会のあり方等も含め、経済のあり方、そして社会保障のあり方、いろいろな角度から御議論をいただいているということでございますので、その作業部会の検討結果をしっかりと待っていきたいと思いますが、同時に、私としては、国民のお一人お一人が、御自分の能力や、また個性、あるいは生き方というものを自分自身で切り開いていくことが可能な社会づくりという意味では大変大事だと思いますし、そうしたことが実現できた社会というのは、多様な社会という意味で、大変活力に富んだものになろうかというふうに思っておりますので、そういうイメージを大事にしながら検討を進めてまいりたいというふうに思います。

○古屋(範)委員 私も大臣と共通認識を持っております。ぜひリーダーシップを発揮されて、我が国におけるワーク・ライフ・バランスの確立に努められることを期待しているところでございます。

 次に、働き方改革の中で重要なこと、これは、何といってもやはり労働時間を短くしていくことだというふうに思います。

 厚生労働省の集計によりますと、子育て期にある三十代男性約四人に一人が週六十時間以上長時間労働をしている。男性が家事や育児にかける時間、他の先進諸国と比較しても大変低いレベルにございます。父親が子供と接する時間が少ない、これは子供にとってもよくないことでございます。ましてや母親にとっても子育ての負担がさらに増すということであります。

 私は、男性の育児休暇取得を進めたいと考えております。男性が育児休業を必ず何日か取得できる父親割り当て制、パパクオータ、北欧などでは既に根づいている制度でございますけれども、このような検討も進めているところであります。男性を含む働き方の見直しを柱の一つに加えて、男性の育児休業の取得に力を入れている子ども・子育て応援プランにある十年後に男性の育児休業一〇%という目標達成、また男性の育児参加が普通と思える企業風土をつくっていくためにも、日本には日本に合った制度の見直しを考えるべきと考えます。

 そこで、提案なんですが、例えば、お父さんの育児の日、月間を設定する、あるいは、配偶者出産の際まとまった休暇を取得できるあるいは普及、定着、あるいは、父親が育児をしながら仕事ができるよう、仕事と家庭の両立のための基礎情報などを盛り込んだ働く父親ハンドブックなども配布してはどうかというふうに考えております。男性の仕事と子育ての両立に対する意識を国全体として高めていく、例えば、働く父親の子育て支援キャンペーンなどもぜひ内閣府が先頭に立って進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。

○上川国務大臣 委員御指摘いただきました男性の働き方の見直しというのは、ワーク・ライフ・バランスの中でも大変大きなかぎになるというふうに私も思っております。一つの指標として御指摘いただきました育児休業制度の利用率というのについては大変男性は低い、大変というか、本当にほとんどとっていないという状況でございますので、一〇%目標ということについても、厳しいものはあろうかと思いますが、それに向けて風土をつくっていく、あるいは制度の中で応援をしていくようなきめ細かな制度をつくっていくということは大いに、先ほど御指摘いただいた提案も含めて検討をしていくべきことであるし、また、実践していくべきであるというふうに思っております。

 男性が育児休業の制度を取得できない理由は何なのかということをしっかりと把握していないとその制度の有効性ということについても議論が進まないわけでございますが、先ほどの御指摘の中にもありましたが、やはり育児休業制度をとるということに対しての職場のなかなかとりにくい雰囲気とか、こういう問題がございますし、また、法制度について意外に浸透していないということも各種調査でも明らかになっていることでございますので、こういう意味で全体として制度の知識をしっかり持っていただいて、そして、そのための企業全体での取り組みということについての壁を一つずつとっていくことが大事であろうというふうに思っております。

 十八年度から、内閣府におきましては、官民一体子育て支援推進運動ということで、全国各地で働き方の改革をテーマとしてシンポジウムを開催いたしているところでございますが、また、十九年度からは厚生労働省の予算として、子育てパパ応援事業ということで、地域ぐるみで父親の育児参加を推進することによって、父親に対しまして子育ての喜びや大切さを、先ほど六十時間以上という大変大きな労働時間の中ではなかなか思っていても時間がとれないということでありますが、率先してとっていただきながら、実は子育てをしていく喜びを感じていき、また生きがいを持って働いていただく、そういう意味での調和ということが大切ではないかというふうに思っておりますので、こうした啓蒙活動につきましても精力的に取り組んでまいりたいというふうに思います。

 それにしても、ワーク・ライフ・バランスの憲章と行動指針ということについては国民全体挙げての取り組みということでありますので、それぞれ、企業のお立場、また働く側の立場、また男性の立場、女性の立場、またおじいちゃん、おばあちゃんの立場、また地域の違いによってということもございますので、そういったことについてより深い現実を見ながら、厚みのある施策の実現に取り組んでまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 ぜひ男性の育児参加の強力な推進、よろしくお願い申し上げます。

 次に、特別支援教育につきまして、池坊副大臣にお伺いしてまいります。

 学習障害あるいは注意欠陥多動性障害、高機能自閉症など、障害のある一人一人の児童生徒たちへの適切な指導を行う特別支援教育、平成十五年から都道府県のモデル事業として実施体制が進められ、本年四月から本格的なスタートをいたしました。公明党は、特別支援教育の理解の支援を広げるためにも、今まで党の女性委員会としても多くの活動に取り組んでまいりました。その中で発達障害者支援法というものが成立をしてきたわけでございます。

 このほど、私のプロジェクトチームにおきましても、九月に国立特殊教育総合研究所の藤井茂樹研究員をお呼びいたしまして、地域、市町村におけます発達障害支援システムの構築について学んだところでございます。これについての支援法ができ、そして、いよいよ市町村での支援体制の確立が大きな課題でございます。藤井先生がつくられた甲西町の、後に合併をして湖南市という名前になりましたけれども、発達障害支援システム。就学前は福祉行政になります。そして、就学してからは教育委員会、そして就労あるいは障害者福祉、こうした行政の間でのすき間、ばらばらなところを埋めながら、長期にわたって人生を考え、一人の人を支援していこうというネットワーク、ある意味予算もかけず人手もかけず、今いる子供たちが次のステージへ進む、それを見通しながら、最後には就労まで支援をしていくシステムをつくられました。

 全国の自治体の支援のシステム構築、これからでございますが、私もしっかりとこれを地方議員さんとも連携しながらつくっていきたいと考えております。

 そこで、特別支援教育は、これまでの特殊教育に比べて一人一人の教育的ニーズを重視したものとなっております。現実に学校現場教育で実施するとなるとさまざまな難問がございます。特別支援を全自治体が格差なく、首都圏においても過疎地においても格差なく実施するために、自治体任せでなく、やはり国も協力しながら進めていく必要があると考えます。その意味で特別支援教育体制推進事業は、国から各都道府県に対する委託事業として、地方格差なく実現することを可能にする、その体制へとつながっております。平成十五年度からの事業、年度を重ねるごとにその対象も次第に充実をしてきている、いわば下地づくりをしてきた事業でございます。

 文科省の平成十八年度幼稚園、小学校、中学校、高校におけるLD、ADHD、高機能自閉症のある幼児児童生徒への教育支援体制整備状況調査によりますと、平成十六年度以降、小中学校では毎年度項目が上昇しまして、校内委員会の設置、また特別支援教育コーディネーターの指名など、小中学校とも九〇%以上も達成をしているという効果があらわれております。

 このたび、私たち公明党としても、財務省に対して、発達障害支援モデル事業への支援強化など、乳幼児期から就労に至るまで一貫した推進事業の拡充など申し入れをいたしました。文科省におかれましては、来年度予算においてこの特別支援教育体制推進事業内容を基本的に継承して、さらにその先、拡充した事業の予算を要望されています。モデル事業の成果もあらわれていまして、事業の継続という声が全国から寄せられております。この予算を何としても確保したいと考えますが、副大臣の御所見をお伺いいたします。

○池坊副大臣 古屋委員を中心として、私どもはさまざまな角度から熱心に勉強会を続けてまいりました。一生涯を通じて支援するには行政における横断的な取り組みが必要かと思います。

 今おっしゃいましたように、文部科学省としては、発達障害を含むすべての障害のある幼児児童生徒に対して、一人一人のニーズに応じたきめ細やかな教育を行うことが最も重要だと認識しておりまして、昨年の六月の学校教育法改正によって本年を特別支援教育元年と呼んで、特に力を入れております。中でも、平成十五年から実施しております特別支援教育体制推進事業を通じて、今、古屋委員がおっしゃいましたように、特別支援教育コーディネーターなどを小中学校などに置いて支援体制の整備を図っております。

 市町村においては、教育だけでなくて、福祉、雇用、一生涯ですから、就労までやはり力を入れていかなければなりませんので、地域連携協議会を設置しております。

 今おっしゃいましたように、調査によりますと、小中学校では校内委員会とか特別支援教育コーディネーターなどはきちんとできているんですが、もっときめ細やかなことが必要なんじゃないか。それはやはり教員の研修だとか、専門家チーム、あるいは個別の指導計画、個別の教育支援計画というものが必要かというふうに思っております。それらの課題を私どもは踏まえまして、平成二十年度には、発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業というのをさらに強化し継続していくために、今までは、今年度は一・九億でした、概算要求では十三・九億なんです。これは本当に皆様方のお力をいただかないとゲットできないというふうに思っております。

 このような事業を通じて十分にその成果を踏まえるために、厚生労働省などの関係機関との連携において、ライフステージに応じた一貫した支援を行う市町村をグランドモデル地域として指定することを考えております。これは必ず成果を上げることができると思いますので、皆様方のお力もいただきたいと思います。

○古屋(範)委員 この発達障害児に関しましては早期発見が必要でございます。全国からも希望が来ておりますけれども、乳幼児健診、一歳六カ月、三歳児健診、その精度の向上、それから、ぜひ新たに五歳児健診も入れてほしいという要望が来ております。これにつきまして伊藤政務官に御所見をお伺いいたします。

○伊藤大臣政務官 委員御存じのとおり、発達障害児の早期発見、早期支援のためには、一歳六カ月児健診及び三歳児健診など、母子保健法に基づき市町村が実施する乳幼児健康診断において、乳幼児の精神及び言語の発達や行動などの問題を早期に発見し、その後の保健医療従事者による経過観察、発達相談及び指導等を適切に実施することが重要でございます。

 こうしたことから、厚生労働科学研究において、発達障害児の早期発見、支援に関する検討を行っておりまして、今後、保健医療従事者向けのマニュアルの作成、研修会の開催などを通じ、各自治体において適切な取り組みが行われるよう、支援をしてまいりたいと考えております。

 なお、御指摘の五歳児健診については、三歳児健診の時点では発見困難な発達障害児の早期支援のため、五歳ごろに健診を行うことの意義を指摘する研究などもなされておりますことから、五歳児健診の必要性も含め、発達障害児の地域支援体制の充実のあり方について引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 この五歳児健診につきまして、文科省では既に本年度、新たに十七地域を指定して、発達障害早期総合支援モデル事業を実施されています。文科省は、来年、さらにこの事業を二十地域に拡大しようということで、本年度の倍額の予算要求をされています。この実施につきまして、最後に副大臣の御決意を伺いたいと思います。

○池坊副大臣 きっと古屋委員の全面的に協力するというバックアップの御質問ではないかと思っております。

 十七地域、今五千万の予算をとってやっておりますのは、これは、モデルをいろいろなところに発信するということは大変重要でございまして、いろいろな地区においては、わかっている、発達障害はアーリー、アーリーなんだ、だけれども、どういうふうに手だてをしたらいいかわからないというところがいっぱいございます。これからも継続し、そして強化していくためには、私ども、一億二千万、これは二十地域というふうに思っております、もっともっとしたいぐらいでございますので、皆様方と連携をとりながら、発達障害児のために頑張ってまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 発達障害児へのさらなる支援を求めまして、質問を終わりにいたします。

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