第169回国会 予算委員会第六分科会 第1号

○古屋(範)分科員 公明党の古屋範子でございます。

 昨年の十二月、鳥獣被害防止特措法が成立をいたしまして、先週、二月二十一日に施行となりました。そこで、本日は、鳥獣被害防止への取り組みにつきまして若林大臣にお伺いしてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

 イノシシ、シカ、またカラスや猿など、こうした野生生物による被害は全国的に深刻なものとなっております。また、農山漁村地域における一部の鳥獣による人身への被害も広がっているのが現状でございます。農水省の調査によりますと、平成十八年度の農作物に対する被害、その被害面積が十・六万ヘクタール、被害総額約百九十六億円となっておりまして、近年、被害総額は横ばい傾向で推移しております。被害額は自己申告が中心となっておりますので、あきらめて申告しないという方々も多いのではないかと思います。この被害額は、やはり氷山の一角ではないかという気がいたしております。

 特に、農産物に対する被害は、農業に携わる方々の農業を続けようとする意欲を、精魂込めてつくりました農作物、本当に、こうした鳥獣被害に遭ってしまうということは、そうした意欲をそぐものとも思われます。それが、ひいては耕作放棄など、さらなる鳥獣被害を招く悪循環を生じさせるなど、被害額として表にあらわれない、数字以上の影響を地域に及ぼしていると考えられます。

 そこで、初めにお伺いいたしますが、このような野生鳥獣によります農作物被害の現状についての御感想、そして被害が拡大をしている要因、これは大臣、どのようにお考えになりますでしょうか。

○若林国務大臣 委員が御指摘のように、有害鳥獣による農作物に対する被害というものは、中山間地域を中心に近年、拡大をし、深刻化しておりまして、被害額は委員が今お話しのとおりおおむね二百億円程度で推移しているところでございます。このような被害は、数字にあらわれた被害以外に、委員がお話しのように収穫時に被害を受けることにより生産意欲に大変ダメージを与えるというようなことがございます。

 そういうような被害が拡大してきた原因としては、幾つか考えられますが、一つは、近年、雪が少なくなってきているというような傾向がありまして、鳥獣の生息適地が拡大しているということが指摘されております。また、農山漁村の過疎化、高齢化の進行によりまして、耕作放棄地が増加してきているといったような要因が複合的に関係しているというふうに考えられるわけであります。

 また、この耕作放棄地の発生について言いますと、悪循環を起こしまして、先ほどの中山間地における営農意欲の減少というようなことから、耕作意欲が衰えて、耕作を放棄する、放棄したところがこういう鳥獣の巣になっていくというようなことで、そこからまた鳥獣被害が拡大してくるといったような悪循環が見られるところでございます。

 このために、この被害防止対策の実施に当たっては、こういう鳥獣による被害の状況、鳥獣の生息状況等の的確な把握や被害の原因分析を行って、取り組むべき課題を明らかにしなければいけないと思っております。

 そこで、この法律に基づきまして、鳥獣による農林水産業に係る被害の防止のための施策を実施するため、基本的な指針というものを農林省の告示で定めたところでございますが、その告示の中では、被害防止対策の実施についての基本的な事項という中に被害原因の究明という事項を入れておりまして、被害防止対策の実施に当たっては、鳥獣による農林水産業に係る被害の原因を分析して、取り組むための課題を明らかにすることが重要だと。このためには、国、都道府県は、鳥獣の生息状況や生息環境に関する調査、あるいはまた鳥獣による農林水産業等に係る被害に関する調査の結果を踏まえながら、被害の原因を究明するための取り組みを推進しなきゃいけないということを定め、告示したところでございます。

○古屋(範)分科員 ありがとうございました。

 そうした雪が少なくなるというような環境的な要因、そして過疎化、こうした人的な要因、こういうものが相まってこうした鳥獣被害が拡大していくという大臣のお話でございました。それに対しまして、本法案に基づき、基本的事項の中で被害防止の原因究明をしっかりなされていくという御決意を今お伺いできたかというふうに思っております。

 次に、アライグマ被害についてお伺いをしてまいります。

 昨年、本分科会におきましても、私、このアライグマ被害について、当時環境大臣でいらっしゃいました若林大臣に同じテーマで質問させていただきました。野生化したアライグマは今、爆発的な勢いで全国に拡大をしております。

 もとはといえば、鎌倉には富裕層が多く、そこでアライグマを飼っていて、大きくなりますと力も強く非常にどうもうであることから、そこから放してしまってふえていったのではないかということも言われているわけなんですが、このアライグマを捕獲したことがある都道府県は、平成五年には東京、北海道、愛知など五都道府県にとどまっておりましたけれども、十年後、平成十五年には四十一都道府県に広がっている。その後もふえ続けておりまして、現在は全都道府県で確認をされております。

 一見しますと、非常にかわいく、アニメの主人公にもなったくらいなんですが、実際には非常に大きな被害をもたらしているということでございます。私の地元神奈川県におきましても、平成十二年には二百十七頭だった捕獲数が、年々ふえ続けまして、十八年には一千五百十八頭に、そして、県内でも集中している横須賀・三浦地区では、十八年度に千三十一頭を捕獲しております。

 さらに、アライグマによる全国的な農業被害の状況を見ますと、平成十八年度にも拡大し、十六都道府県で約一億六千四百万円に上っているということが農水省の調査で明らかとなっております。

 関東で最も被害が深刻なのは、やはり神奈川県でございます。県では、関東で一番早い一昨年、十八年三月に、神奈川県アライグマ防除実施計画を策定いたしました。現在県内に約四千頭いると推測されているアライグマを十年間で完全駆除する計画を立てております。神奈川県の被害総額は千六十一万円。また、被害の申告があったのは、三浦市で八百二十万円、横須賀市で百三十万円を中心といたしまして、横浜、鎌倉、平塚、小田原、愛川、二宮、葉山の九市町村に上っております。

 アライグマの体内には、人や家畜に深刻な感染症を起こす病原体は見つかっておりません。しかし、木登りや民家に侵入するなど行動範囲が広く、病原体の運び役になって新しい感染症を引き起こす可能性があることが専門家から指摘をされております。アライグマの完全駆除は待ったなしでございます。

 これまで、各自治体でもアライグマ被害防止、駆除対策に取り組んでいるものと思いますけれども、全国的な被害の拡大の原因、さらに、アライグマの生息域拡大の原因についてお答えいただきたいと思います。

○内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、十八年度にはアライグマによる農産物被害は全国で約一億六千万円、これは、平成十四年度と比較しまして約二倍というふうに拡大しております。

 このようにアライグマの被害が広がっているのは、私ども、ペットとして輸入、飼育されていたものが逃亡して野生化し、高い繁殖能力と日本の生育環境に合っていたということがあって、生育域が拡大したためと考えております。

○古屋(範)分科員 そうしたペットを飼う、動物愛護の精神とも密接にかかわりがあって、一度飼ったならば最後まで飼い続けなければいけない、こうした飼い主のモラルにかかっているということでございます。それが皮肉にも日本の環境に非常に適していたということでここまで広がったものと思います。

 そこで、生息域の拡大が懸念をされていまして、広域に分布して被害を及ぼすアライグマなど、環境省は平成十七年度より外来生物の防除事業を実施されています。私は、この外来生物の防除に対する補助金や交付金等の財政支援をすべきと昨年の分科会で主張したところでございますが、そのときは、国として、都道府県、市町村が行うこの外来生物の駆除に対しては、補助金、交付金等の財政措置はないという冷たいお答えでございました。

 昨年の臨時国会におきまして、農作物被害の防止に必要な財政支援が国から地方に実施される、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律、鳥獣被害防止特措法が成立いたしまして、野生鳥獣による農作物への被害防止策が財政支援も伴って実施されることとなったわけでございます。公明党も、農山漁村の暮らしを守るとともに、人間と動物が共生できる自然環境を整備する観点から、特措法の制定に積極的に取り組んでまいりましたので、超党派で特措法が提案され成立したということは大いに評価をしたいと考えております。

 また、被害対策に対して従来なかった法律ができまして、大幅に予算が拡充されることとなり、これまで農作物被害に苦しんでいた農家の方々からも、被害防止に厳しい財政状況の中、対応してきた県、市町村の関係の方々からも、ようやくという思いで喜びの声もいただいているところでございます。

 そこで、この法律の特徴と、この特措法で何ができるのか、また鳥獣被害防止への効果についてどのようにお考えか、この点についてお伺いいたします。

○内藤政府参考人 議員立法で成立させていただきました鳥獣被害防止特措法は、特徴といたしましては、農林水産業の被害対策の中心となる市町村が主体的に対策に取り組めるように仕組んであるということでございます。

 まず、農林水産大臣が策定いたします被害防止対策の基本指針に即して市町村が被害防止計画を作成する。そして、この被害防止計画を作成した市町村に対しまして、国等が財政上の措置等各種の支援措置を講ずるという内容になっているわけでございます。

 この財政上の措置を申し上げますと、まず、市町村が被害防止計画に基づいて施策を実施する際に必要な経費についての特別交付税措置が拡充されまして、五割から八割にかさ上げになるということ、それから補助事業による支援措置、私どもの予算措置を大幅に拡充いたしまして、これに充てるということにしてございます。

○古屋(範)分科員 国の基本指針に基づきまして市町村が被害防止計画を立て、それに対して特別交付税、これも五割から八割にかさ上げということで、市町村にとりましては大変ありがたいというふうに考えられるところでございます。市町村にとっても財政的に負担にもなっておりましたし、また業者の確保なども非常に苦労をしているようでございます。

 この鳥獣被害防止特措法は、農業などの被害防止を目的にいたしました法律でございます。農水省は、鳥獣対策室を設置予定、また鳥獣被害対策の予算案も前年度の十五倍、二十八億円を計上されるなど、鳥獣被害対策が大きく前進することが期待をされているところでございます。

 私の住んでおります横須賀市、また隣の三浦市など、さきにも申しましたけれども、このアライグマによる農作物被害が非常に大きいわけでございまして、平成十八年度、十六都道府県で約一億六千四百万円に上っているということもあり、この特措法が有効に活用されるよう積極的な取り組みをお願いしたいと考えております。

 そこで、効率的な対策を進めるために、市町村間の連携による広域的な取り組みが必要でございます。当然、こうしたアライグマも、市町村の境を越えて行き来をしているわけでございます。また、この市町村間の取り組みに温度差があれば、結局はそちらに逃げてしまうという、アライグマを野外から排除できた市町村とできない市町村が生じますと、再び繁殖が繰り返されるということにもなりかねません。やはり、一網打尽に駆除をしていくということが大事なんだろうと思います。

 そこで、今回の特措法では、被害防止計画を定めた市町村に対して被害防止施策を推進するための必要な措置が講じられることとなっております。先ほども触れられておりますけれども、さらにその具体的な措置等々、御説明いただければと思います。

○内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど特別交付税のかさ上げのお話をしましたけれども、予算といたしましては、農林水産省におきまして、委員御指摘のように、予算額を二十八億円に大幅に拡充しまして、そして被害防止計画に基づき市町村が対策を講ずる場合、具体的には、アライグマ等野生鳥獣を捕獲するための箱わなの導入、あるいは防護さくの設置、それから市町村職員等が狩猟免許講習会へ参加する、こういった取り組みをするわけでございますが、こういった取り組みに対しまして総合的に支援することとしております。

 今後とも、関係省庁とも連携しつつ、対策の着実な実施に努めてまいりたいと考えております。

 それからあと、地方公共団体相互の広域的な連携が重要ではないかという御指摘がございましたが、大臣からも冒頭御説明しましたように、私どもがこのたびつくりました基本的な指針の中で、地方公共団体の広域的な連携が重要であるということで、各地方公共団体が相互に連携協力して被害防止対策を実施するようにということを明記してございます。

 以上でございます。

○古屋(範)分科員 この総額二十八億の予算、ぜひ有効に活用していただきたいというふうに思います。また、先ほど申しましたように、広域連携というのが非常に大事だと思っておりますので、ぜひその辺も音頭取りをしていただいて、推進をよろしくお願いしたいというふうに考えております。

 さらに、先ほどの御答弁とも少し重なりますけれども、市においてはこうした駆除を積極的にやればやるほど負担がふえてしまうという悩みがございます。実際、市町村の財政を圧迫しているのが現状でございます。それに対する手厚い財政支援というのが求められているわけであります。

 今回の特措法第八条には、財政上の措置といたしまして、「国及び都道府県は、市町村が行う被害防止計画に基づく被害防止施策が円滑に実施されるよう、地方交付税制度の拡充その他の必要な財政上の措置を講ずるものとする。」とございます。市町村にとっては、実際に、具体的にどのような計画をつくれば財政支援がなされるのか、そこが非常に重要なポイントになってくると思います。

 そこで、市町村が作成する被害防止計画のイメージ、また作成上の留意点、また地方交付税制度の拡充がなされる対象や交付率など具体的な内容、そしてその他の必要な財政上の措置とはどのようなものか、以上の観点に関して御説明をいただければと思います。

○内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村が作成いたします被害防止計画の内容としましては、野生鳥獣を捕獲するための箱わなの導入、あるいは防護さくの設置、それから市町村職員等が捕獲技術あるいはそういったその後処理するための技術あるいは狩猟免許を取得するための講習会への参加、こういったハード、ソフト両面あるわけでございます。そういった取り組みを総合的に講ずるという内容で計画を作成していただきます。

 それから、特別交付税の拡充内容として私ども聞いておりますのが、従来から交付税の対象となっておりました防護さくの設置費、あるいはわな等の購入費、鳥獣買い上げ費等に加えまして、処分経費ですとか鳥獣被害対策実施隊の経費等も新たに対象に含めまして、これらに係る特別交付税の措置を〇・八に拡充するという旨を聞いております。

 以上でございます。

    〔主査退席、杉浦主査代理着席〕

○古屋(範)分科員 先ほどの箱わなとか防護さくに加えまして、処分経費なども含められるということですので、大体、地方自治体は、アライグマを確保しますおりを貸与、貸し出しまして、そこに捕まったアライグマを業者がとりにいくというような、こうした駆除方法を使っていると思いますので、その点につきましても、ぜひとも財政支援をよろしくお願いいたしたいと思います。

 アライグマだけではないんです。三浦半島地域にはタイワンリスもたくさんおりまして、その捕獲するおりは多少アライグマよりは小さいんですが、タイワンリスの方もかなり多数生息しておりまして、私のうちもかんきつ類などを植えておりまして、売っているわけではないんですが、もう既にナツミカンなども全部タイワンリスに食べられておりまして、こうした意味では、非常に市民生活にも影響を及ぼしているというところでございます。

 こうした財政支援、市町村においては大いに期待をしているわけでございます。

 次に、平成十八年度に環境省が改正をいたしました鳥獣保護法、この狩猟制度の見直しによる農林水産業への被害防止と、また鳥獣の保護策を見直し、有害鳥獣の捕獲などが円滑に行われるようになったということでございます。そして、翌年四月には第十次鳥獣保護事業計画が、五年ごとに策定をされまして、これらの中で、有害鳥獣の捕獲についての計画が示されております。

 そこで、今回の特措法とこの鳥獣保護法また鳥獣保護事業計画などとの関係、整合性について御説明をいただければと思います。

    〔杉浦主査代理退席、主査着席〕

○内藤政府参考人 御答弁申し上げます。

 ちょっと法律にかかわりまして多少長くなりますが、御容赦願いたいと思います。

 まず、御案内のとおり、鳥獣被害防止特措法におきましては、第三条で、基本指針は、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律に規定します基本指針と整合性のとれたものでなければならない旨規定されておりまして、農林水産大臣は、基本指針を定め、または変更しようとするときは、あらかじめ、環境大臣と協議するものとするということとされております。

 この規定に基づきまして、今回、農林水産省におきまして、被害防止施策の基本指針を策定するに当たりまして、事前に環境省と協議を行いました。したがいまして、環境省との協議によりまして、鳥獣保護の基本指針と整合性がとれた内容になっております。

 続きまして、市町村が作成する被害防止計画でございますが、これは第四条によりまして、鳥獣保護事業計画と整合性のとれたものでなければならない。手続といたしましては、あらかじめ、被害防止計画を定めようとする場合、都道府県知事に協議をしなければならないということになっております。

 この鳥獣保護事業計画と特定鳥獣保護管理計画との整合性につきまして、基本的な指針でも明記してございます。両計画の整合性が保たれるよう、当該市町村が存する都道府県における鳥獣の生息状況や、都道府県が実施する鳥獣の保護管理対策の実施状況について、十分留意するものとする、こういう形で私ども明記してございまして、こういう留意事項を十分踏まえて市町村は被害防止計画を作成し、その上で、この案につきまして都道府県知事と協議を行うということになりますので、被害防止施策と鳥獣保護施策の整合性は十分担保されるものと考えております。

 以上でございます。

○古屋(範)分科員 こうした野生鳥獣による作物の被害が増大をしている。その中で、このたび被害防止対策として特措法が成立をして施行されたことは、大変重要なことであると思います。

 冒頭大臣もお述べになりましたけれども、やはり地球温暖化という環境の変化、あるいはペットの輸入にいたしましても、どちらにしても、やはり原因をつくっているのは人間の側にあると言えなくはないと思います。アライグマのような特定外来生物については、徹底して侵入の防止を図り、また根絶を目指すべきであると思いますけれども、一方では、数が減少してしまっている動物などの特性を考慮して、駆除一辺倒ではなく、被害状況とその原因、動物の生息状況に関する調査研究の促進、また専門的な知識や経験を持った人材の育成など、さまざまな施策が重要であると考えます。

 特措法の成立で、被害の現場に最も近く、対策を苦慮している市町村が迅速に取り組めるようになったわけでございますが、こうした防止策の拡充とあわせまして大事なことは、森林伐採や開発などで生息場所を追われている野生動物とまた人間のこのバランスのとれた共生関係を構築すること、これが根本的な問題であろうかと思います。

 最後になりますけれども、若林大臣に、農山漁村の暮らしを守るとともに、こうした人間と動物が共生をしていける自然環境の整備への御決意をお伺いしたいと思います。

○若林国務大臣 今、森林整備は地球温暖化対策の中の重要な施策として位置づけられておりますので、農林水産省といたしましては、間伐の促進によりまして、京都議定書で定められております六%マイナスのうち三・八%を担っております、これが着実に実施されるように、間伐を進め、森林整備を促進するということでございますが、この場合に、御指摘がありましたような野生鳥獣との共存の場を提供していくという意味で、森林が持っております多面的機能が十分発揮できるようにしなければならない、このように考えておりまして、間伐を進める場合にありましても、広葉樹林化などによって多様で健全な森づくりを進めるということを目標にしているところでございます。

 なお、森林・林業の基本計画というものを閣議決定して決めておりますが、その中で、森林の有する多面的機能の発揮に関する施策といたしまして、広葉樹林化とか長伐期化による多様な森林への誘導という項目を設けまして、それらの森林の持っている機能の中で、そういう野生鳥獣と人間社会とが共存していけるような意味で、実のなる樹木などを常に意識しながら、これを植栽していく、これを保護していくというようなことも入れるようにしております。

 なお、その同じ森林・林業基本計画の中に、国土の保全などを推進するという役割について述べておりますが、その中で、野生鳥獣の生息動向に応じた効果的な森林被害対策を推進するという項目を設けまして、野生鳥獣の生息環境となる広葉樹林や、針葉樹と広葉樹の混交林などを造成しまして、野生鳥獣との共存にも配慮して対策を適切に推進するということを計画では明らかにしているところでございます。

○古屋(範)分科員 そうした有効な林業施策をぜひ推進されることを望みまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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