第169回国会 厚生労働委員会 第14号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 まず、今まで私自身が力を入れて取り組んでまいりました女性の健康という角度で質問をさせていただきたいと思います。

 少子高齢化の進展に伴いまして、女性のライフスタイルは大きく変わってきております。今後、女性の社会進出がさらに進み、女性の活躍を求める声が強くなる一方で、日本の現状を見ますと、女性が健康で、また子育て、仕事など生きがいを持って生きていくことができる、そのためにはさらに多くのサポートが欠かせない、まだ足りないのが実情でございます。

 そこで、公明党女性委員会では、このたび、すべての女性が安心と希望を持って暮らせる社会づくりを推進するために、政策提言、女性サポート・プランを取りまとめました。そして、一昨日、浜四津代行また松委員長とともに、福田総理に、その実現を求めて要望書を提出いたしました。

 そこに、五項目挙げさせていただきました。女性の健康パスポートの発行、女性総合カウンセリング窓口の設置、女性健康研究ナショナルセンターの設立、仕事と生活の調和推進基本法の制定、これはすべて仮称でございますけれども、そして、幼児教育の将来の無償化に向けて、まず就学前一年間の無償化を実現することなどでございます。

 本日は、国民の健康に重大な影響のある特定の疾患等に係る医療に関して、調査、研究及び技術の開発、そして関連する医療の提供や技術者の研修等を行う独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的といたしました高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案の審議でございます。今回の審議におきまして、私たちの女性プランの中で提案をしております女性健康研究ナショナルセンターというものの設置について、ぜひ実現をしてもらいたいという気持ちで質問してまいります。

 女性の医療につきまして、公明党はこれまでも、性差に基づく女性の医療の実現に向けまして、女性専門外来の設置ですとか乳がん検診の推進、また不妊治療の推進など、さまざまな施策を推進してまいりました。

 女性の健康につきましては、一九九四年のカイロにおける国際会議でリプロダクティブライツ・ヘルスが取り上げられて以来、国際的な関心を呼び、欧米では官民を挙げて女性医療の充実に乗り出しております。

 日本でも女性の健康に関する関心が高まりまして、厚労省におきましても、厚生労働科学研究や、また昨年十二月に立ち上げた女性の健康づくり推進懇談会、私も聞かせていただきましたけれども、このような女性の健康づくりを国民運動として展開し、さらに有識者会議において性差医療の本格的な検討が始まることとなったと聞いております。まさに、男性と女性の違いによる性差医療はこれからであると思います。

 女性は、思春期、妊娠、出産、また更年期と、生涯にわたってホルモンバランスが大きく変わるわけでして、画一的に医療を行うには難しさがあると思います。性差に基づく医学という視点を持ち込むことで、女性のためではなく、ひいては男性の体質や特質も明らかになって、医学全体の質の向上につながると思います。

 大臣、日本における男性と女性の違いによる性差医療についての御見解をお伺いいたします。

○舛添国務大臣 性差医療の問題に入る前に、最初の方で委員がおっしゃいましたように、日本の社会において女性が生き生きと仕事をし、そして社会に参画していく、そういう体制が十分ではないんではないかという思いがありまして、先般、私のもとにあります人生八十五年ビジョンの検討会で、ビジョンをまとめたところであります。

 その中で、とりわけ女性の社会参画、そして女性をめぐる環境を改善するということを一つ大きな柱としてうたっております。そして、これは、ただビジョンに終わるのではなくて、これからの厚生労働行政の中に生かしていく、そういう思いであります。

 そのような中で、性差を考慮した女性の健康支援ということは、今御指摘ありましたように、女性の健康づくり推進懇談会も設置をしておりますし、とにかく研究を支援したいということで、この体制も整えつつあります。さまざまな支援策をつくりました。

 先般、総理に公明党の皆さん方が、女性サポート・プランの実現を求めるという要望書をお出しになりましたけれども、そこに盛られているようなさまざまな御提案がこれからの厚生労働行政に生かせるように取り組んでまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 大臣から人生八十五年というお話がございましたけれども、既に日本の女性は八十六歳近い平均寿命がございまして、やはり女性が健康である、それも健康で長寿を生きるということが非常に大事になっている、男性以上に大事だというふうに感じます。

 そこで、女性の健康や医療について調査研究をする、先ほど申し上げた女性健康研究ナショナルセンターについてでございます。

 私たち公明党は、性差を考慮した医療、医学の推進を目指しまして、例えば性差医療の第一人者である千葉県衛生研究所の天野先生、また千葉大学医学部の龍野先生などから、日本における性差医療のあり方について学んでまいりました。

 その中で、米国における性差に基づく女性医療は、既に一九八五年、すべての年齢の女性において、女性特有な病態について医学、生物学的研究の必要性が報告されまして以来、さまざまな取り組みが行われております。

 一九九〇年には、女性の疾病予防、また診断、治療及び関連する基礎研究を支援する目的でオフィス・オブ・リサーチ・オン・ウイミンズ・ヘルスが開設をいたしました。また、一九九六年には全米六カ所に、女性医療の女性の健康にかかわる研究、教育、医療を先駆けるための学術的な健康センターを、センター・オブ・エクセレンス・イン・ウイミンズ・ヘルスとして整備され、二〇〇六年までに全米で既に二十カ所設立をされています。

 アメリカでは国土が広いこともありますし、人種ですとかライフスタイル、生活習慣、食生活などにより、女性の疾病、健康といっても地域によってさまざまな特徴があるそうで、そのために州につくっているということでございました。

 日本でも米国に十年おくれて一九九九年に、天野先生が、性差を考慮した医療の概念を日本に紹介して始まったわけでございます。

 平成十七年度子ども家庭総合研究事業報告書における女性外来実態調査では、平成十八年一月現在の全国における女性専用外来の設立数は三百五十六施設となっております。平成十三年五月に、鹿児島大学に初めて性差医療に基づきます女性外来が設置をされてから五年間で、全国に次々と誕生したことがわかります。

 しかし、女性専用外来の現場で提供されている医療を見たときに、積極的に性差の視点を取り込んで新しい医療を展開しようとしている医療機関等においては、担当医師、スタッフの性差医療に取り組む理解も進んでいる一方で、一部の県立、市町村立病院の中には、相談業務の振り分け外来としての機能しか持たない中途半端な実態もございます。こうした問題を解決するためにも、ひいては日本における性差医療を推進するために、担当医師に性差に基づく女性医療の重要性の自覚を促す教育が必要であると考えます。

 そこで、日本でも、女性医療の中心となる女性健康研究ナショナルセンターを設置して、深くこの研究を推進する必要があるのではないかと思っております。昨年四月の新健康フロンティア戦略にも、女性のニーズに合った医療の推進として、国立成育医療センターを中核とした情報提供という項目も盛り込まれております。

 そこで、今回の法案では、独立行政法人国立成育医療研究センターは、国の政策医療として、成育に係る疾患に関する高度かつ専門的な医療の向上を図ることが目的の一つとされております。この成育という観点に着目をいたしまして、女性の生涯にわたる医療の中心として、私たちが主張しております女性健康研究ナショナルセンターの機能を成育医療センターに設置してはどうかということを提案しております。

 性差を考慮した医療、医学の推進のためにもぜひこれを実現させたいのですが、この点に関しましてはいかがでございましょうか。

○西山政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣が申されたとおり、女性の健康づくり推進懇談会ということで幅広く現在検討していまして、その中核的な議論は、性差の医療を中心にして検討しております。

 今先生お尋ねの、女性の健康づくりを支援する研究を推進し情報提供していくこと、これは非常に重要だと考えておりまして、現在でも、例えば国立成育医療センターでは、妊娠中の胎児発育と母体との関係の研究など、女性の健康に関する課題にも取り組んでおります。

 今後とも、その充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 ぜひ、私たちの主張しております女性健康研究ナショナルセンターを成育医療センターに設置していただきたい。再度要望をしておきたいと思います。

 今回の法案で重要なことは、こうしたナショナルセンターでは、医療の最後のとりでとも言える重要な機能を担っています。その医療の質の確保、また効率化をどう両立させていくかという問題ではないかと思っております。

 例えば成育医療研究センターでは、もともと不採算な医療分野を担うことに加えまして、ほかでは行っておりません時間をかけた診療やコメディカルの関与などの試行的な医療を提供していることを、診療報酬の観点だけでなくてどう評価できるのか。こうした良質で試行的な医療をすればするほど赤字になってしまう。小児医療の発展に寄与する取り組みは、逆に、今後萎縮をしてしまうのではないかとの懸念がございます。

 さらに、ナショナルセンターには、臨床研究を基盤に医療の進歩に貢献するエビデンスの構築、発信という役割がございます。しかし、現状を見ますと、臨床研究を担うべき医師は、診療に追われ、臨床研修の時間が確保できないのが実態でございます。十分な臨床研究を行うことができる体制がなければ、ナショナルセンターである意義もなくなってしまうのではないかと思います。

 現在の小児科医不足、また専門医の育成等、人材の確保、養成は最重要課題でございます。そのためには、良質な医師を育成する研修体制の充実、また計画的な研修医の増員、国内外からの指導医の招聘、交流を充実する必要があると思います。

 この医師の研修は、できれば独法会計とは別建てにしまして国の予算を確保するといった思い切った取り組みが必要かと思いますが、この点はいかがでございましょうか。

○外口政府参考人 医療に対する安心と信頼を確保し、質の高い医療サービスを提供していくためには、医療を取り巻く状況の変化に応じて、医師の資質を確保し向上させていくことが重要であると考えております。その点、医師に対する研修というものは大変重要でございます。

 このため、診療に従事しようとする医師に義務化されている臨床研修におきまして、医師に必要な基本的な診療能力を身につけることができるよう、国としても、指導医の確保等指導体制の充実や、医師不足地域や産科や小児科における研修等に対する補助を行い、研修の充実を支援しているところであります。

 また、臨床研修修了後の研修は、各医師の専門性向上等の観点から、各病院において積極的に取り組まれていると承知しておりますが、国としても、このような研修を通じて資質の向上を図ることが重要と考えており、二十年度予算では、地域の拠点となる病院を活用した研修への助成も行うこととしており、大学病院における専門研修の取り組みなども通じて、今後とも医師の研修のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 ぜひとも、今後ともこうした医師の研修のさらなる拡充を、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、女性の生涯にわたる健康を守るという観点から、女性の健康パスポートについて質問してまいります。

 私は、平成十六年十月の本委員会におきまして、女性の健康づくりという観点から質問いたしました。その中で、健康診査制度についても、年齢、職業によってばらばらに実施をされている健康診査では、せっかくの健診データが生涯にわたる健康づくりに役立っていないのではないかと指摘をさせていただきました。

 そして、健康増進事業実施者に対する健康診査に関する指針に、「将来的には統一された生涯にわたる健康手帳の交付等により、健診結果等情報を継続することが望まれる」とありますように、生涯にわたる健康手帳等による健診体制の構築について質問いたしました。現在では母子手帳というのがありますが、母親が持っていて大きくなったとしても、小学校ぐらいになりますと、そこら辺で大体、さまざまな病歴や健診の記録がとまってしまうのではないかという気がいたします。

 そのとき、副大臣からは、お一人お一人の生涯にわたる健診体制の履歴をきちっと把握した上で健康の増進に努めていくという観点は、非常に大事だという御答弁をいただいたわけでございます。

 本年二月でございますけれども、小児科医会副会長の松平先生より、東京都医師会でつくっている生涯健康手帳というものをいただきました。これは、生まれてからそして晩年に至るまで、それぞれに疾病ですとか、またそういった健診などをすべて記録できるような、そして、いつ、何をすべきかというようなことも盛り込まれておりまして、非常によくできているものでございますけれども、ここには、自身の家族歴、手術、渡航歴、アレルギーの記録、予防接種、感染症等の記録、また病気や薬の記録などができるようになっております。

 平成十六年に質問いたしましてから三年半もたっております。国としても、まずは妊娠、出産などを経験する女性を対象に、生涯にわたる健康手帳、健康パスポートとして発行して、予防接種、病歴、治療歴、出産、健康診断などの記録を記載して、あわせて女性特有の病気の予防なども情報提供するよう、具体的な検討を急いでいただきたいと思っております。

 こうした健康パスポートの発行について、厚労省のお考えをお伺いいたします。

○西山政府参考人 先ほど来申し上げています女性の健康づくり推進懇談会は六月にまた開催いたしますけれども、その際に、今先生が言われた健康パスポートについても審議したいというふうに思っています。

 女性の健康上の特性に配慮して、また健康診断の記録や病歴の記載というような手帳は、非常に重要だと思っています。一方で、日本産科婦人科学会あるいは日本産婦人科医会もそういった手帳を発行しておりまして、そういう方々の御意見を聞きながら、次回の懇談会で検討したい、こんな予定でございます。

○古屋(範)委員 ぜひ前向きな検討を、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、政策医療として取り組んでいただきたいアレルギー疾患に関する問題について質問をいたします。

 このたび、文部科学省が監修をいたしまして、財団法人日本学校保健会が発行した「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」について厚労省に要望がございます。それはこのようなものでございます。

 これは、文科省の調査検討委員会が全国の公立小中高校で行った調査をもとにいたしまして、昨年四月、学校におけるアレルギー疾患への取り組み推進に向けた方策を提言したことを受けまして、具体的な取り組みを示した指針でございます。

 文科省の報告によりますと、食物アレルギーの児童生徒は全国で約三十三万人おりまして、重いアナフィラキシー症状を起こす子供は一万八千三百人と報告をされております。命を脅かす可能性があるアナフィラキシーショックに備えまして、私たちは、その治療薬でありますエピペンというアドレナリンの自己注射でありますけれども、本人にかわって、身近にいる担任や養護教諭などに打ってほしいという要望をこれまで再三してまいりました。

 それが、このたび、このガイドラインにおきまして「医師法違反にならないと考えられます。」と明記をされまして、「人命救助の観点からやむをえず行った行為であると認められる場合には、関係法令の規定によりその責任が問われないものと考えられます。」と明確に示されました。こうした画期的な取り組みは、教職員の不安を取り除きまして、子供、保護者も安心できるということで大変に喜ばれております。厚労省の皆様の後押しが実現に結びついたと、御礼を申し上げたいというふうに思っております。

 そこで、このガイドラインとともに作成をされました学校生活管理指導表も大変に重要でございます。これは、家庭や医師の情報共有が進みますように、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー・アナフィラキシー、アレルギー性鼻炎、この五疾患を対象にして、給食、運動、宿泊を伴う校外活動など学校生活の各場面で特別な対応が必要かどうか、留意点を記入するようになっております。 このガイドラインと管理表は、国公立の幼稚園、小中高校、教育委員会などに配付をされることになっております。アレルギー疾患は特に乳幼児期に多いことを考えますと、ぜひ、幼稚園だけでなく保育所にもこれは配付すべきではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

○大谷政府参考人 保育所におきましても、入所をされておられるお子さん方、その生活時間の大半を過ごす場所でありまして、アレルギー疾患を有するお子さんに対して適切に対応するということは、非常に重要なことだと考えております。

 今御指摘がありましたように、本年四月に文部科学省において、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインというものが取りまとめられて、指導表もまとめられた、また、各学校や幼稚園に送付されているということも承知しているわけであります。

 あと、保育所でどう考えるかということでありますけれども、学校における児童の活動と保育所における保育内容というのは若干相違があるということには留意する必要があると思いますが、この内容、参考にすべき点が多々含まれておるわけでありまして、保育所においてこのガイドラインをどういう形で生かしていくか、これについては検討してまいりたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 幼稚園、保育園にいらっしゃるお子さんのアレルギーへの対応は、それほど違いはないのではないかというふうに私は思っております。

 ここの中にも具体的な説明がございまして、例えば牛乳パックリサイクルで、教室で洗いましょうというようなことになりますと、牛乳のアレルギーのあるお子さんは非常に大変なわけでございますし、また、そばアレルギーのあるお子さんにとっては、そば打ち体験学習などというものは致命的なものでございます。そういうことも具体的に載っているものでございますので、ぜひ、省庁の壁を越えて御活用いただきたいというふうに考えております。

 次に、アレルギー物質を含む食品に関する表示についてお伺いをしてまいります。

 近年、国内で初のBSE感染牛が確認をされまして以来、牛肉の偽装、また賞味期限、消費期限の改ざんなど、食品の表示偽装の事件が相次いでおります。こうした問題も非常に重要なわけでございます。しかし、これによる具体的な健康被害の報告というものは聞いていないわけでございます。

 この一方で、加工食品に含まれるアレルギー食品表示の義務違反は、重大な健康被害を招くことが報告されております。食物アレルギーには、アナフィラキシーショックという命を脅かす非常に重大な被害がありまして、食物アレルギー患者にとっては、アレルギー食品の表示は命にかかわる重大な問題でございます。

 アレルギーを引き起こした食品の特定原材料の判断、その残品の有無、行政処分の検討、情報の提供等を各都道府県に対して通知する対応をされておりますが、私が聞いた中では、こうした表示がないためにアナフィラキシー症状を起こしてしまったという事例を聞いております。そこの保健所は、こうしたアレルギーまたアナフィラキシー症状への認識というものが浅かったのではないかということが懸念をされるわけでございます。

 また一方で、本年一月、仙台市で起きました、いちごミルク大福に牛乳の表示をしなかった和菓子店に対しまして、営業の一部停止処分を下した、そういう保健所もあるわけでございます。各地域、保健所によって、こうした健康被害が出た場合でも対応がまちまちである、表示義務違反などへの対応でも、保健所の対応に地域差が生じていると思います。

 アレルギー食品表示制度がスタートをいたしまして六年になりますけれども、厚生労働省は、こうした表示義務の運用、具体的な対応につきまして、自治事務として都道府県、政令市、中核市に任せず、運用の実態について早急に全国の実情を調査すべきと考えますけれども、いかがでございましょうか。

○藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、食品に起因いたしますアレルギー症状の発生を防止していくというのは、大変に重要であるというふうに考えております。そういう中で、食品のアレルギー表示の制度につきましても、この間、かなり広がりを見せて、消費者の皆さん方の御認識というのも高まっているというふうに理解をいたしております。

 そういう中で、行政として、特に食品安全衛生行政の第一線であります保健所、自治体においてどのようにこの問題に取り組んでいるのかという御質問だろうというふうに理解いたしておりますが、これにつきましては、制度発足時点で、私どもから地方自治体に通知を出してございます。その通知に従ってさまざまな対応がとられているということになろうかと思います。

 アレルギー物質を含む食品表示に関する有症苦情者あるいはその家族からの申し出に対する対応でございますが、まず、具体的な内容といたしましては、医師によって食品衛生法に基づく義務表示のあるアレルギー物質が原因でこのような症状が起きているということの診断が行われた場合でございますが、そこからスタートいたしまして、当該患者さんの摂取した食品に特定原材料が含まれていたものと判断をして特定していく、こういう作業になってまいるわけでございます。

 その具体的な方法としては、アレルギーの症状及び摂取から発症するまでの時間、さらには当該患者のアレルギー症状の既往、アレルギーを引き起こしたと考えられる特定原材料、あるいはアレルギー症状発症前の行動及び喫食した食品、食品・容器包装等の残品の有無等の情報を収集しまして、それらをもとに総合的に判断していくということになります。

 このようなことで原因がはっきりして、本来表示されるべきこれらのものが表示されていなかったということになりますと、これは表示義務違反になってまいりますので、当然にまた指導が必要になってくるということになってまいります。

 私どもとしては、その措置に行かないで済むように、通常の監視指導において、今申し上げたような、表示すべきものがされていないということのないような監視指導を行っております。これは、食品衛生法第二十二条に基づいて定めた食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針というのがございまして、これに基づいて、アレルギー物質を含む食品表示を重点監視指導項目と位置づけておりまして、特に夏期及び年末におきます全国的な一斉取り締まりなどを中心に点検していただいているということでございます。

 それで、先生の方から、どのような処分といいましょうか措置をとっていくのかということ、あるいは実態をどう把握していくのかということでございますけれども、まず、実態の把握に関しましては、今申し上げましたようなプロセスを経て表示違反というような問題が確認されれば、これは私どもの方に情報をいただくようにしております。

 また、当該自治体における対応といたしましては、まずは、今申し上げたような特定原材料が含まれるという表示がされていないという、表示が訂正されるまでの間は当該食品等の販売を行わないように指導するということになっております。

 もう少し申し上げてよろしいですか。

○茂木委員長 時間です。

○藤崎政府参考人 済みません。

 また、必要に応じて、食品衛生法第五十五条に基づきます営業の禁停止等の厳しい措置も、対応によっては検討してまいることになります。そして、当該違反食品の出荷または販売先が不特定または多数である場合には、食品等事業者に対しまして、社告……

○茂木委員長 答弁は簡潔にお願いします。

○藤崎政府参考人 申しわけございません。

 というようなことをいろいろやりまして、監視指導の徹底に努めてまいりたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 最後、要望だけにとどめますけれども、こうした健康被害を招いた事例における原因特定のための検査の実施、違反事例の公表、被害を受けた当事者への情報提供、また、保健所職員や食品関連企業のリスクマネジャーに対する研修の義務化、こういったことをしっかりと徹底していただきまして、こうした健康被害、またアレルギーの発症の再発防止に努力をしていただきたい。

 ぜひ、再発防止に向け、改善措置を徹底させる行政処分なども積極的に行うべき、このことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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