第169回国会 決算行政監視委員会第二分科会 第1号

○古屋(範)分科員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、今の在日米軍の再編の問題あるいは在日米軍基地にかかわる問題について質問してまいります。

 初めに、横須賀で起きましたタクシー運転手が殺害をされた事件についてお伺いをしてまいります。

 私の地元、神奈川県横須賀市でございますけれども、先月十九日夜に横須賀市内で起きたこの事件から約一カ月が過ぎました。脱走米兵が県警に逮捕されまして、調べは動機の解明に移ったものとの報道がございます。乗せた客に刃物で襲われ命まで奪われた、タクシー運転手にとってこれほど怖い事件はございません。

 今回は脱走兵ということでしたが、これまでも在日米軍人による同様な事件がたび重なり起きております。横須賀市では、二年前、女性が米海軍キティーホーク乗組員に殺され、現金を奪われるという事件がございました。さらに、ことし二月には沖縄で、海兵隊員が女子中学生を乱暴し、逮捕される事件があったばかりです。広島では、昨年、山口・岩国基地の海兵隊員による女性暴行事件が起きております。こうした凶悪犯罪が後を絶たない状況は、沖縄だけでなく、全国の、米軍基地がある町の住民にとっては大変不安な毎日を過ごすことにもなっております。

 在日米軍人による事件がたび重なっているということもございますが、この事件に対する石破大臣の受けとめ方をぜひお伺いしたいと思います。

    〔主査退席、福井主査代理着席〕

○石破国務大臣 二月二十二日に、再発防止のための当面の措置を取りまとめました。今後とも、再発防止について、着実かつ真剣に取り組んでまいりたいと思います。

 考えられるありとあらゆることをしなければいかぬだろう。申し入れ、わかりました、二度と起こらないようにしますとか言いながら、二度、三度と起こっているわけですね。我々の方として、申し出るだけではなくて、一体どんな対策をとったのか、それが実効性が上がっているのか上がっていないのかということを、本当に我々が常にウオッチをしておかなければいけないのだということがございます。

 やはり、よき隣人というふうに申しますが、これはもう本当に善良な米兵もたくさんおるわけでございます。地元の困った人を助けたり、あるいは福祉施設に慰問を行ったりという、本当に立派な米兵もたくさんいることはよくわかっているし、それが報道されないというのもまた事実なのかもしれませんが、しかし、本当にもう何百分の一、何千分の一かもしれないけれども、不心得者がいることによって日米同盟そのものが揺らぎかねないのだという意識、これぐらいいるんだからこれぐらいの不祥事はみたいな、そういう考え方は我々は断固として排しなければいけない。

 私は本当に、二度と起こることがないようにという言葉がそらぞらしく、むなしく響かないようにするためには、これはもう我々も意識を非常に強く持たねばなりませんし、これは、例えばゲーツ長官にしても、ライス長官にしても、あるいはライト、ライス在日司令官にしても、それは上の人はわかっているのですが、下という言い方は余りよくはないのかもしれませんが、第一線の人たちが、自分たちがやることが何を引き起こすのかという認識をきちんと持っていただくということは大変重要なことだと私は考えております。

○古屋(範)分科員 やはり、基地を抱える町に住む者といたしましては、こうした事件が続きますと、若い女性にとっても夜は歩けない。この事件がありましたところも、私などもしょっちゅう通っているところのちょっと入ったところでございます。たくさんの人が乗降している駅のすぐそばで起きております。また、タクシーの運転手さんに聞きますと、米兵一人は絶対乗せないということをおっしゃっている方もいらっしゃいます。地元としては、市民としてもそういうさまざまな防衛策をとっているわけなんですが、大臣おっしゃいますように、考えられるありとあらゆる手段を講じていく、ぜひこのことを徹底していただきたいというふうに思います。

 確かに、善良な米兵も多いと思います。今回はナイジェリア国籍の米兵ということで、そういった事情もございますでしょう。また、未訓練であったかもしれません。まあ事情は、詳細はこれからでございますけれども、ありとあらゆる手段を講じて、地元の市民にとっての安全、これを第一に考えていただきたい、このように思います。

 今回の事件におきましては、強盗殺人容疑で逮捕された米兵が脱走兵であったにもかかわらず、事件発生前に日本側には何も伝わっていなかったということが明らかになっております。

 こうした在日米軍人による相次ぐ事件を受けまして、日米両国が協議をしていた日米地位協定の運用改善策がまとまったというふうに伺っております。

 この協議は、当初から、協定の改定ではなく、運用改善での決着を目指しておりまして、こうした姿勢に、基地を抱える自治体では一部不満もくすぶっております。また、脱走兵通報の対策の効果については、限定的と見られるとの報道もございます。

 今回協議をされました運用改善策の内容とその効果についてお伺いしてまいります。

○西宮政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点でございますけれども、まず、これまでに、米軍人が行方不明となった場合に、米側が必要と判断した際に、事案に応じて都道府県警察に逮捕要請がなされる、そういう場合もあったというのが現状でございました。逆に申しますと、脱走の状態が生じた場合に直ちに関係当局に連絡がなされていたわけではない、来る場合もあるけれども来ない場合もあるということでございました。

 それで、先般の横須賀市の強盗殺人事件を受けまして、また、私、直接伺いましたが、蒲谷市長からも大変強い要望があったことも踏まえまして、この脱走米兵の情報共有、やはりこれを日米間で共有しないといけないのではないのかという問題意識で、鋭意、協議検討を行ってまいりました。その結果、四月十一日でございますが、日米両政府は、今後、在日米軍人の脱走が判明した場合には、そのすべてにつき、直ちに米側から関係都道府県警察に対して逮捕要請を行う、また、日本政府にも当該脱走兵に関する情報を提供するということで基本的に一致した次第でございます。

 なお、これは日米合同委員会でもう少し詰める必要がございますが、今鋭意作業をやっておりますので、正式な形に間もなくなるというふうに考えております。

 こうした措置を通じまして、脱走兵が生じた場合には直ちに県警当局の知るところとなり、県警が何らかの形で脱走兵の所在を把握するなどした場合に逮捕することが可能となるわけでございます。

 また、これでは不十分ではないのかといったような声も私も新聞などで拝見しております。まさに米軍内部において行方不明になる事情というのはどうもいろいろあるようでございまして、単に行方不明である人間の扱いをどうするのかということについて協議いたしましたが、とりあえずのところ、米軍といたしましては、米軍が逮捕要請をすべきような人物については、もう脱走兵として認定していくということに重きを置きまして、それを直ちに通報するということにしたわけでございます。

 一部紙上に三十日間わからないというふうに報じられておりますが、少なくとも意図するところは、三十日間待つということではなくて、これまでは行方不明のみならず脱走兵でも連絡が来なかったというのを、積極的に認定していく。もちろん、すべて、いなくなったから脱走兵というわけにはまいりませんが。そして、どんなに遅くても部隊を離脱後三十日過ぎれば、これはもう自動的に脱走兵に認定されるということでございまして、私どもとしてもできるだけのことをしたつもりでございまして、ぜひ御理解を賜ればというふうに存じます。

 なお、日米地位協定につきましては、その時々の運用の改善により機敏に対応していくことが合理的なのであるというふうに私ども考えておりまして、今回の例のように、なるべく早く具体的な対応をしていくためには、今後ともそのような方針で努力してまいりたいと思いますし、今後とも、今回の脱走米兵の通報体制のような、国民の皆様から見ても目に見えるような改善を一歩一歩積み上げていくように努力してまいりたいと存じます。

○古屋(範)分科員 御答弁にもございましたように、ぜひとも厳格な情報共有、これはお願いしたいと思います。もっと短期間でもいいのではないかという気さえしております。

 今回は、都内で乗せたタクシーが横須賀市内で殺害事件ということですので、捜査も広域である必要があるかとも思います。こうした観点へのさらなる強い取り組みをよろしくお願いいたしたいと思います。

 今回の事件で逮捕されました米兵は、事件の十日以上前に基地から逃げ出していたと。米軍が捜していた状況ではあったわけなんですが、そうした脱走兵がいるという情報、今回は、今おっしゃるように、伝えられていなかったわけでございます。

 このような形で、運用改善策で脱走兵情報が共有化されていくこと、今後ぜひこの効果が発揮をしていってほしいと願うわけなんですが、日米地位協定では、今のところ、行方不明の米兵について日本側に通報する義務がなかったわけでございます。米兵が基地内でトラブルを起こして姿を消した、すなわち、基地外で問題を起こすおそれがあるということは十分に予測できたはずであります。

 横須賀市では、以前から、地元警察と協力をいたしまして、基地周辺にスーパー防犯灯を設置しております。女性が殺されました米が浜というところから今回の事件があった汐入までスーパー防犯灯を設置しておりますが、当然、市内すべてに設置するということは、現実、不可能ではございます。また、地元住民、警察、市の職員、米軍によるパトロールなどの対策をこれまで行っております。

 また、今回、脱走兵の情報が日本に伝わっていれば、警察は周辺のパトロールを強めたことと思いますし、また、凶行に至る前に米兵を見つけることができたかもしれない。タクシー運転手も、それらしい外国人を乗せれば警戒したわけであります。事件を起こすおそれのある米兵がいる場合にも、その情報が日本側に確実に伝わるよう、お願いしたいと思います。また、今回の事件を契機に、米兵の綱紀粛正に万全を期し、日米地位協定の運用でも、さらに柔軟で弾力的な対応に努めていただきたいと思っております。

 そこで、米軍の綱紀粛正はもちろんでございますが、再発防止に向けて、徹底した対策を日米両政府がしっかりととっていただきたいと思っております。実効性ある再発防止策について、外務省の方にお考えをお伺いいたします。

○西宮政府参考人 お答え申し上げます。

 既に石破大臣からもございましたけれども、さきの沖縄の事件を受けまして、二月二十二日に当面の措置を発表いたしました。

 施設・区域外のお話が委員から御指摘ございましたけれども、例えば、まずは、こういったことの実態把握が十分なされていなかったということを踏まえまして、施設・区域のある市町村別の基地外居住者、あるいは基地内居住者もそうでございますが、数を把握していこうということでございまして、平成十九年三月時点、一年前の時点の数字につきましては、市町村別に二月二十七日に防衛省から発表をされたところでございます。

 ことしの三月現在の数字につきましても、今、鋭意作業をしております。近々にこれを発表できることを期待して、作業を督促しているところでございます。

 それから、基地外に住む方の資格というものは、我々、わかっておりますし、公表しているわけでございますが、そういう資格がある兵隊さんたちを実際に住まわせる場合に、米側がどういう方針を持って住まわせているのかという点につきましても、引き続き協議をしていきたいというふうに考えております。

 それから、二月の事件は性犯罪ということでございまして、米側自身が性的犯罪の再発防止に向けたタスクフォースというのをみずから設置いたしまして、沖縄を初めとして各施設・区域を今巡回しているところでございます。まだこの作業が実は終わっておりませんで、彼らの持ってきた所見であるとか、彼ら自身の再発防止策というものについても、我々、意見交換をしてまいりたいというふうに思います。

 なお、こうした意見交換の一環といたしまして、先般、国会で、未成年者に対する性犯罪や暴力的な性犯罪で有罪判決を受けた者について御質問がございました。

 その後、調べましたところ、これはアメリカ連邦法のウェッタリング法というものでございますが、未成年者に対する性犯罪または暴力的な性犯罪で有罪判決を受けた者については、その氏名、現住所などなどを州政府に登録する、あるいはその一部を公開するというような法律、これはアメリカの連邦法でございますが、これと在日米軍のいわば兵隊さんのリクルートというのはどういう関係になっているのかというものも当然のことながら照会させていただきました。

 この点につきましては、未成年者に対する性犯罪や暴力的な性犯罪で有罪判決を受けた者についてはそもそも入隊を認めていないという回答も得ておるわけでございます。

 先生方からごらんになって、いかにも歩みが遅いではないかというおしかりを受けっ放しでございますけれども、大切なことは、継続的に取り組んでいくことであるというふうに考えております。それから、いろいろな施策あるいは米側の方針といったものも、それで終わりということではなくて、本当に効果的に作用しているのかというのをフォローアップしていくこと。また、そういった得られる知見に基づきまして教育プログラムを充実する。米側もいろいろ教育プログラムをつくっておりますけれども、我々もアメリカ軍の教育プログラムにいろいろ注文をしていくといったようなことも大事ではないかというふうに考えております。

 失礼いたしました。

○古屋(範)分科員 今回、あの事件発生後、米軍は日本の捜査に協力的だったと言われております。二年前の殺人事件のときも、やはり同様であったと記憶をいたしております。

 日ごろから米軍と横須賀市は、さまざまな場面で交流をいたしております。米軍が協力的なのは、原子力空母が横須賀に八月に配備を控えている、地元の反発を避けたいのではないかという観測もございますけれども、やはり、地元市民との今までの歴史的な上での交流というものも非常に役に立っているのではないかというふうに考えております。

 米軍再編そのものは沖縄の負担を軽減していくという趣旨もございますけれども、やはりこれは着実に進めていかなければいけないんだろうというふうに考えます。しかし、県民、市民の感情が悪化していくようであれば、米軍再編は進まないというふうに思います。政府は、強くこの点を認識され、しっかりした対応をとっていただきたいというふうに考えております。

 こういった事件が在日米軍再編に与える影響について、石破大臣、どのようにお考えになりますでしょうか。

○石破国務大臣 航空母艦の交代につきましてのお話でございます。

 当省といたしましても、関係省庁、横須賀市及びアメリカの実務担当者から成ります原子力空母に関する防災、安全対策に関する実務者協議へ積極的に参加するなど、地元の方々の安全、安心の確保のため努力をしてきておるところでございます。

 原子力空母にかわる理由というのは委員よく御案内のとおりでありまして、合衆国でも、もう通常動力型の空母はほとんどない。残る一隻、ジョン・F・ケネディというのもございましたが、もうこれもほとんど、あと使える期間が少ない。しかしながら、抑止力ということを考えましたときに、日本において航空母艦を定係港とするということは極めて重要なことである、また、通常動力型から原子力型にかわることによって抑止力は相当に高まるという認識は持っておるのです。

 ただ、持っておりますが、それが横須賀を定係港とするということで、また乗組員がほとんどかわりますので、今まで、それでも、キティーであれば横須賀のいろいろなこともわかっている、日本とは、横須賀とは、神奈川県とはということは理解をしておるわけでございますが、新しい乗組員がやってくるということになりますと、これが定係港になりました、夏に横須賀に入りました、そこから日本の勉強をしましょうということでは全然だめなので、日本に入る前にきちんと基礎的なことは学んでおかねばならないということだと私は考えております。

 アメリカもそうは言っていますが、どういう教育プログラムで何をやっているのかということは、我々もよく認識をしなければいかぬというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、横須賀の市民の方々、地域の方々に本当に受け入れていただけるということでなければ、委員御指摘のように、米軍再編も何もあったものではございません。それは、津々浦々あまねく基地を置くわけにもまいりませんし、そんな話にも全くなりません。やはり横須賀であり、あるいは厚木でありということで、一部の地域に多くの御負担をいただいておるわけでございます。そうしますと、本当に横須賀市民のよき隣人としてのアメリカ軍人ということでなければ再編そのものもうまくいかないのだというような強い認識を持って、委員の御指摘を踏まえて、再編そのものの成否にもかかわるものであるという認識を持って私としては取り組んでまいりたいと考えております。

○古屋(範)分科員 横須賀市民としても、もろ手を挙げて空母を容認したわけではございません。できれば来てほしくないという気持ちはありながらも、やはり日本の安全保障ということを考えれば、我が市だけのことではなく、もう一段高いところから日本の防衛を考えている、考えざるを得ないというところにございます。非常に苦渋の決断をしたわけでございます。

 ぜひとも、空母の安全の確保、また米兵によるこうした事件の再発防止、これは何としても全力を挙げていただきたいと思っております。

 続きまして、再編交付金についてお伺いをしてまいります。

 昨年二月の予算委員会におきまして、私は、この再編交付金の趣旨と交付の仕組み、対象自治体選定の判断基準、交付に関する基本的な考え方などについて質問をさせていただきました。在日米軍再編特別措置法が成立をいたしまして、昨年五月三十日に施行されたわけでございます。

 横須賀市としては、さまざまな問題を乗り越えて、市長、市民、苦渋の決断によりまして、原子力空母が初めて配備されることになります。こうした実績が評価をされまして、今回の対象市町村に指定をされたわけでございますけれども、現在の再編関連特定周辺市町村の指定の状況についてお伺いをしてまいります。

○地引政府参考人 お答えさせていただきます。

 再編関連特定周辺市町村につきましては、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法第五条に基づきまして、平成十九年十月三十一日に、横須賀市など、十四防衛施設に関係する三十三市町村を指定させていただきました。

 その後、同年十一月十九日には、キャンプ・ハンセンに関係する三町村、平成二十年三月二十一日には、岩国飛行場に関係いたします岩国市、三月三十一日には、キャンプ・シュワブに関係する名護市、宜野座村の二市村、延べ三十九市町村を指定させていただいており、残り、キャンプ座間に関する座間市のみが指定していない状況でございます。

○古屋(範)分科員 神奈川の座間市が最後に残っているということでございます。地元の方々、また市長にとっては大変難しい決断を迫られているところでございます。国としても、あめとむちという厳しい選択でございますけれども、やはり自治体にとっては、容認も、また反対も非常に紙一重のところにある、これは複雑な心境の中でそういう決断をいたしているわけでございます。

 また、こうした苦渋を理解され、さまざまな難しい点もあるとは十分承知をいたしておりますけれども、座間市としっかり対話を重ねて、基地の恒久化解消策を早期に示すなど、座間市に対しましても、できる限り可能な支援、一致点を見出していただきたい、このように考えております。

 次に、対象となる事業について、法律では、事業といたしまして、第五条には、「当該市町村において再編関連特別事業」と規定をされております。この政令が昨年の八月二十九日に施行されております。この政令第三条、「再編交付金を交付しない事業」とございます。第一号に、「国が行う事業又は」「その経費の一部を負担し、若しくは補助する事業」となっております。まず、この政令第三条第一号についての具体的な説明をお願いしたいと思っております。

 また、この政令第三条第二号では、「法令の規定に基づいて毎年度経常的に行っている事業で、駐留軍等の再編の円滑かつ確実な実施に資するため必要なものとして特別に行う事業とは認められないもの」とございます。この内容について、逆に、どんなものなら対象事業となるか、御説明いただきたいと思います。

 また、最後、この政令第三条第三号、「再編関連特定周辺市町村の区域内において、駐留軍等の再編により影響を受ける住民の生活の安定に資するよう適切に配慮された地域において行う事業とは認められないもの」とございます。

 地元にとっては、ぜひ使い勝手のいいものとしていかなければいけないと思います。この点について御説明をお願いいたします。

○地引政府参考人 御説明させていただきます。

 再編交付金につきましては、先生御承知のとおり、市町村等が、公共用の施設その他の住民の生活の利便性の向上、産業の振興に寄与する事業を行うことによりまして、駐留軍等の再編の円滑かつ確実な実施に資することを目的とするものでございまして、再編特措法施行令二条で、再編交付金を交付し得る事業を明示させていただいております。

 また、同施行令三条におきまして、再編交付金を交付しない事業について規定しているところでございまして、それは、大きく三つから分類されております。

 同条第一号につきましては、「国が行う事業又は国がその経費の一部を負担し、若しくは補助する事業」としており、これは、一つの事業に対しまして目的の異なる二重の補助となることから対象外としているところでございます。

 また、二号につきましては、「法令の規定に基づいて毎年度経常的に行っている事業で、駐留軍等の再編の円滑かつ確実な実施に資するため必要なものとして特別に行う事業とは認められないもの」としており、これは、具体的には、例えば市町村の職員の給与など、単なる財政負担の肩がわりとしてでしかなく、住民の方にとってメリットのないことから対象外としているものでございます。

 また、第三号につきましては、「再編関連特定周辺市町村の区域内において、駐留軍等の再編により影響を受ける住民の生活の安定に資するよう適切に配慮された地域において行う事業とは認められないもの」としており、これは、再編により影響を受ける地域の住民の方にとってメリットにならないことから対象除外としているところでございます。

 今申しました規定につきましては、当初の再編交付金の目的に沿ったものとなるよう、ある意味では確認的に規定したところでございます。

 いずれにいたしましても、再編交付金につきましては、住民の方に有効に活用いただけるよう、今後とも防衛省としては市町村と十分調整しながら適切に対応させていただきたいというふうに考えている次第でございます。

○古屋(範)分科員 もう時間でございますので、最後の質問に参ります。

 平和外交の推進について、石破大臣にお伺いをしてまいります。

 我が国を取り巻く安全保障の環境は、北朝鮮問題を初め、極めて厳しい状況にありまして、外交の重要性はさらに重くなっております。この在日米軍再編という、我が国の安全保障にとりまして大きな影響を持つ問題にこれからしっかりと取り組んでいただきたいというふうに考えておりますけれども、石破大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○石破国務大臣 米軍再編のキーワードは、抑止力の維持と負担の軽減、こう言われます。

 ところが、その抑止力を維持しながら負担を軽減するというのは、一種、二律背反みたいなところがありまして、これをどのようにしてやっていくかというのは、余り容易なことではございません。お題目を唱えておっても仕方がないのでありまして、私は、本当に今委員がお触れになりましたように、では、北朝鮮は今どのような状況にあるのか、我が国の周辺はどのような環境にあるのかということで、抑止力の対象についての把握は正確に行わなければいかぬのだと思います。

 脅威、脅威といって言い立てることは決していいことではないが、しかし、完全な楽観論もよくないということで、この状況を正確に認識するということ、そして、これも委員がおっしゃいましたが、外交の努力というのをきちんとやった上でなければそれはいかぬということであって、外交の努力をどうやって安全保障の考え方と一体化させるかということは、ちゃんと認識を持っておかねばならぬことです。

 そして、負担の軽減というのを考えましたときに、今横須賀のお話がありましたが、どこがどのような負担を負っているのかという認識を、これまたちゃんと持たねばならぬだろう。騒音なのか、事件なのか、あるいは土地の問題なのか。どこがどんな御負担を負っておられるか、それに対してどのような軽減ができるか。それをやる策というのは、一つは、基地移転のように、沖縄の訓練を移転するように分散するというやり方もございましょう。そして同時に、今の技術の革新でどれぐらい変わるかということ。

 この負担の軽減と抑止力の維持、ともすれば、日米両国でそこの重きがちょっと違うような気がしないではありませんが、そこの認識もよく共通化を図りながら、この二つを両立させていきたい、また御指導賜りますようお願いを申し上げます。

    〔福井主査代理退席、主査着席〕

○古屋(範)分科員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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