第169回国会 青少年問題に関する特別委員会 5号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部改正法案、いわゆる出会い系サイト規制法改正案について質問してまいります。

 出会い系サイトを利用した犯罪の被害者児童数、平成十五年にこの規制法が施行され、一たんは減少いたしましたけれども、平成十八年に再び増加をいたしまして、昨年は一千百人となっております。また、平成十九年の出会い系サイトに関連した事件の被害者数が一千二百九十七人、その九六・八%はやはり携帯電話を通じて出会い系サイトにアクセスをしております。

 こうした出会い系サイトを利用する児童被害を防止するために今回出会い系サイト規制法を改正することとなったわけでございますけれども、この法律について、出会い系サイトに限定したフィルタリングであるものの、フィルタリングに関する規定が法律上初めて明記をされたということは大変意義深いというふうに考えております。

 今回の改正を踏まえまして、フィルタリングの普及促進や出会い系サイトの利用に起因する児童被害の防止に一層前向きに取り組んでいただきたいと思いますけれども、まず初めに、国家公安委員長、戻られましたので、これに関しましての御決意をぜひ伺いたいと思います。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

○泉国務大臣 中座をいたしまして申しわけございません。

 インターネットに起因します犯罪から子供を守るということは、今回の法改正の施行によりまして万全を尽くしたいということは当然の思いでございます。児童買春、児童ポルノ法違反あるいは青少年保護育成条例違反等の取り締まりの推進は、これは当然やっていかなきゃならないと思っておりますし、またフィルタリングの普及促進に向けた非行防止教室の開催、このこともあわせて考えなければならないと思っております。

 さらに、違法・有害情報の削除、あるいは、出会い系サイトではないが児童被害が発生しているサイト、いわゆる出会い系サイト以外のサイトにつきましても自主的な被害防止のための取り組みが必要であると考えておるわけでございまして、いろいろな事柄をやっていかなければこの問題は解決しない、一事だけで問題が解決するような事態ではないと思っておりまして、関係機関と連携をしながら、子供が犯罪被害に遭うことなく、安全に安心して生活ができるように、そしてまたインターネットを活用できますように、そうした社会を目指して努力をしてまいる所存でございます。

○古屋(範)委員 ただいま国家公安委員長からも万全を尽くすという強い御決意を伺いました。まさに国を挙げてこの問題に取り組んでいかなければいけない時代になっているという気がいたします。ぜひ、委員長を先頭に、この児童被害の防止に全力で取り組まれることを再度希望しておきたいと思っております。

 次に、この出会い系サイトに係る問題だけではなくて、インターネット上の違法情報、有害情報一般への対策が重要でございます。児童の保護という観点からは、このフィルタリングは極めて有効であると考えております。

 十八歳未満の子供の携帯電話から有害サイトへのアクセスを制限するフィルタリングサービスの導入にようやく関係業界が本腰を入れ始めたのは、導入が進まないことに業を煮やした総務省が、昨年十二月に、総務大臣から携帯各社にフィルタリングの導入促進を図る取り組みを強化するよう要請したからではないかと思います。

 年初から各社ともに対応を始められまして、昨年からも、非常に業者によって温度差があるということも伺っておりましたけれども、利用もかなり進んできていると承知をいたしておりますが、総務大臣要請以後、このフィルタリングの利用状況についてどうなったか、この点お伺いいたします。

○武内政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十二月十日に、総務大臣の方から携帯電話会社の方へフィルタリングの導入促進の取り組み強化の要請をいたしました際に、あわせまして、社団法人の電気通信事業者協会にフィルタリングサービスの利用者数を取りまとめて定期的に公表するよう要請したところでございます。現在、同協会におきまして本年三月末の数値を取りまとめ中ということでございますが、昨年十二月の要請前に比べまして、フィルタリングサービスの利用者数は大幅に増加している模様であると聞いております。数値につきましては、来週にも公表する予定であるというふうに伺っております。

 総務省といたしましては、この要請に基づく取り組みが着実に行われまして、一層の導入が進んでいることを期待しているところでございます。

○古屋(範)委員 来週にも結果公表ということでございますので、その結果を踏まえて、さらなる普及促進に努力されるよう、ここで再度希望しておきたいと思います。

 次に、池坊文部科学副大臣にお伺いいたします。

 副大臣、こうした携帯またネットの安全な利用に関しまして非常に精力的に取り組んでいらっしゃるということを存じております。業界側からフィルタリングを提供する仕組みはだんだんと整いつつあるようでございますけれども、実際に子供の携帯電話にフィルタリングが導入されるには、児童そしてまた保護者にフィルタリングの重要性を理解していただく必要があると思います。

 子供たちの大半は、携帯電話を通じてインターネットの世界と接しております。私も子供と同じ携帯の請求書が来るのですが、私と子供は利用の仕方が全く違っております。そこには、自殺や薬物などの違法行為を助長するサイト、またアダルトサイト、暴力的なサイト、果ては他人を誹謗中傷する有害サイトも数多く存在をしております。こうしたサイトを子供たちから遠ざけるフィルタリングの導入を促進することが私たち大人の責任であると考えております。今後は、子供たちと最も近いところにいる親、また教師のかかわり方も問われてくるものと思います。

 新しい便利な道具と考えている親や教師の世代とは違いまして、子供たちは、生まれたときからこの携帯電話やインターネットが身の回りにあった世代、受けとめ方の違いもあるかと思います。今回のフィルタリング導入の原則化につきましても、保護者の九割が必要としたのに対しまして、子供の八割が解除してほしいと答えている意識調査もございます。今後、親子の間で導入をめぐる議論がふえてくるということも予想されております。

 そこで、フィルタリングの普及促進について、教育という観点から、文部科学省の取り組みについて副大臣にお伺いいたします。

○池坊副大臣 私が主宰しております、子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議の中においても、さまざまな角度から実態調査をしてまいりました。御存じのように、ことしの二月から、フィルタリングはつけなければいけない、携帯を買うときにそう言われるのですが、実際には、保護者と子供が参りますと、子供が親に向かって、僕を信用して、大丈夫だよ、使わないよ、だからこれはつけないでと言いますと、一つには子供に親が甘い、それからその危険性を知らないということで、では解除をしようかという例が結構多いんですね。時には、それで親子の間がぎくしゃくするから、子供の言うことを聞いてあげようということになってしまうということを聞きました。

 まずは、私は、保護者の方々にどれだけ携帯を持つことが怖いことなのか、これは使い方によっては光よりも十倍影がありますよということを知っていただかなければならないということで、一つつくりましたのは、「ちょっと待って、ケータイ」これは小学校六年生並びに保護者、先生の方々、地域住民にもお配りしているんです。携帯を持つ、何で必要なのということを、情報教育、情報モラル、リテラシーということです。それからもう一つ、「お父さん!お母さん!お子さんのケータイ・ネットの利用は大丈夫ですか?」御存じのように、ネットによっていじめが起き、そして自殺した高校生というのは、去年にございました。

 まずは、保護者への知識を植えつけること、危険性があるんだということをわかっていただくこと、それから、子供たち自身も、教育の中で、あるいは親との話し合いで、どう携帯を使うかというような取り決めを行う。また、学校もこの認識を持っていただきたい、地域の方々も協力してくださいということで、これはもう本当に学校関係者、いろいろな方々にお配りしております。私も事あるたびに、教育長の集まりだとか、あるいはテレビなどでもこの啓蒙をいたしておりますので、またどうか皆様方も、地域社会にこういうことも言っていただけたらと思います。

 文部科学省だけでなくて、本当に総務省とか警察庁との連携が必要だと思います。そして、ネット安全安心全国推進会議などを通じまして、これからもきめ細やかに、しつこいほどこれはしていかなければならないと思っておりますので、啓蒙をしてまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 ただいまのお答えの中で、文部科学省としても全力で取り組まれている様子が伝わってまいりました。やはり親の毅然とした態度というのが大事だと思います。その親への教育というものは、やはり学校でしていくのが一番の近道ではないかと思っております。今後とも、ぜひ総力を挙げてそれに取り組まれることを期待しております。ありがとうございました。

 次に、これまで、政府ですとか、また関係業界の御努力によりまして、ある程度普及が進んできたということは大変いいことでございますけれども、現状のフィルタリングが、遮断される範囲が広いなどの混乱も一部生じていると聞いております、先ほどもございましたけれども。また、この違法情報、有害情報対策にフィルタリングはやはり極めて有効でありますので、政府には、民間の活動ともしっかりと連携をしながら、フィルタリングの利用が後退しないよう、引き続き御努力をお願いしたいと思っております。

 そこで、総務省に、フィルタリングの普及に向けた今後の取り組みについてどのようにお考えか、お尋ねいたします。

○武内政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生が御指摘になりましたように、現在、携帯電話事業者により提供されているフィルタリングサービスにつきましては、制限される情報が広範囲かつ画一的で、青少年に有害でないサイトまで利用できなくなってしまいまして、かえって普及の妨げになってしまうという指摘がされているところでございます。その改善が課題であると認識しているところでございます。

 総務省では、現在、インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会を開催しておりまして、そこで携帯電話等のフィルタリングサービスの改善方策等について御検討いただいているところでございますが、具体的には、利用者からの個別の判断により閲覧できる範囲を選択可能とすること、また、民間の第三者機関において、青少年にとって有害でないサイトを認定して、携帯電話のフィルタリングで閲覧可能とすることなどについて検討しているところでございまして、四月の二十五日には中間取りまとめを予定しているところでございます。

 総務省といたしましては、今後、中間取りまとめを踏まえまして、よりよいフィルタリングの実現のために努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

○古屋(範)委員 ぜひ、こうしたフィルタリング技術の向上というものに、今後ともしっかりと取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 最後の質問になりますけれども、インターネット上の違法情報、有害情報の対策として、フィルタリング以外にも、インターネット・ホットラインセンターが設けられております。当委員会でも視察に行かせていただきました。少ない人数で非常に多くの業務をこなしていらっしゃる、その様子も拝見をいたしました。非常に社会的に意義のある活動であると考えます。いらっしゃる方々も、毎日毎日そういった情報を目にしなければいけない、非常に精神的にも大変な仕事であるというふうに思います。インターネット上には、膨大な量の違法情報、有害情報がはんらんをしているところでございまして、その体制は必ずしも十分でないというのが現状かと思います。

 そこで、このインターネット・ホットラインセンターの活動実績、及びこれに対して警察庁がどのような支援を行っていかれるのか、今後の見通しも含めまして、お伺いしたいと思います。

○片桐政府参考人 お答えを申し上げます。

 インターネット・ホットラインセンターは、御承知のとおり、一般の方々、インターネット利用者の方々から、違法情報とか有害情報に関する通報を受け付けまして、これを選別の上、サイトの管理者とかプロバイダー等への削除依頼を行っているという団体でございます。警察庁の委託事業として、平成十八年六月から運用を開始しておりまして、財団法人インターネット協会がこれを受託しているという状況でございます。

 通報件数でございますが、毎年ふえておりまして、平成十九年中は、八万五千件弱の通報を受理いたしております。うち、違法情報が一万二千八百件余り、有害情報が三千六百件余りでございます。これの違法情報は、警察に通報するとともに、削除依頼を行っておりますけれども、削除依頼を行った結果、削除率が、違法情報では八五%弱、有害情報では七五%弱ということになっているところでございます。

 なお、これ以外にも、ガイドライン上、違法情報、有害情報に分類はしておりませんけれども、名誉毀損であるとか誹謗中傷であるとか、また知的財産権を侵害するとかいったような情報もございますけれども、こういったものも、それぞれ関係機関、団体に通報をしているということでございます。

 このほかに、国際的な活動として、違法情報が海外のサーバーに蔵置されている場合について、外国におけるホットライン相互間の連絡組織でありますINHOPEというのがございますけれども、ここに加入をしておりまして、これを通じて外国のサーバーの中にある違法情報の削除を求めているという活動も行っております。

 ただいま申し上げましたとおり、インターネット・ホットラインセンターで受理する通報件数は年々ふえておりまして、例えば、月平均でならして御説明申し上げますと、平成十八年中は四千百五十八件であったのに対しまして、平成十九年中は七千八十件ということで、約一・七倍にふえているということでございます。

 こうしたことから、ホットライン業務の迅速化、効率化、また職員の負担軽減を図っていく必要があるということで、平成二十年度予算、今年度予算におきまして、対前年比二千五百万円増の一億二千百万円を計上いたしまして、昨年度に比べて五名を増員して、センター長以下十五名の体制で運用するように今しているところでございます。

○古屋(範)委員 インターネット・ホットラインセンターは非常に機能しているという現状でございます。私たちといたしましても、ここの強化を訴えてまいり、五名増員という予算を獲得しているところでございます。

 今後とも、こうしたセンターに限らず、こうした公益性の高い活動が広がりますよう、関係省庁においても御配慮いただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

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