第170回国会 青少年問題に関する特別委員会 2号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 小渕大臣は、本年五月、子育てをしながら活躍する女性を表彰するベストマザー賞を受賞されました。一番、大変な子育てをしている母の気持ちをわかっていらっしゃる大臣かと思います。大いに期待をしております。仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスを労働、経済界にも訴えたいとおっしゃっており、大変に心強い思いでおります。私も大臣とともにこのワーク・ライフ・バランスの実現に取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 初めに、本年四月に公表されました、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインについてお伺いしてまいります。

 このガイドラインは、アレルギー疾患のある子供への学校での具体的な対応指針をまとめたもので、すべての児童が安心して学校生活を送ることのできる環境整備を目的とした、画期的な、充実した内容となっております。大変評価も高いというふうに聞いております。

 四月の公表以降、全国の小中学校、教育委員会などに配付をされているはずではございますが、いまだに届いていない地域がある、一部の市、それも政令市と聞いております。このガイドライン自体に問題があるといって配付していないとの話もつい最近伺いました。

 この点につきまして、六月、我が党の浜四津代表代行からも参議院の委員会において指摘をさせていただきました。文部科学省としても再度の配付徹底を促されていると承知しております。

 文部科学省では、このガイドライン配付の状況を、きちんと現場まで届き、活用されているのかどうか、把握をされているのでしょうか。また、ガイドラインは、学校全体でアレルギー疾患の子供たちをサポートするものとなる、画期的であるという評価も高いものでありますが、配付さえ徹底できないようでは、また、配付されていればよいというような段階では、取り組みが進まないというふうに思います。

 速やかに配付状況をしっかりと把握すべく全国調査を実施し、配付の徹底を行うとともに、現場でしっかり活用できるよう研修が必要であるというふうにも思います。実効性ある取り組みを進めるべきと思いますけれども、いかがでございましょうか。

○尾崎政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインでございますが、御指摘ございましたとおり、各都道府県教育委員会等を通じまして、財団法人日本学校保健会から、本年四月以降、幼稚園、小中高等学校、共同調理場などに対しまして、それぞれ二部ずつ発送をいたしてございます。

 八月に、各都道府県教育委員会に対しまして、所管の学校へのガイドラインの配付状況について調査をいたしました。その結果を見ますと、四十七都道府県教育委員会のうち、四十四で配付をしたと回答を受けているところでございます。残り三県につきましては、関係団体と協議中であり、その後、配付、活用の予定である、そういう回答を受けているところでございます。

 さらに、文部科学省といたしましては、今御指摘ございましたとおり、ガイドライン本体だけでなくて、その効果的な活用方法を周知することが大事だ、そういう観点のもとに、教育委員会の担当者あるいは学校の教職員を対象として、アレルギー対策の講習会というものが必要であるということで、実は昨日、東部地区の講習会をやったところでございますけれども、この講習会を通じてさらなる周知徹底を図っていきたいと思っているところでございます。

 教職員がアレルギー疾患に対する認識を深めて、学校全体で適切な取り組みが行われるように、さらに努力を重ねてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 すばらしい内容のガイドラインでありますし、また、管理指導表というのが一人一人の子供を守る上で非常に重要だというふうに思います。ぜひ、そうした講習なども全国に広げていただき、推進が図れるようよろしくお願いを申し上げます。

 次に、このガイドラインでありますけれども、アレルギー疾患は特に乳幼児期に多いことを考えますと、ぜひ保育所にも早急に配付をしていただきたい。これは、さきの通常国会でも主張をしたところでございます。これに対しましては、当時の雇用均等・児童家庭局長より、参考にすべき点が多いので保育所においてこのガイドラインをどういう形で生かしていくか検討してまいりたいとの御答弁をいただいております。

 速やかに配付する方向で検討していただいていると思いますが、その後の検討状況をお伺いしたいと思います。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所は、入所する子供がその生活時間の大半を過ごす場でございます。アレルギー疾患を有する子供に対して適切に対応すること、これは、先生御指摘のとおり、非常に重要であると考えております。

 今御指摘ございました、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインにつきましては、学校における活動と保育所における保育内容には若干相違があることなどにも留意する必要がございますけれども、保育所においても参考にすべき点が数多く含まれているものと考えております。

 アレルギー疾患に対する取り組みも含めまして、保育所における保健衛生面の対応の強化を図るために、厚生労働省におきましては、保育所における保育の質の向上のためのアクションプログラム、これに基づきまして、保育所における保健衛生面の対応に関するガイドラインを来年春を目途に作成することにしているところでございます。

 この保育所における保健衛生面の対応に関するガイドラインの策定に当たりましては、今委員御指摘の学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン、そして、先ほどお話もありました管理指導表、こういったものも十分参考にさせていただきながら、先生御指摘の趣旨も踏まえて、精力的に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 来年春、ガイドラインを策定するということでございます。

 保育所においても、アレルギー疾患を有するお子さんに対して適切な対応をとる、非常に重要なことであると考えます。文科省また厚労省といった縦割りの弊害を乗り越えまして、一刻も早い配付ができることが一番いいなというふうに思っておりますけれども、厚労省独自でアクションプログラムにこうした内容を組み込むということにするのであれば、ぜひまた小児アレルギーの専門家を入れた上での作成をお願いしたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

 次に、アレルギー物質を含む食品に関する表示についてお伺いしてまいります。

 この問題につきましても、さきの通常国会で、加工食品に含まれるアレルギー食品表示の義務違反が重大な健康被害を招くこと、その対応が各地域の保健所によっていろいろ格差があるとの事例を説明いたしました。

 すなわち、保健所によって、重篤な健康被害が出た場合も対応が非常に遅い保健所がある一方で、表示義務のある特定材料が他に混入していないか検査するために営業の一部停止といった行政処分を即座に行う保健所が一方ではある。表示義務違反などへの対応でも、保健所の対応に地域格差が生じているというところがございます。

 ここで、この問題について再度お伺いいたします。

 厚生労働省では、表示制度の運用の実態について、各自治体がどのように行っているのか把握をされているのでしょうか。問題の改善を図るために、まずその実態を調べる必要があると思います。その実態調査をすることが形式的なものになってしまうなど難しいのであれば、現場でどんな対応がなされているのか把握する必要があると考えます。

 アレルギー食品表示制度がスタートして六年になります。厚生労働省は、表示義務の運用、具体的な対応について、自治事務として都道府県、また政令市、中核市に任せたままではなく、しっかりと現場を把握、指導する責任があると思います。

 そこで、有症苦情や表示義務違反に対する保健所の対応など、この運用の実態につきまして、措置また対応、処分等をしたのか、あるいは、苦情の処理についてきちんと報告をとるべきだと思います。そして、表示義務違反による重篤な健康被害が二度と起こらないよう厚労省として対策を立てるべきではないでしょうか。厚労省の御意見をお伺いいたします。

○中尾政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきましては、地方自治体に対して、アレルギー物質を含む食品の表示を理由とする症状の発生に関する苦情を受けた場合には、発症の状況、発症の原因と疑われる特定原材料等に関する調査を実施するなど、適切に対応するよう要請をしております。

 また、地方自治体に対しまして、食品のアレルギー表示に関する違反事例が発見された場合には、事業者名、商品名、違反内容、改善措置等を公表するとともに、速やかに厚生労働省に報告をするように求めております。これを通じて、厚生労働省といたしましても、食品のアレルギー表示に関する違反事例を把握して健康被害の拡大防止を図るため、随時、厚生労働省のホームページを通じて注意喚起を実施しております。

 このようなアレルギー物質を含む食品の表示をめぐる地方自治体の対応に問題があったというような情報提供が厚生労働省にあった場合には、その都度、関係の地方自治体に対して個別に適切な措置を指示しております。

 厚生労働省といたしましては、今後とも、食品のアレルギー表示に関する監視、指導、情報提供が適切に実施されるように、引き続き関係自治体と連携しながら適切に対応したいと考えております。

○古屋(範)委員 さまざまな食の安全に関する問題が提起をされております。

 食品に何か有害なものが含まれていた、これは非常にゆゆしき案件でございますけれども、それと同じように、アレルギー疾患を持つ者にとっては、表示されていないものが入っていた場合に、生命にかかわるわけでございます。特にアナフィラキシーというような、命にかかわるような事故、今まで起きていないからいいようなものの、死んでしまうかもしれないというような大変な思いをした方々に対しまして、表示を直しました、表示をいたしましたというだけでは、果たして納得できるのかどうか。もしその子供の親であったら、やはり納得できないというふうに考えます。

 そこで、アレルギー食品表示への改善について提案をさせていただきたいと思います。

 現在、厚労省が都道府県に通知をしている内容で検討や努力義務となっている対応について、義務化をする必要があると感じております。

 具体的には、健康被害を招いた事例では、原因特定のための検査の実施、また違反事例の公表、また被害を受けた当事者への情報提供、さらにアレルギー食品表示についても違反を抑制するために、保健所職員や食品関連企業のリスクマネジャーに対する研修を義務化する。そして、重篤な健康被害を招いた事例については、食中毒と同様の対応が必要であり、食品衛生法に基づいて再発防止へ向けた改善措置を徹底させる行政処分を積極的に行うべきと考えております。

 以上の点につきまして、きょう渡辺副大臣においでいただいておりますので、ぜひ実現していただきたいのですが、御見解をお伺いいたします。

○渡辺副大臣 貴重な御提案、ありがとうございます。

 厚生労働省におきましては、地方自治体に対しまして、食品のアレルギー表示に関する違反事例が発見された場合に想定される措置を提示しておりまして、個々の事例に応じて適切に対応する、そういう要請をしておるわけであります。

 具体的にはどういうことをしているかといいますと、アレルギーが適正に表示がなされていない食品につきましては、まず第一に、表示が適正になされるまでの間は、事業者に対して当該食品の販売を停止するよう指導するようにしております。二つ目には、当該食品の流通先が不特定または多数である場合には、事業者に対して、社告あるいは店頭告知等を通じまして購入者に周知を徹底するように指導をしておるわけであります。三つ目には、必要に応じては、事業者に対して営業の禁止、停止等を命令するという強い対応もしておるわけであります。

 そのほか、先ほどもお話ありましたけれども、事業者名、商品名、違反内容、改善措置等を公表するとともに、速やかに厚生労働省に報告するように求めているわけであります。そのほかにもいろいろお願いをしているところであります。

 また一方で、厚生労働省としましても、地方自治体の報告を受けて、健康被害の拡大防止を図るために、随時厚生労働省のホームページを通じた注意喚起を実施しているところであります。

 今後とも、食物のアレルギー表示に関する違反事例につきましては、地方自治体と連携をしつつ、命にかかわることでありますので、厳格に対処していきたい、そのように考えております。

○古屋(範)委員 徐々に表示義務につきましては推進をされてきているというふうには承知をいたしておりますが、やはりさらなる厳格な指導徹底をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後になりますけれども、小渕大臣、これまでの議論を聞いていただけたかと思います。最後に、社会の宝である子供たちをしっかり支えるという観点から一つお伺いをしたいと思います。

 このアレルギー疾患、非常にふえております。そして、アトピー性皮膚炎、お互い子供同士で汚いという言葉を言われたり、あるいはぜんそくの児童が掃除を免除されたりする場合もあるんですけれども、そうしたことや、また食物アレルギーの生徒は給食が食べられず、家でつくったお弁当を持ってくるというようなケースもありまして、結局、皆と違うということが原因でいじめにつながる。また、学校を休むことも多いというようなこともありまして、さまざまな悩みを持つお母さんが数多くいらっしゃるわけでございます。

 こうしたアレルギー疾患を通して、お互いに病気を理解し合って、そして困っている友達を支えようという優しい心を育てる健康教育を行うことで、今多く子供たちに欠けていると言われております共感する心を育てることにつながるのではないか、そのように考えております。大臣の御所見を最後にお伺いしたいと思います。

○小渕国務大臣 私自身、子供のときに大変ひどいアトピー性皮膚炎でありまして、今思い出してもとてもつらい時期がありました。肉体的にもとてもつらいんですけれども、精神的に、やはり女の子ですから、いろいろなところにそういうものが出てくることにもつらさを覚えましたし、そうしたことは個人的なことではなくて、家族もみんな巻き込んで、例えば食事ですとか、衣服、また洗濯とか、そうしたことすべてにおいて問題になってくるので、きっと、私自身のそうしたアレルギーによって、例えば母や兄弟も巻き込んで、みんなが苦しい時期があったと記憶をしています。

 そうしたことから、やはり学校に行っても、そうしたアレルギーに対してなかなか理解がないということで、今お話があったようにいじめが起こったり、お母さん方がいろいろな苦しい思いをしていたりというお話がありました。子供たちが他人に対する思いやりの心を、またそうした違ったことに対して理解を深めるという意味でも、人を思いやる心をはぐくんでいくということは大切であって、アレルギー疾患などの病気に対する理解を深めていくということは大変重要なことであると考えております。

 自分自身のそうした経験も踏まえつつ、健康教育の充実をしっかり図っていきたいと考えています。

○古屋(範)委員 ガイドラインの活用を含めまして、学校現場でのアレルギー対策の拡充等を求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

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