第171回国会 衆議院 厚生労働委員会-10号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 これから政府に対しまして遅延加算金法案についてお伺いをしてまいります。

 その前提といたしまして、まず年金時効特例法についてお伺いをいたします。

 平成十九年七月に年金時効特例法が公布されまして、施行となりました。従来、年金の支払いを受ける権利が、二カ月に一度の各支払い月から五年経過すると、時効により順次、自動的に消滅をいたしました。このため、当初明らかでなかった年金記録が明らかになった場合、この記録に基づく増額分のうち五年以上の支払い分については自動的に時効消滅し、受給できないこととなっていたわけでございます。これを議員立法によりまして、既に年金を受給している方や受給するはずだった方について、その方の記録が訂正をされまして年金が増額された場合に、その時点で五年の消滅時効が完成した部分についてもさかのぼって支払うこととしたものというふうに理解をいたしております。

 これによりまして、年金記録問題で新たに記録が見つかった方などへの救済が図られることになったというふうに受けとめておりますけれども、この時効特例法の施行から約二年が経過いたしました。時効特例給付のうち、最も多くの額の年金が支払われたのはどの程度の額なのか、その方の訂正された期間とあわせてお伺いをいたします。

○石井政府参考人 お答え申し上げます。

 年金時効特例法に基づきまして昨年十二月末までに支給決定を行ったもののうち、支給決定金額の最高額でございますけれども、二千八百二十三万円でございます。

 この事例は、昭和十七年六月から昭和三十六年一月までの二百二十三月の厚生年金期間が新たに判明したことによりまして記録を訂正した、そのことによって支給ということになったケースでございます。

○古屋(範)委員 最高額二千八百二十三万円ということですので、やはり非常に高額である、そういう印象を持たざるを得ないわけでございます。このように、これまで無年金だった方などが新たに多くの年金を受け取ることができるようになったことは、やはり評価すべきであると考えます。

 しかし、時効特例給付等の社会保険庁の支払い事務が滞っているとも伺っております。現在、時効特例給付については、年金記録の訂正からどのくらい待たないと受給者のもとに届かないのか、この点についてお伺いをいたします。

○石井政府参考人 お答え申し上げます。

 年金受給者の方から記録の訂正に伴う再裁定のお申し出があって、その訂正後の年金を受け取られるまで、しかもそれには時効特例法に基づく適用がある、こういう場合でございます。

 まず工程を簡単に申し上げますと、第一段としては、社会保険事務所におきまして年金記録の訂正手続、それから業務センターへそれを申し送るというステップがまずございます。ここのところが昨年末でおよそ二カ月程度かかっております。

 それから、業務センターで受け付けて、消滅時効にかからない最初の五年分についての年金額の再裁定をするというのに、この一月時点で七カ月ほどかかってございます。大変恐縮でございます。

 それからさらに、時効特例法に基づくそれ以前の期間の分の支給決定に要するのが三カ月から四カ月というのが、やはり一月の数値でございます。

 そういうことで、これらの工程をずっと経てまいりますと、単純に合算した場合、時効特例法に基づく給付の支給決定に至るまで、大変恐縮ですが、全体で一年程度かかるということになってございます。

 いずれの工程につきましても、私ども、所要期間の短縮に取り組ませていただいておりますが、特に過去五年分の再裁定の業務センターにおける業務の部分でございますが、昨年末から処理体制を大幅に拡大して、四百七十名の体制を構築して、一月当たり二十万件程度の処理を行うということで取り組んでいるところでございまして、これによって、本年夏ごろを目途に、業務センターへの進達から三カ月程度でその部分のお支払いはできるようにということを目指しております。

 それから、それに引き続く、年金時効特例法に基づく給付の部分でございますが、これについてもシステム改善に取り組んでいるところでございまして、できるだけ早期に、再裁定の処理がなされた後二カ月ないし三カ月程度で支払いをさせていただくということを目指しているところでございます。

○古屋(範)委員 一年程度かかるというのは非常に長いというふうに思います。当然、高齢の方なわけですので、今、増員またシステム改変等で御努力をされているようでございますけれども、速やかな事務手続、支給というものを再度お願いしておきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 次に、このように年金記録の訂正がなされた方を対象といたしまして、本来の支給日よりも大幅におくれて支払われる年金給付の額について、現在価値に見合う額になるようにするために加算年金を付そうとする遅延加算金法案は、大変評価をできる法案である、このように考えております。

 その上で、やはり確実に対象の方の手元に加算金が届くかという、この事務手続、事務処理上の円滑さが最も求められている、このように思います。こうした考え方に沿って、法案の内容に一定の見直しを行うことについて与野党で合意していることにつきましては、大変望ましい、このように私は受けとめております。

 このため、社会保険庁においては、こうした与野党の合意を前提として、加算金の支給のために万全の準備を行うべきであると考えます。政府の御決意を伺いたいと思います。

○石井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような加算金を支給する場合には、対象となる方々に迅速かつ確実にお支払いをするためのシステムが必要となります。その開発には、大変恐縮ながら一定の期間がかかります。

 しかしながら、社会保険庁といたしましては、与野党の合意に基づく法案が成立いたしました場合におきましては、これは可能な限り早期に、また円滑に施行できるよう最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 ぜひとも、この与野党合意に沿った形で、迅速な準備、また万全の準備をお願いしたい、このように思っております。よろしくお願い申し上げます。

 次に、政府提出の国民年金法改正案についてお尋ねをしてまいります。

 今回政府から提出をされました国民年金法改正案につきましては、平成二十一年度から基礎年金国庫負担割合を二分の一に引き上げるということ、また、年金制度の長期的な安定性を確保し、国民からの制度に対する信頼をかち得るためにも、ぜひとも早期成立が望まれるところでございます。

 しかしながら、持続可能な年金制度の構築という点で、年金財政を支える屋台骨を太く確かなものにしていくということ、つまり、今後、我が国経済が現在の世界的な金融危機から脱出をして、力強い回復を続け、安定的な成長を図る、そこが最も大事な観点であります。加えまして、世代と世代の支え合いの仕組みである公的年金制度においては、年金財政を支える担い手を育てていくということも非常に重要なポイントであると考えます。

 そこで、本日は、年金制度との関係を含めて、次世代育成支援策についてお伺いをしてまいります。

 我が国の年金制度は、現役世代がその上の老後世代を支え、支える側にいた現役世代が年をとれば、またその下の世代に支えられて年金を受け取る側に回る、こういう世代と世代を連綿とつなぐ長期的な制度となっております。

 こうした世代と世代の助け合いの仕組みは、年金の専門用語では賦課方式と呼ばれておりますけれども、積立方式で運営されている民間保険と比べて、インフレなどの経済変動に強いというメリットがあります。例えば、高度経済成長期のように年一〇%を超えるインフレが起こった場合、積立方式の年金制度では、積立金が物価の伸びに比べて目減りをするリスクがございます。

 しかし、賦課方式では、現役世代の賃金の伸びによりカバーをすることができるわけです。また、昨年のアメリカの金融危機に端を発する現下の世界的な不況に伴い、金融資産が瞬時に下落をする大きな社会不安を呼び起こしたわけでありますが、賦課方式の年金制度はこうしたリスクにも比較的強いと言われております。

 その一方で、賦課方式の年金制度を維持していくためには人口構成のバランスを保つことが大変重要になってまいります。この点で、我が国が世界でも類を見ない急速な少子高齢社会を迎えているという状況にありますことは、社会経済全体に与える影響もさることながら、年金制度にとっても大変憂慮すべき事態と言わざるを得ません。

 これに関しまして、今回の法案審議において、現行の年金制度が百年安心プランなのかどうかといった言葉の辞書的な意味に拘泥する議論もございましたけれども、建設的な議論をしなければならない、このように思います。平成十六年度改正によって、現行の年金制度は、おおむね百年間、長期的な給付と負担の均衡を見通しながら運営を行う仕組みとなっていて、その時々に予想し得る経済前提や出生率を用いて五年に一度の財政検証を行いつつ、制度の安定性を確認し、必要に応じた見直しを行うことが制度の本質であるということを指摘しておきたいと思っております。

 それはともかくといたしまして、私は、賦課方式による年金制度の長期的な安定性を高めるという観点からも、年金制度において次世代育成支援策をもっと拡充できないかという問題提起をしたいと思っております。

 例えば、ことし二月に厚生労働省が行った財政検証におきまして、今後の合計特殊出生率を一・二六と見込んでおりますけれども、これを現在の出生率である一・三四に置きかえるとすると、所得代替率五〇%相当程度を上回るという試算もできます。年金制度においても次世代育成支援策を講ずることにより、もちろん、子供を持つ持たないというのは個人の自由であります、しかし、子供を持ちたい、産みたいという方にその障壁を取り除く支援策を拡充して、結果として出生率が高まるということは非常に大事なことだと思っております。とりもなおさず、それが年金制度を持続可能なものにしていくということになります。

 さて、現行の年金制度では、サラリーマンを対象とする厚生年金において、従業員が育児休業等を取得した場合に年金保険料が免除をされまして、さらに給付額の算定に当たっては、休業前の報酬をもとに算定されることになっております。この仕組みは平成六年の年金制度改正において、本人負担分の保険料免除制度が導入されたと聞いておりますけれども、その後の改正により、事業主分の保険料免除にも拡充をされることになったと承知をしております。

 そこで、まず、育児休業期間中の保険料免除制度の改正の経緯及びその考え方について確認をしたいと思います。

○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 ますます賦課方式の性質が強まっておる現行の年金制度において、次世代育成支援の観点というのはますます注目され、重要なものとなっていくものと考えております。

 翻って、育児休業期間中の保険料免除制度は、平成六年に最初にできた改正がございます。夫婦共働き世帯の増加、核家族化の進展及び近年の出生率の低下などにより、次代を担う子供を産み育てやすい社会的な環境づくりに資するということで、最初は本人負担分の保険料のみ免除するということとされました。

 その後、六年後の平成十二年の年金制度改正では、次世代が育たないと年金制度がうまく回らないということから、実際の子育てに伴う負担を考え、子供のいる世帯といない世帯との公平を考慮して、年金制度としても何らかの対策を検討すべきという意見がありましたことを踏まえて、この保険料免除制度を、それまでの本人負担分の免除に加えて事業主負担にも適用して、労使ともども、その間の保険料を免除するということで対策を拡充したところでございます。

 さらに、平成十六年の年金制度改正においては、こうした次世代育成支援策をさらに充実したものにすべく、育児休業期間中の保険料免除制度につきまして、子供が一歳に到達するまでの期間から、制度を改めて、三歳に到達するまでの期間へ対象期間を拡充したという歩みを続けてまいりました。

○古屋(範)委員 今のお答えにありましたように、年金制度における支援措置は順次拡大をされてきたわけでありますが、そもそも、育児休業の取得については、大企業と中小企業の間で取得率に差があるのではないかという指摘がございます。人員体制、社内の福利厚生が充実している大企業に比べて、やはり中小企業に勤務する従業員は育児休業がとりにくい環境にあるということは想像にかたくありませんが、我が国産業を支える中小企業において育児休業を取得しやすい環境づくりを進めていくということが重要だと考えます。

 厚生労働省として、中小企業を含めて、育児休業取得促進のためにどのような取り組みをされているのかお伺いいたします。

○村木政府参考人 中小企業における育児休業制度、育児休業の取得率でございますが、御指摘のとおり、かなり事業所の規模によって差がございます。

 平成十九年度雇用均等基本調査によりますと、女性の育児休業取得率でございますが、五百人以上の事業所は九四・〇%、百人から四百九十九人の事業所は九三・三%、三十人から九十九人の事業者は八七・六%、五人から二十九人の事業所は六五・三%というふうになっておりまして、規模の大きい事業所ほど育児休業取得率が高くなっております。また、規定の整備率などを見ましても同じような傾向がございます。

 こうしたことから、中小企業における育児休業を進めるためには、一つには、やはり規定の整備をしっかりしていただくということ、それからもう一つは、中小企業の中で育児休業をとりやすい環境整備を行っていくことが重要というふうに考えております。

 このため、都道府県労働局におきまして、育児休業の規定整備について、個別の企業指導あるいは集団での企業指導を組み合わせまして、まず規定整備の指導を行っているところでございます。

 また、環境整備という面で、特に中小企業において育児休業等の利用者が初めて出たようなときに、中小企業子育て支援助成金の支給などを行っております。この助成金につきましては、平成二十年度の第二次補正予算におきまして、これまでは育児休業取得のお一人目とお二人目の方だけに助成金を支給しておりましたが、これを五人まで拡大するとともに、二人目以降の方の支給額を増額して制度の充実を図ったところでございます。

 今後とも、こうした取り組みによりまして、中小企業においても育児休業がとりやすいように、しっかりとその定着に努めてまいりたいと考えているところでございます。

○古屋(範)委員 やはり大企業よりは中小企業の方が取得しにくいというお答えだったかと思います。さまざまな支援策は講じられているようでございますけれども、さらに推進をしていかなければいけない、このように感じております。

 大臣がお戻りになりましたので、大臣に質問いたします。

 このように厚生年金においては支援措置がございます。その一方で、自営業者の国民年金に加入している方に関しては、厚生年金と異なりまして、出産、育児に着目した支援措置は当然設けられておりません。もちろん、厚生年金と国民年金とではその位置づけや役割が異なっている、あるいは利用者を単純に比較するというのも適当ではないかもしれません。

 国民年金は、基本的に定額保険料、定額給付の仕組みであり、所得が低いために保険料納付が困難な場合には保険料の免除が受けられる、この仕組みが整えられております。しかしながら、年金制度が世代と世代の支え合いの仕組みであることを考えますと、現行制度において、厚生年金のみに育児支援の仕組みが設けられていて、片や国民年金の側には設けられていないということは、国民の理解が得られるのかどうか、そのように思います。

 制度的課題は多々あるかと思いますけれども、現在は厚生年金の被保険者しか対象とされていない年金制度での次世代育成支援策について、自営業者の方などについても、育児期間については保険料を納めなくても給付が受けられるような仕組みをつくってはどうか、このように考えております。

 次世代育成支援策を年金制度全体に広げていくということは、えてして年金制度に関心を持ちにくい若い世代、自分にとっては遠い話である、そういうようなことから未納、未加入の問題も生じてくるわけなんですが、次世代育成を支援するという直接的なメッセージが自分に届けられると、制度に加入する具体的なメリットを訴えかけることにもつながり、意義深いことではないかと考えております。

 その一方で、最も大きな課題となるのはやはり財源問題です。特に国民年金においては、全国民共通の制度であることから、制度設計にもよりますが、その影響額は巨額になると想像されます。また、現行の国民年金は、定額保険料で定額給付の仕組みであり、世代内での所得再配分が働かないことや、そもそも保険料については、平成十六年改正によりまして、その上限が平成十六年度価格で一万六千九百円に固定をされております。

 次世代育成支援策の拡充のための財源をどのように確保するのかという点については、かなり難しい問題だということは私も認識をしております。年金制度における次世代育成支援策を自営業の方などにも拡充することについて、財源確保をどのように図っていくべきか、このような観点も含めて御見解をお聞きしたいと思います。

○舛添国務大臣 古屋委員、この問題は幾つかの切り口があると思います。

 一つは、厚生年金と国民年金、さまざまな違いがあります。それは事業者が半分払っていることから始まって、なぜそういう違いが出てきたのか、そしてその違いをなくすとすれば、まさにそのなぜかというところにメスを入れて、改善できるものは改善するということが必要だろうというふうに思います。

 既に古屋さんおっしゃったように、片一方、国民年金は定額の、今一万四千六百六十円ぐらいとか決まっていますね。それで、片一方は所得比例になっている。それから、もともとは、いわゆるサラリーマンというか労働者、被用者というのが厚生年金で、労働という観点が前に来た。国民年金は、それはもちろん自営業者も働いているんですけれども、そういう観点じゃなかった。こういうことで、これは全体の、今後の年金のあり方で一元化の議論がありますが、二つの年金制度の違いについてもっと詰める必要があるというふうに思います。

 そこで、もう一つの問題は、先ほど内山さんとの議論でも申し上げましたが、たしか上川さんともお話ししたように、年金制度全体でカバーできません、年金制度でカバーできないものをほかの制度でカバーする。年金制度でも、では、どこまでをカバーするかというのは、これは最低保障機能であって、育児期間中の保険料免除というものまで入れるのか、入れるならば国年の保険料を上げる、制度改正するということが必要になってくるので、直ちにというのはやはり難しいと思います。

 したがって、これは一つの考え方としては、そこまで年金制度には求めない、ほかの制度でやる。例えば中期プログラムの中でも、社会保障の機能強化の工程表の中に、まさにこの育児期間中の保険料免除は検討課題だと書いてあるので、それは今私が申し上げたような意味だと思います。

 そして、おっしゃったようにコスト、財源をどうするか。ただ、これは我々も含めて、国民年金というのは大地みたいなもので、最後はみんながそこに帰っていくものです。それから、国民年金に加入している人の性格も、国民年金ができたときから相当変わっている。そういうことも含めた上で、やはり幅広い議論をする必要があると思います。

 ただ、そういう抜本的な大きな改革をやる前にも、やはり育児期間中の子育て支援というのは必要ですから、これは、緊急な場合はほかの手段、年金じゃない制度で十分救えると私は思いますので、こういうことも含めて、今後また議論したいと思っております。

○古屋(範)委員 大臣、幾つかの観点から明確な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。非常に重要な観点かと思います。また今後、少し時間をかけて議論を深めてまいりたい、このように思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、関連いたしまして、同じく次世代育成支援策の一つであります保育施策について、特に、今現在急増しております待機児童の解消についてお伺いしてまいります。

 次世代育成支援策を進めるために、私は、子供を産み育てていても働きやすい環境づくりの整備が大事であると考えております。厚生労働省においても、新待機児童ゼロ作戦に基づきまして、待機児童の解消に向けた取り組みを進められていることと存じます。都市部を中心に、希望する人が子供を預けて働ける環境の実現のための取り組み、これはまだまだ不足していると思います。

 そうした中で、先週十日に政府が発表した経済危機対策において、子育て支援策として、安心こども基金に一千五百億円を追加して、借り上げ方式で保育所を設置する場合の賃借料に対する補助の拡充等を行うとともに、自治体負担の軽減を行うという施策が盛り込まれました。今回打ち出された施策は、景気回復のみならず、今後の次世代育成支援策においても重要な柱になるのではないか、このように考えております。

 詳しい内容につきまして現在検討中であるとは思いますが、現時点で、経済危機対策の中で、政府として待機児童解消に向けて、例えばどのような取り組みを進めていこうとされているのか、お伺いいたします。

○村木政府参考人 待機児童対策でございますが、これにつきましては、平成二十年度第二次補正予算において、一千億円の安心こども基金を創設いたしました。これに加えて、今般の経済危機対策におきましてこの基金を増額し、保育サービスの充実を図ろうとしております。

 具体的な内容につきましては、今後、関係省庁との間で調整を経て決定されていくことになりますが、とりわけ足元の雇用情勢の悪化によりまして、待機児童が非常に増加をしておりますので、即効性のある対応策に特に焦点を当てて、新待機児童ゼロ作戦の取り組みのさらなる拡充を図っていきたいと思っております。

 先ほど先生がおっしゃっていただきました、借り上げ方式で保育所を設置する場合の賃借料に対する補助の拡充ですとか、それから、保育所がある場所によって、非常に不便なところだと比較的あきがあるというようなこともありますので、そうすると、もう少し広域的に保育所という資源を活用できるかというようなことも、今、急ぎ検討をしております。できるだけ早く検討をして、よい施策を立てていきたいというふうに考えているところでございます。

○古屋(範)委員 長期的に見ても働きたいという女性はふえておりますし、また、こうした経済危機の中で、働かなければいけない、こういう母親も急増しているわけでございます。待機児童解消に向けて、迅速な取り組みをよろしくお願い申し上げます。

 さらに、公明党といたしまして、国民の安心感が重要であるということで、困っている国民に直接支援の手を差し伸べ、またその施策を実感できるようにということを主張いたしまして、この経済危機対策の中に、ひとり親家庭、社会的養護等への支援の拡充を盛り込むこともできました。この支援の拡充が、母子加算の廃止を補って余りあるものとなるよう期待をいたしております。

 私は、これまで一貫して、テレワーク、ITを使った在宅就労の拡充に取り組んでまいりました。この働き方をぜひとも母子家庭にも普及、定着をさせたいと考えております。それは、母子家庭のお母様が、家事や子育ての負担と仕事とを一人で背負わなければいけない、その厳しい状況に配慮いたしますと、テレワークのような在宅就業、家庭と仕事の両立を図りやすい働き方が必要ではないかと考えているからでございます。このテレワークを一つの良質な就業形態として確立するための支援策を講じることが極めて重要であると考えております。

 さらに、在宅就業に関する支援体制の整備は、ひとり親家庭のお母様だけではなく、高齢者、また障害のある方々にとっても大きな効果が見込まれるということから、テレワークの飛躍的な拡大に向けた環境整備への取り組みを進めていただきたい、このように考えております。

 母と子支援議員連盟でも、母子家庭の母等の在宅就業を進めるため、業務の開拓、従事者の能力開発、相談支援等を一体的に進めるため、中核となるセンター機能を持つ機関の創設、託児サービスつきの訓練、夜間、休日の訓練機会の拡大、そして官民を挙げ、母子家庭の母等の在宅就業に適した業務の開拓、創出など、要望を提出したところでございます。

 今回の経済危機対策の中で、母子家庭等、在宅就業に関する支援体制の整備が進むことが期待をされております。母子加算の廃止で、病気や育児で働けない世帯には支援がなくなってしまうとの不安を抱えているシングルマザーも多いわけですが、こうした不安を払拭できる対策となるよう取り組んでいただきたい、このように思っております。

 そこで、大臣に、このテレワークの飛躍的な拡大に向けた環境整備や在宅就業支援事業の創設などの取り組みを進めていただきたい、このように考えますけれども、母子家庭等の在宅就業支援対策の強化など、ひとり親家庭への支援の拡充についてお伺いをいたします。

○舛添国務大臣 先般、古屋さんも含む、母と子支援議員連盟の皆さん、超党派の皆さんにおいでいただきまして、同じような御要望を賜りました。テレワークのような就業形態、これは非常にふさわしいと思っております。

 そこで、先般の経済危機対策におきましても、母子家庭等に対する在宅就業支援を進めていくということをうたっておりまして、その中で、具体的には、在宅就業の業務の開拓、仕事の品質管理、従事者の能力開発、相談支援等の取り組みを通じて、在宅就業を積極的に推進する地方自治体に対して支援を行うということを検討しております。

 またそのほかも、母子家庭等への資格の取得支援として、例えば母子家庭のお母さんが看護師さんなどの資格取得のために養成機関に通う際の生活費の負担軽減のため、これは促進費を拡充しております。

 こういうことを通じて、母子家庭等の置かれている状況に対するきめ細かい支援を今後とも続けてまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 力強い御答弁、ありがとうございました。

 こうした意味で、経済危機の中でその風をまともに受けている母子家庭、また、就労はしているんだけれども、非正規、パート労働等で非常に所得が低い、こういうひとり親に対しまして、ぜひともさらに強力な御支援をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、公明党が強く主張してまいりました女性特有のがん対策についてお尋ねをいたします。

 政府は、がん対策推進基本計画におきまして、五年以内にがん検診の受診率を五〇%とするということを目標に掲げて、現在、各地域の実情に応じた、がん検診の受診率向上に係るモデル的な取り組みに対する支援、また全国共通のキャッチフレーズによる集中キャンペーンの実施など、国、地方自治体、企業、関係団体等が一体となって受診率の向上に努力をされております。

 さらに、今回の経済危機対策におきまして女性特有のがん対策が盛り込まれたことは、がん検診の受診率の向上に大きな効果があるものと期待をされております。これは、舛添大臣が、先日の公明党東京都本部の申し入れを真摯にお受けとめいただいた結果と感謝をしております。

 今回の対策では、一定の年齢、子宮頸がん検診については二十歳、二十五歳、三十歳、三十五歳及び四十歳、乳がん検診については四十歳、四十五歳、五十歳、五十五歳及び六十歳に達した女性に対して健康手帳を交付するとともに、子宮頸がん及び乳がんの検診料の自己負担をクーポンにより免除することとされております。

 この検診料自己負担分のクーポンにつきましては、できれば当事者が使いやすくすることが肝要と考えます。そこで、全国どこの市町村においても自由に使えることのできるフリークーポンとする必要があると考えております。これはいかがでございましょうか。

 また、その対象者でございますけれども、子宮頸がんについては二十歳から五歳刻みで四十歳まで、また、乳がんは四十歳から同様に六十歳までの各年齢としたことによりまして、今年度にこの年齢ではない方々については対象とならない。たまたまこの年齢に当たった方はラッキーであったということが言えるかもしれませんが、それ以外の方々は一体どうするのかという問題が残ります。来年度以降もこの措置を続けなければ、対象者がやはり限定されてしまい、受診率の大幅な向上は見込めないのではないか。五年間のうちに一度でも無料の検診が受けられることで、検診に対する意識が高まり、受診率がアップするものと期待されます。

 ぜひとも、クーポンが漏れなく行き渡るよう、この措置の恒久化をお願いしたいと思いますけれども、まず、この点を局長にお伺いいたします。

○上田政府参考人 子宮頸がん及び乳がんにつきましては、早期発見が重要でございます。これらのがん検診の受診率の向上のため、一定の年齢に達した女性に対し、子宮頸がん及び乳がん検診料の自己負担分を免除するなどの措置を講ずることにより、女性の方々の特有のがん対策を推進することとして経済危機対策に盛り込まれたものと認識をしているところでございます。

 この施策を使いやすいものとし、円滑に実施するためには、検診対象者の利便性を図ることが重要と考えております。厚生労働省といたしましては、市区町村に対して、一つは、休日、夜間における検診の実施、マンモグラフィー検診車の活用、それから、対象者が別の市区町村で検診を受けられるための、近隣の市区町村との連携の強化などの配慮をするよう関係者に協力を要請していきたい、このように考えております。

 また、制度の恒久化でございますが、これを機会に初めて検診を受けられる、こういう方も出てこられると思います。継続的な受診が期待されることになりますので、今後、今回の取り組みによるがん検診受診率向上への効果について、市区町村の実績をもとに検証を行うことにより、受診率向上を図るためにどのようなことが最良の取り組みか、こういうことを検討していきたいと考えております。

○古屋(範)委員 この乳がんにいたしましても子宮頸がんにいたしましても、今、がんの受診率が二割程度となっております。欧米では七割、八割という受診率をキープしているわけなんですが、日本においてはがん検診の受診率が非常に低いということでございます。

 東京都におきましては、このたび十万人のアンケート調査を行いまして、二割しか受けていないという現状に対して、検診を受けてみようと思うかという問いに対し、受けたい六一%、環境が整えば受けたい三四・五%、九割以上の女性が、受けたい、あるいは環境が整えば受けたいと言っているわけなんです。ですので、環境さえしっかりと整えていけば必ず検診率は向上していく、そのように考えております。

 また、要望としても、女性の医師なら受けたい、また、市区からの検診のお知らせが来れば受ける、定期検診の項目に入れる、休日、夜間なら受けたい、このようなお答えも返ってきておりまして、さまざまな総合的な施策が必要かと思います。特に今回のこのクーポンに関しては、その起爆剤となっていくのではないか、このように期待をいたしております。

 最後になりますけれども、今局長から詳しい御答弁をいただいたんですけれども、今回のがん検診の措置について、ぜひとも続けていただきたいと思いますので、大臣の御決意を伺いたいと思います。

○舛添国務大臣 この前、あるテレビの番組で、若い女性で子宮頸がん、これはちゃんと早く検診しておれば、今の体はたしか子宮を摘出なさったか何かだったと思うんですけれども、だから、自分のようにならないようにキャンペーンを張りたいと頑張っておる方がおられました。

 乳がんにしても子宮頸がんにしても、今、いい薬がありますから、見つかれば治ります。そういうことも考えると、先般、公明党の都連の皆さん方が来られて、今のアンケートもちょうだいいたしましたけれども、検診手帳をお配りいたしますし、クーポン、これも使いやすいようにしなければ意味がないので使いやすいようにして、隣の市町村に行っても使えるように、それは徹底的に自治体に指導したいと思います。

 これを機会にぜひ皆さんに行っていただいて、大事な御自分の体だし、そして今からお子さんをつくっていくということでありますから、そういう思いで、これはきちんとやりたいと思います。ちょうど妊婦健診を五回から十四回に公費負担を拡充した。まだいろいろ課題はありますけれども、それでも皆さん方に大変喜ばれております。どのアンケート調査でも、これは大変ありがたかったとおっしゃっているので、女性のがん対策、この検診の無料化ということも、そういう意味で、本当に皆さん方の命を我々は守りたいんだということでやりたいと思いますので、ぜひ頑張って、こちらもPRをします、そして使い勝手がいいようにします。

 そして、一たん入れたいい制度は、それはちゃんとフォローアップして、検証して、何が問題があるか。ただ、国民に支持されているいい制度は当然定着すべきものだと思っていますし、だれが厚生労働大臣であれ、それはきちんと定着させて、恒久化させていくという努力はするべきだと思っていますので、ぜひこれを契機に、がんを知って、がんと向き合って、がんと闘って、本当にがんを撲滅できるというか、撲滅という言葉は今は言いませんが、今も言ったように、がんをまず知って、向き合って、そして負けない、そういう社会をつくる一環として、今回これを大きなステップとしたいと思っていますので、ここにおられる委員の皆さん方も、ぜひPR方、御協力願えればと思います。

 ありがとうございます。

○古屋(範)委員 大臣、大変力強い御答弁ありがとうございました。舛添大臣になられて、子供たち、また女性たちに対する施策が大きく進んできた、私はこのように本当に感謝をいたしております。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日、次世代育成支援策に関連して質問をしてまいりました。今回の法案による基礎年金国庫負担割合二分の一への引き上げの実現が、年金財政の安定化を通じまして、国民の間に漠として広がっている、未来に対する不安を払拭することにつながるものであり、広い意味で、安心して子育てができる社会の実現に資するもの、こう思います。

 本法案の早期成立を求めまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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