第171回国会 衆議院 環境委員会-9号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。きょう最後の質疑になりますので、よろしくお願いいたします。

 これは通告はしておりませんが、大臣に、初めに話題になっておりますエコポイントについて一問お伺いしたいと思っております。

 エコポイント制度を五月十五日にスタートいたしまして、約一カ月が過ぎました。この間も、薄型テレビ、冷蔵庫、エアコンの合計販売金額は前年比で二割増であるという結果も出ております。試算によれば、経済効果四兆円、十二万人の雇用創出、またCO2の年間四百万トン削減にもつながるという試算も出ておりまして、非常に期待をされているところでございます。

 二十四日、エコポイントの商品交換につきましても発表されました。二百七十一の商品とサービスということで、さまざまなものが入っているようでございます。

 消費不況の中で、配送料を負担する事業者や、ポイント数を上回るプレミアムつき商品券を発行する商店街も多いと聞いております。国民の関心もだんだんとまた高まってきているというふうに感じております。ですので、ぜひともこの制度の周知徹底をお願いしたいと思っております。

 それで、団体、企業の方々より、エコポイントの交換商品が個人の所有物にはなじまないなどの理由で、エコポイントを寄附したい、寄附できないかという要望が寄せられております。エコポイントの受け皿として、環境団体や環境事業などへの寄附に活用できる制度が設けられないものかどうか、大臣にお伺いいたします。

○斉藤国務大臣 今、御質問の御趣旨は、個人ではなくて法人等がテレビを買った、エコポイントが出た、しかし、なかなかそれは個人が使いにくい、したがって、そのエコポイントを、例えば環境団体に、公益的なところに寄附できるような、そういう筋道を考えてほしいと。

 突然の御質問でございますので、今すぐここで答えられませんけれども、大変すばらしいアイデアだと思います。検討させていただきたいと思います。

○古屋(範)委員 ぜひ前向きな検討をよろしくお願い申し上げます。

 では次に、アライグマが鳥インフルエンザに感染していたという報道がございまして、この点について確認をしてまいります。

 ことしの四月三日から五日にかけまして、テレビを見ておりましたところ、国内に生息をする野生のアライグマが鳥インフルエンザH5N1に感染したことがわかったというニュースが流れました。私は日ごろアライグマに大変関心を持っておりまして、地元の神奈川、特に湘南から三浦半島にかけて非常にアライグマが増殖をしている、この外来生物に大変苦慮しているという現状がございます。

 そこで、この報道があった直後に、さらに豚由来の新型インフルエンザが流行してきたということであります。現在こちらの方はやや落ちつきを取り戻しておりますけれども、このアライグマの件についてお伺いしてまいります。

 アライグマに感染が見つかりましたこのH5N1型、豚由来の新型インフルエンザよりも強毒と言われております。国内で哺乳類の感染が報告されたのは初めてであると思います。各種の報道によりますと、東京大学と山口大学の共同研究によりまして、二〇〇五年から西日本と東日本の四地域で捕獲されましたアライグマ九百八十八頭の血液を分析、このうち十検体から過去にH5N1に感染したことを示す検体を検出したとの内容でありました。

 この一連の報道について、事実関係の確認、また、拡大の可能性、人への影響が心配されるのかどうか、お伺いしたいと思います。

 また、続きまして、海外ではトラやタヌキなどの哺乳類が鳥を食べてH5N1に感染したということが報告されていると伺っております。海外の感染事例についてお伺いしたいと思います。

 また、国内のアライグマの分布状況、駆除等の取り組みについてあわせてお伺いいたします。

○黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のありましたとおり、本年四月に開催されました日本獣医学会の学術集会で、研究者から、国内の野生アライグマからH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスの抗体が検出されたという研究発表がなされたところでございます。

 また、この発表の中では、高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染した野鳥を補食したことによってアライグマが鳥インフルエンザに感染した可能性が指摘されておりますし、一方で、アライグマ同士、アライグマの間では感染が広がっている状況にはないということも報告されております。そして、アライグマに関してでございますが、海外での感染が確認されたという報告はないと承知しておるところでございます。

 アライグマの間での感染が広がっておりませんし、ウイルスの自然界への排出量というのは非常に少ないということから、人や他の野生生物への感染というのはほとんど生じない、こういうふうに考えておるところでございます。

 つけ加えますと、高病原性鳥インフルエンザウイルスにつきましては、感染した個体と人が濃厚接触した場合を除いて感染することはまずない。海外におきましても、鳥以外の動物からH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスが人に感染した事例は報告されていないところでございます。

 それから、アライグマそのものの我が国の状況でございます。

 アライグマは外来生物でございますが、我が国では、北海道、関東、中部、近畿、それから九州北西部にモザイク状に分布して生息しておるところでございまして、現在、生息域が拡大しつつある、こういう状況にあるというふうに確認しております。

 いろいろなものを食べる、いわゆる雑食性でございます。アライグマが定着いたしますとその地域で農業被害等が発生するということで、地方公共団体が主体となって、平成十八年度で見ますと、全国で約一万頭を捕獲して被害の防除に努めている、こういう状況でございます。

○古屋(範)委員 心配することはないというお答えだったかと思います。また、さまざま対策がとられている最中でもあると思います。

 農水省では、研究報告が行われました直後、四月六日付で都道府県畜産主務部長と日本獣医師会会長に対しまして「高病原性鳥インフルエンザの防疫対策の徹底について」との通知を出して、関係者への周知徹底が図られております。また、環境省でも、各都道府県野生生物行政担当部局に対しまして「野生鳥獣感染症に係る野生生物の取扱い等について」という通達を出していらっしゃるということであります。

 さらに、今回の補正で、環境省は、野鳥における鳥インフルエンザ対策として、感染実験を行う経費約一億円を計上して、国内の野鳥の感染症モニタリング実施体制の強化、あるいはウイルス感染経路解明のための調査、アライグマなどの野生生物の感染実験など、総合的、効果的な対策を行うことによって、国民の安全、安心の確保が図られることを期待されております。

 そこで、古川政務官に、野生生物における鳥インフルエンザ対策強化について御見解をお伺いいたします。

○古川大臣政務官 お答え申し上げます。

 野生生物の中でも野鳥における対策につきましては、平成十七年度からウイルスの保有状況につきましてモニタリングを開始しております。平成二十年九月には対応技術マニュアルを取りまとめまして、二十年度以降は対象地域を全国に拡大して行っております。

 さらに、先生から御紹介いただきましたように、平成二十一年におきましては、野鳥以外の野生生物、アライグマの感染歴が確認されましたことを踏まえまして、二十一年度補正予算におきまして、巡視、モニタリング実施体制の強化、渡り鳥の飛来経路の解明、アライグマなどの野生動物の感染実験など、強化策のための予算を確保したところでございます。

 引き続き全国におけるモニタリングを進めてまいりたい、それをもちまして対策を進めてまいりたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 今流行しておりますのは弱毒性、豚由来のものでありますけれども、これから秋にかけて第二波が訪れるのではないかという危惧もございますし、こうした強毒性、H5N1の方もいつ流行が起きるかわからない、そういう危険性がございます。全省庁挙げて取り組んでいかなければいけないと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 では、きょうの本題でございます深刻化する子供の健康と環境についてお伺いしてまいります。

 近年、世界共通の現象として、子供の心身の異常が年々増加していることが指摘されております。我が国でも子供の健康の悪化というのが非常に大きな課題となっております。

 例えば、学校保健統計調査によりますと、小学生のぜんそく罹患率は二十年間で四倍に増加しております。また、小児の肥満が三十年間で一・五倍になっております。また、ダウン症や水頭症、二分脊椎症などの先天性異常も二十五年間で二倍と大幅にふえております。こうしたことが国際先天異常監視機構から報告されております。

 さらに、アレルギーなどの免疫系疾患や小児糖尿病などの内分泌異常、代謝異常、また、男児の出生率の低さなど生殖異常の増加、自閉症児などの増加なども報告されております。

 私たちの生活環境には化学物質があふれているわけであります。化学物質は有用でありますけれども、その一方で、過去には公害、薬害、そして今でもシックハウス、化学物質過敏症、さらには、近年急増しておりますぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、花粉症などのアレルギーの病気で悩む国民は三分の一を超えているということであります。

 私も国会議員になる前からこうしたアレルギー対策には力を入れて取り組んでまいりました。公明党では二〇〇〇年に全国で署名運動を展開しまして、千四百六十四万人という大きな声をちょうだいして、この十年間にさまざまなアレルギー対策をなし遂げてまいりました。臨床研究センターの開設、加工食品のアレルギー表示の義務化、アレルギー診断薬の継続、免疫・アレルギー科学総合研究センターの設置、アナフィラキシーショックに対応できる救命用の自己注射エピペンの早期承認また救急救命士の使用の解禁、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインを全国の学校で活用できる取り組みなど、いろいろなことを進めてまいりました。

 こうした罹患後の対策というのは進んできたようにも思います。しかし、アレルギー疾患となった原因の究明はまだまだこれからであると思います。

 アレルギー疾患の問題もそうですけれども、そのほかに、がん疾患、学習障害、行動障害、自閉症などの発達障害、不妊症の背景にも化学物質の関与が疑われております。特に、子供は発展途上にあるわけで、こうした化学物質の影響を受けやすいことが知られていまして、環境中のごく微量な化学物質が長い期間を経て体内に蓄積をされ、発達段階の子供にいろいろな面から悪影響を及ぼしていく可能性が指摘されております。

 こうした疾患の原因究明と、子供の健康を守るための必要な環境整備が喫緊の課題と思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

○斉藤国務大臣 今委員から御指摘のあったいろいろな項目について、子供たちの事例が非常にふえている、それも、同じような環境にありながら、大人のふえ方よりもはるかに子供のふえ方の方が大きいという状況を踏まえて、子供は小さな大人ではないという基本的な観点から調査を進めていく必要があるだろうと、このように問題意識はまさに共有しております。

 こういう問題意識のもと、これから数万人規模でコホート調査、疫学調査を十数年にわたって行っていくということを環境省としても決断したところです。

○古屋(範)委員 大臣が御就任になられまして、一つには、「緑の経済と社会の変革」ということで日本版グリーン・ニューディールを掲げられて、そして第二のテーマとして、今御答弁になられました子供の健康と環境に対する取り組みを始められたということで、非常にこれは大きな意義があると思っております。

 現在、環境省では、こうした現状を踏まえて、今おっしゃったように、二〇一〇年度から全国各地で六万人のお母さんたちを対象に調査を開始するということを発表していらっしゃいます。そこで、この調査は具体的にどのようなものか、その実施の概要とスケジュールについて簡潔に御説明いただきたいと思っております。

 今回の大規模な調査に関しましては、各省庁と連携の上いろいろな要素を取り入れて調査を行うことが有効であると考えますけれども、この点いかがでございましょうか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。

 子どもの健康と環境に関する全国調査につきましては、昨年度から全国五カ所でパイロット調査を開始したところでございます。全国調査を来年度から実施してまいりますが、そのための基本設計や実施体制をしっかりとこのパイロット調査の中で取りまとめていきたいと考えております。

 実際の本調査につきましては、規模としては約六万人以上というものを考えておりまして、来年度以降、約三年間かけて協力していただける妊婦の方々を募っていく、こういう予定をしております。

 また、その結果の方でございますが、出生時の先天異常などにつきましては、生まれてすぐ異常がわかるわけでございます。したがって、それらにつきましては、調査開始後、数年で新しい知見も得られると考えております。ただ一方で、精神、神経発達につきましては子供がある程度成長しないとわからないところがございますので、今のところ、この全国調査では、十二歳になるまで追っかけていくという予定をしております。したがいまして、参加者の募集期間と合わせますと、約十五年間の調査になると考えております。

 また、関係省庁との連携についてですが、この調査そのものは、私どもとして、環境中の化学物質等との関係を中心に考えておりますが、子供の健康に影響を及ぼす要因としましては、そのほかに、社会的な要因でありますとか遺伝的な要因、あるいは生活習慣などさまざまな要因がございますので、これらについての研究も我々の集団で行えるような共通の基盤となるような、そういうような設計をしたいと考えております。このため、省庁間の連携としましては、厚生労働省あるいは文部科学省などの関係省庁と現在相談を行っております。

○古屋(範)委員 六万人規模、そして非常に長期にわたる調査を実施されていくということであります。

 世界の現状を見ますと、一九九七年、世界八カ国の環境大臣会合が開かれて、子供の環境保健を最優先事項とするマイアミ宣言が採択されたわけであります。そして現在、子供の健康と環境に関する国家プロジェクトが米国でも行われております。またさらに、ノルウェー、デンマークなどでも進行中であります。いずれも疫学調査は、十万人程度を対象としている、それぞれ大規模なものと聞いております。この疫学調査の世界各国での取り組み状況をお伺いしたいと思っております。

 また、加えて、米国では、自閉症児の数が、一九九二年の一万五千五百八十人から二〇〇六年には二十二万人へと、十四年間で十四倍に増加しているということであります。各国ともに深刻な課題を抱えているということでありまして、効果的な対策が実行できるよう、研究成果や情報を共有していくことが大事であると思います。

 この四月二十二日から二十四日、イタリアのシラクサで開催されましたG8環境大臣会合の際に、我が国の提案で、子供の健康と環境が議題として取り上げられました。ここで斉藤大臣が基調講演を行い、調査研究を各国連携して推進するよう提案されたと伺っております。また、日米で協力して調査研究を推進していくことも合意されたと聞いております。

 この大臣の提案、本当にすばらしいというふうに評価をしております。子供の健康に関する疫学調査、ぜひとも国際的な連携強化を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。

○斉藤国務大臣 先日行われましたG8環境大臣会合、これは、G8といいますが、実質は二十カ国の環境大臣が集まりました。その中で、現在こういう調査を行っているアメリカ、ノルウェーそれからデンマーク、米国からも報告がありましたし、私も日本の現状について基調報告をさせていただいたところです。まだ行っていない各国から、我々も大変興味がある、ぜひ何らかの形で参加させてほしいという声が相次ぎました。

 各国で調査をするのも大事ですが、それらを合わせて研究すればより精度が上がりますし、また、日本では気づかないいろいろな問題についても我々は知見を得ることができるということで、この国際協力は非常に大事だと思います。この環境大臣会合をプラットホームにして国際協力を進めていきたいと思います。

○古屋(範)委員 この疫学調査、国際的連携の中で、ぜひまた日本がリーダーシップをとって進めていただきたいと思っております。

 最近、農薬の空中散布による有機燐中毒被害、あるいは学校や家庭での殺虫剤や防虫剤使用によるアレルギー症状など、殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの薬剤使用による子供の健康被害が非常に深刻となっております。また、学校や体育館、図書館、保育園、幼稚園等の公共施設で、床用のワックスの使用、あるいは教科書の印刷物、絵の具やクレヨンなど、こうした教材に含まれる化学物質に反応する子供たちも多いと聞いております。

 こうした子供の生活環境における健康被害の状況を把握して、環境健康問題について正しい知識、理解を親や教職員が身につけるためにも、環境省が関係省庁に働きかけて、子供の環境における使用化学物質、殺虫剤やワックスなどの家庭用品等の全国調査を連携して実施すべきと考えますけれども、この点いかがでしょうか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省としましては、大気や水質あるいは土壌などの環境中の化学物質について、化学物質環境実態調査というものを実施しております。これらを初め、さまざまな環境モニタリングを地方公共団体と連携して実施しております。ただ、御質問にありました個別の施設や製品につきましては、それぞれの所管省庁において安全性の確保に必要な措置が講じられると承知しております。

 御提案のありました調査につきましては、環境省としては、先ほど来申し上げております子どもの健康と環境に関する調査から新しい知見が得られると思いますので、そのような知見につきまして、リスクが高いと判明した物質等がございましたら、その情報を関係省庁に対して積極的に提供していくなど、協力して取り組んでいきたいと考えております。

○古屋(範)委員 私のもとにも、教育現場の教員がこうした問題に非常に無理解であるという御意見が寄せられております。化学物質過敏症でアレルギー疾患の子供たち、またそうしたお子さんを持つ親御さんたちは大変苦労していらっしゃいます。そこで、こうした調査をしっかり行い、子供たちへの対応についても教職員の研修をしっかり行って理解を深めていくことが大事なのではないか、そのように思いますので、また引き続きよろしくお願い申し上げます。

 次に、子供たちにとって、化学物質に対する感受性というのは成人とはやはり違うのではないかと言われております。また、自分の判断でそうしたものから身を守るということが非常に困難であるということもあります。今申し上げましたけれども、学校においては、シックスクールなど、教室内や保育園、体育館などの床ワックス使用による空気汚染、また、校庭や公園などの殺虫剤散布、遊具や建物、家電製品の塗料への鉛の使用、食品中の残留基準など、子供を有害化学物質の暴露からどのようにして守っていったらいいのか、対策の基本方針を明確にしていく必要がある、このように考えます。

 有害性が疑われる化学物質による子供への健康影響を未然に防止するために、東京都では、二〇〇二年に国に先駆けまして化学物質の子どもガイドラインを策定いたしました。二〇〇二年七月に鉛ガイドラインを発表したのに続きまして、室内空気編、殺虫剤樹木散布編、また食事編と、東京都として独自に進めてきております。ガイドラインは、代替品への転換や使用量の削減に向けた対策などを内容としておりまして、子供たちが安心して生活できる環境の実現を目指したものとなっております。

 また、埼玉県でもシックスクールマニュアルというものを作成して、教育施設に限定されておりますが、これも参考になるかと思います。

 環境大臣は、さきのG8環境大臣会合におきましても、子供の脆弱性に着目したリスク評価、リスク管理体制の構築を推進するとの御提案をされております。この提案の実現のために、国としても、こうした東京都のガイドラインなどをモデルに化学物質に関する子供環境保健ガイドラインというものを導入されてはいかがかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○原政府参考人 御紹介のありました東京都が作成しております独自の化学物質の子どもガイドライン、四編ほど今現在出ておりますけれども、これにつきましては、地方自治体による先進的な事例でありまして、地域住民とのリスクコミュニケーションを図る上で非常に効果的、重要な取り組みだというふうに考えております。

 環境省としましても、先ほど来の全国調査が開始されましたらさまざまな科学的知見が蓄積されると考えておりまして、その成果をもとに、ガイドライン等の策定も視野に含めまして、積極的なリスクコミュニケーションを推進してまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 最後の質問になります。大臣にお伺いいたします。

 こうした胎児期、また胎児期から乳幼児期での微量の化学物質の暴露が脳神経系の発達に悪影響を及ぼす、そうした実験結果も発表されております。現行の大人を基準とした安全基準では、実際に子供の健康を守るには不十分ではないかということを考えております。子供は小さな大人ではない、先ほども大臣おっしゃいました。特に胎児期、乳幼児期には、化学物質に対して高い感受性を持っているのではないかと思います。やはり大人とは違うと思います。また、大人より有害物質の解毒や排出がうまくいっていない、そういうメカニズムがまだまだできていないとも言われております。

 繰り返して申し上げましたけれども、子供の健康、環境中の有害物質等の影響と思われるアレルギー疾患、シックスクール症候群、化学物質過敏症などが年々深刻化していることからも、早急な対応が求められていると思います。

 しかし、現状の子供環境健康対策では、環境省、また厚生労働省、文部科学省、国土交通省など所管の省庁がばらばらで、多省庁にまたがっております。実効性ある総合的な対策は非常に難しいというのが現状です。省庁の枠を超えた対応が重要であり、子供の健康に着目した総合的な法律の制定が必要なのではないかと考えております。

 ことしの四月に、斉藤大臣そして河村官房長官を訪ねて、子供環境保健に関する申し入れをさせていただきました。子供を環境健康被害の脅威から守るため、発達過程での影響に着目をして、予防原則を基本理念に置いた、仮称ですけれども、子供環境健康推進法の制定を検討すべきと考えておりますけれども、最後にこれに関して大臣のお考えをお伺いいたします。

○斉藤国務大臣 子供の健康と環境に関しての問題意識は、今、古屋委員と私は全く一致をしておりますし、そういうことでいろいろな提言をされていることに対して心から敬意を表する次第です。

 省庁を超えた大きなリーダーシップをということでございますが、それにはまず科学的な知見ということが最も説得力のある武器になると思います。来年度から大規模な調査を進めていきます。十数年にわたる調査ですけれども、新しい知見が得られればその都度それを即座に政策にしていく、また実行していくということが肝要でございまして、そういう意味で、この調査をきっちりやって、それをもって他省庁を説得して、全政府的な取り組みにしていきたいと思っております。そういう意味で、法律も大変意義のあることと私は認識しております。

○古屋(範)委員 力強い答弁、ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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