第174回国会 衆議院 厚生労働委員会 12号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 初めに、グループホームの火災の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 札幌でのグループホームの火災から約二週間がたちまして、お亡くなりになった方、また、けがをされた方、心からお見舞いを申し上げたいと思っております。

 平成十八年、長崎県でのグループホームの火災から四年がたちました。こうした事件を背景に消防法が改正をされまして、スプリンクラーの設置基準も見直しをされてまいりました。

 このような事故が起こった際に真っ先に被害に遭うのが、認知症の高齢の方々であります。こうしたときにスプリンクラーが設置をされていますと、初期消火に非常に役立つ、消防車が到着するまでの間何とかしのぐことができるということで、すべての施設に設置をするのが理想的だと考えております。

 私も総務大臣政務官のときにこの消防法の改正にかかわってまいりましたが、そのときに大変大きな課題となりましたのが、やはり費用面のことでございます。現在、スプリンクラーに国庫補助はありますが、自動火災報知機とあわせまして小規模施設でも数百万に上る自己負担額、施設の経営を圧迫して防災設備を整えられないというのが現状であります。

 今後、特に都市部ではグループホームなど小規模なものがふえていくことが予想されておりますし、このような悲劇を二度と繰り返さない、そのためにも早急な検討が必要です。そこで、費用負担について、これまで以上に国庫補助を拡大する必要がある、このように考えますけれども、この点についての御見解を伺いたいと思います。

 さらに、全国すべての高齢者施設に火災の可能性がある。防災対策は欠かせないものであります。グループホーム等介護施設には、夜間時の避難訓練や防災マニュアルの策定、地域住民との連携など、やらなければならないことが山積をしております。夜間の職員の体制の、人件費などの問題でやはり手薄になっていたことが指摘をされております。こうした防災対策、グループホームに任せきりにするのではなく、国が積極的に支援をするべきだ、このように考えますが、大臣の御見解を伺います。

○長妻国務大臣 まずは、防災防火体制をきちっと整備するというのが重要でありまして、現状把握をきちっとしていこうということで、三月十八日からおおむね一カ月かけて実態把握をしようということで、サンプル的にまず出てまいりましたのは、七県七市の集計で、グループホームにおけるスプリンクラーの設置割合は四八・七%。これは、二千七十八のグループホームを調べましたら、スプリンクラーですけれども、設置済みが千十三ということで四八・七%、約半数しかと言っていいんでしょうか、スプリンクラーがないというような実態もわかりまして、これは、面積基準との問題、そして費用の問題ということであります。

 そしてもう一つは、スプリンクラーだけではもちろんございませんで、さまざまな警報装置なども含めた論点があると思います。まず実態把握をした上で、消防用設備の設置に対する補助、あるいは夜間を含めた防火安全体制のあり方について、関係省庁間で対応を今後とも協議して結論を出していきたいと思います。

○古屋(範)委員 実態調査をされまして四八・七%の設置率ということで、非常にこれは低いということが言えるかと思います。

 こうした小規模の施設で、自力で避難できない要介護者、重度の障害者が入所する施設、五千三百九施設、これは消防庁の〇九年の調査なんです。粗い計算ですが、平均して二百五十万円でこれが設置できるといたしますと、費用は約百三十二億円なんですね。ですので、命を守る政治というふうにおっしゃっていますので、大きな額ではないと思います、ぜひ積極的な支援をお願いしたい。このことを再度要望しておきたいと思っております。

 次に、インドネシア、フィリピンからの介護福祉士候補者の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 この両国とのEPAによりまして、インドネシアまたフィリピンから看護師、介護福祉士の候補が来日をいたしまして、一年以上が経過をいたしました。

 両国とも、当初の二年間で看護師候補者四百人、介護福祉士候補者は六百人、日本に派遣できることとなっております。しかし、これまで来日したのは約八百八十人にとどまるということで、実際には非常に低調であります。さらに、二〇一〇年度は、両国から受け入れる日本の施設と求人数が、インドネシアは今年度の三分の一に、フィリピンも半分以下になっていることがわかりました。

 その理由といたしましては、候補者が働く病院や施設は、日本人と同等以上の賃金を支払う義務がある反面、介護福祉士候補者を配置基準上の人員に、これが配置をしてもその人員に算定できないということになっております。また、日本語研修費など、一人当たり数十万円の負担が生じてしまう。さらに、技術指導の責務を負うなど、実質的に受け入れ施設側の負担が余りにも大きいということが指摘をされております。

 また、これは先日、三月二十四日に発表された調査でありますけれども、候補者のコミュニケーション能力ということで出てまいりました御意見、一方でコミュニケーション不足により問題事例が発生したと回答した割合が約三割から五割ございましたということで、非常に現場も苦労しながら受け入れているという実態でございます。

 こうした現状については、大臣はどう思われるのか。日本語教育また試験対策など施設への丸投げ、こうしたことを抜本的に改めていかなくてはならないと思います。国の責任で日本語教育に取り組むべきと考えますが、大臣、この点いかがでしょうか。

○長妻国務大臣 今おっしゃられたように、最大のポイントは日本語教育ということだと思います。

 一昨日、二十四日に現状把握ということでまず発表させていただいた調査は、今引用していただいたように、インドネシア人の介護福祉士候補者の受け入れ実態調査でありますけれども、現場にお話をお伺いしますと、引き継ぎや申し送りについて、簡単な言葉でゆっくり話をしてもなかなか支障があるという回答が施設長や研修責任者から二割から四割あった、次に、コミュニケーション不足により問題事例が発生したという回答が三割から五割あったということで、やはりこれを突き詰めていくと日本語の問題となります。

 そこで、一つは、厚生労働省としてやはり日本語教育をきちっとサポートしようということで、二十一年度予算は八千万でしたが、二十二年度予算は大幅にふやして八・七億円ということの予算を、日本語教育ということでつけさせていただいたところであります。

 あるいは、二十二年度から新たに二つの事業を始めようということで、介護福祉士候補者の日本語習得を支援するために、受け入れ施設が独自に外国人の候補者を日本語学校へ通学させた場合に費用の一部を助成しよう、あるいは、介護福祉士候補者を集めた集合研修を実施して、日本語習得の評価や国家試験を見据えた学習方法を提示する、こういうふうな事業を始めております。

 いずれにしても、やはり日本語をきちっと一定のレベルまで習得していただくというのが大前提となりますので、これについて我々も支援を申し上げていこうと考えております。

○古屋(範)委員 ぜひ、日本語教育へのさらなる支援をお願いしたいと思います。

 次に、外国人看護師、介護福祉士候補者への試験制度についてお伺いしてまいります。

 この国家試験では、やはり専門用語が非常に多い、日本人である私などにも非常に難しい漢字が含まれております。実際に、昨年の看護師の国家試験合格者はゼロでありました。また、介護福祉士は、日本人受験者でさえも合格率が五割であります。こういう状況では非常に意欲も低下してしまうのではないか、このように考えます。

 もちろん、医療、福祉の現場では、投薬、カルテの作成など、非常に専門用語がかかわってまいりますし、日本語ができなくてはいけないという意見もございます。しかし、このインドネシア、フィリピンから来日している方々は、母国ではきちんと資格を持っていらっしゃいます。難解な漢字がたとえ読めなくても、仕事に大きな支障があるとは考えにくいという御意見もございます。今回来日した方々は、勉学、また就労、研修に熱心に励む方が多く、関係者や実際に看護、介護を受けている患者さんからは非常に好感を持たれているということも聞いております。

 試験の目的は、本来、看護、介護に必要な知識を身につけているかどうか、これを問うことであると思います。漢字にルビを振るような簡単な工夫はもちろんでありますが、外国語による専門試験と日本語検定の組み合わせとか電子辞書の持ち込みといった、日本語のハンディに配慮をした方法が考えられるべきと思います。

 また、看護師候補者は三年以内に受験機会は三回あるんですが、介護福祉士の場合には四年以内に一回という非常に少ないチャンスになっております。この試験制度を早急に改善すべきと思いますが、大臣、この点いかがでしょうか。

○長妻国務大臣 ちょうど本日の午後に看護師の試験の発表があるということで、何とか外国人の方が受かっていただくことを願っているところでございますけれども、今の試験の件で、まず二点を試験委員会において御検討いただこうというふうに考えております。

 まず一点目は、易しい日本語に置きかえても現場に混乱を来さないと考えられる用語については、別の言葉に言いかえることを検討する。例えば褥瘡という、床ずれのことでありますが、これは普通でも難しい言葉で、漢字は恐らく書ける人はかなり少ないのではないかというものがほかにもいろいろございますので、そういう件。

 そして二番目には、易しい日本語に置きかえたときに現場に混乱を来しかねないと考えられる用語については、何らかの注釈をつけるとか、いろいろな手だてを講じることができるのか、できないのか。

 まず、そういうようなものを検討していきたいと考えております。

○古屋(範)委員 ぜひ、さらなる試験制度の改善、この早急な検討をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、准介護福祉士の資格についてお伺いいたします。

 この資格、平成十九年に法改正が行われ、この際、EPAとの整合性の確保、あるいは激変緩和の観点から、養成施設を卒業した者は、当分の間、准介護福祉士の名称を用いることができる旨、規定が盛り込まれました。この改正の議論の中で、准介護福祉士を誕生させないよう、法施行後五年を目途に検討することが改正法附則に加えられ、実際には誕生させないよう、平成二十四年十二月五日をめどに所要の措置を講ずる内容の社会・援護局長通知もあるわけでございます。

 本年五月にフィリピン人介護福祉士候補者の募集が始まることを考えれば、この四月中に所要の措置を講ずる必要がある、このように考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

○長妻国務大臣 今のお尋ねは、准介護福祉士ということで、これは介護福祉士の養成校を卒業したけれども国家試験には合格していない方のことでございまして、こういう方の資格、こういう呼び名も含めた是非でございますけれども、これについて、今おっしゃられたように、公布後五年でありますから平成二十四年十二月をめどに、准介護福祉士制度について見直し規定が置かれているところであります。

 参議院の附帯決議でも、早急にフィリピン側と調整を行って、その結果を踏まえて速やかに介護福祉士への統一化を図るようという御指摘をいただいているところでありまして、これはフィリピン側との調整が必要となる話でもございますので、今関係省庁とも相談をしているところであります。

○古屋(範)委員 もう時間が参りましたので最後になりますが、出入国管理難民認定法で、就労を目的とする在留資格に介護が含まれておりません。特に、四年制大学などで介護を学ぶ外国人留学生、現状では卒業後に帰国を余儀なくされるケースもたくさんありまして、日本で、臨床の場でスキルアップする機会がないということが現状指摘されております。この日本で学び、その知識と技術を生かしたいという外国人留学生の意欲にこたえるためにも、在留資格にぜひ介護を加えていただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

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