第174回国会 衆議院 消費者問題に関する特別委員会 3号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、初めて消費者問題特別委員会で福島大臣に質問してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 日本で初めて消費者行政を全面的に担う機関として、私たち公明党も強力に推進してまいりました消費者庁が発足をいたしまして約半年が過ぎました。従来は多岐にわたった消費者行政の一元化や地方の消費者センターの充実強化など、消費者庁への国民の期待また注目というものは非常に大きなものがある、このように思います。私も、この消費者庁、大変期待をいたしておりますけれども、国民からの大きな期待にこたえるために、ぜひ、福島大臣の政治主導のもとに、生活者の視点に立った施策の推進をよろしくお願いしたいと思います。

 初めに、地方の消費者行政の充実強化のための取り組みについてお伺いをしてまいります。

 交付金は結果的に減額となりましたが、さらに、消費者行政関連予算も年々削減をされており、相談員の機能が衰退をしている、こうした懸念がございます。実際、消費者庁の平成二十年度地方消費者行政に関する調査結果を見ますと、平成二十年度の自治体の消費者行政関連予算は約百九億となっております。最も多かった平成七年度予算は約二百億ということでありますけれども、その五五%ということで、非常に少なくなっているのが現状でございます。

 さらに、本年一月に発表されました、消費者委員会が昨年末に調査をいたしました地方消費者行政の実態報告書を見ますと、四十七都道府県、千六百七十四市町村からの回答があった中で、消費生活センターや相談窓口の設置状況は、センター設置が二四%、窓口のみの設置が六〇%、未設置、無回答、これが一六%もありました。

 地方の相談窓口は、病院や警察などと同様に暮らしの安全網であると思います。また、住む場所によってそのネットが張られていない地域があるというのは大きな問題だと思います。特に悪質商法などの被害救済には、消費者がすぐに身近に相談できる窓口が絶対に必要だと思います。そうした地方消費者行政の充実・強化のためのプランも策定されたばかりであります。

 まず、この地方の相談窓口の整備拡充について大臣にお考えをお伺いいたします。

○福島国務大臣 どうもありがとうございます。

 また、数字をおっしゃっていただきましたが、そのとおりです。相談窓口も未設置の自治体があり、なかなか自治体がみんな取り組んでいるというわけではないことも本当に重大な問題だと思っています。

 おっしゃるとおり、地方自治体における消費者行政の予算がだんだん減っておりまして、自治体が持っていた商品テスト部門も実はどんどん撤退をしていっています。財政逼迫の折、また、地方公務員の削減などもあり、やはりなかなか、地方消費者行政を積極的にやるためのお金とそれから人員に苦しんでいるというところだと思います。しかし、にもかかわらず、消費者行政は重要なわけですから、すべての自治体において消費者行政を優先的に取り上げていただけるよう働きかけていっております。

 このため、各都道府県に地方消費者行政活性化交付金を交付するなど、財政措置を講じたところです。また、消費者行政に係る地方交付税措置については、平成二十一年度において、消費生活相談員の報酬単価を約百五十万円から約三百万円にするなど、基準財政需要を倍増いたしました。そして、今言っていただきましたが、本年二月に策定した地方消費者行政の充実・強化のためのプランの中で、小規模ながらも消費生活センターの設置に取り組んでいる事例や、複数の基礎自治体が連携して消費生活センターを設置している事例など、幅広く発信して、このような積極的な取り組みが他の自治体へも拡大することを期待しております。十一名増員をした地方協力課でも頑張ってまいります。

    〔委員長退席、辻委員長代理着席〕

○古屋(範)委員 予算人員が少ない予算を組まれた当事者でありますので、今さらそう言われてもとは思いますが、その中でるる御努力はされているということは今のお答えの中で酌み取ることができました。

 大臣、一月にこの調査をされたわけなんですが、この未設置、無回答一六%、ここに対して何か具体的な対策は講じられたんでしょうか。お伺いいたします。

○福島国務大臣 今、消費者庁の職員が手分けをして、いろいろな自治体に働きかけたり、小規模の自治体にも直接働きかけを行っております。ですから、未設置のところすべて、一六%に働きかけたかどうかは、ちょっとまだ私は今の段階で承知しておりませんが、一六%に対してこれからもしっかり働きかけてまいります。

○古屋(範)委員 ぜひ具体的に、消費者庁として、こうした地方の支援というものを確実に行っていただきたい、このことを再度要望しておきます。

 続きまして、地方の消費者行政の充実強化のもう一つの観点で、相談員の配置また処遇改善などを質問してまいります。

 もし自治体に消費者相談の窓口があったとしても、その約七割では専門の相談員が配置をされておりません。窓口の体制として不十分であるということがさきの調査でわかりました。相談員の仕事は、法律など高い専門性を要します。さらに、悪徳業者との交渉をする能力、経験なども求められるわけであり、相談員の経験年数、資格によって報酬設定基準を国が定めるということも必要ではないかと考えております。

 また、窓口設置の自治体で、相談員を設置しているのは三二%、残りの六八%の自治体では職員が対応しております。その職員の九九%は、窓口専任ではなく他の業務との兼任ということも明らかになりました。職員が兼務という状況では、相談窓口の業務というのは推進もままならないのではないか、こういうことが予測されます。また、職員は当然異動があるわけですので、相談窓口の経験が蓄積されにくい、ある程度蓄積されたころには他の部署に配置転換されてしまう、こういうことがあるわけです。

 消費者行政を担う担当の職員の専任化、あるいは担当部署の設置を推進すること、これが非常に重要な観点であろうというふうに思っております。

 また、相談員の処遇というのが非常に劣悪であります。年収百五十万円以上二百五十万円未満というのが五八%、百五十万円未満というのが三六%もあります。相談員のほとんどが非常勤職員で、約九割が一年間の雇用契約を繰り返す、非常に不安定な身分になっております。しかも、その契約の更新回数が五回という制限をされております。そういう自治体が二五%もあり、さらに、非常勤職員に関する勤務要綱や条例など定めがないという理由で通勤手当を支給していない自治体も五〇%あります。また、時間外勤務手当を支給していない自治体が七三%もある。

 これは、非常に処遇がよくないということのあらわれだと思います。これではよい相談員が育つわけがありません。こうした相談員の処遇改善、これは喫緊の課題であろう、このように考えております。

 そこで、今後、相談窓口を機能強化するために、相談員の配置、人数、待遇等について設置基準を定めるなど、国がもっと責任を持つべきである、このように考えます。こうした基準があれば自治体間による格差是正にもつながると思われますが、大臣、いかがでしょうか。

    〔辻委員長代理退席、委員長着席〕

○福島国務大臣 消費者委員会が、地方消費者行政を担う消費生活相談員の実態調査をして、その結果は、やはりまだまだ本当に待遇やこういう問題があるのだということを改めて、もとから、そのことは法案が議論されるときにもあったわけですが、消費者委員会でのきちっとした実態調査の中で、やはり改善が必要だということが本当に大きく浮かび上がってきたと思います。

 おっしゃるとおり、国が地方公共団体に対して消費生活相談員の配置や待遇の水準を義務づけたりガイドラインを提示すべきだという御指摘もいただいておりますし、それもやはり耳を傾けたいとは思っております。

 それで、基金をまず活用してもらうこと、それから、地方消費者行政推進本部を消費者庁の中につくっておりまして、今回十一名増員で地方協力課を新しくつくりますから、出かけていって各自治体に働きかけることを精力的に行います。そして、相談員の配置も含め消費生活相談体制の充実や、消費生活相談員の処遇改善を図るための制度的な課題を検討するため、私が本部長である地方消費者行政推進本部のもとにワーキンググループを設けております。夏をめどに、整理をし、結論を出して改善をやってまいります。

○古屋(範)委員 思いは伝わってまいりましたが、対策本部でワーキングチームをつくられるということでありまして、夏の結論だと遅いのではないかなという気がしております。やはり概算要求の前までにはきちっとした方針をつくられて予算に反映されなければ、これは現実的に実現しないのではないか、そのように思いますので、再度こうした処遇改善を要望しておきたいというふうに思います。

 重ねて、消費者基本法に、行政、事業者、消費者がおのおの責務を果たすとともに、消費者団体も積極的に役割を果たしていくことが必要ですと明記をされております。その役割を果たすためには、消費者団体を行政が支援していく、これが必要だと思います。

 全国消費者団体連絡会からの御要望もいただいておりますが、消費者団体が行う相談活動に対する財政支援、さらに、適格消費者団体が行う差しとめ請求関係業務に対する財政支援が必要であります。一刻も早い財政支援策を決定すべき、このように考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○福島国務大臣 ありがとうございます。

 消費者団体が消費者に対する相談業務や適格消費者団体による差しとめ請求関連業務を行うなど、消費者行政の推進、発展に、プレーヤーとして、ともに担う者として大変寄与していただいているところです。先ほども申し上げましたが、適格消費者団体も最近また北海道で一つふえて、各地域においてももっともっとふえていくといいというふうに思っております。

 附帯決議も踏まえて、適格消費者団体による差しとめ請求関係業務の遂行に必要な資金の確保、情報面における支援措置を初めとして、消費者団体の行う公益的な活動についての支援等のあり方をしっかり検討し、やってまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 やはり、こうした消費者団体とまた国と地方と連携をして消費者行政を行っていくことが非常に重要であると思います。ですので、大臣、これから来年度に向けてとおっしゃいましたので、ぜひ予算編成の段階でしっかりこの予算を確保していただきたい、事業仕分けに負けずに、こうした大事な予算ですので獲得していただきたい、このことを重ねて要望しておきます。

 それから次に、消費者ホットラインのことについてお伺いをしてまいります。

 一月十二日から全国運用が始まりましたこの消費者ホットライン、悪質商法また産地偽装、製品事故などの相談を受け付けて、消費者がトラブルに巻き込まれることを防いで暮らしの安全を守るものとしても非常に期待が高い、このように思います。

 消費者庁の目玉事業でもあるこのホットライン、全国統一番号も採用されていまして、土日祝日も対応するため、スタート直後の土日の利用は二千百三十二件に上り、国民生活センターに転送されて、相談員もフル稼働だったと伺っております。

 こうした消費者からの情報を一元的に集約して事故予防などにつなげる仕組みこそ国民が消費者庁に求めていたサービスである、このように思います。消費者からの情報は、今後、消費者行政の推進力となって、企業に対しては消費者保護の意識向上にもつながり、ホットラインの開設の意義は非常に大きい、このように考えております。

 全国運用を開始したばかりではありますが、早急に対応すべき課題も見えてきたと考えております。

 消費者庁は、積極的に広報し、被害者の声を拾いたいと強調されていますが、ホットラインを先行実施している五県では、実施から年末まで二千三百八十件の相談を受け付けていますけれども、昨年の同期から二百八十三件も減っておりまして、利用率が低迷をしております。こうした先行実施の実情を踏まえ、ホットラインの周知徹底を強力に進めていただきたいと考えております。

 また、使い勝手の悪さも指摘をされております。これは一月二十三日の東京新聞なんですが、「相談に直接対応してくれるのは、日中だけの自治体がほとんどで、PHSやIP電話からはかけられない。また相談を転送するには郵便番号の入力を求められるなど手間がかかる。」「郵便番号を知らない人やお年寄りはやりづらいシステム」だと批判をしているところもあるということでございます。こうした利用のしにくさを早急に解消していかなければいけないのではないか、そういうふうに思うんです。

 ホットラインだけには限りませんが、先ほども指摘いたしました、相談員の経験、能力の問題もあると思います。消費者相談に熱心な地域と、またそうでない地域、相談員の能力に差ができることも懸念をされます。相談員の力量や知識に差があれば、相談対応、解決手段に差ができてしまい、番号は全国統一であっても、結果的に地域間格差が生まれてしまう。相談員の研修、養成は重要であります。

 すぐに取り組めることとして、国は、集めた情報をデータベース化して、相談員がその情報を活用できる、共有できるように、情報を生かす視点が重要ではないかと思うんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

○福島国務大臣 消費者ホットラインについて聞いてくだすって、ありがとうございます。

 名刺に、消費生活相談はこちらへ、ちょっとちっちゃくて済みませんが、消費者ホットライン、〇五七〇—〇六四—三七〇(守ろうよみんなを)という、これを入れて名刺を配っておりまして、おっしゃるとおり、広報を、〇六四—三七〇(守ろうよみんなを)というのが周知徹底するようにというふうに思っていますし、その効果を高めるように頑張ってまいります。

 使い勝手の改善を望む声があることは本当に承知をしています。より使い勝手のよいものにしていくために努力をしていきます。

 最後に、委員がおっしゃった、消費者ホットラインに来た相談をどう生かしていくかということなんですが、今、消費者ホットラインからの相談の情報については、PIO—NET、全国消費生活情報ネットワークシステムに入力されておりまして、消費生活相談員が活用できるということになっております。ですから、全国から集められてきたこのホットラインの情報をPIO—NETにも導入して、相談員の皆さんがそれを大いに活用して機敏に対応できるようにということもやっております。

○古屋(範)委員 引き続き、このホットラインが効果を上げていくようお取り組みをお願いいたします。

 次に、就活商法の実態ということで質問してまいります。

 私も、息子が今就職活動中なんですが、就職氷河期ということで非常に厳しい状況であります。大学生の就職活動も非常に厳しさを増しておりまして、こうした状況の中で、就職相談を装って、就職活動中の大学生を高額な英会話教室などに勧誘するトラブルが相次いでいるということが国民生活センターに報告をされております。二〇〇四年以降千四十四件の相談が寄せられているそうであります。

 また、昨年は、九月末までに、一昨年同期を二十件上回る九十六件の相談があったということで、その内容を見ますと、外国語・会話教室というのが最も多い。次いで、資格講座、自己啓発セミナーなどの精神修養講座、パソコン・ワープロ教室ということです。契約者の性別、男性が六百四十八件、女性が三百九十二件。平均の契約金額が約六十七万ということで、学生にしては非常に大きな額の契約であるということがこの調査から読み取れると思います。

 それで、国民生活センターによりますと、トラブルの多くは、会社説明会の会場から出てきた学生を呼びとめて、就活に関するアンケートを行う、後日、就活に役立つ話が聞けると電話で呼びかけて、高額なこうした教室などに勧誘するという手口であります。こうした学生は、まだ社会経験がないということもありますし、就職に対する不安もある、こういうところにつけ込んで強引に契約させる、こういうケースが目立っております。

 大臣、この実態への御認識と、それから消費者庁としてのお取り組みについてお伺いいたします。

○福島国務大臣 ありがとうございます。息子さんの就活もうまくいくようにと思います。

 おっしゃるとおり、大学生や就活で、詐欺商法というか、就職に役立つとうたって強引に勧誘するトラブルが増加していることは十分承知しています。このため、昨年十一月に国民生活センターにより注意喚起をきっちり行いました。それから、それだけでは足りないので、消費者庁から、文部科学省を通じて、大学に対して注意喚起の協力をしてくれるよう要請をいたしました。また、英会話教室の勧誘を行う際、大学生に対し、就職に対する不安をあおった上で虚偽の説明や迷惑を覚えさせるような勧誘を行っていた事業者に対して、先月、二月に特定商取引法に基づく行政処分を行いました。

 引き続き、悪質な事案に対しては厳正に対処してまいります。

○古屋(範)委員 こうした就活トラブル、断り切れずに契約してしまっても、クーリングオフ、契約の取り消しができる、こうしたことをぜひ周知徹底していただきたい。今、文科省を通じてやっているというふうにおっしゃいましたけれども、こうしたことも徹底をしていただきたいと思いますし、また、クレジット会社などが、こうした契約に関して、内容確認、勧誘方法など問題がないかのチェックをもっと徹底していく必要がある、このように思いますので、これは要望にとどめておきたいと思っております。

 では次に、高齢者に対する悪質商法の実態についての御認識を伺いたいと思います。

 昨年摘発した特定商取引事件、前年より十件ふえておりまして百五十二件、統計をとり始めた平成二年以降で最多となっております。被害者四百六十一人のうち六十五歳以上の高齢者が六九%と過去最高となっておりまして、被害総額も一億八千七百四十万円ということで、五年間で約一・五倍に増加をしております。全国の被害者数、被害総額は減少傾向にはありますけれども、高齢者の被害というものは目立っております。

 被害者の中には、寂しくて、来てくれた方がいい人だ、そう思ってしまうというケースもありますし、また、被害に遭ったことを認識できないで、何度も同じように契約を繰り返してしまうというケースもございます。

 このように、高齢者をねらう悪質商法による被害が後を絶たないわけなんですが、こうした高齢者をターゲットにした訪問販売等の被害の苦情が全国の消費生活センターに数多く寄せられていると思います。

 まず、これに対する御認識を伺いたいということと、それから、事業者優先から国民一人一人の立場に立った行政に転換していくとの所信を述べていらっしゃいますので、高齢者をねらう悪質商法の防止を図るために、こうした悪質業者を摘発しやすい体制整備にしっかり取り組んでいただきたい、このように思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○福島国務大臣 先ほど一言教育についておっしゃっていただいたので、一言申し上げます。

 学校で使う教科書で消費者教育をどう教えているかについて洗い直しを行っています。クーリングオフを一つ知っているか知らないかでも随分違ってくるだろう。消費者教育についても、消費者庁のリーダーシップのもとに、関係省庁、消費者団体、教育関係者等をメンバーとする消費者教育推進会議を開催して、推進体制を確立し、充実を図ってまいります。

 今おっしゃった、高齢者についての消費者トラブルです。

 五月は消費者月間ですが、ことしの消費者月間のテーマは、高齢者に対する消費者被害をなくそうということをターゲットにしてやっていこうと思っています。今、少子高齢化で、高齢者の皆さんが、今、古屋委員がおっしゃったように、例えばひとり暮らしとか、つい訪問販売で買ってしまうとかありますので、五月の消費者月間は、高齢者に対する消費者被害をなくそうということで、大きくキャンペーンをやってまいります。

 御存じ、改正特定商取引法が昨年十二月に施行されました。また、実は、最近高齢者の皆さんは、未公開株や社債の勧誘をめぐるトラブルや、新たな金融商品や貴金属や、そういうところでも発生しています。このため、消費者庁では、警察庁、金融庁と対策チームを設置いたしました。PIO—NET情報を集約することにより、取り締まり強化や、高齢者とその周辺の方々に対する普及啓発の徹底などを柱とする対応策をまとめました。

 何が変わったかといいますと、PIO—NETに載せるときに時間がかかると被害が拡大することがあるので、本当に、瞬時といってもまあ一日、二日かかるとは思いますが、PIO—NETにできるだけ早く情報を載せる。そして、そこも、事業名やいろいろなものは載せられたらできるだけ載せる。そうすると、相談員の皆さんが、どこどこ地域、例えば東北地方のどこで今どうもこういう詐欺商法や訪問販売の被害がふえているらしいというのを瞬時に把握して、警察やいろいろな連携で、自治体とも連携をとって未然防止もできるというふうに思っております。

 ですから、これは対応策を取りまとめて、対策、取り締まり強化を関係省庁と連携してやっておりますので、引き続き、高齢者を含む消費者の一層の保護を図るべく、悪質な事業者に対して厳正な対応を行っていくとともに、PIO—NET情報を活用した注意喚起、普及啓発などを積極的に行ってまいります。

○古屋(範)委員 和服から始まり、さまざまな健康器具ですとか布団、リフォーム、本当に次から次へと後を絶たない、こうした高齢者をターゲットにした悪質商法、ぜひきちっとした対策をとっていただきたい、このように念願いたします。

 最後の質問になります。

 昨年の十一月、消費者庁におきましては、集団的消費者被害救済制度研究会というものを開催し、検討を始められました。

 マルチ商法というとどうしても民主党を思い浮かべてしまうんですが、業界から献金を受け取っていた議員がいるということであります。また、政権発足からわずか半年間で、政治と金の問題をめぐり、鳩山総理、小沢幹事長、また小林千代美議員、関係者が起訴されたことで、今後ますます国民全体が政治倫理の問題を注視していくものと思われます。

 そこで、消費者庁には、この集団的消費者被害救済制度研究会の会合が行われますが、民主党とマルチ商法企業の癒着問題もいずれかの機会にしっかり取り上げていただきたい、このように考えております。

 最後に、格差の社会、弱い立場に置かれた人とともにありたいとする社民党の党首である福島大臣、弱者である被害者の立場に立って消費者被害救済制度を一刻も早く確立していただきたい、このように思いますが、御所見をお伺いいたします。

○福島国務大臣 ありがとうございます。

 今言っていただいた消費者被害救済制度ということなんですが、言っていただいたとおり、これは重要な問題だから対処しようということで、違法収益の剥奪制度を初めとする集団的消費者被害救済制度について、消費者庁の発足に先立ち、内閣府において検討してきた、消費者庁において、調査研究等の成果も踏まえ、集団的消費者被害救済制度研究会を立ち上げました。昨年の十一月二十四日に第一回会合を開催し、現在までに六回開催をしております。

 これは、法的なことや、諸外国の制度や運用もきちっと検討しなければならない。今後、消費者委員会の意見も聞きながら、ことしの夏までに、財産保全制度について基礎的研究を進めるとともに、被害救済制度について考えられる選択肢の提示及び論点の整理を行ってまいります。

 また、きょう何度も登場しておりますが、三十日に閣議決定する予定の消費者基本計画では、いわゆるマルチ取引に関する苦情相談の実態を踏まえ、効果的な対応策について検討しますということも盛り込んでおりますので、さまざまな消費者被害についてきちっと対応してまいります。

○古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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