第177回国会 衆議院 厚生労働委員会 10号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 最初、法案の質疑に入る前に、先日残した質問がございますので、申しわけありません、幾つかさせていただきたいと思っております。

 まず初めに、不活化ポリオワクチンの緊急輸入についてお伺いをいたします。

 三月八日の当委員会におきまして、不活化ポリオワクチンの治験の進捗状況と、また、国産実現までの間は緊急輸入をすべきだということで、厚労省の見解を求めました。それに対しまして、岡本政務官から、四価ワクチンについては、本年末ごろより順次薬事承認申請がなされる予定であり、申請がなされた場合には、迅速に審査を行って、可能な限り早く導入をしたいという御答弁をいただきました。

 しかし、この不活化ポリオワクチンの承認がされるまでは、急いでいただいたとしてもやはり二年ぐらいはかかるのではないかということが見込まれます。ですので、この間、生ワクチンを使い続けることにより不安があるということは解消されていかないわけであります。

 特に、このたび東日本大震災が発生をいたしまして、多くの方が避難所にいらっしゃる。もちろん、乳幼児のいらっしゃる方は福祉避難所ということで、特に分けて配慮をしていらっしゃるようなんですが、一カ月過ぎて約四万六千人が避難所生活を送る宮城県では、ノロウイルスあるいはインフルエンザなど感染症の発生が広がりを見せております。衛生状態が悪化をしている、手洗いも十分にできない、入浴もままならない等、そういう避難所生活の中で、こういった感染症の集団発生のリスクは高いということを専門家も指摘をいたしております。

 こうした中で心配になりますのが、ポリオ生ワクチンを接種した場合に、そこから排出をされる便、約一カ月間ウイルスが排出をされるということです。衛生管理が不十分な場合に、便などから未接種の子供に感染するおそれもあるのではないか。不活化ワクチンへの切りかえは、こうした時期だからこそ待ったなしであると思っております。ぜひ早急に不活化ポリオワクチンへの切りかえが必要だ、海外で普及している不活化ポリオワクチンの緊急輸入をすべきと考えております。

 先日も、NHKの朝の番組でワクチンの特集をしておりました。Hibワクチン等々さまざま、あと、このポリオのこともやっておりまして、一人のお母さんが小児科に相談に行って、そこでは、自己輸入をしているために、どちらにしますかと選択をするようになっておりまして、家に帰って父親ともいろいろ相談をした結果、では、自己負担をしても我が家は不活化ワクチンを接種しようという結論に至ったという番組がありました。岡部先生、齋藤昭彦先生も出演されていて、どちらかといえば、当然不活化ワクチンに軍配が上がりますねと、さらっと結論をおっしゃっていました。

 こうしたように、しびれを切らした小児科の間では、独自に輸入をして接種をする動きも広がっております。安全性が高いとはいえ、万一副作用が出ても国の補償は受けられない。さらに、国が承認していないために、自己負担額は、生後二カ月から四回接種しなければいけない、一回当たり約四千五百円から一万円と、非常に高額です。それでも不活化にしようという方がいらっしゃるわけです。

 一昨年、海外企業による新型インフルエンザワクチンが短期間で承認、導入をされましたね。これは皆さん記憶に新しいところですが、不活化ワクチンについても当然同様の対応ができるのではないかと思います。

 我が子を守りたいという一心でポリオの予防接種を受けたいのに、それで足が不自由になる、親としてこれほど悲しいことはありません。どこの病院においても不活化ワクチンの接種が受けられるよう、ぜひ緊急輸入をしていただきたい。このことを再度質問したいと思います。いかがでしょうか。

○岡本大臣政務官 委員から、三月の八日でしたか、御質問をいただきました。

 委員のお気持ちというか、その委員のお言葉には、子供さんを持たれる大変多くの皆さんの思いがあるということを十分重く受けとめて、私も、委員の御趣旨に沿うことができるのかということを再度事務方とも話をしています。

 正直、繰り返しの答弁はしたくないものですから同じことは言うつもりはないんですが、委員から御指摘がありましたように、被災地の衛生状態を勘案すると、実際に自治体で今回接種を見合わせているところがある、そう承知をしていますし、他委員会でも話がありましたトイレ等の大変厳しい環境を見るにつけ、聞くにつけ、やはりこういったポリオの弱毒生ワクチンのリスクを考えるということはあり得る話なんだろうと思います。

 今改めて委員からお話をいただきましたので、私の方としても、再度、どういったことがとり得るのか、政務三役とも相談をしながら、少し事務方と改めて協議をしたいというふうには思っております。そういう意味で、委員の御指摘、重く受けとめさせていただきたいと思います。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 こういうときでありますので、今までの制度、規則、法律、そういうものを柔軟に考えていくということも、すべてそれが正義であるというわけではないと思いますので、さらに御検討をお願いしたいと思います。

 それから、保育所におけるアレルギーガイドラインの配付状況についてお伺いします。

 これができたということで、先日も質疑をさせていただきました。保育所におけるアレルギー対応ガイドライン、また、保育所におけるアレルギー対応ガイドラインQ&A、これを作成されました。非常に詳細な内容になっておりまして、作成されたことに敬意を表しております。

 これが文科省がつくられたものですので、外見を見ても相当予算に差があるなというのが如実に出ておりまして、厚生労働省の予算のなさがここにあらわれております。表紙があるない、それによって中身が決まるわけではありませんので、それをとやかく申すつもりはございませんけれども。

 文科省の方の、二十年四月にできた学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン、これは非常に内容もいいものであります。これを厚労省でも使ってほしいということを申し上げたんですが、別につくるということでこういうことになったと思います。長期間かかってつくられたものでありますので、有効に活用していただきたいなということは思っております。

 特に、食物アレルギーの重い発症ケースにおける対応について、エピペンという注射、これをするかしないにかかわらず、保育士の直接的なかかわりが明確に求められる形になったということがアレルギー対応ガイドライン発行の最も大きな意義ではないかと思っております。これによって、迷うことなくいざというときに注射ができる。

 そして第五章には、保育所内における組織的な取り組みにとどまることなく、保護者、嘱託医とともにアレルギーを持つお子さんに対する理解を深めて、行政も合わせた地域全体でアレルギー疾患に対応することが求められております。

 国の今後の対応はガイドラインに基づくことになりますけれども、三月十七日に公表されてからもう一カ月がたちます。全国の保育士への配付状況についてまずお伺いします。

○高井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、保育所におけるアレルギー対応ガイドラインでございますけれども、二十三年三月に発行いたしまして、各都道府県、政令指定都市、中核市に対し約二千部、日本医師会や保育団体等関係団体に対して約一千部配付したところでございます。また、厚生労働省のホームページで公表して、このガイドラインを広く周知徹底しているところでございまして、これらを通じまして保育所でのアレルギー対策の普及向上に努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 全体で三千部配付をされたということですが、保育所数を考えますと、それが今どのように行き渡っているのか疑問を持ちます。それで、中身につきましても、非常に専門的な内容になっておりますので、もらったからといって、すべてを理解するというのは非常に難しいと思っております。

 まず手元に届かなければいけないんですが、その点、御努力をいただきたいのと、この中身につきまして、渡したからすぐに運用ができるというものではないと思っております。各行政において、保育士、主治医への研修、保護者への啓発が必要かと思います。この三者がきちっと共有をすることで、全国各地のアレルギー児への対応が非常に向上してくると思います。

 そこで、専門医による研修が不可欠であると思っております。一読しただけではなかなか理解するのは難しいと思います。しかし、厚生労働省では、研修の予算もついていないようであります。関係団体に頼んでいると聞いております。これの活用方法をしっかり現場の保育士さんに周知徹底していくことが重要だと思うんですね。できれば予算を確保して、保育所の関係者がアレルギー疾患に対する認識を深めて、全体で適切な取り組みができるように取り組みをお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○高井政府参考人 御指摘いただきましたように、アレルギーの問題は専門性が高いということでございまして、単にガイドラインを周知するだけではなくて、保育所の保育士が共通認識のもとで対応できるようにしていく、こういうことで研修体制の強化も必要と考えております。

 今後、このガイドラインの有効な活用でございますけれども、保育団体が開催しております保育士等の研修会、これがブロック別等々いろいろ行われておりますので、そういう場において専門医等によるアレルギーに関する研修を組み込むように要請をいたしまして、保育所でのアレルギー対策の向上に努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 それが進むよう、まずは予算の確保をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、失業手当の特例の適用拡大についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 このたびの東日本大震災に伴います雇用保険の失業手当、失業給付の特例措置について、順次拡大、拡充をしてくださっていることは承知をいたしております。

 まず、この申請が煩雑であるという声が届いております。ぜひ、このような事態でありますし、申請について手続の簡略化等を進めていただかなければいけないと思っております。

 また、災害により休業を余儀なくされた方、一時的な離職を余儀なくされた方が雇用保険の失業手当を受給できる、災害時における雇用保険の特例措置があります。この失業給付について、災害救助法の指定地域にある事業所に限ることなく、ぜひ国内全域に適用を拡大してほしい、このことをまず要望したいと思います。

 ただし、この特例措置制度を利用して失業給付を受けた場合、受給後に雇用保険の被保険者資格を取得して再度失業給付を受けることとなったときには、今回の災害に伴う休業、一時的な離職前の被保険者期間は通算をされません。離職ではなく休業という取り扱いでありますが、この制度を活用すると、結局、結果的には離職と同じ取り扱いになってしまいます。

 すなわち、失業給付日数が振り出しに戻ってしまうわけです。仮に、休業中の工場などの復旧が進んで現場復帰できたときに、失業給付日数が残っていても、再就職手当ももらえず、リセットをされてしまうというわけです。この場合、十年、二十年など、長期雇用保険を掛けてきている社員の方々もいることを考えると、この制度を使うことは、労働者にとっては結果的に不利になってしまうのではないかと思われるわけなんです。

 そこで、在日数が残る仕組みにするなど、労働者がこの制度を活用したとしても不利益にならないよう、このような配慮ができないものか、この点についてお伺いします。

○細川国務大臣 今回の震災で、今、休業やむなし、こういうことになった皆さんに対しては、これはいろいろな制度の中で手厚くやらなければいけないというふうに思っております。

 そういうことで、離職をしなくても、休業ということでもこの基本手当を支給する、こういう特例をつくって被災された皆さん方を支援いたしております。

 それからもう一つ、委員の方から言われました、手続を簡素に、何とか簡便にやっていただけないか、こういうことでありますけれども、この点につきましても、本来行かなければならないハローワークでなくても、避難先の最寄りのハローワークでも受け付けをする、こういうようなことにもいたしております。また、手続のときの書類などにつきましても、会社が被災して書類などもなくなっているようなこともございますので、その点なんかについては可能な限りの疎明資料で受け付ける、こういうこともいたしております。そういう被災労働者の置かれた状況に合わせて簡素化を図っている、こういうところでございます。

 そこで、もう一つ言われました、特例によって一たんリセットされるので労働者の方に不利になるのではないか、そこを何とか、こういうことでありましたけれども、休業では適用されないのが本来なんですね。だけれども、こういう大震災でありますからということで、休業でも離職したのと同じような形の扱いをして特例を認めているわけなんですね。したがって、さらに特例の上にまた特例を認めるというのは、制度の趣旨から相当逸脱もするようなところもありまして、それについてはなかなか難しいんじゃないか。

 ただ、一年以内に復帰ということになれば、一年以内であれば、もとの受給資格に係る残りの給付日数分も基本手当の支給を受けることが可能だ、こういうことにいたしておりまして、そういうところでの救済というのはいたしているところでございます。

○古屋(範)委員 ありがとうございます。

 こうした失業手当の特例の適用拡大を速やかに行っていただいたことは、本当に感謝をしております。また、被災地以外でも申請ができるということで、県外に避難をされた方々にとっては非常にありがたい、そういう制度もつくっていただいているということでございます。これから復旧に向けて、生活の安定、収入また雇用ということを考えますと、やはりこれも含めて総合的な大きな雇用対策が必要かと思います。さらに前向きに御検討いただければと思っております。

 次に、求職者支援法の質問に入ってまいります。

 平成二十年にリーマン・ショックが起こりまして、世界的な経済危機が訪れました。このとき、日本においても非常に深刻な不況に陥ったわけであります。

 非正規労働者の解雇また雇いどめが続出をいたしまして、公明党としても、雇用保険を受給できない方々、生活保護に陥るのではなく、ここに第二のセーフティーネットがどうしても必要だという理念で、訓練期間中の生活保障給付制度、訓練・生活支援給付金というものを創設して推進してまいりました。緊急人材育成支援事業として実現をさせました。さらに、二〇〇九年の衆議院選挙で、この制度を恒久化する、これをマニフェストに掲げまして、私たちとしても取り組んできた経緯がございます。こうした第二のセーフティーネットの必要性、これは現政権においても引き継がれ、今回の法案提出に至ったというふうに理解をいたしております。

 非正規雇用のさらなる増加ですとか失業の長期化傾向、あるいは失業時に適切な所得保障、職業訓練機会が得られない方々、こういう方々が、いわゆるネットカフェ難民等々いろいろな言葉に象徴されますように、非常に長い無業期間というものを強いられたわけです。職業訓練とその期間中の所得保障を行うこの求職者支援制度の創立、これは、単なる所得保障だけではなく、就労への復帰を支えるセーフティーネットになっていくということが期待をされます。今回の法案が提出されて、制度の恒久化がなされるものというふうに評価をしております。

 これまで行われてまいりました緊急人材育成支援事業、これは、ハローワークが、雇用保険を受給できない方を対象に、民間の訓練実施機関が行う職業訓練をあっせんして、所得制限等の一定の要件のもとで、職業訓練期間中の生活保障として、訓練・生活給付金、単身者は月十万円、扶養家族がある場合には十二万円を支給するものでありました。予算措置による平成二十三年度までの時限事業として創設をされました。九月まで延長されております。

 このように、今まで、いわゆる基金事業、予算措置として行われてきたものですが、今回、こうした形で法案を提出して、法的な担保が得られるということになります。法制化されることによって、制度の対象となる失業者にとっての権利あるいは国の義務について、これまでとどのような違いがあるのか、その点についてお伺いいたします。

○小林大臣政務官 平成二十一年七月に開始された現在の緊急人材育成支援事業について、先ほど大臣からも答弁がありました。今日までに三十二万七千三百十四名の方が就職訓練を受講して、これは多くの方が再就職に結びついた、大変大きな成果を上げてきた、このように受けとめております。

 求職者支援制度については、この緊急人材育成事業の成果を踏まえて恒久制度とするものでありますけれども、その際には、求職者の方に早期に就職していただくこと、これが大事だと思っております。したがって、今まで以上に求人求職ニーズに即した適切な職業訓練が実施される仕組みを構築していきたい。先生がおっしゃったように、雇用保険制度と生活保護制度の間に第二のセーフティーネットをつくる、これが大きな目的になっております。

 このために、求職者支援制度においては、法案に規定しているように、厚生労働大臣が、関係者の意見を聞いて、職業訓練の実施目標、それと、効率的な実施を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項などを内容とする、全国レベルの訓練計画を定める、このようにしております。

 加えて、全国レベルの計画を踏まえて、都道府県を単位とした地域ごとに、労働局と都道府県、そして地域の労使団体や教育訓練機関との協議の場を設けて、地域の具体的なニーズをしっかり把握した上で訓練計画を定める、このようにしております。

 また、各地域においても、質、量ともに必要な職業訓練が実施されるように、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が訓練実施機関の開拓だとか訓練実施機関に対する支援を行うこと、このようにしております。

 これらの取り組みによって、真に求職、仕事を求める方の就職に結びつくように、職業訓練が的確に実施されるよう努めてまいります。

○古屋(範)委員 今政務官おっしゃいましたように、地域のニーズに合った職業訓練、そしてそこから就労に結びつけていくということは、非常に重要だと思っております。地域によっては、なかなかやりたい訓練の場が近くにないというふうなところもありますでしょう。そういうところの開拓も必要になってくるのかなというふうに思っております。

 次に、先ほども少し議論になりましたけれども、モラルハザードを払拭する制度設計について伺ってまいります。

 この求職者支援制度、職業訓練中の求職者に対して、職業訓練の実施を容易にする目的で生活費を支給していくという制度であります。本来の目的である職業訓練の受講よりも、生活費を受給することを主たる目的として制度を利用するモラルハザードが懸念をされるわけです。

 新聞報道によりますと、今まで行われてきました緊急人材育成事業において、ネイルアーティストの専門学校に中高年男性が行列をしたであるとか、ホームレス保護施設に入所する年配男性がエステティシャンの訓練を受講したいとハローワークに相談に来た、さまざまこのたぐいの報道がなされております。

 本案の第七条で、「職業訓練受講給付金の支給に関し必要な基準は、厚生労働省令で定める。」としていらっしゃいます。

 労働政策審議会の建議で、病気等欠席せざるを得ない場合を除いて訓練にすべて出席することを要件とする、あるいは、受給期間は原則一年、例外的に一年を超える訓練が必要なものは二年とする、あるいは、循環的な受給を防止するために、受給開始時点から六年の期間に一回、複数受講の場合は二回、給付が受けられる仕組みとする、あるいは、ハローワークでの求職支援を拒む場合に一定期間給付が受けられないようにするなど、いろいろと対策をとっていらっしゃるというふうに思います。

 職業訓練の公的支出が、国際的に見ても日本は低いですね。訓練の拡充が重要であることはもちろんなんですが、所得保障を受ける者の義務とペナルティーを明確にすることで、職業訓練を丁寧に調査、点検するとか、求職者の就労意欲を喚起し続ける仕組みが必要かと思います。

 職業訓練受講給付金支給に関する基準については、モラルハザードの懸念を払拭する制度設計にすべきと考えますが、これについて伺います。

○小林大臣政務官 先生おっしゃるように、モラルハザード、こういうことが生じないようにしていくことが大変大事だと思っております。

 求職者支援制度においては、やはり、真に就職を求めている人、そういう意欲ある方、こういう方に活用いただいて、早期に安定した就職につなげていく、このことが大変大事であります。

 このため、就職支援を一層強化して、ハローワークで個別に就職支援計画を作成し、訓練受講中及び訓練修了後も定期的に来所を求める、これは月に一回は来てもらう、このように考えております。訓練修了後において必要な場合には担当者制も用いて、支援を行っていく方針でございます。

 これらの支援を効果的に行うために、ハローワークにおいて、訓練受講前に、十分な職業相談を行い、訓練の必要性を慎重に判断するとともに、求職者の十分な理解を促進し、就職支援計画に沿った支援を受けることを確認すること、このようにしております。

 また、訓練開始後、対象者が就職支援計画に沿った支援に応じない場合については、給付を支給しないことや支給した額の三倍までの返還、返納の対象とするなどのペナルティーを科していきたい。

 このような対策で、給付金目的の訓練受講生を排除して、就職に向けて真剣に取り組む人に必要な支援が行えるように努めてまいります。

○古屋(範)委員 ハローワークへの来所ですとか支給額の三倍の返納を求めるなど、厳しい要件を課していらっしゃると思います。支給を受けただけで修了しない、病気などの特別な理由がない限りそういうことがないよう、これからも徹底した対策をとっていただきたいと思っています。

 次に、求職者支援制度、これは民間の専門学校等を活用することになっております。訓練実施機関も訓練の奨励金目当てで認定を受けて、実際には熱心に職業訓練に取り組んでいないというようなところもあるのではないかということが懸念をされます。

 現在実施をされております緊急人材育成支援事業では、訓練実施機関に対して、訓練コースを新たに認定した場合、最大四百万円ですか、新規訓練設定奨励金が支給をされるわけです。訓練実施期間中も受講者一人当たり月六万円または十万円の訓練奨励金が支給をされるということですね。

 厚生労働省は、平成二十二年八月に引き続き二十三年二月にも認定基準を改正して、新たな要件を導入するなど、厳格化をして訓練の質の向上を図っていらっしゃいます。訓練奨励金目当ての事業参入が相次ぎ、質が低下をしてしまうのではないかということも指摘をされております。

 今回の法制化に当たって、労働政策審議会の建議では、訓練実施機関にカリキュラムを積極的に改善する取り組みを促すために、就職実績に応じた財政支援を行うという仕組みを提言していました。求職者支援制度の創設に当たって、訓練実施機関にインセンティブを与えるような仕組みとする必要があると思います。訓練の質を確保していく、どのような制度や仕組みが適切と考えていらっしゃるのか、お聞きします。

○小林大臣政務官 今回の求職者支援制度においては、職業訓練の質の確保、向上を図るため、教育訓練の実績があることを要件に加えること、そして講師の要件を強化することなど、基金訓練事業の認定基準を強化することとしております。

 あわせて、訓練実施機関による訓練カリキュラムの改善だとか就職支援への積極的な取り組みを促すため、就職実績に応じた財政的支援を行うことを予定しております。

 さらに、訓練修了後の就職状況等を適切に把握してその後の認定に反映することを考えております。具体的には、過去の就職実績の高い訓練から優先的に認定をしていく、逆に言えば過去の就職実績が一定水準未満、おおむね三〇%程度を考えておりますけれども、この訓練は不認定としていく、こういうことを考えております。

 これらの取り組みを通じて、質の高い訓練が設定できるように努めてまいります。

○古屋(範)委員 受講に来る方においても、例えばITの訓練などにしても、全く初めて来る方と相当なキャリアを積んでから来る方、さまざまであると思います。余りにレベルが低い、そういった受講ではなかなか次の就労に結びついていくことも難しいかと思います。その辺の細やかなチェックをお願いしたいと思っております。

 次に、合宿型若者自立プログラムの廃止後の対応についてお伺いをしてまいります。

 この前身の若者自立塾事業といいますのは、平成二十一年、事業仕分けで廃止と判定をされました。平成二十二年度は、職業訓練制度の一環として、基金訓練によって合宿型若者自立プログラムとして再開をされたわけなんです。しかし、ことしの二月、基金訓練の質の向上を図るため、認定基準の改正によって、三月でこのプログラムもまた廃止になりました。非常に揺れ動いているような状況で、先が見えない中で今行われております。

 二月の二日に、私たち公明党としまして、NPO法人青少年自立援助センターの工藤理事長に来ていただきまして、いわゆる若者自立塾の今後についてお話を伺いました。自立塾、小泉政権時代の十七年度に、民間の運営方式によって全国二十カ所でスタートをしました。就労率も全国平均で六〇%を割り込んで、七〇%の目標ラインに及ばなかったということで、事業仕分けでは、効果が見えないということで厳しく、これが廃止という判定をいただいたわけです。

 例えば、通所型の職業訓練になじめない、働いたことがない、あるいは学校にも行っていなかった、引きこもり、ニート、不登校等の若者、これが何年も、あるいはもっと、五年、十年と続いていた、こういう方々には、では、きょうハローワークに行って職業を探してください、これはそこに行くことさえもできません。こういう方々に対して、確かに第一義的にはこういうことは家庭で行うべきであるのかなと私自身も思います。しかし、努力をしても結果的にそうなってしまったという場合もあるでしょう。

 こういう学校また仕事についていないニートと呼ばれる若者が、三カ月間合宿をしながら、まず、朝起きる、掃除をする、朝御飯を食べる、こういうところから始まって、いわゆる生活の基本をやり直す、仕事につく手前のところを訓練していくところから始めていくわけなんです。

 こういう方々の中には、やはり、家庭的にも恵まれず、学校に行くこと、そういう習慣が成り立っていない。普通であれば、学ぶことの喜びや、仕事をすることも大事である、仕事をすることも喜びだ、そういうことが自然な生活の中で習得をされていくんですが、そういうこともできなかったような家庭も実際にはあるわけです。

 こういう合宿の中で就労体験をして、自分を見詰め直す機会を得られる。心のよりどころを失ったという、この塾出身の方の声を伺いました。非常に重いものがあります。塾に来るまでは引きこもりに近い生活を送っていた若者もいます。三カ月で就職というのはかなり難しい注文だったのではないかとも思われるわけです。そこで、朝起きて、掃除をして、あるいはあいさつから始める。基本的なあいさつもなかなかできない、視線も人と合わせることができない、そういう方々がここで合宿型の訓練を行っておりました。

 この合宿型若者自立プログラム、一年という短期でなぜとめてしまったのか。一年ごとに制度が変わるというのは、運営する方も非常に不安定です。今後の合宿型支援は、社会的自立に困難を抱える子供、若者とするとともに、その困難の質を設定する、ニート、引きこもり、不登校以外に、発達障害、触法少年、また、低所得者、生活保護家庭の青少年も加えるなどの提言を工藤理事長からいただいたところであります。

 この合宿型若者自立プログラム廃止後の宿泊型支援について、お伺いしたいと思います。

○細川国務大臣 委員がおっしゃるように、ニートとかあるいは引きこもりなどの若者が、生活習慣などをしっかりして、そして職業的にも自立をしていく、それを国として応援するということは、これは大変重要なことだと思っております。

 そこで、基金訓練事業によります合宿型若者自立プログラムでは、生活訓練も含む職業的自立支援を実施してきたところです。生活訓練については、地域若者サポートステーション事業の機能を強化いたしまして、生活習慣やあるいはコミュニケーション能力の向上に向けて支援を行ってきております。

 そこで、基金訓練事業が終了した後、この基金訓練事業は、恒久化して求職者支援制度になるように、今、法案を審議していただいているんですけれども、この求職者支援制度の職業訓練、ここで若者の職業訓練もさせていただき、それからもう一つは、先ほど申し上げました地域若者サポートステーション事業の生活訓練、これを組み合わせまして、ニートやあるいは引きこもりなどの若者の自立支援というのをしっかりやっていきたい、このように考えているところでございます。

○古屋(範)委員 なかなか通所できない若者がおります。こういう方々を非常に大事にするのが民主党政権ではなかったかと思っております。自己責任とか家庭でやるべき、そうしてほうり出してしまうのではなく、通所できない方々への合宿型、いわゆる若者自立塾の存続を求めて、質問を終わります。

 以上です。

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