第177回国会 衆議院 厚生労働委員会 14号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、参考人の皆様、国会においでいただき、貴重な御意見をいただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思っております。

 公明党は、昨年の二月に、新・介護公明ビジョンというものを発表いたしました。十二の提案をいたしました。その中で、「二十四時間三百六十五日訪問介護サービスの大幅な拡充で、在宅支援の強化を目指す。」このことを柱の一つとして掲げております。

 改正案の二十四時間対応の定期巡回・随時対応訪問介護看護の創設は、今回、介護保険法改正の中心となるものと思っております。地域包括ケアシステムを実現するために、これはやはり非常に重要な政策であろうと思っております。私どもの提案とこれは相通ずると評価をいたしております。

 高齢者が住みなれた地域で、また安心して老後が暮らせる社会を目指していく。二〇二五年の姿を前提として、二〇一二年の介護保険制度改正では、抜本的な制度設計の見直しが必要となってまいります。

 二十四時間対応の定期巡回・随時対応訪問介護看護に関しましては、先ほど木村参考人、現場からの御意見をいただきました。さまざまな課題があることをお伺いしました。医療と介護の関係性、またエリアの問題もあろうかと思います。非常に遠く離れていて、通うのに非常に時間がかかるというようなところで、実際にこれがどう行われていくのか。また、重度の方は訪問対応してほしいというコールをどういうふうにしていくかなどなど、実際、いろいろ考えますと、プライバシー等の問題ですとか同居家族の問題、現実にこれを行っていこうとすると、いろいろな課題が見えてまいります。

 そこで、この二十四時間対応のサービスを実効性あるものとして、また普及させていく上で何が重要であるか、どうしていけばいいか、それに関して御意見をいただければと思います。

○木村参考人 ただいまの質問ですけれども、実際、この二十四時間型のものは、やはり大都市圏の中では非常に活用されるものだと考えております。地方都市では、移動距離で大変な時間ロスといいますか、そういうふうになると思いますので、地方都市の場合は地方都市で、今の訪問介護とか看護をうまく組み合わせて、ケアマネジメントの中できちっとやっていけばいいと考えています。大都市圏で、これだけの、先ほど人数を申し上げましたけれども、介護職員が二十三人程度、看護ができれば三人以上欲しいなというようなことで、ある程度大きな規模で大都市圏はうまく回ると思います。

 私は、このサービスを聞いたときに、前回の改定で、夜間対応型の訪問介護というものを導入した。夜間対応型の訪問介護を導入したんですけれども、これがなかなかうまくいっていない。

 実際、私は、青森市の地域密着型のサービスを指定する委員会に所属しております。昨年の夏過ぎに、一社、青森市内全域をカバーしている夜間対応型の訪問介護の事業所から休止届が出てまいりました。その理由は、利用者がほとんどいない。どうしてなんですかということを審議の中で問いましたら、夜間、赤の他人というか知らない人がかぎを持って入ってくるというのはどうなのか、こういうことが出ているわけであります。

 ただ、私は、これは夜間で担当がそういうふうになっているということであると信じておりまして、今度の場合は、日中からきちんと顔の見える関係で巡回していって、そして担当制とかを当然決めていかなきゃいけないんだと思うんです。それで、この人とこの人が回るし、もし医師の指示書が出ていれば、看護師さんでもこの人とこの人が回るんだよという安心な状態を見せてあげて、そして契約という形、当然その窓口はケアマネジャーがやっていって、そういう信頼関係というか、それをきちっとできる仕組みをつくっていくことが大事なのではないかと考えているところであります。

 以上であります。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。やはり、顔の見える関係、お互いに一対一の信頼関係を築き上げていく、これがこのサービスを実効性あるものにしていく上で必要である、こういう御意見だったと思います。

 ありがとうございました。

 この二十四時間対応の定期巡回・随時対応訪問介護看護の制度を運用していく上で、もう一つ問題になってくるのが人材の確保であろうと思っております。これは、介護人材が必要であるとともに、看護師の存在が非常に重要であると思っております。

 先ほど、佐藤参考人が最後に触れていらっしゃいましたけれども、看護師百五十万人がいて、訪問看護ステーション、こちらになかなか人材が誘導されていかないというふうにおっしゃっていました。在宅医療の拡充というものは、我が国にとって不可欠であると思っております。私も、半日なんですが、医師と一緒に、了解を得まして、訪問医療の現場を歩かせていただいたことがあります。その主役はやはり看護師さんだというふうに感じました。

 ただでさえ看護師不足が叫ばれている中で、医療と介護が連携をして、訪問看護ステーションの拡充をし、二十四時間対応のサービスを実行していくために、看護師の確保について何が一番必要か、それについてお伺いしたいと思います。

○佐藤参考人 訪問看護についての御質問、ありがとうございます。

 私ども訪問看護ステーション、今、全国で五千七百十数カ所あるんですけれども、零細で、いわゆる働きやすい職場環境にはなり得ていないところが非常に多いです。ですから、今度の二十四時間の巡回型のサービスがもしできたとしたら、そこが本当に働きやすい、やりがいを持って働きやすい職場になること、これが非常に重要ではないかと思います。

 その一つとしては、自分たちが主体的に判断して実際のケアが提供できるようなこと。それから、それに対する評価ですね。やはり給与の面でもきっちりと評価してもらって、病院との格差が一カ月数万円のような格差が生じて在宅で働かなくてはいけないような看護職の、そういう処遇の問題をもっともっと改善していただけるような、そういう政策を展開していただきたいと思います。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。給与も含めて働きやすい環境づくりをしていく、これが喫緊の課題であるということでございました。

 ありがとうございます。

 次に、大森参考人にお伺いをしてまいりたいと思います。

 最後に介護職員の処遇改善について少し言及をされていました。自公政権のときに、介護職員の処遇改善、これは重要課題であるということで、三%の報酬改定、そしてその後は介護職員の処遇改善交付金を積みまして累次の改善を進めてきた途上にあると言えるかと思います。

 今後、介護職員の処遇改善をさらに充実していかなければいけないと考えますが、今後の方向性について御意見があればお伺いしたいと思います。

○大森参考人 既に、三%アップとそれから交付金で、各事業所はそこで働く方々の処遇の中に入れ込み始めていまして、ということは、今後も給付金は外づけで続くのか、中に入るのか。既に中に入り始めています。しかし、待っている事業所もありまして、これからどうなるのかと不安げに待っています。

 したがいまして、そのことについてしっかりしたある決定がなされませんと、これは動かないんじゃないかと思うんですね。その点でいいますと、これが多分、今回の財政問題を考えるときに最大問題になるんじゃないか。ここは私どもの一存で決められるのか、政府及び国会の皆さん方がお決めくださるのか、やはりそれの調整問題があるなと見ているんですけれども、そこが一番悩ましいかなと思っています。

 きょうはその程度でございますけれども、よろしゅうございましょうか。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。これからやはり財源の問題も含めて、これは大きなポイントになってくるだろうというふうに思っております。高齢者が増加をしてくる、また二〇二五年には団塊の世代が七十五を超えてくる、介護人材の確保が急務であるということを考えますと、この点は皆が考えていかなければいけない最重要の課題だろうというふうに思っております。

 ありがとうございました。

 次に、服部参考人にお伺いをしてまいります。

 最後の結論部分で、それでも在宅の介護をあきらめないというふうにおっしゃっていました。自宅プラス地域プラス介護保険、医療の総合的なケアマネジメントを提案していらっしゃいます。

 私たちも昨年十二月、新しい福祉社会ビジョンというのを公明党が取りまとめをいたしました。そのテーマは、支え合いの社会ということでございます。やはり高齢者の住宅政策、これは日本においては非常に貧弱であると言わざるを得ないと思っております。住宅政策を拡充し、そして共助、支え合い、そして地域社会の構築、そこに介護、医療がプラスをして、それぞれの人に合った、そしてそのときに適合した切れ目ないサービスが提供できる、これが理想である。私も先生のおっしゃることに非常に共感を覚えました。

 最初、在宅で介護を利用している方の七一%が要支援から介護二であるという数字を示してくださいました。介護保険の目指しているものは、重度化を予防するということだと思っております。ですので、私も、軽度からの生活援助というのは重要であると考えております。

 今回、軽度者に係る給付の見直しはなされなかったわけなんですが、この課題は先送りとされてしまいました。軽度者に係る給付のあり方、これについてもう一度御意見をいただければと思います。

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