第177回国会 衆議院 厚生労働委員会 15号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 法案の前に、三問、震災関連をさせていただきたいと思っております。

 大震災から約二カ月がたちまして、被災者の受け入れ先では、今なお定員以上、四割以上もの方々を抱えている老人福祉施設も残っていると聞いております。また、いまだに水道も復旧しない、屋外の仮設トイレを使っている施設もあり、高齢の方々は非常に御苦労をしていらっしゃいます。停電また断水など、こうしたものが体の変化に与える影響、これは非常に大きいと言わざるを得ません。

 こうした中で、岩手県の釜石市では三カ所、仮設住宅に高齢者の介護サポート拠点施設を設置することとなった、このような報道がございました。仮設住宅ができても、これは本当に早く進めていただかなければいけないんですが、できた、その中に、こうした拠点となるものがつくられていくことが非常に重要だと思っております。

 先日、質問した答弁にも、サポート拠点を三十カ所程度はつくることになっているというお答えでございました。被災県、市町村に対してこの設置を積極的に進めていただきたいというふうに思っております。

 この拠点のイメージの資料をいただいておりますけれども、仮設住宅に併設をして総合相談機能を持たせるということであります。デイサービス、情報支援、日中活動などを行う。また、個人の家にも出向いて居宅サービス等も行っていく。配食、生活支援、交流スペース、またお願いをしておりました心の相談、こういうようなものも担っていくということでありまして、これが動いていけば、仮設住宅あるいはその周りにあるそれぞれの個人のお宅で暮らしている方にとっても、非常に大きな効果が期待されると思っております。

 この介護拠点なんですが、地域住民のニーズに合わせて自治体が自由に設計できるということであります。これ以外にも、ボランティアの活動拠点ですとか、高齢者だけではなく子供を含めた交流スペース、あるいは法律の相談、悩んでいる方も多いと思います、法律相談、法テラスとの連携など、あるいは地元の社協なども含めて、柔軟な対応が必要となってまいります。このサービス拠点をどう組み込んでいくかが課題であり、政府としても強力にサポートをお願いしたいと思っております。

 また、仮設はもちろんなんですが、復興住宅をつくる際も、サポートの拠点の併設というのは必要ではないかと思っております。二十四時間、継続してケアを提供することが非常に重要であると考えております。

 そこで、今回、介護保険法改正案のポイントであります二十四時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護、このサービスを被災地において先取りする形で、法案が成立する前に、サポート拠点においてもこのサービスを先んじて進めてはどうかと考えております。

 サポート拠点での二十四時間対応のサービス、これを提供していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○細川国務大臣 被災地での高齢者に対してのいろいろな総合的なサービス、これができるように、サポート拠点の設置を私どもは進めているところでございます。

 特に被災地では、地域包括ケアの実現に向けまして、地域の、被災地でもいろいろありますから、その実情に合わせて、サポート拠点の運営の一環として、この法案にありますような二十四時間定期巡回、そして随時対応サービス、これができれば避難者の高齢者の方たちにとっても大変いい効果が出てくるだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、今、二十三年度予算に盛り込まれておりますこの定期巡回・随時対応サービスのモデル事業をぜひ被災地で採用していただいて、あるいは私どももお勧めしますが、そこでこのモデル事業を実際にやっていただく。この法案を先取りしてその事業をやっていただき、また、この法案が実施されるときにもその経験を生かしてやっていく。こういうことで、私は、このモデル事業をぜひ被災地でやっていただきたい。

 私は、今被災地は大変御苦労されておると思いますけれども、この地域包括ケアということは、被災地の皆さんの地域にとって、これを今後実現していくということは、被災地の皆さんの復興、再生のためにも、ぜひこれを実現していただけたらというふうに思っているところでございます。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 モデル事業を被災地において重点的に実施していきたい、こういう御答弁であったかと思います。

 被災地の行政は、今、仮設住宅を建てることでさえも非常に窮していると思いますので、さらにこうした拠点をつくり、またモデル事業を採用していくとなれば、やはり国の支援が必要になってくるかと思いますので、ぜひそのサポートをよろしくお願いしたい、このように思います。ありがとうございます。

 次に、二十四時間このサービスを可能にしていくためには、被災地の職員だけで行うのはやはり無理であると思っております。全国からの応援もございます。それも数年単位で息長く支えていくことも必要だと思っておりますが、やはり人員の確保が非常に難しい問題だと思っております。

 サポート拠点の機能として、医療、介護、看護、配食サービスなど生活支援、気軽に話ができるサロンの機能、また心のケアの相談など、多種多様なものが考えられているわけなんですが、それぞれ資格を持った専門分野の人材を確保していく必要もあります。

 このサポート拠点を生かしていくために、これは全国介護者支援協議会の上原会長から御提案をいただいたんですが、確かに人間でなければできない支援というものもあります。また、専門家が必要という分野も当然あります。それは最大進めていかなければいけないと思っております。しかし、ITで担える分野があれば、これはそこで活用していくということも一つ、人材確保が難しい場合、その補佐として使えるのではないか、このように考えております。

 仮設住宅向け見守りシステム、このような御提案をいただきました。端末をそれぞれ仮設住宅の高齢者の方々に持っていただく。その機能としては、電話相談であるとかコールセンターからの呼びかけ、あるいは、地域からのさまざまなお知らせ、情報提供、地域情報、また、本人の健康チェック、血圧などをチェックして、それをセンターに送る、あるいは、本人が血圧、脈拍、過去のデータがわかるなど、医療センターからのアドバイスの提供など、こうした機能を持たせて、ITを使って仮設住宅でやりとりをしてはどうかという御提案なんですね。

 それだけではなくて、ほかの機能がもしつけられるとすれば、ボタンを押すと、ここは介護予防体操ができるとか脳トレーニング、これは私も家でDSでやったりしているんですが、またお買い物サービス、買い物も大変だと。それぞれ音声ガイダンスなど、このようなものも設けていってはどうかという御提案をいただきました。

 確かに高齢の方々は、ITを使うというと、私の夫の母も、携帯を使うのもなかなか大変ということもあるんですが、習うよりなれろという言葉もありますので、こうしたITを使ってのサービスというようなものも活用してはどうかというふうに思っております。

 人でなければできないところはもちろん人のケアが必要なんですが、こうしたITの機能を活用して補佐できること、あるいは、ITだからこそ、そうした健康管理なども、人が巡回する以上に頻繁にチェックができる、このようなことができようかと思うんですが、この点についてお考えがあればお聞きしたいと思います。

○細川国務大臣 古屋委員の方からは、高齢者、特に被災地での高齢者、避難生活をされている方、そこでサポート拠点があっていろいろなサービスがなされる、その中でも、いろいろなIT機器を使ってさらに支援が円滑にいくようにとの御提案でございます。

 そういうサポート拠点を設置してその事業を進めるということで、補正予算では、地域支え合い体制づくり事業ということで七十億円の予算を計上いたしておりまして、委員が言われるようなIT機器などの利用については、このサポート拠点の運営に当たって、いろいろな機器があると思いますけれども、例えば携帯情報端末だとかあるいは緊急通報の装置だとか、いろいろなあれがあると思いますけれども、そこはその現場現場でいろいろと、その地域に応じた、どういうIT機器が必要か、そういうことの協議というか相談もしていただいて、ぜひ使っていただきたいなというふうに思います。

 地域の実情に応じたIT機器を使うということについては、私どももさらに積極的に進めていきたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 地域支え合い事業、七十億を使ってぜひ進めていきたいというお答えでございました。

 それぞれの市町村でこうしたものを開発するのはとてもできないでしょうから、ぜひそうしたモデルを国で提示して、すぐに活用できるような仕組みをとっていただけたら、このように思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、ライフラインの復旧に次いで求められるのが心身の健康、また、それを守る健康医療、福祉であります。心の健康への取り組みに対する支援を重要課題として取り組んでいただきたい、このように考えております。震災から二カ月以上たちまして平静を取り戻しつつあるように思いますけれども、PTSDなどの発症が懸念をされております。

 それで、被災して傷ついた方々に、また、子供たちへの心のケア、この専門家の派遣、あるいはスクールカウンセラーの増員等、きめ細かな対応を進めるように要請をしてまいりました。被災地では既に心のケアの専門医等が派遣をされておりまして、これまでも多くの方々に安心を与えてくださっている、このように思っております。

 各地から交代で保健師、心理士等の方が行って窮状をしのぐということではございます。しかし、数日から一週間程度で交代をしてしまう。相談をする方からすれば、先週来た方にこう言ったのに、また今週違う方に説明をしなければいけない。継続して支援をしていく、これが難しいかと思います。

 そこで、数週間で交代する短期の派遣ではなくて、これから復興に向けて長期間でケアを可能にする手厚い体制を確立すべきであると思います。医師、保健師、精神福祉士、臨床心理士と、専門家を被災地にふやして、この連携による心のケア体制を築いていかなければいけないと思っております。ぜひ、長期間、できれば年単位で派遣する体制づくりをお願いしたいと思います。この点、いかがでしょうか。

○大塚副大臣 先生御指摘の心のケアにつきましては、被災地に対して、精神科医、精神保健福祉士、看護師等、平均四、五名で構成され、保健師の活動等と連携をとって、避難所の巡回、被災者の自宅への訪問支援、行政職員等の支援者の支援などを引き続き行っておりまして、五月二十四日現在で三十チーム、百三十三人が活動を行っております。

 この心のケアチームは、同じ地域で同じ都道府県のチームが継続的に支援を行うことを原則としておりますので、チーム内でスタッフが入れかわる際にはしっかりと引き継ぎを行うなど、活動の継続性が保たれることで、御指摘の中長期的な活動に実態的には近づけていきたいというふうに思っております。

 今後、避難所から仮設住宅や自宅での生活に移っていく中で、PTSDの症状が長期化したり、うつ病、不安障害になる方が出てきたりすることが想定されますので、心のケアは引き続き、またさらに重要になってくるというふうに思っております。

 今後は、地元の医療機関や保健福祉サービスの機能の回復、充実が必要でありまして、厚生労働省の職員を被災三県に派遣するなどによりまして相談しているところではありますが、先ほどの引き継ぎによる実態的な継続支援にとどまらず、中長期にわたる心のケア体制については、長期間活動できる専門職をどのように確保していくかということについて、地元の自治体の御意見も踏まえまして、しっかりと検討をさせていただきたいと思っております。

○古屋(範)委員 もう時間が少なくなってまいりました。午前中はあと一問、法案についてしてまいりたいと思います。

 二十四時間対応の定期巡回・随時対応型の訪問介護看護の創設について、きょうは少し細かな点まで質問していきたいと思っております。

 私たち、新・介護公明ビジョンでも、「二十四時間三百六十五日訪問介護サービスの大幅な拡充で、在宅支援の強化を目指す。」このことを掲げました。この改正案の中で、このサービスが創設をされたこと、地域包括ケアシステムを実現するためのこのサービスが最重要政策と位置づけられておりまして、これは私たちの提案と相通ずるものでございます。

 しかし、昨日の参考人質疑でも、これを運営していく場合、実効性あるものとしていく場合、さまざまな懸念が寄せられました。日本介護支援専門員協会木村会長も、例えば、これが地方で運営が可能なのかどうか、あるいは、重度の要介護者自身が緊急時に自分でケアコールを使用して通報ができるのか、認知症高齢者はどうなのか、過疎地ではどうなのか、利用者が少ない、移動に時間がかかるところではどうなのか、さまざまな指摘もございました。プライバシーの問題も指摘されました。

 そこで、このサービスが本当に使われるようになるのか、実効性の確保についてお伺いをしたいと思います。

○細川国務大臣 この定期巡回・随時対応サービスというのは、これが実現すれば本当に、要介護者の皆さんにとっては大変すばらしいことになるのではないかと思って、私ども、ぜひともこれを実現していきたいというふうに思っております。

 ただ、それでもいろいろな懸念があるのは、やはり地域地域によっていろいろ事情が違う。年齢構成もあるでしょうし、あるいは過疎過密の問題もあるでしょうから、いろいろあるかと思いますけれども、しかし、そういうことをどういうふうに工夫して課題を克服していくかということでありますけれども、そのためには、事業者にとっても、それから利用者にとっても魅力あるサービスとなるように、モデル事業の結果なども踏まえつつ、社会保障審議会の介護給付費分科会におきまして具体的な基準とか報酬設定をしたい、こういうふうに思っております。

 やはり私は、モデル事業がどういうふうになっていくか、そこが大事だというふうに思っておりまして、先ほど、災害時の避難所のところでのモデル事業、こういうことを委員からも御提案があったんですけれども、今年度、モデル事業を実施するところが、今のところ全国で四十三カ所でございます。その中には、非常に人口の少ない長野県の飯綱町とか岐阜県の池田町なども含まれておりまして、そういう過疎あるいは過密、都会とか田舎とか、それから人口構成、お年寄りの多いところ、少ないところ、そういうところのいろいろなモデルケースを検証して、それらを今度実施のときに十分生かせるようにやっていきたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 では、午前中の質問を以上で終わります。

 ありがとうございました。

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