第177回国会 衆議院 厚生労働委員会 25号

177-衆-厚生労働委員会-25号 平成23年8月3日

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、一般質疑の終わりました後に年金確保支援法の採決がある予定でございますので、最初、年金関連の質問をしてまいりたいと思います。

 私たち公明党が二〇〇四年以来一貫して推進してきたのが、この国民年金保険料納付期限を現在の二年から十年にするという改正点でございます。無年金また低年金問題の解決へ一歩前進である、このように考えております。

 この法案では、納付意欲を阻害するとの懸念があることも踏まえまして、この納付期限の延長を三年間の時限措置といたしております。せっかくの今回の措置でございますので、この三年間という期間なんですが、この対象となる方々、できるだけ多くの方々が事後納付ができるように対応していかなければならないと考えております。この周知徹底について、まずお伺いしてまいります。

○岡本大臣政務官 御指摘いただきましたように、閣法として提出をさせていただいた法律を衆議院において、三年でしっかり頑張るように、こういうことで修正をいただいたところでありまして、この三年間をしっかり我々は周知徹底に努めなければいけない、それは考えております。

 したがいまして、この法律を成立させていただいた暁には、年金事務所等の窓口にリーフレットを用意して皆さんにお知らせをしたり、また、政府広報や厚生労働省及び日本年金機構のホームページを活用して、広くお知らせをしていきたいというふうに考えています。

 とりわけ、十年で、つまり十年を過ぎるとこれは支払うことができなくなりますから、十年に近い古い記録を持ってみえる皆さん方に優先してお知らせを送付することを予定しておりまして、こういった皆様方にまずしっかりとお知らせをしたいというふうに考えています。

○古屋(範)委員 ぜひ積極的に政府の側から働きかけて、周知徹底をしていただきたいと思っております。これによって年金の受給資格が得られる方がいらっしゃると思いますので、徹底をよろしくお願いしたいと思います。

 私たち公明党は、現行の年金制度をよりよい制度に改善するために、この無年金、低年金問題を解決すべき第一の課題と考えまして、さまざまな提案もしてまいりました。

 まず、今回の事後納付二年から十年への延長措置でございますが、さらに、受給資格期間が現在二十五年、非常に長期間となっております。世界的に見ても非常に長い年月であります。これを十年に短縮すべきと考えております。国民年金などの受給資格を得るのに、こうした二十五年の加入資格、現在の不況、また年金不信などで、保険料の未納がふえております。七月十三日に厚労省が発表いたしました二〇一〇年分の納付率は五九・三%であります。前年度より〇・七ポイント低下をして、五年連続で納付率が下がっており、過去最低を更新いたしました。老後に低年金、無年金になる人がふえる可能性が高くなり、さらなる対応が迫られております。

 そこで注目をされますのが、七月一日に閣議決定ではなく閣議了承された、税と社会保障の一体改革案でございます。民主党が二〇〇九年の衆議院選で、社会保障、年金の抜本改革、消費税の維持、こういうマニフェストを掲げられて政権交代を果たされたわけであります。しかし、今回の一体改革案を見ますと、社会保障は現行制度の延長線上と言わざるを得ません。全く抜本改革となっていない。そして、消費税の維持ではなく、引き上げが明記をされている。このような案が示されました。一体どうなっているんでしょうか。

 民主党は、マニフェストで、子ども手当、高速道路の無料化など、財源について、税金の無駄遣いを根絶して歳出削減をするとおっしゃっていました。今さら言うまでもございませんが、政権を担った後、歳出削減はこのとおりには進んでおりません。安定的な財源も見出していない。そして、今回、消費税の引き上げを明記した。これは完全にマニフェスト違反であります。

 これは、朝日新聞七月十二日付、民主党の政策責任者であり大臣でもある玄葉光一郎さんがこのようなことをおっしゃっています。「ただし、財源についてはマニフェストに欠陥があった。高齢化に伴い、社会保障費は毎年一・一兆円ずつ自然に増えていくが、その分を考慮していなかったのは甘かった。」まさに党の政策責任者が平然とこういうことを言われている。驚きを禁じ得ないわけであります。

 前政権におきましては、二〇〇四年、年金の改革を行いました。民主党は大反対をされた。この委員会のドアを壊してまで、体を張って大反対をされて、御自分たちのマニフェストを掲げて政権交代をされたわけであります。

 しかし、自然増一・一兆円は余り考えていなかった、こういう発言がございました。私たちは、この社会保障費の自然増といわば悪戦苦闘してきたと言っても過言ではございません。給付と負担のバランス、また、持続可能な社会保障制度を確立するためにはどうしたらよいか、年金、医療、そして介護と、累次の改革を行ってまいりました。それに反対をされて政権交代をされたわけであります。

 そして、その民主党のマニフェストの柱である年金の一元化あるいは最低保障年金の創設、この大改革を掲げられたわけですが、今回の一体改革案では、国民的な合意に向けた議論や環境整備を進める、こういう文言で片づけられています。衆院選で既に国民は民主党のマニフェストを選び、支持をされて、そして政権交代が果たされたわけです。今さら、議論する、これはないのではないかと思っております。衆院選で公約した最低保障年金の創設というこの新年金制度の設計を先送りされた。今回もまた給付する対象範囲や消費税は何%になるかなど、具体的な数字は一切示されておりません。

 一体、新年金制度はいつ具体化されるおつもりなのか。いつかは実現する、そのまま逃げ切るおつもりなのか。改めてお伺いしたいと思います。新年金制度の具体的な姿、制度設計、これはいつ出されるのか。二年前の衆議院選では年金改革を公約として政権交代を果たしたのですから、今回の一体改革案で民主党の主張する年金制度の制度設計をはっきり示すべきであった。それを示さなかった理由について、国民に御説明をいただきたいと思います。

○細川国務大臣 年金制度、特に新しい年金制度につきましては、私どもは、所得比例年金と最低保障年金を組み合わせる、そして一つの公的年金制度にいたしまして、すべての人が加入をする、こういう方向を目指しております。すべての人が加入する制度、そういうふうに改めていくというのは本当に、年金の制度の抜本的な改革でありますから、これは国民の皆さんの合意というのが不可欠でございます。

 また、自営業者の人も含めて一元的な制度を実現する、こういうことになりますと、やはり社会保障・税にかかわる番号制度の導入、そしてまたそれの定着とか、あるいはまた、税と社会保険料を一体的に徴収する体制、歳入庁というようなことを考えておりますけれども、それをつくるというような、そういう環境整備が必要でございます。

 こうしたことから、今般の一体改革の成案では、新しい年金制度につきましては、その方向性と骨格を示しまして、国民的な合意に向けた議論や環境整備を進めて実現に取り組んでいきたい、こういうことであります。

 そこで、いつということでありますけれども、一応、私たちは、平成二十五年度、ここで新しい年金制度の法案を提出していきたい、こういうふうに考えております。ただ、委員もおっしゃったように、年金制度は大変難しいといいますか、改革そのものがなかなか容易ではないということ、これはこれまでもずっと政権につかれた人たちが大変苦労をされたところでございます。

 私どもも、やはり国民的な合意を得るということについては、それはそれで大変な努力をしなければいけないというふうに思っておりまして、そのためには、この国会でのいろいろな御議論、あるいは与野党間の協議をさせていただいて、与野党間のいろいろな合意も得ていただくというようなことを前提としながらこの二十五年の法案の提出をお願いしてまいりたい、このように考えているところでございます。

○古屋(範)委員 年金は難しい、自営業者との一元化は難しい、そんなことは初めからわかっていたと思います。前政権においては、既に厚生年金と共済年金の一体化をするという法案も提出をしておりました。平成二十五年に法案を提出するのであれば、その構想、共通番号制度をいつまでに導入するのか、その他の制度設計も明確に既に示されていなければできないのではないか、このように思います。抜本改革するのであれば、その費用はけた違いに大きいはずであります。これをはっきり示さなければ、その増税幅も決まるわけがないわけであります。

 これは七月二十二日付朝日新聞、記者の山田史比古氏はこのように書いています。「民主党の一体改革案では、最低保障年金の支給対象を「一定レベルを超えたら徐々に減額、あるレベルで給付ゼロ」としたが、その水準額は示さなかった。実は、厚生労働省が内密に四案を試算し、生涯の平均年収が「三百万円を超えたら減額、六百万円で支給なし」とする案で一度はまとまった。これなら、二〇五五年度の年金支給に必要な財源は三十八兆七千億円で、今の制度を維持するより十二兆円近く増える。それでも中間層は年金が減るうえ「財政的に無理」などの反対論が出て、試算は封印された。」このように書いております。

 これまで私も本委員会で年金について質問してまいりましたけれども、改めて公明党の主張しております提案についてお伺いをしたいと思っております。

 この新しい年金制度がいつ実現するのか、いまだこの最低保障年金の範囲は示されておりません。

 公明党は今回の年金確保支援法案とあわせまして、年金受給者を拡大する対策として、受給資格を現行の二十五年から十年に短縮、そしてその上で、年金の受給額が少ない人には基礎年金を税金で二五%上乗せする加算制度の創設を訴えております。この公明党提案の受給資格の短縮そして加算年金制度の創設について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

○細川国務大臣 今の御質問の前に、番号制度のことについてちょっと言い忘れましたけれども、税と社会保障の共通番号、この番号制度については、ことしの秋にもその法案を提案したいということで、今準備を進めているところでございます。

 そこで、御党の受給資格期間の短縮あるいは低所得者の加算制度の導入の件でございますけれども、今度の私どものこの六月三十日に決定いたしました改革案の中で、年金の最低保障機能の強化の観点から、御党の言われます受給資格期間の短縮、低所得者への加算といった、現在発生しております低年金、無年金問題への対応策も検討項目として掲げられております。

 そこで、今後どのようにしてそれらについてやっていくかということにつきましては、社会保障審議会の中に年金部会を今月中にも立ち上げまして、この現行の年金制度の改善などについて、制度化に向けた具体的な議論をしてまいります。そのときに、今言われました受給資格期間、これはもう短縮の方向です。そして、低所得者の加算制度、これも導入をする。どういう形でやるかということについて、この八月にも立ち上げますその部会で検討させていただきまして、税制の抜本的な改革とともに来年の国会にでも提案をするように取り組んでいきたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 今、大臣の御答弁を伺っていまして、今回の一体改革案は、民主党マニフェストに沿った案ではなく、むしろ公明党の年金案に沿ったもののように聞こえてなりません。しかしながら、今、足元の低年金、無年金の方々を救うために、受給資格期間の短縮、これも導入の方向とおっしゃっておりますし、また、加算年金制度の導入、これはぜひとも実施をしていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。

 次に、先ほど加藤委員からも質疑がございました第三号問題についてお伺いをしてまいります。

 専業主婦の年金切りかえの漏れの問題が非常に深刻であります。厚生労働省の推計で、切りかえ漏れのある人、九十七万四千人である。また、記録を修正すると四十七万五千人の年金が減額をされる。このため、厚生労働省は対応策を検討して方針を固めたと伺っております。

 この救済策を進める過程で、政府の方針が変わる、実施をめぐり大きく混乱をしたこと、これは震災前でもございました。記憶に新しいところです。問題の原因は、前大臣のもとで、法律によることなく、課長通達によって、私たち、特に年金の審議をしていた国会議員にも知らされることなく、この救済策を進めていたという事実であります。そして、その時期がまさしく納付期限を延長しようという年金確保支援法案が検討された時期と全く重なっていたということで、私も大変憤慨いたしました。この第三号被保険者の切りかえ漏れの問題、ぜひ、最終的に、救済のあり方については速やかに決着をつけるべきだと考えております。

 この救済策を国民年金法改正案としてまとめて今国会に提出するというふうに私は聞いていましたけれども、できるだけ早くと先ほどの答弁にはございました。これがおくれればおくれるほど救済がおくれることになりますので、ぜひ、速やかにとおっしゃったんですが、次の国会で御提出をいただきたいと私は考えるのですが、いかがでしょうか。

○細川国務大臣 この三号被保険者の不整合記録問題、これにつきましては、先ほども議論になりましたけれども、社会保障審議会の特別部会で審議をしていただきまして、そこから五月二十日に報告書をいただいているところでございます。

 その報告書では、不整合期間については空期間とする、あるいは、直近十年間に生じた不整合期間については保険料の特例的な追納を可能とするというような、抜本的な、具体的な内容が提言されておりまして、その提言に沿って、今、法案の準備をいたしております。

 なかなか、これまでの年金制度では初めてのような条文もつくらなければいけないとか、いろいろ苦労するところの部分もございまして、おくれております。また、共済の方の年金もありまして、財務省あるいは文科省、それから総務省、そういうようなところとの調整もしなければいけないというようなこともありまして、今、鋭意進めているところでありますけれども、私としたら、それができ上がり次第、国会の方で御審議をさせていただきたい、このように考えておりまして、これは間違いなくそのような形で早急に進めていきたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。ぜひとも速やかに法案提出、お願いしたいと思っております。

 次に、震災関連の質問に移ってまいります。

 私も、一日の日、厚生労働委員会の理事として福島県に現地調査に行ってまいりました。

 特に、Jヴィレッジに参りまして、一日三千人の方々がそこで着がえをし、作業に出かけ、そして戻ってこられて線量をはかり、そして戻っていかれる。除染場もありました。もちろん、診察をする場所もございました。そこで飛び交っている言葉などを聞くにつけましても、本当にこれは並々ならぬ御苦労があるなと作業員の方々に関して感じました。また、作業員の方々の管理のバーコード化につきましても六月八日にスタートした。また、写真入りの管理については七月下旬、といっても七月末日にやっと導入がされたということで、これだけの方々の管理、本当に厳密にできるのかどうか、あの状況を見ただけでも私は非常に危惧を感じました。

 それで、放射線管理の被曝管理の一元化ということでお伺いをいたします。

 この東京電力福島第一原子力発電所の事故からもう五カ月がたっているわけなんですが、国とか電力会社も想定をしなかった事態に対して、これまでなし崩し的に規制、関与が行われて、放射線管理のずさんな実態が明らかになってきました。こうした実態の検証を随時行って、万全な対策を図っていかなければならないと思っております。無用な被曝労働とそれによる健康被害を極力なくしていかなければなりません。

 私は、先日、日本原子力研究開発機構の柴田徳思先生の講演を伺いました。

 それによりますと、日本を初めとして多くの先進国では、放射線作業者に対する線量限度の値は、国際放射線防護委員会、ICRPの勧告を尊重して、生涯線量が一シーベルトを超えないようにするために、五年間ごと百ミリシーベルト及び一年間五十ミリシーベルトを上限値として規定している。しかし、日本では個人ごとの線量を集積する体制が整っていない。雇用が多様化をしております。特に非正規、また日雇い雇用、日雇い派遣というような方々も多いわけです。ましてや、医療研究分野では異動も多いということで、放射線作業者については、法令上の線量限度を超えていないことを確認するシステムが現在ありません。このために、線量限度を超えて被曝をしている放射線作業者が確認をされているにもかかわらず、法的に必要な措置がとられていない。そして、その放射線作業者個人の生涯線量を、作業所が異なっても同一個人であることを確認できるようにすべきであるという御提言をいただきました。米国ですとかEU諸国では、この一元管理が実施をされているそうであります。

 国としては、放射線作業者の被曝線量を一元的に管理するシステムの確立の必要性を十分に認識して、具体的なその方法、法令等で規制、徹底をしていく必要があるのではないか。被曝管理の一元化について、所管する省庁、関連する法令及び事業者が多い。あそこの三千人は本当に相当な数の子会社に雇われた、それもまた派遣社員も多いのが現実です。一元化に向けた具体的な検討を早急に開始すべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

○細川国務大臣 委員御指摘のとおりだと思います。こういう放射線の業務に従事する方の健康の管理というのは、そのときだけではなくて、やはり生涯、後発的にも起こりますから、これはしっかり管理をしていかなければというふうに思っております。

 そこでまず、今、東電の第一原発の緊急作業に従事をしている人、この作業員の皆さん方については、作業についた人全員のデータベースを国が新たに構築いたしまして、これは生涯を通じて一元的な管理をする、こういうことにいたしました。そして、専門家の委員をお願いして、検討会でどういうふうにこれをやっていくのかということの詳細を今検討していただいているところでございます。したがって、第一原発の作業員はこういうふうにして一元的に管理をするということで、これは特に高い放射線を被曝する可能性も高い、こういうことで長期的な健康管理を行う目的でこういうふうにしたわけであります。

 しかし、そのほかの放射線業務につかれている方もたくさんいるわけですね。その人たちについての一元的な管理をして長期的に健康管理をしていくということにつきましては、これは厚労省だけではなくて、他の省庁、文科省とか経産省とか、そういうところとも協議をいたしまして検討をしてまいりたい、このように考えております。

    〔委員長退席、郡委員長代理着席〕

○古屋(範)委員 ありがとうございます。

 確かにこの問題は文科省また経産省と、他省庁にまたがる問題でもございます。縦割りではなく、それぞれ協力をして、ぜひ一元管理に向けて早急に制度設計をつくっていただきたいと思っております。

 次に、仮設住宅のサポートセンターの問題について質問してまいりたいと思います。

 仮設住宅に入って孤独死というような事件もございました。私も、仮設住宅におけるあらゆる健康支援あるいは生活の支援等々、サポート拠点の設置を訴えてまいりました。やっとその第一号が岩沼市に設置をされまして、先日、十一日に行ってまいりました。

 この岩沼市は、仮設住宅の建設を非常に急ぎまして、市長を先頭に頑張って、役所の職員なども積極的に被災者の仮設住宅への移転を呼びかけていらっしゃいました。そこで最も早く避難所のゼロを確立した市であります。

 里の杜地区というところがあるんですが、合計三百八十四戸の仮設住宅の整備がいち早く完了いたしまして、千人余りの希望者すべて入居が終わっております。もともとの集落がそのまま入ることができた、非常に地の利のいい、ここの真ん中に総合福祉会館があり、その周辺に仮設住宅をつくることができ、役所等もここに集積をしているという非常に恵まれたところではございました。

 この仮設住宅で、孤独死ですとかあるいは心のケアのことなども含めまして、高齢者また障害者が安心して生活が送れるようにということで、被災者を包括的に支援するために里の杜サポートセンターというところが市の総合福祉センターにつくられました、本当に一部屋なんですけれども。

 この運営は青年海外協力協会、JOCAというところに委託をしております。当初、私は、どちらかというと福祉法人ですとかあるいは介護の関連の方々に委託をしていくのかなというようなことを想像していたんですが、実際に岩沼市では青年海外協力協会に委託をしておりまして、まず最初、二人の若い方がこの任務に当たっていらしたんですが、お一人はケニアで二年間難民支援を行ってきたということで、実際そういう方々が被災者支援を行うというのは非常に適しているなと私自身は感じてまいりました。

 このJOCAは、震災発生当初から岩沼市と、幅広い専門性とかまた人的リソースを駆使して、ずっと一緒に支援活動を行ってきた、その延長線上にサポート拠点の委託があったわけです。早速二名の方が仮設住宅を回って、今やはり暑いですので、ともかく非常に暑いんですね。ですので、熱中症対策のことなど一軒一軒回っていらっしゃって、内職をしたいんだけれどもその職はないかどうかとか、そういうような相談も受けていらっしゃいました。

 ここは単独世帯というのが非常に少ないということもあり、どちらかといえば恵まれた家族環境でもあり、集落もそのまま入っているということだったんですが、普通はやはりばらばらになったり、近所づき合いもない、あるいは単独世帯が多かったりというところが非常に多いのではないかと思っております。孤独死、あるいは孤立、引きこもり、こういうことを防ぐためにも、ぜひこのサポート拠点をつくっていかなければならないと考えております。

 名取市などで仮設住宅での孤独死が報道されました。被災者の皆様は、やはり悲しみがあり、その上、避難所にいてやっと仮設住宅に入ったわけですけれども、この時期をどう支援していけばよいのか、国として最大の支援をしていただきたいと思っております。このサポートセンターの取り組み、ぜひ被災地全体に広げていただきたいと思っております。

 仮設住宅入居者のためのサポート拠点の整備の現状、そしてこの設置の促進についてお伺いをしたいと思います。

○岡本大臣政務官 今御紹介いただきました岩沼市の事例を含めて、現在、サポート拠点の設置に向けて、小規模な拠点も含めて七十九カ所程度の設置が見込まれていまして、随時開所していくというふうに理解をしております。

 被災県と相談をして、今後、やはりニーズを踏まえて対応していく必要があると思いますので、委員から御指摘をいただきました意見を我々もしっかり受けとめて取り組んでいきたいと思います。

○古屋(範)委員 もう一つ確認をさせていただきたいんですが、この事業、第一次補正予算案で介護基盤緊急整備等臨時特例基金の積み増しが行われまして、地域支え合い体制づくり事業としてこのサポートセンターの設置が進められております。対象となる、災害救助法の適用を受けた市町村を有する都道府県の中でも、岩手県、宮城県、福島県の三県を重点的に予算がつけられまして、各二十億、十分の十を国が負担するということになっております。

 私も、こういう被災後の社会的弱者に対する包括的な機能を持った地域のサポートセンターをまずきっちり設置してほしいと思いますし、また、人が回れる頻度というものも限りがありますので、ぜひITなども活用して見守り体制を確立してほしいと思っておりました。非常時緊急通報装置というものが全く設置をされていないようであります。少し時間的余裕のある場合だったら人が行けるかとは思うんですが、脳卒中とか心筋梗塞というような場合にはこうしたITを使った見守り体制も非常に有効であります。

 このことをITを使った見守り体制ということで市会議員また県会議員にも私もお話をいたしました。そこで、予算を使いたいと市から県に申請をしたんですけれども、これは宮城県なんですが、予算がないと言われたそうなんです。今後、サポート拠点の維持のために予算を使い切りたくない、これが県の意向だそうです。基金を積んで残しておきたいという意向だそうです。これでは、市では限られた予算内でサポート拠点の整備をしなければいけない、なかなか地域住民のニーズに合わせて自治体が自由に制度設計ができないと心配をしております。

 このためにも、地域支え合い体制づくり事業予算を今後も引き続き、第三次補正予算、そして来年度予算でも必ず十分な予算を確保してほしいと思っております。このことをぜひ細川大臣から明言していただければ、各県も、使い切らずにとっておこうと思わずに、安心して第一次補正を使えるのではないかと思っております。この予算の確保についてお伺いをしたいと思います。

○細川国務大臣 委員が御指摘になりましたように、第一次補正予算におきましては、地域支え合い体制づくり事業ということで約七十億円を確保いたしておりまして、仮設住宅におきます高齢者の安心した日常生活を支えるため、総合相談あるいは居宅サービス、生活支援サービス、地域交流など、総合的な機能を有する、お話のありますこのサポート拠点の設置、運営を推進いたしているところでございます。

 そこで、岩手、宮城、福島県、この三県におきましては、このサポート拠点の設置状況については、先ほど報告をしていただきましたけれども、今は七十九カ所程度なんですが、今委員が言われたように、まだそれでも自治体の方の要望もあるというふうにも聞いておりまして、私どもとしては、どんどんやっていただきたい、また、やらなければならないというふうに考えております。

 したがって、第三次の補正予算におきまして、厚生労働省としては、引き続き、このサポート拠点がしっかり整備をできるように、そのためのニーズにもいろいろとこたえられるように次の補正予算でしっかり組ませていただきたい、このように考えておりますので、委員の方からも、そういうお話がありましたら、ぜひそういうふうに自治体に伝えていただきたい。私どもの方も、きちっと自治体の方にも伝えてまいりたいというふうに思っております。

    〔郡委員長代理退席、委員長着席〕

○古屋(範)委員 大臣の方から三次補正で積み増すと御答弁をいただきましたので、これで安心して県の方も一次補正を使うことができると思いますので、ぜひ予算の確保をよろしくお願いしたいと思います。

 時間がなくなりました。最後に雇用問題、一問だけお伺いいたします。

 七月八日の質問の際、被災者雇用開発助成金、地域雇用開発助成金といった被災者雇用を促す助成制度について、再雇用も対象にということでお願いをいたしました。小林政務官の方から、事業再開を目指す事業主については、資金面での支援を必要としているケースが多いので、事業の再開に当たって以前働いていた労働者を再雇用する場合、事業主の負担を軽減するために何らかの支援をしたい、このような御答弁をいただき、その結果、今回、中小企業主に対する支援措置として、成長分野等人材育成支援事業が拡充をされました。これは非常にありがたいと感謝をいたしております。

 この事業、少しわかりづらいとの御指摘もいただいておりますし、また、担当部局、被災地、地元企業に対して周知をしっかり図り、活用していただきたいと思っております。これについて、一言お願いできればと思います。

○小林大臣政務官 七月八日のこの委員会で、委員の方からそういう御指摘もございました。また、参議院の予算委員会でも同趣旨の発言もありまして、検討させていただきました。

 その結果、先ほどおっしゃったように、成長分野等人材育成支援事業の中で何か対策を講じていきたいということで、OJTだとかオフJTだとか、そういう研修を行った場合に支援をしていこう、こういう判断をいたしまして、そこの部分を拡大したということでございます。再雇用の人でも、場合によっては、同じ会社ですけれども違う仕事をやっていかなきゃいけない、こういう機会もあるんじゃないか、こういうことからこの制度を活用したところでございます。

 御指摘のとおり、せっかく拡大いたしましたから、周知が十分図れるように、これからも厚生労働省として精いっぱい対応をしていきます。

 以上です。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。

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