第180回国会 衆議院 予算委員会-13号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、子供の健康を守る諸課題、そしてICTの利活用、この二つのテーマで質問してまいりますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 質問に入ります前に、小宮山大臣、母子手帳に胆道閉鎖症早期発見のためのカラーカードをこの四月から盛り込むことを決定いただきましたこと、感謝を申し上げたいと思っております。一万人に一人という難病でございますけれども、この七色のカードを盛り込むことによって早期発見が可能になるかと思っております。ぜひ、これを全国に、また医師へも周知徹底をしていただきますようお願いをしておきたいと思います。

 まず、第一問目ですけれども、昨日、二月二十日はアレルギーの日でございました。私も、議員になります前からアレルギー対策に取り組んでまいりました。特に、保育所におけるアレルギー対応ガイドラインの作成を求めまして、昨年三月、これも実現をしていただきました。

 しかし、これができたものの、それぞれ自治体にばらつきがございまして、東京、神奈川など非常に積極的に取り組んでいるところもあれば、市町村に冊子を配付しただけの県もあり、ひどいところは担当者が保育所ガイドラインの存在を知らなかったという自治体もございました。

 保育所ガイドラインにはアレルギーに関する専門用語も多く入っていまして、これを一読しただけで理解するというのは非常に難しい。やはり専門家による研修というものが必要になってくると思っております。ぜひ、保育所の関係者が、アレルギー疾患に対する適切な取り組み、専門医による研修ができるよう、予算の確保、そして体制の強化をお願いしたいと思っております。

 厚労大臣、財務大臣、両大臣にお伺いをいたします。

○小宮山国務大臣 アレルギー問題にずっと取り組んでこられました委員を初め皆様の働きかけで、この保育所におけるアレルギー対応ガイドライン、御指摘のように二十三年三月に作成いたしまして、自治体に、また関係団体に配付をしたり、厚生労働省のホームページで周知を図ったりしているんですが、御指摘のように、かなり専門的でわかりにくいということもございまして、周知をさらに図るために、保育団体等が開催する保育士などの研修会にアレルギーに関する研修を組み込むように依頼をしています。

 また、文科省と協力をして、学校や保育所等の担当職員向けのアレルギー疾患に対する普及啓発講習会を開催するといった対応を行っています。ただ、まだまだ不十分でございますので、例えば、DVDとかにわかりやすくして配付したらどうかということも私の方から提案をしているところです。

 そして、費用のことにつきましては、研修費の確保、また、自治体が行う保育士の研修ですとか、それから自治体版のガイドライン作成に要する費用、これは二十三年度の四次補正で安心こども基金を積み増しましたので、これを使っていただけるようにしています。

 ですから、これから自治体に対して、ガイドラインの内容とあわせまして安心こども基金の財政支援についても周知を図って、せっかくできたガイドラインが子供たちのために役立つよう努力をしていきたいと思っています。

○安住国務大臣 今、小宮山大臣からもありましたけれども、保育士への研修については、従来から、安心こども基金を活用して財政支援ができるようにということで、基金のメニューに盛り込んでおります。二十三年度の第四次補正においては一千二百七十億円積んでおりますので、二十四年度末までの予算措置ということでしっかりやらせていただきたいと思います。

○古屋(範)委員 安心こども基金をガイドラインの研修について充当してよいということでございます。ぜひ、これも自治体にお知らせをいただいて、引っ張っていただけるように徹底をしていただきたいと思っております。私も、しっかり議員のネットワークを通じて、議会からも声を上げるように努力をしていきたいと思っております。

 次に、二十三年度四次補正、先日成立をいたしました。この中に、先ほどおっしゃった安心こども基金、また妊婦健診の基金、あるいは三ワクチンの基金等は継続されることになりまして、ひとまず安心はいたしました。

 しかし、問題なのは、これらの基金が単年度、一年に限られているということであります。特にワクチン接種は、一年限りではなく恒久的な仕組みにすべきであります。これは代表も代表質問等で行ったとおりでございます。

 成人用の肺炎球菌ワクチンも含めまして、WHOで推奨されているワクチンの定期接種化も強く求めてきましたし、不活化ポリオワクチンの導入も何度も求めてきたところでございます。一月二十七日に開かれました予防接種部会において、定期接種化を検討している七ワクチン、予防接種法上の疾病区分が了承されました。これで、七種類のワクチンを新たに定期接種化するための予防接種法改正案の通常国会提出への環境が整ったものと私は理解をいたしております。一類疾病、二類疾病と、疾病区分はそのままでありました。区分は要らないとこれまで主張してまいりました。その方向には決まらず、残念ではございますけれども、まずは予防接種法の改正を急ぐべきだと私は考えております。

 そこで、この定期接種化の効果検証についても早急に行って、早い段階でロタウイルスのワクチンも含めてぜひ定期接種化をお願いしたい、これが一点です。

 それから、不活化ポリオワクチンも幾度となく国会質問してまいりました。報道等では、大臣がさまざまな会見の場あるいは質問主意書に答えて早期導入ということをおっしゃっていると聞いております。この予算委員会の場で、この不活化ポリオワクチンの導入についても、ぜひはっきりとしたお答えをいただければと思っております。

 これまで、昨年、一昨年と子ども手当の議論もしてまいりました。私たち公明党も、児童手当の拡充をしてまいりまして、こうした現金給付の重要性は当然認識をいたしておりますけれども、ワクチン接種というのは、子供に対して直接健康を守ることにつながってまいります。ぜひ子供の命を守るための予算をしっかりと確保すべきだと考えております。安心して厚労省がワクチン政策を進められるよう、この予算についても責任を持って確保していただきたい、このように思っております。

 厚労大臣、そして財務大臣、両大臣にお伺いいたします。

○小宮山国務大臣 ワクチンにつきましては、先進国に比べて非常にその数が少ないなど、ワクチンギャップを解消するためにも、今までおっしゃったように基金を積んできましたけれども、毎年毎年ですので、これはなるべく予防接種法にしっかり位置づけたいということで、今、予防接種部会で、ただ、一度に全部というのがなかなか難しいので、優先順位も含めまして検討をしているところです。この七ワクチンにつきましてしっかり検討を進めることと、今御指摘のありましたロタのワクチンにつきましても今検討を開始したところです。

 一類、二類につきましては、御承知のように、インフルエンザによる高齢者の肺炎とか死亡が社会問題化したときに、個人で接種するものということで二類をつくったという経緯がございます。ただ、それが本当に今もそういう分類が必要なのかどうか、そうしたことも含めて今検討をしたいというふうに考えているところです。

 そして、不活化ポリオワクチンにつきましては、いつももっと早くという御指摘をいただいて、私も、ぜひこれは早く導入ができるように最大限努力をしたいと思ってまいりました。これにつきましては、今、二つのメーカーから四種混合ワクチンの薬事申請が既にありました。そして、不活化ポリオ単独ワクチンにつきましても、薬事申請に向けて一つのメーカーで今準備が進められています。

 当初は、来年の三月、今年度末にならないと承認できないということだったんですが、もちろん、安全を確保するようにしっかり審査はいたしますけれども、秋の時期にぜひ間に合わせたいということで、ことし秋のポリオワクチンの接種にその不活化ポリオワクチンが導入できるように今最大限努力をしているところでございます。

○安住国務大臣 今、小宮山大臣からもお話ありましたけれども、予防接種制度の見直しについて厚労省の審議会で議論が行われていると聞いております。新たなワクチンの予防接種法の位置づけや財源の問題を含めて精力的に議論を進められておりますので、その間の経過措置として、御指摘がありましたように、三ワクチンに対しては二十三年度四次補正において五百二十六億円を計上いたしまして、これは二十四年度末までということでございますが、今後のあり方についてはその審議会での経過を見守りたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 ぜひとも今国会で、予防接種法、抜本改正をしていくべく提出をしていただきたいというふうに思いますし、不活化ポリオワクチンの導入につきましては、ともかく早期に、どちらも接種をしないという、接種率が下がっておりまして、これは非常に危機的な状況でございますので、一刻も早い導入を求めておきたいと思っております。

 次に、小児の永久歯の先天性欠如についてお伺いしてまいります。これも、昨年から報道等されておりまして、非常に関心の高いテーマだと思っております。

 昨年三月発表された調査によりますと、上下合わせて二十八本ある永久歯が全て生えそろわないいわゆる先天性欠如が、小児歯科を受診する子供の一割に上るということがわかりました。私も、この報道を目にしまして、早速、この研究をされております鹿児島大学の山崎要一教授を国会にお招きしまして、これについてお話を伺いました。

 山崎教授によりますと、日本小児歯科学会が七歳以上の子供一万五千五百四十四人を調べた結果、十人に一人、かなり高い割合だと思いますが、先天性欠如が見つかったということを紹介していただきました。こうなると、非常にかみ合わせが悪くなったり顎が変形するなど、危険性があるということでございます。

 この原因は解明をされていないわけなんですが、やはり、早期発見をして、その中でしっかり専門医に相談をしていくということが大事です。しかし、この治療というのは保険適用外ですから非常に高額な場合も出てくるということで、ここが非常に大きな課題となっております。この先天性欠如の調査研究、治療ガイドラインの作成、専門医の育成が必要だなと感じております。

 そこで、学校の歯科検診で、この先天性欠如のおそれがある児童に対して専門的な診断を受けるよう促せる体制をつくっていくことが必要と考えますが、現在のお取り組みについて文部科学大臣にお伺いします。

○平野(博)国務大臣 先生の御指摘でございますが、文科省としましては、特に児童生徒等の健康の保持増進に係るために、学校保健安全法、この法律によって、毎年、生徒の健康診断を行わなければならない、こういうふうになっております。その結果として、疾病の予防処置並びに早期の治療を指示する、こういうことでございます。

 先生今御指摘の永久歯先天性欠如、こういうことでございまして、文科省としては、同法律に基づきまして、歯もしくは口腔の健康診断におきまして、特に学校の歯科医が永久歯先天性欠如の疑いを発見した場合に、診断書に必ず記録をする、こういうことと同時に、診断結果を児童生徒並びに保護者に通知をし、必要な治療をしていただくように促しをいたしておるところであります。

 また、加えて、先ほど先生御指摘ありますように、どういう原因なのか、どういう治療方法がいいのか、こういうこともございますので、日本学校歯科医会におきましても、こういう疑いを発見した場合に、いわゆる学校歯科医の活動指針に明記をし、早期に発見をしてもらいたいということに努めているところでございます。

 今後とも、学会等々と連携をとりながら、円滑な診断が学校で行われるように努力をしてまいりたい、このように考えています。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。このお取り組み、さらに推進をしていただけますよう、よろしくお願いいたします。

 次に、訪問看護ステーションの一人開業についてお伺いしてまいりたいと思います。

 被災地において心のケアが非常に大事だということで、私も現地に専門家と参りまして、このようなことも取り組んできました。これから復興を担っていく人々の心のケア、こういうものが非常に大事だと感じております。これも含めて、被災者の安心して暮らせる体制づくりのために、訪問看護師、訪問看護ステーションの存在、役割というのは非常に大きいというふうに思っております。

 そこで、この訪問看護ステーション、現在二・五人という規制がございますけれども、一人開業ができるよう、私も開業看護師を育てる会の菅原理事長と協力をして進めてまいりました。被災地においては、規制緩和をして、看護師一人でも基準該当居宅サービスとして認められるという特例措置が設けられました。

 そこで、私が聞いている範囲なんですが、十三の市町村で実際に申請をしたそうなんですが、なかなか認められずに、福島市一カ所だけ認められたという状況であります。それも受理されたのが本当に最近でして、結局、この期限、二月二十九日までとすると、ここが開業してから活動するのも一カ月ということになってしまいます。ですので、先日も副大臣宛てに要請を行ったんですが、ぜひ、この二十九日までの間と定められている期限の延長をお願いしたいと思っております。

 そして、当初から申しておりますように、モデル的に被災地でやっているこの特例措置だけではなく、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準、ここに規定をされている二・五人というのをぜひ見直して、一人開業ができるよう、もちろん安全を担保した上でのことでありますけれども、これについて御所見を伺いたいと思います。

○小宮山国務大臣 今委員から御紹介いただきましたように、訪問看護ステーション、二・五人の開業要件であるところを、昨年四月に、平成二十四年の二月二十九日までの間、被災地での特例的な取り扱いとして、各市町村の判断によって看護師一人での訪問看護ステーションの開業を認める、こういう特例省令を制定しています。

 今御紹介いただいたように、ごく最近ですけれども、ことしの一月二十三日に、この特例省令に基づいて、福島県福島市で一件の申請が受理をされているところです。おっしゃるように、これを二月いっぱいで切るというのはやはり問題があるということもございまして、その期間を延長すべきかどうか、これはもう急いで判断をしなければなりませんので、二月二十八日に介護給付費分科会を開きまして、ここで延長案について諮問をする予定にしています。

 そして、訪問看護ステーションの人員基準の見直しにつきましては、昨年の七月に閣議決定もしているんですけれども、この特例措置の実施状況を踏まえて検討をするということにしたいと思っています。

○古屋(範)委員 ぜひとも延長はしていただかねばならないと思っておりますし、ぜひ一人開業に向けて道を開いていただけますよう、再度要望しておきたいと思います。

 次に、ICTの利活用のテーマに移ってまいります。

 まず初めに、災害に強い通信インフラの確保についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 今回の震災において、さまざまインターネットが活躍したところでもございます。例えば名取市では、市長の指示で多数の避難所にインターネット環境の整備が実現をされ、避難所には、一般住民に加えて市の担当職員、他県から来た応援、またボランティアの支援者など、一般住民だけではなく救援支援を担う人たちにとって、ネットでの情報発信、共有、検索ができ、非常にこれが有効であったということを伺っております。

 東日本大震災の教訓を踏まえて、総務省におかれましては、災害に強い通信インフラ確保のためにどのような施策を今後展開されようとしているのか、まずこの点、総務大臣にお伺いをいたします。

○川端国務大臣 被災地だけではなくて都心部も含めて、この災害で通信が実は大混乱をいたしました。固定電話、携帯電話の方にほとんどつながらなかった。

 この原因は、八割以上は停電、十数%がいわゆる断線ですね。機械が壊れてしまったというのを含めて、経路が絶たれてしまった。それと同時に大量の通信によるふくそうで機能しなくなった。大きく言えばこの三つで機能が麻痺したという深刻な事態が起こりました。

 これを踏まえまして、昨年四月から十二月にかけて、電気通信事業者も含めた関係者で検討会を開催しまして、原因の分析、対策等々を整理いたしました。

 一つは、技術的な問題としての、大量の通信が出たときのふくそうに対してどう対処するかということ。それから、停電が起こったときのバックアップ体制をより強化する。蓄電池をつけるとか回線を複数にするとかいう設備上を含めた基準の見直し。それから、今先生御指摘のように、やはりインターネットが大活躍をしたということでの、いろいろなツールを使う部分を統合したり、より活用したりするということの向上。それから、その大前提ですが、ネットワークインフラを強化する等々の四項目を大きな柱立てとして、それぞれの強化策に取り組むと同時に、電気通信事業者独自においても設備の増強等々を要請し、行っていただいているところであります。

 災害時の通信確保に向けた取り組みを全力で進めてまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 大臣おっしゃいますように、今回の震災で、通信インフラの重要性、これは誰もが痛感をしたところであります。災害に強い通信インフラを構築する、今後これを第一に、最優先に考えていただきたいと思っております。

 先日、我が党で、総合経済対策に関する緊急提言というものを発表いたしました。

 この中で、防災・減災ニューディールということを掲げております。「国民と日本の国土を守り、安心・安全な社会基盤を再構築するため、全国的な防災・減災対策を緊急かつ集中的に講じる」ということを掲げました。これは、ハード面、道路、橋梁、上下水道あるいは河川、港湾、こうしたところへの集中投資はもちろんでありますけれども、そこに加えて、次世代通信網の先駆的開発等による災害対策強化、このことも掲げております。

 日本の国土あるいは国民を守る防災・減災対策だけではなく、こうしたものを整備していくことがやはり日本経済を守ることにもなりますし、また、ここに集中投資をしていくということは、日本の将来の成長も期待できる、その基盤づくりにもなってくると思います。もとに戻すだけではなく、さらにその先をつくっていくということが大事かと思います。また、これによって雇用も創出できると考えます。ぜひこの分野を強力に進めていただきたい、このことをお願いしておきたいと思っております。

 次に、医療分野におけるITの利活用についてお伺いをしてまいります。

 今回の震災で、例えば宮城県沿岸部などで、多くの病院で紙のカルテが流失をして、皆さんも家も流され、着のみ着のままで避難所に来たんだけれども、毎日飲む薬が一体何を飲んでいるのかがわからない、このような問題も起きました。このときに、カルテの情報を電子的に保存してバックアップ体制がとれていれば、患者さんにとっても避難者にとってもそうしたサービスが提供可能であったのではないか、このように思います。

 特に、岩手県の周産期電子カルテのネットワーク「いーはとーぶ」ができていたために、これが内陸部の岩手医大にサーバーが置かれていたということで震災の被害を免れたわけです。ですので、大船渡とか陸前高田市など、被害に遭われたところの妊婦さんは、自分の母子手帳を消失しても、この「いーはとーぶ」の健診データをもとに、避難先の病院で引き続き健診を受けたり出産をしたり、母子手帳の再発行も受けられたというようなこともございました。

 また、昨日なんですが、香川県で、ITを活用して、地域の医療機関あるいは薬局が患者の診療情報や飲んでいる薬の情報を安全に共有する医療情報連携基盤の実証実験、遠隔医療の事業を視察してまいりました。K—MIXという事業でございます。

 遠隔医療、今までこれはごく限られた地域のグループ内で行われてきたことが多いんですが、香川県では、共通のセンターサーバー、ネットワークプログラム、運用ルールをつくって、平成十五年からオープンで利用しやすい医療連携システムをつくっております。月々六千五百円の使用料ということですから、比較的安いなと思っております。これは香川県内だけではなく、県外の医療機関も今百以上のところが加入をして活用しているということでございます。

 このたびの震災の体験も踏まえまして、地域医療機関、また薬局、介護施設、こういうところがネットワークを通じて患者の医療情報を共有していく。セキュリティーの問題もこれはしっかりしていかなければいけないんですけれども、こうした情報連携基盤の構築、遠隔医療など医療分野のITの利活用に向けた取り組みを強力に推進する必要があると思っております。

 これについて、総務大臣の御意見を伺いたいと思います。

○川端国務大臣 御指摘のとおり、先般の災害で医療情報が流失して、大変な困難に陥った。一部、今御紹介がありましたような部分では、やはりその有効性、有用性が極めて大であることが実証されたことにもなります。そういう意味で、医療情報の電子化というのは、平時のみならず、災害時において極めて重要であるということでありますので、これは、薬歴管理、病歴管理、同時に、結果的には二重投薬とかで、そういう効果もあるということであります。

 そういう部分で、今、御視察もいただいたというお話でございましたが、新たな情報通信技術戦略あるいは日本再生の基本戦略でそういう方向性は決めておりますので、厚労省などとの連携のもとに、一つは、医療情報を地域の医療機関、薬局、介護施設等の間で安全に共有するための標準システムのあり方を検証する健康情報活用基盤構築事業、これは香川、広島、島根でやっております。

 と同時に、被災地域においてはより先進的にやるべきであろうということで、医療情報連携の基盤や遠隔医療システムの構築を図る東北メディカル・メガバンク計画というものの支援を積極的に行うこと等でやっているところでありまして、これらの取り組みを通じて、総務大臣として、厚生労働省と緊密に連携をとりながら、ICT活用に向けた取り組みをしっかり進めてまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 ぜひ厚労省も連携して医療分野のITの利活用を推進していただきますよう、お願いをしておきたいと思います。

 時間がないので少し飛ばしまして、教育分野のITの利活用について今度はお伺いをしてまいりたいと思っております。

 これも昨日、フューチャースクールの推進事業、徳島県東みよし町の足代小学校に行ってまいりました。ここは、一年生から六年生まで、七十七インチの電子黒板、これは小さいのはだめだそうです、大きいもので。タブレットPCを見ながら使って、これは一人一人が自分のものを貸与されております。国語、算数とか英語とか、特別支援学級、非常に楽しそうに授業を受けておりました。

 高学年になるとスキルが上達をして、わからないことがあるとすぐに、まず、ではPCで検索をして調べておこう、そのままにしないですぐに調べることもできるようになっている。担当の中川先生は、山間地域こそこうした公立の小学校で一年生のときからICTを導入していくことが重要なんだ、一年生のときに出会って、そして教師から、どのようにPCを使っていくか、それは使い方だけではなく、そのルール、モラル、そういうものを教わって、楽しい、知識を吸収して豊かになっていくのだということをきちんと学べることが大事だとおっしゃっていました。

 電子黒板は教室に一つ必要です。PCもちゃんと一人に一つ必要かと思いました。児童が興味を持って意欲的に学ぶ意識が向上した。そして、専門員、支援員の存在も欠かせないものとなっております。こうしたもの、今モデル事業が行われておりますけれども、ぜひ全国にこれを拡大していけるよう、今後しっかりとお取り組みをいただきたいと思います。

 文科大臣、総務大臣、両大臣にお伺いいたします。

○平野(博)国務大臣 先生も、具体的に学校に御視察ありがとうございました。

 特に、ICTの利活用ということは、私は非常に大事なことだと思っております。総務省のフューチャースクールの推進事業ということで、特にハードの面におきましていろいろな整備をいただいておりまして、それにあわせて文科省としては、学びのイノベーション事業、こういうことで非常にそこにリンクをさせながら実際やらせていただいている。今先生御指摘のとおり、一人一台の情報端末、電子黒板等々を整備しておるところでございますし、文科省としては、デジタル教材、コンテンツの開発を、より充実した開発をしていかなきゃならない、こういうことでございます。

 我々としましては、総務省と私ども文科省におきまして両省副大臣が密接に連携をいたしまして、今、約二十カ所、二十校におきまして実証研究をいたしております。

 先生から御質問があるということで、実際の効果はどうだ、こういうふうに聞きましたところ、ちょっと私の認識と違ったんですが、ベテランの先生が、導入するときには少し時間はかかるけれども、実際使い出しますと、今までの経験を生かして効果が非常に出る。こういうふうな教材開発をやられているようでありますし、教えを充実している、こういうふうに聞いておりますので、先生御指摘のように、これからさらに充実強化に努めてまいりたいと考えております。

○川端国務大臣 極めて有効な教育のあり方であるというのは我々も思っております。ソフトとハード、そして、特にソフトの中ではコンテンツと人とあると思うんですけれども、総務省としてはハードを基本的に整備するというのがお役目だということで、文科省と今お話ありましたように緊密に連携をとりながら役割分担を果たしている中で、特に二十二年度からは、ハード面の課題の抽出ということで、小学校十校、中学校八校、それから特別支援学校二校のフューチャースクール推進事業の中でこういう課題を抽出する中で、より環境が整うようにということを努力すると同時に、文科省と一緒にこれをぜひとも推進していきたいと思っております。

○古屋(範)委員 ぜひ、教育分野でのITの利活用を強力に進めていただくようよろしくお願いしたいと思います。

 きょうは資料を一枚出しておりますけれども、我が国におけるICT利活用のおくれ、電子政府準備度指数、これは二〇一〇年、十七位にさらに転落をいたしました。校内LANの整備率、これも我が国は八二・三%、韓国においては一〇〇%でございます。診療所における電子カルテ導入率も、日本は一一・二%でございます。また、きょうはちょっと時間の関係で質問できませんですけれども、就業者人口におけるテレワーカー、これは一五・三%と低迷をいたしております。

 自公政権におきましても、この分野は成長分野だ、いわばここで稼ぐんだ、景気回復もさせ雇用も生み出していこう、このような気概で取り組んできたと思います。ある意味、費用対効果だけで一つ一つそれを外していっては、一体日本のIT戦略とは何なのかということになってしまいます。バランスが崩れる、いや、なくなってしまう。これはすぐに結果が出るものではない。教育においては、その結果はもう何十年も後に出てくるものでございます。

 ぜひそうした中長期の視野でIT戦略に強力に取り組んでいただくことを申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

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