第181回国会 衆議院 厚生労働委員会-2号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 まず、三井大臣、御就任、大変におめでとうございます。

 大臣は、薬剤師でいらっしゃり、また三井薬品の設立者、代表取締役、また医療法人理事長なども御経験をされたと伺っております。厚生労働行政のエキスパートとして活躍してこられたということでもございます。

 特に、新薬の開発につきましては、日本は大変おくれているという現状でもございます。創薬、輸入するだけではなく輸出するということも、やはり積極的に取り組んでいく必要があると考えております。そのために、各省縦割りの壁を越えて支援をしていく体制を、薬剤師としての経験を大いに生かされて、リーダーシップを発揮していかれるよう期待を申し上げております。

 きょうは、再生医療の推進についてお伺いをしてまいります。

 ことしのノーベル医学・生理学賞が、再生医療の進展につながるiPS細胞を初めて作成した京都大学の山中伸弥教授に受賞が決まりました。多くの皆様とともに、この栄誉を心から祝福したいと思っております。

 公明党は、自公政権下でも、こうした科学技術の振興に関しましては、予算大幅増額を実現いたしまして、このiPS細胞研究なども後押ししてまいりました。この極めて重要な分野である再生医療にふさわしい制度が実現をするために、私もかねて、二〇〇八年でしたか、初めて、東京女子医大と早稲田の医工連携で行われております先端生命医科学研究施設、TWInsを訪問いたしまして、そのときの感激をもとにこの分野は着目をしてまいりましたけれども、改めて、さらに推進をしようということで、この九月に党内に再生医療推進プロジェクトチームを設置いたしました。事務局長を務めております。視察、有識者などを招いて積極的に活動を展開しております。

 先日は名古屋大学に参りまして、こちらは、上田実教授を中心に、特定の細胞に変化する前段階の幹細胞を培養した際の、細胞そのものではなくて、上澄み液をフリーズドライして、一見するとインスタントのだしのもとのような形をしているんですが、これを、例えば手術跡に塗ると傷が非常にきれいに治る、あるいは、糖尿病で、足に非常に重篤な潰瘍ができて、ここに塗るとそれが治るとか、あるいは、急性の脳梗塞の患者に対しまして、六十日にわたって鼻から再生因子を投与した結果、社会復帰ができるまでに回復をした、このような再生医療の現場にも行ってまいりました。

 この再生因子というのは、薬剤でもなく、もちろん医療機器でもない、新たな法的枠組みが必要だ、こういう要請を教授からも受けてまいりました。今回、いろいろ、視察等々を通しまして、再生医療が現場で実際に行われていることを拝見しますと、一刻も早く法律をつくっていくことが必要だと痛感をいたしました。

 今、公明党の坂口副代表が私案としてまとめました再生医療推進基本法、仮称でございますけれども、国、医師、研究者らの責務を明らかにして、国民が再生医療を迅速、安全に受けられることを目的として掲げております。タイトル、長いんですが、再生医療を国民が迅速かつ安全に受けるための総合的な施策の推進に関する法律案ということで、これは国民目線で、一日も早く、難病で苦しむ患者が再生医療、それをもとにした創薬などを受けることができるように、このような法律でございます。

 今、民主党、自民党にも呼びかけさせていただき、協議を進めているところでございます。ぜひ、今国会、このような状況ではございますけれども、これに関しては早期成立を目指していきたい、私はこのように考えております。

 大臣も、先日、所信の中で、再生医療に関しては触れられていました。経産省によりますと、再生医療の世界的市場規模、二〇一一年、約六百五十億円でありますけれども、十年後の二〇二〇年には約八千七百億円に急拡大すると見込まれております。iPS細胞という日本発の画期的技術が、日本再建の大きな原動力になることは間違いないと思います。再生医療は新たな成長分野であり、日本も産官学が一体となって推進に取り組むべきと考えます。

 世界に先駆けて、iPS細胞による再生医療の実用化、また新産業の創成、夢の医療の前進に、国家挙げた支援体制を構築すべきと思います。大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○三井国務大臣 御質問ありがとうございます。

 これまで古屋先生には私も厚生労働委員会では大変御指導いただきまして、ありがとうございます。

 まさに画期的な、山中教授によりまして、山中教授の今回のノーベル賞受賞、本当に心から祝意と敬意を表したいと思っております。

 今御質問ありましたように、iPS細胞というのはやはり再生医療であり、先生が今お話ございましたように、難病、そしてまた創薬、本当にこの分野で大いにiPS細胞が生かされるものと思っております。特に再生医療につきましては、先ほども御答弁申し上げたんですが、倫理面、安全面の課題はもちろん留意しながら、一刻も早くやはり実用化できるように、こういうぐあいに進めることが必要だと考えております。

 また、厚生労働省としては、現在、再生医療の安全性につきましては、薬事法の改正案の次期通常国会での提出を目指しております。また、医療として提供されます再生医療に関する枠組みの検討を進めているところでございます。

 予算面では、平成二十五年度の特別重点要求で、再生医療の推進に三十六・八億円を、うち十億円は平成二十四年度予備費を活用して前倒しを要求しているところでございます。

 また、今ほどお話ございましたように、現在、民主党とそして自民党と公明党の三党、坂口先生も熱心に取り組まれていただいております。再生医療の総合的な推進を図るための議員立法制定に向けて、検討が精力的に進められていると聞いておるところでございます。

 この議員立法の状況を注視しながら、今後ともしっかりと再生医療の推進に取り組んでまいりたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 厚労省としても、法整備また予算措置等を進めようとお考えになっているようでございます。

 日本の再生医療は、iPS細胞の分野では本当に世界トップレベルということでありますけれども、バイオ皮膚など再生医療製品の実用化は、欧米あるいはお隣の韓国に比べても非常におくれております。iPS細胞の実用化を進めるために、今おっしゃいました薬事法等の改正を含めまして、安全面また倫理面での規制等についても早急に検討を進めていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。

 次に、こうした研究現場で働いていらっしゃる方々の雇用環境の改善についてお伺いをしてまいります。

 山中先生、以前から公明党のプロジェクトチームにおいでいただけないかとお願いをしていたんですが、その後受賞が決まり大変お忙しくなったんですけれども、その中、先月十八日に公明党の再生医療PTにお越しをいただきました。

 その中で、重要な御発言の一つに、iPS細胞研究所で、先生のプロジェクトで働いている研究者が短期の雇用契約のもとにあるということを改善してほしい、このように述べられました。このiPS細胞研究所の九割が有期雇用でありまして、非常に不安定な雇用状況にある。プロジェクトが終わってしまえば次の職をまた探さなきゃいけない。皆さん非常に優秀な方々でありまして、こうした研究支援者のおかげでノーベル賞にもつながったわけでありますので、こうした研究者、研究支援者の方々について、できるだけ多くの方を正規雇用として雇用してほしいという御発言をなさいました。

 この御要請を受けまして、今週の月曜日ですけれども、iPS研究所の方を訪問いたしまして、働いていらっしゃる方々から直接御意見を伺ってまいりました。研究所は、今、正規の職員が一割、九割は有期雇用、大変これは衝撃的な実態だと思うんですが、今、研究所で働いている方々、教職員が全体で百九十名いるんですが、正規雇用が二十一人、非正規が百六十九人ということで、八九%が有期雇用であります。

 その中で、例えば、知財契約管理室に在職されているお一人、知財の専門家であります。この方は、企業からこのプロジェクトに入ってこられた。しかし、単年度契約。プロジェクトが四年になっておりますので、マックス四年ということになります。今年度で終了、来年三月までということであります。

 継続は可能なのかと聞きましたら、大学ルールで五年条項がある、現在、無期、いわゆる教授、准教授等のポストはもう全て埋まっている、ですから、正規職員以外の研究に取り組むこうした特定研究員というのは、五年を経過しても現在は雇用が可能なんですが、知的財産などの管理者、特定職員は、五年後更新ができないということでございました。

 研究者というのは、研究に没頭していくというのが本分でありまして、時間外労働は当然だというような雰囲気など、若手研究者が問題を一人で抱え込んでしまうというようなこともあるかもしれません。

 そこで重要なのが、研究スタッフ等、チームとして研究に集中できるような、そういう雇用環境をつくっていくことだと思います。

 前国会で改正労働契約法が成立をいたしました。これは、五年を超えて同じ職場にいた有期雇用の社員が無期雇用に移行することができる、こういう道を開いた法改正であります。しかし、現状では、大学では、先ほど言ったように無期雇用はもう満杯でありまして、ここはふやすことができない。ですので、五年を超える手前で雇いどめになるおそれがあるわけです。先回りをして、五年以内に契約更新をしない、こういう動きが出るのではないかとの不安が広がっている。

 改正労働契約法は、有期労働契約の反復更新のもとで生じる雇いどめに対する不安を解消していく、働く方が安心して働けるようにするために改正を行ったわけです。平成二十五年四月一日から施行になっているわけなんですが、このような研究スタッフ、グループについて、継続的な雇用ができる、特色ある雇い方ができるよう、これは柔軟な運用ができないか。この点についてお伺いしたいと思います。

 そうでなければ、こうした若い研究者あるいは知財の専門家などは、五年で首を切られる、そう予想される研究職にはもともと入ってこない。条件のいいところに転職してしまう、優秀な人材が逃げていってしまう。科学技術の発展が欠かせない時代に、人材の面からも若手研究者の不安定な雇用問題を解決していく、これが先決だと考えます。

 そこで、欧米のように、研究者を支援する技術者、あるいはこの知財専門家、こうしたチームで研究に集中できるような体制整備を行うべきだと思うんですが、大臣の具体的な指示のもとに、これは積極的に緊急に取り組んでいただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○中野政府参考人 研究を支えるさまざまなスタッフの方々が安心して働くことができるようにすることは、重要な課題であると認識しております。

 これらスタッフの方々の継続的な雇用が困難になっております原因の一つには、研究資金の問題があろうかと思いますが、この点につきましては、関係省庁に対しまして、雇用の安定の観点から、継続的な支援の重要性につきまして申し上げてきているところでございます。

 また、御指摘のございました改正労働契約法でございますが、有期契約労働者の雇用の安定を図るためのものでございまして、契約期間が通算五年を超える場合でありまして、労働者が申し込みをしたときには、別段の定めがない限り従前と同一の条件で無期労働契約に転換するルールを定めたものでございまして、必ずしも賃金等の労働条件の引き上げまでは義務づけてはいないものでございます。

 このような改正法の内容につきまして、周知し、きちんと御理解いただき、過度な心配から五年手前での雇いどめがふえないよう、現在、大学関係団体と協力しまして、各大学への説明会の開催に取り組んでいるところでございます。また、文部科学省と連携しながら、マニュアルの作成に取り組むなど、大学において改正法の趣旨を踏まえた雇用管理の改善がなされるよう支援していくこととしております。

 引き続き、文部科学省と連携を密にいたしまして、研究をされるスタッフの雇用の安定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 今、労働契約法はそうしたことを起こさせるものではない、それを周知していきたいというような局長の御答弁だったかと思います。

 しかし、先ほども言いましたように、無期雇用である教授、准教授のポスト、人数枠はもう全て埋まっていて、これ以上無期はふやすことはできないという現場の御意見もございました。ですので、現在の大学の中の人員配置とか、また大学のそうした人事の考え方等々も、当面、もう少し変えていく努力も必要なのかなというふうにも思います。

 先日も、「クローズアップ現代」に山中教授が御出演になりまして、やはりこのところを大変強調されていました。研究だけでは決してこれは進まない、特許の問題、さまざま考えれば、こういった研究を補助する、こうした多くの優秀な方々がいて初めて、これが研究から臨床、実用化、そして世界の本当に難病で苦しむ方々を救う、そこまでやはり到達していかなければいけないわけですので、この点、喫緊の課題として取り組んでいただきたいと思っております。

 大臣、何かつけ加えること、御所見があればお伺いをしたいと思います。

○三井国務大臣 私も、先日、山中教授が厚生労働省においでいただきまして、今先生がおっしゃったように、まさに、研究者のこの雇用の問題について、本当に一番、当然、研究費も必要でありますけれども、研究者がいなくては私もこういう研究はできなかったということも、強く私どもにおっしゃっておりました。

 いずれにしましても、これからの若い研究者のためにも、やはり、ポストドクターの方々が研究に専念できますように、まず雇用の安定を図ることが重要と考えております。その上で、研究業績を上げた方がきちっと評価され、そしてまた希望に応じてキャリアアップできるためにも、みずからその働く場所を主体的に選べる環境の整備も同様に大事だと思っております。

 この両方の要請をバランスさせた形の中で、大学等の雇用管理が適正に運用されますように、文部科学省とも協力しながら取り組んでまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 山中先生も、確かに、財政支援、これも量的なものは絶対に必要である、そうおっしゃったんですけれども、量とともに質が非常に重要だとおっしゃっていました。この資金の流れ方、そういうものを、ある程度やはり、こうした最先端の重要な研究では自由裁量がきくような、そしてまた、人件費にもしっかりと充当できるような、そういう支援というのが必要なのではないかというふうに思っております。

 文部科学省に続いてお伺いをしたいと思います。

 こうしたiPS細胞研究のような生命科学の先端技術など、研究費を集中投下して成果を出すプロジェクト型の研究というのは多くの人手が必要なんですけれども、国立大学また研究機関では、人件費に充てる国の交付金が毎年削減をされまして、正規雇用できる人数が限られているため、有期雇用が一般的ということであります。

 そこで、予算の拡充とともに、人件費等に係る研究資金の使途を柔軟に使えるような改善をすべきと考えます。文科省のお考えをお伺いいたします。

○森本政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、平成二十五年度の予算の概算要求におきまして、山中教授の在籍される京都大学のiPS細胞研究所を中心として、オール・ジャパンの体制を構築しようということで、iPS細胞の安全性、標準化に関する研究や、再生医療用のiPS細胞ストックの構築等を実施するための経費として、今年度四十五億円でございますが、これを大幅に増額いたしまして、八十七億円を今概算要求に盛り込んでいるところでございます。

 今後、京都大学iPS細胞研究所に対しまして、来年度から十年程度の長期にわたる支援を継続していきたいというふうに考えておりまして、これによって研究に専念できるような環境を整備し、研究支援者、ただいま御指摘ございましたように、その長期的な雇用が可能になるようにしていきたいというように考えております。

 さらに、研究システムの改革の一環といたしまして、ただいま御指摘の研究予算の使途の問題も含めまして、より柔軟かつ効率的に研究を実施していただいて、専念できるように、持てる能力を最大限発揮していただけるような仕組みづくりを現在、文部科学省において検討しているところでございます。

 今後とも、iPS細胞研究を引き続き強力に推進してまいりますとともに、できるだけ早くこれが再生医療として患者さんのもとに届けられますよう、我々としては関係省庁一体となって取り組んでいきたいというように考えております。

○古屋(範)委員 いずれにいたしましても、この一割、九割という非常にいびつな正規、非正規比率、研究の長期的促進のためにはならないというふうに思います。

 任期があって限定されたポスト、また終身在職権のあるポストを与えられた場合、研究者のほとんどは後者を選ぶというのが容易にわかります。したがって、任期制が主流な研究所では、人材の質の低下とか研究者を育成する意欲の低下、業績の悪化にもつながりかねません。そのため、山中先生は、慎重に、短期の雇用契約で仕事をする若い研究者らが自由に落ちついて研究に集中できるような環境を望まれているものと思います。

 一方では、研究者の雇用については、一定の流動性というものの確保も必要であると考えております。若手研究者が異なる研究現場を経験していくことも重要でしょうし、研究者の世界において必要とされる一定の流動性を適切な形で確保していくためにどのようなことが必要なのか、これは、雇用の安定と同時に流動化ということも、両方あわせて考えていかなければいけないというふうに思います。大臣は先ほどこれに関しては御答弁を頂戴いたしましたので、これは指摘にとどめたいというふうに思います。

 次に、iPS細胞の研究に臍帯血を利用する際の課題についてお伺いをしてまいります。

 党の再生医療推進PTの会合で、山中先生は、臍帯血という宝の山をぜひiPS細胞に使わせてほしいということを訴えられました。臍帯血は赤ちゃんのへその緒に含まれる血液であります。ここからiPS細胞をつくり、備蓄をして再生医療に生かしたいということを力説されました。臍帯血からはiPS細胞が効率よくつくれるとおっしゃっています。今後の研究促進が期待されるものであります。

 臍帯血につきましては、白血病の患者を救おうということで、当時、十五年前なんですけれども、さい帯血バンク支援ボランティアの会の有田美智世さんらとともに、私はまだ議員ではありませんでしたけれども、署名運動を行いまして、あっという間に二百万人の署名が集まりまして、臍帯血移植への保険適用、公的臍帯血バンクの設立、これに取り組みました。

 一九九七年、当時の浜四津敏子参議院議員と署名活動を行ったんですけれども、最終的には二百万人に署名が上りまして、翌年、九八年四月に臍帯血移植への保険適用が異例の速さで実現をいたしました。そして、さらに翌年、公的な臍帯血バンクが設立をされました。これまで八千五百件以上の移植が行われているということでございます。

 その後、やはりバンクの財政基盤が弱いということ、また法的根拠がないというような問題が生じまして、有田さん初め関係者から、臍帯血に関する法整備の必要性の要請を私たちも受けました。そこで、公明党が二〇一一年五月に、さい帯血法整備推進プロジェクトチームを設置して、十二月には、骨髄、末梢血幹細胞も含めた造血幹細胞移植法整備検討プロジェクトチームに改組いたしまして、自民党など各党にも強く働きかけ、ことし九月に造血幹細胞移植法が成立をいたしました。

 そして、本年九月、臍帯血を研究に用いることができる、この規定が盛り込まれた造血幹細胞移植法の成立によりまして、iPS細胞の研究に移植に適さない臍帯血を法的に利用することが可能となったわけであります。

 十年たつと廃棄をされる、あるいは細胞の数が少ないものは移植には適さないということでありまして、ここのところをiPS細胞の方に使いたいということでございました。移植可能なレベルのiPS細胞第一号をつくり出すために、治療を待ち望んでいる患者の皆様のために、一刻も早く臍帯血をiPS細胞の研究に利用できるようにすべきであります。

 そして、臍帯血利用の最大の課題が、当時このようなことを想定しておりませんでしたので、提供者からの同意をとり直す再同意の問題がございます。厚労省の審議会では、iPS細胞の作成に利用できるとの見解を示されています。各臍帯血バンクは協力したいと考えられると思いますが、しっかりと方針を決めなければ動きにくいのが現状かと思います。

 この造血幹細胞移植法の施行は、公布の日から一年六カ月を超えない範囲内、すなわち施行期限は平成二十六年三月ということでありますけれども、早期施行を目指したいと考えております。

 治療を待ち望んでいる患者のために、また、世界の激しい競争に勝つためにも、この臍帯血を利用する際の判断基準となるルールづくりを一刻も早く行っていただきたいと思います。この辺についての御見解をお伺いいたします。

○三井国務大臣 臍帯血につきましては、まさに山中教授からも、私も必要性を先日訴えられました。

 臍帯血につきましては、いずれにしましても、iPS細胞の作成には有用だということでございます。ただし、研究のために利用する際には、今先生からもお話ございましたように、臍帯血の品質の確保と、それから提供者の同意を得ることが重要だと。

 このために、京都大学iPS細胞研究所や、あるいは臍帯血バンクなどの関係機関との調整を進めて、できる限り早期に適切な臍帯血の提供が行われますよう、厚生労働省としても努力してまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 このルールづくり、早期につくり上げていただけますよう、重ねて要望しておきたいと思います。

 次に、東北メディカル・メガバンクについて質問したいと思います。

 先日、東北大学の東北メディカル・メガバンク機構の山本雅之機構長においでいただきまして、この構想についてお伺いをいたしました。

 この構想は、東日本大震災からの復興を目指す上で、被災地の住民を対象に健康調査を実施して、その生体情報、診療・健康情報、医療サンプルの保管を一元的に管理する新しいタイプの大規模な複合バイオバンクを構築し、医療イノベーションの基盤として全世界に発信するというものであります。そして、地域医療の再生、あるいは最先端研究拠点の形成、医療産業の育成を図るものでもございます。

 医療のIT化、個別化医療、個別化予防の推進、循環型の医師支援システム、これは、四カ月僻地に行って治療を行い、八カ月はまたこちらに、機構に帰ってきて研究をする。四カ月、八カ月だったら若手の医師も何とか循環していける、このような新しいシステムをお考えです。

 住民全体の健康に資するこの構想も、しっかりと支援をしていきたいというふうに考えております。

 山本機構長は、この東北メディカル・メガバンクの構築によって、創薬、あるいは医療情報産業の拠点形成による東北の再生、復興に貢献できるということを強調されております。

 国の支援が十年間で五百億円であるということであります。こうした長い調査期間が必要な事業については、十年で終わらせるわけにはいかないと思います。海外では五十年という国もあると聞いております。ぜひ長期的な支援を行っていただきたいと思います。

 まず、文科省に御見解を伺います。

○森本政府参考人 お答え申し上げます。

 東北メディカル・メガバンク計画につきましては、東日本大震災からの復興、再生への支援の一環といたしまして、日本再生戦略、それから医療イノベーション五カ年戦略などに基づいて、関係省庁と連携しながら進めているところでございます。

 宮城県及び岩手県の被災地域を対象として地域の住民の皆様の健康調査を行うとともに、ゲノム解析研究等を実施することで、被災地における地域医療の復興と、それから次世代医療の実現、この二つを同時に実現しようとするものでございます。

 具体的には、御指摘ございましたように、世界でも類を見ない十五万人規模のバイオバンクを形成するとともに、ゲノム解析などに精通した人材を育成して、それで、長期にわたって継続的に地域の住民の皆様の御協力を得て生体試料あるいは健康情報を蓄積して、その研究成果を社会に還元していく、こういうことを目指しております。

 我々といたしましては、このような長期的な視点に立ちまして、個別化医療の実現を目指して支援をしてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 時間が残り少ないもので、最後の一問に参ります。最後、不妊治療についてお伺いをいたします。

 近年、不妊がふえている背景に、女性の社会進出、晩婚化による高齢出産の増加などがよく指摘をされております。原因は複雑でありますし、不妊原因の約半分が男性側の問題にあるとも言われております。

 私たちは、健康保険が適用されない体外受精などの負担軽減をするために、国の特定不妊治療費助成事業の創設を推進してきました。二〇〇四年からスタートをいたしまして、たび重なる公明党の主張で事業は拡充を図られてまいりました。

 この特定不妊治療費助成事業というのは、体外受精と顕微授精を対象に、一回当たり十五万円を給付する。現在、一年目は年三回まで、二年以降は年二回まで、通算五年間、十回を超えない範囲で給付をされております。

 この不妊治療の支援について、来年度の概算要求で、不妊特定治療支援事業のうち凍結胚移植について、一回の治療助成上限額が十五万円から半額の七万五千円に引き下げられております。不妊治療への支援は、産みたい人にはできるだけの支援をしていこう、そういうメッセージでこの支援はされているはずであります。それを入り口から減らしていいのかということであります。

 子供を安心して産み育てられる社会の構築を目指していく上には、不妊治療への助成、これは縮小どころか拡大をしなければいけない事業だと考えております。これについてぜひ見直していただきたいと思います。副大臣、いかがでございましょうか。

○西村副大臣 来年度の概算要求において、不妊治療のうち採卵を伴わない凍結胚移植などについて、実はほかの治療と比べて費用がかかっていないという実態がございましたので、これを勘案いたしまして助成単価の適正化を図っております。ただし、概算要求の総額といたしましては、近年の助成件数の増加を見込んだ上で必要な経費を盛り込んでおります。

 今回の概算要求は、助成対象を縮小したということではなくて、実態を踏まえて、実質的な助成の公平化を図るという観点からの見直しであるということ、これはぜひ御理解いただければというふうに思っております。

 こうした治療費の助成に加えて、全国の不妊専門相談センターで不妊に関する相談、指導等は行っておりますし、また、不妊治療に悩む方への支援は重要であると考えておりますので、引き続き、こうした取り組みを通じて支援は継続してまいります。

○古屋(範)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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