第183回国会 衆議院 厚生労働委員会-3号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、予防接種法改正案について質問をしてまいります。

 私も、この六年間、予防接種法改正について取り組んでまいりました。多くの識者を国会にお呼びし、勉強会も重ねてまいりましたし、また、二十回にわたる国会での質疑も行ってまいりました。この改正案が、今国会に提出され、審議入りするということで、感慨深いものがございます。ワクチン後進国と言われてきた我が国のワクチン行政が、大きく前進をするものと高く評価をいたしております。

 まず初めに、風疹への対応についてお伺いをしたいと思っております。

 先月、二月の二十四日までに、全国の医療機関で風疹と診断をされた患者は千二十九人ということで、去年の同じ時期の二十三倍にも上っております。これは、予防接種の空白の時代があったということに起因をしているというふうに思います。ですので、今二十代後半から三十代前半の方々に、非常に発症が多くなってしまっているという現状でございます。

 都議会公明党がこの点を主張いたしまして、東京都では、区市町村に都が補助をしていくということを決めております。緊急対策として、都が予防ワクチンの接種を行う区市町村への支援を決めたということで、二分の一都が補助をするということを決めております。

 ぜひ、妊婦が風疹を発症すると非常にこれは影響が大きいということでもございますので、国としても適宜、通達などで周知されているとは思うんですが、さらに早急な対策をとるべきと思います。秋葉副大臣にお伺いをしたいと思います。

○秋葉副大臣 古屋先生には、本当に長年にわたりましてこの問題に熱心に取り組んでいただきまして、まことにありがとうございます。

 質問の中でも御指摘がありましたとおり、大変ことしは風疹の流行が顕著でございます。特に、関東地方を中心に、大体、全体の五〇%が東京、そして八〇%が首都圏に集中している。そして、御指摘のとおり、患者の多くが二十代から四十代の男性。この方々を中心に、なお一層注意喚起を図っていかなければならないというふうに思っているところでございます。

 特に、御指摘がございましたとおり、先天性風疹症候群を予防する、特に妊婦の罹患をいかに抑えるかということが、中でもとりわけ重要になってまいると思っております。厚労省としても、ホームページやあるいは啓発ポスターの作成も、新しいものをつくりました。本当に、あらゆる手だてを講じながら、普及啓発に努めてまいりたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 ぜひ、この大流行、風疹への対策に全力を挙げていただきますよう、よろしくお願いをいたします。

 それでは、本法案の質疑に入ってまいります。

 昨年五月でございました、予防接種部会の第二次提言で、子宮頸がんなど七ワクチンを予防接種法に基づく定期接種に追加すべきだという方針を決定いたしました。このうち、今回は、子宮頸がん、それから乳幼児の細菌性髄膜炎の原因になるHib、小児用肺炎球菌ワクチン、三ワクチンについて、来年度から定期接種化をしていくということになるわけです。四月一日からですので、もう目前でございます。

 この三ワクチンのみならず、今回は一類疾病全てのワクチンについて九割を交付税措置するということで、これは非常に画期的なことと評価をいたしております。

 予防接種部会の第二次提言で挙げられました、今、任意接種になっております、水痘、水ぼうそうと、おたふく、そしてB型肝炎、成人用の肺炎球菌ワクチン、この四ワクチンについても、早期に定期接種、A類疾病に定めるべきであるということを申し上げたいと思っております。

 成人用肺炎球菌ワクチン、これにつきまして、先日、我が党に長崎大学病院の河野茂病院長がおいでになりまして、現状をお伺いしたんですが、この接種率が低いということについて、高い接種費用に原因があるということでもございます。これをしっかりと接種していった場合に、費用対効果は五千百十億円という試算があるそうでございます。非常に大きな費用対効果があるというわけでございます。

 そこで、残された四ワクチン、この定期接種の実現に向けまして、ぜひ強力なお取り組みをお願いしたいと思っております。

 さらに、WHOが子供への定期接種を推奨しているロタワクチン、これに関しましても、定期接種に含める検討をぜひ早急にお願いしたいというふうに思っております。御見解をお伺いいたします。

○田村国務大臣 今、古屋委員おっしゃられましたとおり、昨年五月の予防接種部会におきまして、第二次の提言をいただきました。広く、七ワクチンに関しまして、これを予防接種していく、定期接種化するのが望ましいというお話でございました。

 今回、そのうちの三ワクチンに関してはそれを実現したわけでございますが、残りの四ワクチンがまだ残っております。

 一つは、御承知のとおり財源の問題。これを全部という話になりますと、一千億円を超える総額の財源が必要になってくるわけでありますし、一方で、このワクチン定期接種化は、地方自治事務でございますから、当然、地方財源措置はするということが前提にあるにしても、やはり地方の負担というものが必要になってくるわけであります。そもそも、地方の自治事務ということもございますので、地方とのいろいろな議論もさせていただかなければならないと思いますが、大変重要な御指摘だというふうには思っておりますので、地方としっかりと検討しながら、また、財源をしっかりと確保するということを努力しながら、これから検討を進めてまいりたいというふうに思います。

 それから、ロタウイルスの方でございますが、これに関しましては、今現在、予防接種部会の作業班の中におきまして、この評価、検討をしておる最中でございまして、ちょっと進みがおくれておる点は申しわけないんですけれども、しっかりとここで議論をした結果を踏まえて、これからしっかりと対応をしてまいりたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 全体で一千億ほど財源が必要ということですので、これは非常に大きな財源でございます。ぜひ大臣には今後頑張っていただきたいと思いますし、ロタウイルスの早急な検討もお願いをしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、ワクチンギャップの解消についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 これで大きく前進をするわけでございますが、やはり課題は残されております。ワクチン後進国からの脱却をしていくという意味におきまして、安定的な財源の確保、これは最も重要な観点であります。もう一つは、評価・検討委員会の組織の整備ということでございます。

 本法案の中でも、評価・検討組織について、予防接種部会を廃止して、厚生科学審議会のもとに新たに予防接種・ワクチン分科会を設置していくということになっております。これによって、今までよりも中長期的な視点に立った調査審議ができるということが期待されるわけなんですが、厚生科学審議会のもとの組織ということで、やはり厚生労働省のもとにある審議会という位置づけには変わりはないと思っております。

 ですので、これまでも主張してまいりました、米国のACIPのような独立をした、専門家、ワクチンを打つ側、また受ける側、ジャーナリストなども含めた、こうした中立的な機関をつくるべきではないか、日本版ACIPの創設について御検討をぜひお願いしたいと思っております。いかがでしょうか。

○田村国務大臣 ACIPに対しても、いろいろとこれから我が省としても研究といいますか、どういうようなことをされておられるか、また、予算も持っておられるという話もお聞きをいたしておりますので、そういうことも含めていろいろと研究していかなきゃならぬのだと思いますが、今回は、今おっしゃられましたとおり、予防接種部会を、格上げをするような形で分科会という形にいたしました。

 そういう意味からいたしますと、今までよりもいろいろなことがしやすくなったことは確かでございますので、いろいろなことを決定する上において、時間をかけずに判断した上で決定していける、それを私ども、厚生労働大臣の方にお上げをいただけるというふうな形になるというふうに思います。

 あわせて、科学的ないろいろな知見に基づく審議をするために、国立感染症研究所、ここに関しまして、しっかりと協力を全面的に、今までも部分的に御協力をいただいておったんですが、今回は、この所長さんからも全面的に協力をしていただけるというようなお話もいただいております。

 こういうような全面的な協力も得ながら、ACIPを目指して、しっかりとした対応ができるような、そういう組織にしてまいりたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 ぜひ、今後前向きな御検討をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 最後の質問になります。杉並区での子宮頸がんワクチンの副反応について、その事実確認、見解を問いただしたいと思います。

 先日、子宮頸がんワクチンで歩行困難などの重篤な副反応が報告をされました。三月十二日のテレビ報道でも取り上げられまして、御存じの方も多いのではないかと思います。この事実確認、そして厚生労働省の御見解をお伺いしたいと思っております。

 それから、もう一つ加えまして、これは、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議、また日本産科婦人科学会等から要望をいただいております。昨日も、自治医科大学の今野先生を初め関係者がおいでになりまして、この件をお伺いいたしました。本法案の中で使われております子宮頸がん予防ワクチンの対象疾病名が、「ヒトパピローマウイルス感染症」と記載をされているということでございます。これを子宮頸がんという用語に変えるべきであるという強い御要望をいただいております。

 この二つに対して、厚生労働省の御見解をお伺いしたいと思います。

○矢島政府参考人 御質問をいただきました杉並区の事例についてでございますが、医療機関から重篤な事例として報告を受けておりまして、全身が痛む症状の複合性局所疼痛症候群と担当の医師によって診断をされているというふうに聞いております。

 御指摘の事例も含め、子宮頸がん予防ワクチンの副反応につきましては、定期的に専門家による会議で評価をいただいておりまして、現在までのところ、これまでの発生状況を踏まえ、接種の中止等の措置は必要ないとされております。

 また、予防接種法上の対象疾病の名称についてでございますが、子宮頸がんは一般に感染症とは言わない扱いになっております。また、子宮頸がん自体は、転移によるものなど、ヒトパピローマウイルスを原因とするものだけではないということもございます。そういった事情を踏まえまして、子宮頸がんというよりも、ウイルスに起因する感染症を総称するヒトパピローマウイルス感染症というふうな名称が適当であるというふうに考えております。

○古屋(範)委員 既に子宮頸がんワクチンはもう接種をしておりますし、これから定期接種化になっていくということでございまして、多くの方々がこのワクチンを接種することにより子宮頸がんを予防することができる、このことをしっかりと知らしめていただけるようにお願いしたいと思います。ヒトパピローマウイルスという名前ではなかなか理解ができない方々も多いかと思いますので、子宮頸がんワクチンを接種していく、それがまた定期接種化になるということをぜひ周知徹底、広報していただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 こうしたワクチンの副反応が大きく報道されまして、そうしたネガティブな面だけを強調するということは避けなければいけないと思っております。ワクチンから受ける健康被害があったとしても、必要なワクチンを受けないことによって生ずる健康被害というものも一方であるわけですので、こうしたメリットを私たちは重視していく必要があると考えております。

 被害の程度に応じて速やかにかつ十分な補償が行える制度の充実は、必要不可欠でございます。そうした意味でも、今回、この三ワクチンが定期接種化をされるということを非常に重要なことだと思っております。万々が一、こうした副反応があった場合、予防接種法による手厚い補償が受けられるということでございますので、この予防接種法改正案の一日も早い成立を期し、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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