第186回国会 厚生労働委員会 19号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本会議に引き続きまして、安倍総理に質問をしてまいります。

 まず初めに、我が国の認知症対策についてお伺いをしてまいります。

 認知症高齢者は、予備軍も含めまして八百万を超える時代となってまいりました。行方不明あるいは鉄道事故等、その深刻さは日に日に増していると言わざるを得ません。

 その中で、一昨年、厚生労働省が、認知症施策推進五か年計画を発表されました。その中では、認知症ケアパスの作成ですとか初期集中支援チームの創設、早期発見、早期診断、早期対応等々、さまざまな認知症施策が総合的に盛り込まれてきております。

 しかし、平成二十六年度予算の中では、認知症対策の予算、認知症施策推進のための経費として三十二億円計上されているにすぎません。また、認知症の初期集中支援チーム、これはモデル事業として百カ所ということでございます。まだまだではないかというのが実感でございます。

 オーストラリアまたイギリスなどでは、認知症対策を国家戦略に位置づけております。我が国も、ぜひとも、世界の中で高齢社会の最先端を走る国として、認知症対策を国家戦略として位置づける、そのための認知症国家戦略というものをつくって進めるべきではないか、このように考えております。総理の御所見をお伺いいたします。

○安倍内閣総理大臣 高齢化の進展に応じまして認知症高齢者の方々がふえていくことが見込まれるわけでありまして、社会全体で認知症の方を支えるための仕組みをつくることが重要であります。

 このため、政府としては、平成二十五年度からの五カ年計画といたしまして、早期対応を行うためのかかりつけ医の研修等の実施、初期の段階から医療と介護の専門職がチームとなって認知症の方々への支援を行う事業の推進、そしてグループホームなど認知症の方々が必要とする介護サービス等の整備、さらには一定の研修を受けた認知症サポーターによる地域での見守りの推進等について数値目標を掲げまして、施策を推進しているところであります。

 今後とも、こうした取り組みを進めていきまして、認知症の方々が地域で安心して生活できるような環境づくりに国を挙げて取り組んでいく考えであります。

○古屋(範)委員 国を挙げて、世界のモデルとなりますような認知症対策をぜひとも構築していただきたい。そのための法律案であると思いますし、そのために地域包括ケアシステムをぜひとも構築してまいりたいと考えております。

 続きまして、時間の関係で、総理に質問をしてまいります。外国人材の活用についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 現在、政府におきましては、産業競争力会議等で、世界でトップレベルの雇用環境、働き方の実現を目指してさまざまな議論が進められております。内なるグローバル化として、外国人活用、多様な正社員、紛争解決システム、労働時間制度などが大きなテーマとなっております。これらの議論は、やはり避けては通れないものと考えます。

 しかし、報道によりますと、十二日の国家戦略特区会議で民間議員が、外国人起業家などの受け入れに向けた在留資格の見直し、また女性の活躍を推進するための家事分野への外国人労働者の受け入れ、労働基準監督署による指導を徹底した上での新たな労働時間制度の適用、農地転用の柔軟化などが提案をされております。

 介護分野また家事支援の分野は、女性が非常に多く働いております。さまざまな影響があることも勘案しなければなりません。日本人で、こうした介護あるいは家事支援の分野で既に働いている女性が多いわけでございます。ここの労働条件の低下、処遇の低下というものにつながりかねないとの懸念もございます。この点に関して、総理の御所見をお伺いしたいというふうに思います。

○安倍内閣総理大臣 外国人材の活用につきましては、女性の活躍を支援していく、女性の活躍推進という観点、そして中長期的な経済成長の観点から、経済財政諮問会議と産業競争力会議において議論をいただいております。その中で、国家戦略特区の活用も含めて検討するように指示をしたところでございます。

 また、介護分野における外国人労働者の受け入れについては、これまでも、EPAの枠組みの中で、一定の質を確保しつつ受け入れを行ってきているのは御承知のとおりでございますが、今後の外国人材受け入れに当たっては、御懸念のようなことが起きないように、介護サービスの質や国内労働市場への影響などにも十分留意をしながら検討していく考えであります。

○古屋(範)委員 女性の活躍を掲げていただいていることを、大変ありがたく思います。しかし、こうした、実際に日本人で、また女性たちが介護分野等で働いている、その方々の処遇を下げてまで、その上で女性が活躍していくというのは本意ではございませんので、ぜひとも、この点に関しましては、慎重、丁寧な御議論をお願いしたいと思います。

 介護人材を確保するために、介護人材の処遇は下げてはならないし、これは処遇改善をしていかなければなりません。野党は既にその法案を提出いたしておりますが、このたび、与党といたしましても、介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律案を、昨日、与党の政策責任者会議で決定させていただきました。ぜひとも、この法律案を野党にも御理解いただき、早期に成立をさせ、介護従事者の処遇改善のために全力を尽くしていただきたいと思います。

 一言御決意を伺い、質問を終わりたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 介護従事者について、まさに介護従事者の皆様がその職に誇りと生きがいを持って仕事をしていただくことによって、年をとっても安心した介護環境が維持できるわけでございます。

 その意味におきまして、人手不足状況となっている、あるいは、介護の分野に職を持ったとしても、将来、なかなか安定した職として考えられないという悩みを多くの方々が持っておられるわけでございまして、そうした観点から、我々もしっかりと検討していかなければならない、このように考えております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

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