第186回国会 厚生労働委員会 31号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 とかしき委員と若干重なる部分もございますが、通告どおり質問をしてまいりたいと思います。

 危険ドラッグを吸引して救急搬送される、あるいは死亡する、また、吸引をして自動車を運転して死亡事故につながる。今、この危険ドラッグは大きな社会問題となっております。

 私も、七月二十五日に、厚生労働省の関東信越厚生局麻薬取締部に行ってまいりました。現場の方々の御意見を聞きますと、危険ドラッグは覚醒剤常習者でさえ手を出さない、そのぐらいまさに危険なドラッグであるということでございます。

 私たちも、これまで薬物に関しましては、啓蒙活動に全力を挙げてまいりました。昨年、通常国会では議員立法も成立させ、また薬事法改正をリードしてまいりました。

 厚生労働省も、この根絶に向けまして、成分が似た薬物をまとめて規制される包括指定を昨年春導入し、違法と定めた指定薬物は今千三百七十を超えると言われております。これは、製造、販売だけではなくて使用、所持、購入も、買う側も、使う側も処罰の対象になるということでございます。

 この乱用に歯どめをかけるために、都道府県が行う監視また指導、警察、厚労省、麻薬取締官、これが徹底して、あらゆる法的手段を駆使して、根絶に向け摘発を進めていただきたい。また、事故の原因となる、他人に危害を加える危険性もあるのだ、そのことをぜひとも普及徹底させていただきたいと思います。

 加えまして、麻薬取締部に行ってまいりましたときに、早期指定のための分析機器、二台あるんですが、一台は覚醒剤専用、一台だけで大量に押収をした危険ドラッグを分析しなければいけない。この分析機器が足りない。また、分析の専門官が足りない。なおかつ、小さなことなんですが、取締官が二十四時間詰めております、そのお部屋、夜間エアコンが切られてしまうという、いざというときに集中力を発揮していかなければいけない、体調を壊すなどの危険もあろうかというふうに思います。

 そうした機器、人員の増強、また環境整備、こういったものも全部含めまして対策に全力を挙げていただきたいと思います。大臣の御所見をお伺いいたします。

○田村国務大臣 あの池袋の、事件ですね、あの後、豊島区民の集い、池袋の駅前で開催されました。私も出席をさせていただきましたが、豊島区、池袋の皆様方は、本当に怒り心頭、そして、やはりそのような危険な物質を売っているような店を許さない、徹底して排除していく、そういうようなお声を上げられました。

 まさに、今、世の中でこの危険ドラッグというものとの戦いが始まっているわけでありまして、何としてもこれを根絶しなければならないというふうに思っております。

 私も、麻薬取締部に行ってまいりました。おっしゃられるとおり、二台検査機器があるわけでありますが、一つが覚醒剤、一つが危険ドラッグ等々指定薬物を含めて検査するものであるということでございました。

 機械をふやせばいいかというと、そういうわけではありませんでして、それをちゃんと機械を使って測定しなきゃいけないわけでありまして、そういう方々もあわせて人員を配置していかないと分析ができないわけであります。

 そういうことも含めながら、これからしっかりとした対応も含めて準備をしていかなければならないなと改めて私も決意を新たにしたわけでありますが、麻薬取締部の方々は、この危険ドラッグだけではなくて、他の業務もある中において、今この問題が大変大きな問題になっておりますから、そこに力を割いていただいております。体制も含めて、しっかり強化もしていかなきゃならぬというふうに思います。

 あわせて、今委員がおっしゃったように、薬物中毒患者の方々ですら、危険ドラッグは危ないから使わないというようなことを言われる方がおられるという話も私も聞きました。成分が安定しない、指定をされる前に次から次へと出してくる。だから、品質管理という言い方がいいのかどうかわかりませんが、もうわけがわからないまま出してきている。使う人もそれをよく理解して使わないと、どうなっちゃうかわからないんですよね、体が。

 違法じゃないから、子供たち、これは使っている全体的な年齢も低いです。覚醒剤は四十代でありますけれども、危険ドラッグは三十四歳ぐらいが平均だというような数字も、これは確定数字じゃありませんけれども、いろいろな形で調査すると出てまいってきています。若い人たちも使う、値段も比較的安価、覚醒剤なんかよりも安いということで手も出しやすいんだろうと思います。

 違法じゃない、たばこは吸っちゃいけないけれども危険ドラッグは違法じゃない、とんでもないですよ。先ほども言いましたけれども、すぐ指定しますからね、こんなものを持っていたら捕まっちゃいますからね、そういうような啓発を徹底していかなきゃならぬと思います。つまり、これを売ったり使ったりすること自体は社会的に悪いことなんだということをしっかりと社会の中で徹底していく、意識を徹底していく。

 そういう中において、売る方も売らせない、買う方も買っちゃいけないものだという認識をしっかり持っていただく。それには、やはり麻薬取締部等々の強化、これも必要でありますし、警察でありますとか地方自治体との協力も必要であります。ありとあらゆる対策をとって、この危険ドラッグの撲滅に向かって我々全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 大臣の強い御決意を伺うことができました。早急にこの予算を確保し、また、人員の育成には時間もかかると思いますけれども、ここに力を注いでいただきたいと思います。

 次に、インターネット販売について質問をしてまいります。

 かつて私が子供のころもシンナー、さまざまな薬物がございましたけれども、インターネットによる販売というものはやはり近年しかございません。警察におきまして、関係機関が協力をして、このインターネットについても情報収集を図ったり、仕入れ、販売、流通ルートの解明、また新たな規制や摘発に結びつけていく必要があると思っております。

 危険ドラッグに関する違法有害情報を確認した上で的確な対応がなされますよう、今、インターネット・ホットラインセンター、ここで違法情報は監視をされているというふうに思います、ぜひこのインターネット・ホットラインセンターの監視の対象に危険ドラッグも含めるべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

○室城政府参考人 インターネット・ホットラインセンターにおきましては、一般のインターネット利用者等から違法情報、有害情報に関する通報を受理し、警察への通報やサイト管理者等への削除依頼を行っているところであります。

 同センターにおいて対応する違法情報、有害情報の範囲は、有識者等から構成されるホットライン運用ガイドライン検討協議会において検討され、ホットライン運用ガイドラインにおいて定められております。

 お尋ねのインターネット上での危険ドラッグに関する情報については、現時点においては同ガイドラインの対象外でありますが、薬物乱用対策推進会議において定められた政府の緊急対策において、インターネット・ホットラインセンターの通報等の対象情報の範囲の見直しについて検討を要請するとされているところであります。

 警察庁といたしましても、ホットライン運用ガイドライン検討協議会において、同ガイドラインの見直しの検討がなされますよう要請するとともに、必要な情報提供を行ってまいる所存であります。

○古屋(範)委員 ぜひ、早急な通報対象の見直し、検討をし、結論を得ていただきたいと思います。ホットラインセンターも、丸一日じゅう違法情報を皆さん見ていらっしゃるので、ここの体制の拡充も必要ではないかなというふうに考えます。

 次に、学校教育での意識啓蒙、また教員の研修についてお伺いをしてまいります。

 国立精神・神経医療研究センターの全国中学生調査によりますと、中学生において違法ドラッグの経験があると答えた者もありまして、既に違法ドラッグが中学生まで広がってしまっている。違法ドラッグ使用者が身近にいると答えた者一・二%、違法ドラッグの入手可能性がある、一五・六%。中学生の身の回りにもこうした違法ドラッグ、危険ドラッグが迫っている。しかし、危険性の周知率、六二%にすぎない。回答した約五万四千人のうち百二十人が使ったことがあるという答えが出てまいりました。このうち六〇%が大麻、覚醒剤などにも手を出している。こうした、中学生が実際に使っている、この事実は見過ごすことができないと思います。

 やはり根本は子供への教育であろうというふうに思います。規制や取り締まり、これを強化していくとあわせて、学校での薬物に対する教育、特に危険ドラッグに対する教育、意識啓発の強化は欠かせないと思います。また、教員向けの研修の充実、これも必要かと思います。これについて文部科学省の御所見をお伺いいたします。

○芦立政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今の危険ドラッグによる犯罪、交通事故などの状況を踏まえますと、薬物乱用を拒絶する規範意識を向上する上で、学校における薬物乱用教育をさらに充実させていくことが重要な課題であると考えているところでございます。

 現在、文部科学省におきましては、警察職員や麻薬取締官OB等の専門家の協力をいただきながら、中学校、高等学校において、少なくとも年一回は薬物乱用防止教室を開催するよう指導しているところでございます。

 また、大学生などに対しましては、警察庁、厚生労働省などと連携しながら、入学時のガイダンスで活用することを目的とした学生向けの薬物乱用防止啓発資料を作成しているところでございます。また、全ての小学校五年生、中学校一年生、高等学校一年生に対しまして、薬物乱用と健康について総合的に解説する啓発教材を作成、配付するなどしているところでございます。

 また、教員の研修につきましては、これも極めて重要な課題であると考えておりまして、都道府県が実施いたします教員を対象とした薬物乱用防止教育の研修について必要な経費を措置するなど行っているところでございますが、こうした取り組みにつきまして、今後、危険ドラッグに関する内容を盛り込んで充実したものにしていくよう努力してまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 初犯の八割が二十代、三十代ということでございますので、やはり社会に散ってしまう前に、学校にいる間に、小中高、大学含めてしっかり教育をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、薬物依存から抜け出す仕組みについてお伺いをしてまいります。

 先日、東日暮里にありますNPO東京ダルクにも行ってまいりました。ここは、薬物依存からの回復、また社会復帰を目指す施設でございます。施設長からお話を伺いましたけれども、やはりここ二、三年危険ドラッグ常習者がふえているということでございます。

 しかし、やはりお香とかハーブとか、軽い気持ちでこれを吸引して、だんだんと覚醒剤など重いものに手を染めていく。行き着くところまで行き着かないと、なかなか本気で更生をしよう、抜け出そうという気持ちにはならない。ですので、始めてからいろいろ経て、最後、薬物依存から抜け出すまでに非常に長い年月がかかってしまいます。

 また、一度薬物に手を染めた人の相談を受ける体制整備というものも重要だと思います。こうした危険ドラッグから抜け出そうとする人の医療、機関の体制整備もまだ十分ではないのではないか、このように思います。

 危険ドラッグ、薬物乱用者、その家族への体制、本人への相談体制、またその支援、治療、薬物依存からの脱却の仕組み、この拡充について御所見をお伺いいたします。

○藤井政府参考人 依存症対策につきましてお答えをさせていただきます。

 薬物依存症に関する相談につきましては、精神保健福祉センターあるいは保健所において行われてきておるところではございますが、実は、本年度、平成二十六年度から全国五カ所程度の医療機関を依存症治療の拠点機関として位置づけまして、依存症に関する専門的な相談、あるいは治療また回復支援、さらに関係機関あるいは依存症者の家族等との連携及び調整等を試行的に実施することとしてございます。

 あわせまして、この事業の中で、全国の拠点機関として一カ所指定をいたしまして、拠点機関で集積した知見の評価、検討を行うといったようなことも実施してまいりたいと考えております。

 また、先生、ダルクに御言及いただきましたけれども、薬物依存症患者の回復に向けましては、平成二十二年度から、依存症回復施設職員の研修事業といたしまして、ダルク等の依存症回復施設の職員に対しまして依存症に関する医学的知識あるいは関係機関との連携に関する研修を行うことによりまして、依存症への対応力の強化を図っているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みを通じまして、依存症対策の推進を図ってまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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