第189国会 厚生労働委員会 22号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは派遣法の審議ということでございますが、年金情報流出問題に関しまして、先週二回、当委員会におきまして集中審議を行ってまいりました。私からも、さらに原因究明、事実の解明、そして再発防止、また、国民の不安を払拭する上でも、近いうちに、しかるべきときに、当委員会におきましてもしっかりとこの問題に関して審議を行うべきであるということを申し上げて、質疑を始めたいというふうに思っております。

 当委員会での派遣法の質疑も長時間にわたってまいりました。その中で、この法案が一体何を目指す法案なのか、そういう根本的なそもそも論の議論も行ってまいりました。

 私は、今回の改正案の目的というのは、正社員を希望する方々にはその道を開く後押しをしていく、また、派遣という形を望む方々にはその処遇を改善していく、この両面を備え、高齢者、また女性、若者、全ての働きたいという意欲のある方々が働けるような制度をつくっていく、多様な働き方を推進していくための法改正だと理解をしております。

 また、もう一つの目的は、わかりやすい制度にしていくという点であると思っております。

 派遣法が非常にわかりにくいという御指摘があります。その一つの要因は二十四年の改正にあったのではないかと、私は振り返って考えております。

 平成二十二年、百七十四国会に、民主党政権下で派遣法の改正案が提出をされました。その通常国会で本会議で質疑に入り、そのまま百七十五、百七十六、百七十七、百七十八、百七十九、ここまでずっと、いわば民主党政権がこれを動かすことができずに百八十国会を迎えた。

 その中で、我が党の坂口力元大臣が、このままにしておくのはよくないのではないかということで修正に乗り出して、労働界、経済界とも話をつけた。そして、各党を回ってこの修正案の協議を行っていった。私にも、きょうは何党の誰々さんに会って話をしてきたよ、そういうふうにおっしゃっていました。

 民主党政権下で提出をされた内閣提出法案で、我々は野党の立場で、そこまでするのかなと私は正直思いましたけれども、その修正が実って、第百八十国会で修正をして成立に至った。それはかなりの大幅な修正が加えられました。ですから、その前の自公政権で考えていた派遣法改正案の要素が盛り込まれて、結果として、さらに複雑になっていったということが言えるのではないかと思っております。

 ですので、そのときの附帯決議、特に専門二十六業務に関しては、自民、民主、公明の三党で、これに関しては見直しをしていくということが決議に盛り込まれた。それに基づく今回の改正であるというふうに私は理解をいたしております。

 その上で、きょうは、議員立法も含めて、同一労働同一賃金に関して質問してまいりたいと思っております。

 昨年十一月の委員会で私は安倍総理に、そのときも二時間、野党欠席の中で、総理がそこにいらして、私は十分質問させていただきました。

 そのときに、雇用形態がどうであれ、同じ仕事をしている以上、賃金も同じであるべきではないか、同一労働同一賃金が一つの理想形だ、ここに近づけるために、派遣労働者の待遇の均等、均衡を含めた派遣労働者の処遇改善のための調査研究、これを進めて、理想形に少しずつ近づける努力をすべきではないかと総理に質問いたしました。

 これに対しまして、安倍総理の方は、同一労働をしていれば同一賃金が保障されるという仕組みをつくっていくことは、一つの重要な考え方だ、このように私も考えております、他方、職務に対応した賃金体系が普及していない、能力や責任の大きさなど、さまざまな要素を考慮して労働者の処遇が決定されることが一般的である我が国の労働市場においては、すぐさまこうした仕組みを導入していくためには、乗り越えるべき課題があると思う、また、派遣労働者の場合、派遣先のどの労働者と比較するのかという課題もある、このために、まずは個々の事情に応じた均衡待遇を推進していくことが重要であろうと認識している、今回の改正案において、賃金等の面で派遣先の責任を強化するなど、均衡待遇を推進していくこととしているという答弁をいただいたところでございます。

 我が党の主張を入れた形で、今回の派遣法改正案には、均等・均衡待遇の調査研究というところが盛り込まれております。今回、維新、民主から議員立法も提出をされておりますので、政府に改めてお伺いをしたいと思っております。同一労働同一賃金について、これは非常に重要な考え方だと思いますが、改正案でどのような対応をされているのか伺います。

○山本副大臣 同一労働に対しまして同一賃金が支払われるという仕組みをつくっていくことは、ただいま御紹介いただきました総理の御答弁の一つの重要な考え方と認識しておりますけれども、ただ、今御紹介いただいたような、るる乗り越えるべき課題がございます。

 そのため、今回の改正法におきましては、具体的に申し上げますと、派遣元に対して、派遣労働者の求めに応じて均衡待遇確保の際に配慮した内容の説明を新たに義務づけるとともに、派遣先に対しまして、派遣先の労働者の賃金情報を派遣元へ提供する努力義務を配慮義務へと格上げさせていただいております。

 こうしたことによりまして、まずは、派遣で働く方と派遣先の労働者との間の均衡待遇を進めることを第一歩として進めさせていただくことになっておりまして、これらを通じて、派遣で働く方の待遇改善というものを図ってまいりたいと思います。

 そして、今御紹介いただきました今回の改正法案におきましては、附則第二条におきまして、均衡・均等待遇のあり方を検討するため調査研究等を行う旨の規定を新たに盛り込んでおりますので、この規定を踏まえた適切な対応というものもしっかりとしてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 今回の改正案は、均等・均衡待遇に向けた一歩前進の法案であるということが言えるかと思います。

 次に、議員立法提出者、維新の党、井坂議員にお伺いをしてまいります。

 このたび、この法案を取りまとめられたことに敬意を表したいと思います。

 この法律のタイトルにもありますように、労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案ということであります。この職務という文言につきまして、我が国におきましては、労働者の職務の範囲が必ずしも明確に区分、限定をされておりません。そのことが待遇の比較を困難にしているという側面があるかと思います。

 職務に応じた待遇というのを実現していくためには、労働者の職務の範囲というものをまず明確に区分、限定して、それぞれ比較可能なものに改めていく必要があるのではないかと考えます。いかがでしょうか。

 それは、現在、日本がとっておりますメンバーシップ型、一つの会社に就職をすれば、そこの中でさまざまな仕事を経験してキャリアアップをしていくというような、メンバーシップ型と呼ばれる日本型の雇用環境をジョブ型に見直していく、こちらを志向しているというふうに考えるんですが、その理解でよろしいんでしょうか。

○井坂議員 メンバーシップ型とジョブ型についてのお尋ねがありましたが、もちろん、能力、経験、勤続年数で賃金が決まるメンバーシップ型雇用ではなくて、職務で賃金が決まるジョブ型雇用を推進していくことが大事だというふうに我々は考えております。

 ただ、今委員がおっしゃったような、メンバーシップ型かジョブ型か、こういう二項対立ではないというふうに考えておりまして、おっしゃったような終身雇用の会社であっても、その都度、その方の職務定義をしっかりやっていくという当たり前のことをやっていけば、それはもう全てジョブ型の雇用、ジョブ型の雇用契約ということになるというふうに思いますので、そういう意味では、メンバーシップ型のよさを全て捨て去らないとジョブ型にならないというふうには考えておりません。

 また、現行法においても、パートタイム労働法、また有期雇用労働者の労働契約法、どちらも「職務の内容」というふうに書いてありますが、この中には、業務の内容とそれに伴う責任の程度ということが規定をされておりますので、職務の明確化ということについては、別に我々の法律と関係なく、既に現行法でもそれが要請されているものというふうに理解をしております。

○古屋(範)委員 ジョブ型を目指すんだけれども、現行のこうしたメンバーシップ型の考え方も認めていくということなのかなと今受けとめました。

 それで、五月二十九日の質疑の中で、雇用の流動化について質問がありました。

 法案提出者の方は、流動性が高くあるべきか低くあるべきかということとは関係なく、職務に応じた待遇を原則とすべきというふうに井坂議員はお答えになったかと思います。民主党の山井議員の方は、雇用の流動化というものは、さまざまな国際競争力の中等で高まらざるを得ないのではないか、流動化した際にセーフティーネットがないということが一番重要だといった見解の答弁がありました。少しニュアンスが違うのかなというふうに受けとめました。

 一方、昨年十月二十八日の衆議院本会議で、維新の党、柿沢未途議員なんですが、我が国においても、同一労働同一賃金が原則として成り立っていれば、離職をして別の会社に移っても本人の不利益は生じなくなります、このような形での労働市場の流動化は、働く人に多様な就業を与えるものと言え、私も賛成ですと述べられています。

 ある会合で、柿沢議員は、突き詰めていけば正社員は要らないんだみたいな発言をされていたことがありまして、御党の中でもさまざまな意見があるんだろうというふうには思いますが、同一労働同一賃金を実現することで労働市場の流動化が進むとの意見もあるようなんですが、改めて、この同一労働同一賃金は、労働市場の流動化とは関係なく実現することができるというふうにお考えなのか。

 同一労働同一賃金原則と雇用の流動化について、提出者にお伺いしたいと思います。

○井坂議員 まず、本法案自体は、労働市場の流動化がなければできないというような、そういう労働市場の流動化を前提としたものではありません。

 ただ、むしろ同一賃金ということが本当に社会で広く実現していけばいくほど、その結果として、正規から非正規に自由に行ける、また、非正規から正規に望めば自由に行ける、こういった行き来がふえて、結果として流動性が高まるといったことにはなるというふうに考えております。

 この法律案においても、雇用形態による格差が、特に今、日本社会では大きく目立ってきている、しかも、これが格差の固定化につながっているのではないか、こういう問題意識から本法案を提出しております。ですから、基本理念の中には、正規労働者以外の労働者が正規労働者になることを含め、労働者がみずからの希望する雇用形態にしっかり就労する機会が与えられるように、こういうことを基本理念に掲げているところであります。

 そして、これを実現するために、具体的に法律の中でも、労働者の採用や登用などの雇用管理の方法の多様化の推進、そのために必要な施策の実施ということで、法律に定めさせていただいております。

 流動性というよりは、やはり労働者みずからが好む、そのときそのときでみずからが好む雇用形態にしっかり移れる、選択ができる、その選択肢がいつも幅広く開かれている、こういうことが一番重要だと考えております。

○古屋(範)委員 同一労働同一賃金を推進していけば、結果として流動性は高まるだろうと。また、多くの人が労働に参加できる。

 例えば女性でいえば、一生の間で、子育てをしたい、こういう時期は時間を狭める、それなりの所得が得られる、そして徐々に、まあ私のような年になれば、一〇〇%仕事に全力投球できるとなればまたそこで、結局は仕事が永続をしていくことができるということからも、この考え方というのは私も賛成であります。

 その上で、賃金制度についてお伺いしてまいりたいと思っております。

 実は、きょう、これは民主党さんにもお伺いをしたかったんです、いらしていないので残念なんですが。

 これは連合の二〇一四年に出された見解なんですが、「真摯な議論を重ねて築き上げてきた定期昇給制度は、労使の信頼関係の基礎であり、現場力の源泉とも言うべきものである。労使は長年にわたって賃金項目それぞれの持つ意味合いや位置づけ、水準決定のあり方について議論を積み重ね、一定の認識共有に至ってきた。」あるいは、これは二〇一三年の連合の見解でございますが、「賃金は「生計費」「労働力の対価」「社会性」といった労働者の生活や保有する技能など様々な要素によって決定される」と。

 連合を支持母体とする民主党さんは、こうした考え方にはどういうお考えをお持ちなのか、きょう伺いたかったんですが、いらっしゃらないので残念でございます。

 改めて、維新の党の井坂議員にお伺いをいたします。

 こういう中で、先ほどの答弁とも重なるとは思うんですが、職務に応じた待遇の確保は、定期昇給制度や労働者の生活等を考慮した賃金決定とは両立しがたい面があるというふうに思うんですが、それについてさらにお伺いしたいと思います。

    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

○井坂議員 まず、定期昇給とか労働者の生活を考慮した賃金水準ということと、職務に応じた賃金というのはなかなか両立しないのではないかというお尋ねであります。

 労働者の生活を考慮した賃金決定ということで、まず私が申し上げたいのは、では、現状の非正規の方は生活が成り立つような賃金設定になっているんでしょうか、ここが我々のそもそも本法律を提出した問題意識であります。現状がいいとは全く思えません。

 さらに、定期昇給制度などとこうした同一労働同一賃金が両立しにくいのではないかという御指摘でありますが、この法案でも、正規と非正規の労働者の待遇に係る制度の共通化の推進、正規でも非正規でも待遇を、制度そのものを共通化していきましょうということを大きく掲げております。

 ですから、その中で、会社によっては、別に非正規の方に何か定期昇給的な賃上げをしてはいけないというルールなど一切ないですから、この派遣法の議論でもずっと出てきている、例えば五年、十年、同じ派遣先に行っていらっしゃるような専門二十六業務の方であれば、当然、そういう方に正規労働者と似たような定期昇給的な賃上げをするということは私はあってよいことだというふうに思いますし、職務、できることは年を重ねるごとに同じ職場でふえていくのが普通だと思いますから、職務定義もし直した上で賃上げに近いことをしていくということは、私は全く本法案で否定されるものではないというふうに思っています。

 この法案は、同一労働同一賃金と大きな話ですけれども、まずその第一歩として、正規とそれから派遣、特に今、法律面でおくれている派遣労働者の方の、その働き方の違いによる賃金格差をまずなくしていきましょう、少なくとも法律にそのことを明記することから始めましょうという、非常に最初の一歩的な法律でありますので、ぜひ御理解を賜れればというふうに思います。

○古屋(範)委員 まずは派遣、非正規の方々の処遇を正社員まで少しでも近づけていこう、そういう趣旨、目的であるというふうに伺いました。

 だんだん時間がなくなってきまして、井坂議員、ちょっと一問省かせていただきます。済みません。

 井坂議員は、危険ドラッグ対策などでもともに取り組ませていただきました。苦しんでいる方々、特に若い世代の方々に寄り添って、今までも議員活動を続けてこられたというふうに思います。

 そこで、大変僣越なんですが、今回の議員立法の中で、女性の立場からいたしますと、賃金格差やさまざまな格差が派遣と正社員の間であるんですが、育休のとりにくさというのも、やはり派遣社員の中で育休の取得率が低いという現実があります。そこで、出産、子育てを経ても仕事をし続けていくために、ここのところも目を向けてあげる必要があるんじゃないかなというふうに思いました。

 今回の法案の中で、なかなか明示的にここのところを改善していく条文に当たらなかったものですから、育休の取得なども、派遣社員、特に派遣で働く女性にとっては、ここを後押しする、また推進していくような条文も取り入れてはどうかということを最後に提案させていただいて、議員立法に対する質疑を終わりたいと思っております。

 これから政府の方に聞いてまいりますけれども、同一労働同一賃金を進めていくという上にあって、能力に応じて、では、能力が低ければ低い賃金でよいのかということになってしまいます。やはり能力開発をしてこそ、同一労働同一賃金というものの意味が出てくるんだろうというふうに思います。

 政府提出の改正案では、派遣会社に対して、派遣労働者の計画的な教育訓練、キャリアアップ支援が義務づけられました。このキャリアアップ支援を実効性あるものとして、真に派遣社員がキャリアアップをしていける、正社員の道も開かれていくものにしなければならない、これを行わなければ許可を取り消すということが今回盛り込まれております。この支援制度を整備できない派遣業者は淘汰をされていくわけであります。

 派遣先が常に確保されるために、または正社員への道を開いていくために、派遣元業者が講ずべき教育訓練等の中身が重要であります。この教育訓練の中身の具体性についてお伺いしたいと思います。

 また、企業横断的な能力開発を行う仕組みを構築する必要があるのではないかというふうに思います。この点についてお伺いします。

 また、今年度予算では、派遣労働者等非正規労働者の正社員化に取り組む派遣先へのキャリアアップ助成金が拡充をされました。この助成金がしっかりと活用されることが非常に重要だと思います。そのために、申請の簡素化、また、利用しやすい制度になるよう周知徹底をしていかなければならないと思います。この点についてもお伺いをいたします。

 また、派遣のみならず非正規労働者支援として、労働者側にも、昨年十月から、教育訓練給付制度に専門実践教育訓練給付が創設をされました。これは、一定の要件を満たした人が専門、実践的な講座を受講して資格取得をする、正規雇用につながった場合、本人に、年間四十八万円を上限に費用の最大六〇%、最長三年、給付されることになっております。こうした制度についても、ぜひとも周知徹底をして活用を促していただきたいと思います。これについてお伺いします。

○坂口政府参考人 幾つか御質問いただきましたので、私からは、派遣元の関係の、教育訓練の関係、それからキャリアアップ助成金の関係についてお答えを申し上げたいと思っております。

 今委員の方から御指摘ありましたように、今回の改正法の中で、派遣会社、派遣元に対して、計画的な教育訓練の実施等について新たに法的に義務づけるということとしたところでございます。

 その具体的な内容につきましては、従前申し上げたとおり、今後、労政審の議論の中で検討していくということにしておりますけれども、派遣労働者を取り巻く状況、あるいは派遣労働者がどういった業務に従事されているかということでいろいろな状況があるので、そういった状況に即して、派遣労働者に、どういう形がキャリアアップに資するかということを十分に考えて、効果的にそういったキャリアアップ措置がなされるような、適切な教育訓練になるように検討してまいりたいと思っております。

 また、次に、キャリアアップ助成金の活用促進の関係のお尋ねでございましたけれども、キャリアアップ助成金の申請に当たりましては、現在も、事業主に対しまして、助成金の適正支給と申請の簡素化という両方を満たさなければならないわけでございますけれども、添付書類等につきましては、就業規則でありましたり労働条件通知書等の必要最小限の書類ということにとどめさせていただいておるところでございます。

 この助成金のさらなる活用促進に向けましては、現在、ハローワーク等に配置している事業主支援アドバイザーがおりますけれども、そちらの方でいろいろ、申請書類の作成支援など申請者の負担の軽減を図るというような取り組み、あるいは周知徹底をしっかりということでございましたけれども、そこの点についてはしっかり私どもとしても取り組みたいと思っております。

 また、より利用しやすい制度になるようにということにつきましては、引き続き検討してまいりたいと思っております。

○宮川政府参考人 労働者の企業横断的な能力開発について、簡単に御説明させていただきます。

 労働者を取り巻く経済社会環境が大きく変化する中で、企業や業界が主体となった人材育成と、個人が自発的、主体的に取り組む能力開発の推進、ともに重要だと考えております。

 このため、厚生労働省におきましては、キャリアアップ助成金によります、事業主が非正規雇用労働者を対象に、正規雇用労働者への転換ですとか、あるいは一定の要件を満たす職業訓練を実施した場合の支援、あわせまして、キャリア形成促進助成金によりましては、事業主や業界団体による企業横断の職業訓練などの取り組みを支援しているところでございます。

 また、あわせまして、労働者の自発的な能力開発を促進するため、教育訓練給付制度による支援を行っているところでございますが、委員御指摘の専門実践教育訓練給付、この制度につきましては、制度の周知徹底を図るためにホームページを活用することはもとより、非正規雇用労働者を含む労働者のニーズに応じた講座の充実に努めるなど、本制度の積極的な活用促進に努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 最後の質問になります。

 参考人質疑の中で、横浜で印刷工場を経営されている秋山参考人から、やはり派遣社員へのキャリアコンサルタントの重要性ということが述べられたと思います。労働者の主体的なキャリア形成を支援するためにも、このキャリアコンサルタントがますます重要になってくるんだろうと思います。

 国は、キャリアコンサルタントなど必要な人材を十分な規模で確保できるよう積極的に育成をして、企業、業界団体、ハローワーク、職業訓練機関、また大学等への配置や、必要に応じた派遣を行っていっていただきたいというふうに思っております。また、人材の育成に当たりましては、カウンセリング能力だけではなくて、労働者の希望や能力、労働市場の動向等も踏まえて、真にキャリアアップにつながるものにしていっていただきたいというふうに思っております。

 このキャリアコンサルタントの積極的な育成、配置、質や専門性の向上にどのように取り組んでいかれるのか、この点についてお伺いをいたします。

○宮川政府参考人 キャリアコンサルタントの育成、その質の向上は大変重要な課題と認識しているところでございます。

 このため、今国会に提出中の勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案におきましては、キャリアコンサルタントの登録制度を創設いたしまして、キャリアコンサルタントとしての知識、技能を有する者であることを国が担保するとともに、更新制や守秘義務などを盛り込むことによりまして、今議員御指摘のキャリアコンサルタントの積極的な育成、あるいは質、専門性の向上を図ることとしております。

 また、企業における取り組みを促進するため、平成二十七年度より、キャリアコンサルタントを活用したキャリアコンサルティングの仕組みを導入、実施した事業主を支援する企業内人材育成推進助成金を創設したところでございます。また、あわせまして、キャリアコンサルティングを活用している企業の好事例の収集等に努めているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、労働者の適職選択や主体的な職業能力開発に資するキャリアコンサルティングの体制整備を図ってまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 リクルートワークスの大久保参考人からも、中高年の職業訓練や能力開発については、別途、全力を挙げて取り組むべきだという御指摘もございました。

 こうした非正規の方々への教育訓練、キャリアアップ、ここに全力を挙げてほしいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

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