第166回国会 厚生労働委員会 第25号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 先ほどの岸田委員の質問とも若干重なる部分もございますが、確認の意味も込めまして順次質問を行ってまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

 今回大きな問題となっております不完全な年金記録の問題は、ますます国民の不安をあおり、年金に対する信頼を失ってしまいました。年金記録漏れが五千万件あるなど、報道によって、本来もらうべき年金が減らされているのではないかといった不安の声が聞かれます。

 野党は、消えた年金と言って国民の不安をあおっておりますが、これらは消えた年金ではなく、社会保険庁に記録もあり、基礎年金番号にいまだ統合されていない記録であります。(発言する者あり)

○櫻田委員長 御静粛にお願いします。

○古屋(範)委員 年金納付記録を適切に保管してこなかった社会保険庁の責任は極めて重く、この点でも解体的出直しをするのは当然であります。

 消えた年金記録の究明が先だという理由で社会保険庁改革をおくらせている野党の姿勢、これは本末転倒であります。(発言する者あり)社会保険庁の過去の……

○櫻田委員長 御静粛にお願いします。質問中でございます。

○古屋(範)委員 でたらめな体質を一掃するために、公務員の身分に安住してぬるま湯体質に浸り切った組織を刷新することが急がれているということを改めて申し上げます。

 政府・与党は、年金の支給漏れの可能性がある受給者の全面的な対応のための対策を急ぎ検討し、今回の時効撤廃特例法案の提出となったわけでありますが、初めに、この特例法案の意義について提出者に御説明いただきたいと思います。

○福島議員 古屋委員にお答えさせていただきます。

 ただいまも委員から御指摘がありましたように、年金の記録問題については、国民の年金制度に対しての不安、不信を高め大きな社会問題となっている、このように認識をいたしております。

 与党としましては、政府と一体となって、社会保険庁改革を進めるこの機に、年金記録についても包括的かつ徹底的な対応を行うことといたしました。これは、社会保険庁改革という組織改革は同時に進めなければなりませんけれども、一方でまた、この記録問題に対して徹底して対応することで国民の皆様の御理解をいただきたいということでございます。

 このうち、年金記録の訂正に伴う年金の増額分が五年で自動的に時効消滅する問題につきましては、この委員会でもたびたび議論になっておりますけれども、行政運用上の対応だけで解決するというわけではなくて、さまざまなケースがございます。そうしたさまざまなケースに対して広範に対応できるように立法措置が必要だ、このように考えたわけであります。

 また、国民生活にとって大きな影響があり、年金受給者には高齢者の方が多いなど緊急を要することから、関係省庁による調整に時間を要する政府提案によることなく、与党として迅速かつ包括的な回復措置を図るために特別の立法措置を講ずる、こういう決断をしたものでございます。
 以上でございます。

○古屋(範)委員 これまでは、年金記録が五年経過後明らかになった場合でも、この記録に基づく年金の増額分のうち五年より前に納付された分に関しては時効消滅をして受給できなかった、それが、五年の消滅時効が完成した部分についても支払うものとするという特別立法であります。保険料を納付すれば、その分、見合った年金給付が確実に行われるということになります。また、政府は、年金個人情報について正確な年金記録の整備の義務ということも盛り込まれました。国民の不安を払拭するにこたえる本法案の意義は大変に大きいというふうに考えております。

 続いて、提案者にお聞きをいたします。このたびのこの法律案に該当する人数はどのくらいかということをお尋ねいたします。

○福島議員 今回の法案におきましては、二つの種類の方が対象になります。既に記録が訂正され年金が増額されたにもかかわらず、その時点で五年の消滅時効が完成した部分があった方、これは過去にさかのぼってということになります。また、今後記録が訂正され年金が増額されることとなるが、その時点までに五年の消滅時効が完成する部分のある方、これがこれから年金記録の整理をしていこうとする中で改めて訂正していただく、こういう方々でございますが、これらの人数について、今後記録が訂正される方がどの程度生じるか等が不明である以上、現時点で正確に見込むことは困難である、このように考えております。

 したがって、現時点で見込むことができますのは、既に消滅時効が完成した部分のあった方の数でありまして、こうした方々の数については、一定の前提のもとに推計を行った場合には約二十五万人と見込まれております。

○古屋(範)委員 ただいまの御答弁で、現時点で見込むことができる既に消滅時効が完成した部分があった数、一定の条件のもとで推計を行った場合には約二十五万人というお答えでございました。

 これにつきまして、さらに社会保険庁にお伺いいたします。この方々につきましては、御本人からの申請を待つのではなく、ぜひ社会保険庁の側から即通知を出していただきたい、このように考えますが、これについての対応はいかがでございましょうか。

○青柳政府参考人 お答えを申し上げます。

 時効の問題につきましては、ただいま提案者の方からもお話がございましたように、現時点では具体的にどこのだれという方を把握できていない状態にございます。したがいまして、これはやはり具体的にどうやってこの対象になっていく方を把握するかということをこれから考えていかなきゃならないわけでございますので、私どもとしては、知り得た範囲でなるべく幅広にきちんと御案内をして、時効についての請求等が適切に行われるような仕掛けというものについては工夫をしてまいりたいと考えている次第でございます。

○古屋(範)委員 ぜひ速やかな、丁寧な対応をお願いしたい、このように思います。

 次に、年金納付記録でありますけれども、平成九年から年金の加入者一人に一つの基礎年金番号が割り振られまして、転職また転居をしても記録漏れが起きない仕組みとなりました。それ以前の年金制度では、制度が複数に分かれていた、あるいは転職、結婚などで姓が変わったときに新しい年金手帳がつくられるなど、加入者は複数の年金番号を持っておりました。

 制度の改正に伴い、統合作業での混乱は当初から予想されていたはずであります。加入者へ注意喚起を呼びかけるなど、あらかじめ混乱防止の手だてを講ずるべきであったと考えます。初めが肝心と申しますが、基礎年金番号が創設されたとき、記録統合ということに関して社会保険庁の職員が責任と自覚を持って業務をしっかりと遂行していれば、これほど基礎年金番号と結びつかない記録が積み残される、このような状況は生じなかったはずであります。

 社会保険庁は、この制度導入以来、本人の申請を呼びかけた以外に、記録を統合するために一体どのような積極的な取り組みをされてきたのか、この点についてお伺いいたします。

○青柳政府参考人 基礎年金番号導入以来の私どものこれまでの統合についての努力ということについて若干お答えをさせていただきたいというふうに存じます。

 今委員の方からもお尋ねがございましたけれども、基礎年金番号を導入いたします際に、すべての方に、まず、あなたの基礎年金番号はこういう番号になりましたということをお伝えいたしました。一億人余の方々に対してすべてそうやって番号をお伝えいたしまして、これからはこの基礎年金番号を年金等の申請にお使いください、こういう御案内をしたわけでございます。

 その際に、あわせて、ところでこの番号以外に、例えば年金手帳の番号はございますか、あるいはほかの制度に入っていたことはありますかということを返信用のはがきに書いていただいて、丸をつけていただいて、送り返していただくという作業をまずはいたしました。この作業によりまして、その丸をつけて送り返していただいたものがおよそ九百万件ございました。

 それから、それだけではなくて、私どもが持っております記録の中で、性それから氏名、生年月日、こういった情報を突合させまして、同一人である可能性のある方を選び出しまして、その同一人である可能性のある方には加入履歴をお送りして、私どもで記録している記録はこういうものであります、ただあなたの場合にはほかに加入の記録のある可能性があります、したがって申し出ていただきたいということで御案内を差し上げました。これがやはり九百万件ぐらいでございました。合わせて一千八百万件についてそういうお申し出をさせていただきまして、そこから御回答いただいたものを順次計画的に突合して、最終確認をして一本にしていく、こういう作業をさせていただきました。

 また、これだけでは十分に進まない、もちろん順次順次、年金を受給権確認のために裁定する際に消し込みをさせていただいた部分がありますが、それだけでは不十分ということで、五十八歳到達の際にこちらの方から加入履歴をお送りいたしまして漏れがないかどうかを確認していただく、さらには、それに基づいて、六十歳の裁定時にもう一度その加入記録、御本人のお申し出等に基づいて修正したものをお届けして最終確認をしていただく、こういう手順をこれまで進めてきたところでございます。

 また、これらの加入履歴については、そうした年金受給年齢直前の方のみならず、若い方も確認できるように、現在ではパスワードを利用したインターネットによって、加入履歴を確認できるということを進めてまいったわけでございますが、冒頭委員からも御紹介がありました、さまざまな事情で過去に年金番号を複数持っておられた方が広範にいらっしゃるということもあり、今日に至るまで五千万件未統合の記録が残ってしまったという点は、御指摘のとおりでございます。

○古屋(範)委員 さまざまな手だては講じてこられたということではございますが、十年後の今になって対象者がわからないという記録がこれほど残っていると、やはり無責任と言われても仕方がないのではないかと思います。

 あるはずの加入記録がないと申し立てをしたとしても、保険料の領収書がなければ窓口では門前払いを食らってしまう。また、支給ミスを証明しても、過去五年を超えるものは時効として支払われなかった。そして、記録の統合申請をしない方が悪い、証明書類を保管しておかない方が悪いのだという典型的なお役所仕事、それが、ここまで事態を悪化させたのではないかと思います。組織を一新し、正確な年金記録を整え、社会保険庁のミスで生じた人たちの救済に今後全力で取り組んでいただきたい、このように思います。

 そこで、この年金記録処理に対する国民の信頼回復をするため、私たち与党は、政府とともに、今総力を挙げ社会保険庁改革を進めるこのときに、この年金記録につきましても徹底的な対応を行うことといたしました。

 対象者別の対応についてお伺いをしてまいります。

 まず、年金受給者への対応についてお伺いいたします。

 現在、基礎年金番号が統合されないため、社会保険庁が旧来の年金番号のまま管理し、その記録が約五千万件残っているわけであります。この五千万件のうち、約二千八百八十万件は既に年金受給者の世代となっております。

 残りの約二千万件が年金受給世代に達していない方々の記録。この二千万件の未統合は、事務処理上、六十歳の年金の受給権が確定するときには記録が統合されることとなるため、その大部分が、年金受給年齢になったときに基礎年金番号に統合すればよいと考え、統合の手続をしない方々であるかと思われます。毎年毎年、百万人を超える方が年金裁定を行っていますので、その過程で統合が進んでいくのではないかと思われます。

 今問題となっております、この二千八百八十万件に上る既に年金を受給している世代の未統合の記録、この中には、死亡した人の記録や年金を受ける資格を満たさない年金記録も多数含まれていることと思いますが、年金記録が統合されていないことによって現在受給している年金額が少なくなっているのではないか、受給資格が発生するかもしれないのではないかといった指摘がなされているわけであります。

 今最も問題となっている、現に受給をしている世代、この二千八百八十万件の未統合への対応、この具体策をお伺いいたします。

○青柳政府参考人 年金受給権者に対しての統合策のお尋ねがございました。

 まず、直ちに私どもが対応するものとしては、従来から大臣からも委員会でお答えをさせていただいておりますが、この六月に送付いたします年金の振込通知書、これは三千万人の全受給者に参りますが、ここにおいて、未統合記録の問題があるということ、そして、それについてぜひ照会をしていただきたいということの勧奨をさせていただくことにしております。

 これに加えまして、二十五日に発表させていただきました、年金記録への新対応策パッケージの中で、まず、基礎年金番号に統合されていない年金受給年齢に到達している方、それから生年月日を特定できない方の記録、これが、今お尋ねの中にもございました二千八百八十万件でございますが、これと年金受給者約三千万人の記録を突合いたします。そして、同一人の可能性のある受給者の方に対しまして、その方の年金の計算の基礎になっております年金加入記録をまずはお送りいたします。そうして、その際に、あなたの年金記録の中にはまだ未統合のものがある可能性があります、したがいまして、このお送りした加入履歴をよくごらんになって、例えば前後に穴のあいているところについては、自分はこの前にはこういう会社に勤めていたはずだ、あるいはこの前にはこういうところに住んでいたはずだという御記憶を呼び起こしていただいて、ぜひともそういうことについてのお申し出をしていただきたい、こういうことをお勧めをさせていただきたいと存じます。

 また、そういった可能性のある情報突合がヒットしなかったような方につきましても、次の段階といたしまして、同じように加入履歴をお送りし、これを確認していただくとともに、もし不明な点あるいは思い起こされた点があれば、ぜひそのお申し出をいただきたいということをお勧めをさせていただきたいと思います。

 こういうことによりまして、最終的に、すべての年金受給権者の方の加入記録を送付し、記録の御確認をいただきたいと考えております。

○古屋(範)委員 次に、被保険者への対応についてお伺いしてまいります。

 公明党も推進をしてまいりました、年金記録の統合やミス発見に役立つねんきん定期便、来年の四月から本格的にスタートをいたします。これによりまして、国民年金と厚生年金のすべての被保険者を対象として、保険料の納付実績、また年金額の見込みなど、年金に関する個人情報がわかりやすく提供されることとなるわけであります。

 このねんきん定期便、既に前倒しをし実施をされております。本年三月からは三十五歳になった方に、また十二月からは四十五歳の方に対しまして、加入期間の履歴が通知をされてまいります。そして、五十五歳以上の方には、保険料納付実績や年金額の見込みが先行して知らされることとなり、早い段階から年金の納付記録について注意喚起ができる重要な取り組みである、このように考えております。

 そこで、このねんきん定期便によって、自身の年金記録が確認できることとなり、未統合記録が少なくなることが期待をされるわけでありますが、その効果についてどうお考えでしょうか。

○青柳政府参考人 被保険者の方への基礎年金番号統合へのアプローチということでございます。

 ただいま委員からもるる御紹介ございましたが、私ども、従来は、いわゆる五十八歳通知という形で五十八歳時点で加入履歴をお送りし、そして、その加入履歴についてお申し出をいただいたものを六十歳の年金裁定時に改めてお送りをし、いわば最終確認をいただく、こういったやり方をさせていただきました。また、これにプラスして、平成十八年の三月からは、インターネットを活用した年金加入履歴の提供というのを実施しております。

 さらに、ねんきん定期便については、ただいま委員からも御紹介をいただきましたが、本格実施は二十年の四月から、これはすべての被保険者の方に、毎年、その時々までに加入いただいた期間の長さや保険料額のおおよその見通し、それから年金受給額の見込みといったようなものをお送りするということでございまして、これに加えて、三十五歳の時点、四十五歳の時点には、それまでの加入履歴をいわば全部つけて、早い段階から年金加入履歴をチェックいただく、こういうことをやりたいと考えております。

 いわばその前倒しといたしまして、本年三月から、三十五歳のときの加入履歴の送付、そして十二月からは四十五歳の時点での年金加入履歴の送付というものを実施させていただくことを予定しております。

 さらに、今回の対応の一環として、いわゆる新対応策パッケージといたしまして、被保険者の方への対応策としては、ただいま申し上げました五十八歳通知を行う都度、年金加入履歴の通知をお送りするだけではなく、未統合記録への注意を呼びかけまして、御自分の年金記録の照会を申し出ることを勧奨するということも盛り込みたいと考えております。

 また、委員からも御質問の中でお尋ねがございましたけれども、私どもは、構造的には、こうしたねんきん定期便というものが定着して、しかも定まった時期ごとにきちんと加入履歴を若い段階からお伝えできるということが、早い段階で加入履歴の未統合の部分を解消していく非常に有力な方法ではないかというふうに考えている次第でございます。

○古屋(範)委員 このねんきん定期便、私も、これを送付することによりまして、国民一人一人に若いときから、年金を納付すること、年金への関心を高め、また、自己の記録の内容に関しまして注意喚起をしていく非常に重要なツールになっていく、このように考えております。

 次に、無年金者への対応についてお伺いをしてまいります。

 年金受給世代であっても受給権のない方、保険料納付期間が二十五年に満たない、例えば二十四年と十一カ月、あと一カ月足りないというような方がいたといたします。こうした、受給権がなく無年金となっている人の中にも統合漏れの記録が存在する可能性というのは否定できません。年金記録を統合すれば受給権が発生するこの方々に対しては、どのような対策をとっていかれるおつもりでしょうか。

○青柳政府参考人 無年金者の方々に対する対応でございます。

 いわゆる新対応策パッケージの中では、受給資格を満たしていない方についてのデータというのを、私ども、例えば住所でございますとか、こういう最新のものを持ち合わせておりません。したがいまして、未統合記録との突合をしたくても、社会保険庁だけでは対処することが困難なケースでございます。

 しかし、この方々について見れば、よくよく考えてみますと、この方々は、年金がないがために、六十五歳以上で介護保険のいわば一号被保険者として保険料をお払いになる場合には、年金のある方は源泉徴収ということで原則徴収をする、しかし、年金のない方や極めて少額の方については源泉徴収が行われないわけですから、市町村がいわば普通徴収、すなわち介護保険の保険料の納付通知書をお送りして保険料を各自が払っていただく、こういうやり方をしていただくことになっております。

 したがいまして、このやり方をいわば利用させていただいて、こうした介護保険料の納付通知書が送られる際に、年金記録の未統合についてこういうことをやっている、照会をぜひ申し出ていただきたいという勧奨をあわせてさせていただくことにより、無年金者の方々へも働きかけをしたいと考えている次第でございます。

○古屋(範)委員 市町村の介護保険料納付通知書、これを利用していく、このような対応策ということでございます。

 次に、さらに年金記録への対応策として、未統合記録の把握を徹底するために、社会保険庁内のマイクロフィルム、このすべての記録及び市町村の保有する記録とオンライン記録が一致しているかどうか、この突合を計画的に実施し、進捗状況を定期的に公表することとしていますが、なかなかこれは簡単ではないと思われます。その記録を一つ一つ市町村が持つ原簿などと突き合わせていくには十年はかかるとも言われておりますが、長期間を要することは間違いございません。こうした間に救われないまま亡くなる受給権者が出る、このような可能性も出てくるわけであります。この記録の突合に関して、どのような具体的な取り組み策を考えていらっしゃるか。

 また、一番難しい、記録、証拠がない場合、保険料を納付したにもかかわらず社会保険庁にも記録がない、納付した証明がない、これに関しまして、一昨日、安倍総理は、これらの人への救済策として、第三者の専門家による有識者懇談会を発足させる、このように指示したとも伝えられております。この両者に関しての対策をお伺いいたします。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

○青柳政府参考人 まず、記録同士の突合のところからお答えを申し上げます。

 これは、先ほど申し上げました二千八百八十万件の突合がいわば機械にあるデータ同士の突合であるということから、機械でプログラムを書いて処理をすることができるということになるわけですが、今から申し上げるものについては、そういった機械同士の突合が実はできないという問題を持っております。すなわち、厚生年金に関しましては、オンラインデータに掲載される以前にございました紙の台帳をマイクロフィルムに今移しかえた形で保存をしております。また、国民年金については、特殊台帳という形で、保険料の滞納、納付が入りまじっておられるような方についてのみ被保険者の台帳を同じようにマイクロフィルムで保存しておるということでございます。そして、市町村には被保険者名簿という形で市町村の方のいわば控えが残っておるという状況がございますので、これらすべてを私どものオンラインの情報と突合するということを、まさに目で、そして手で突合しなければいけない、こういう状況にあるわけでございます。

 したがいまして、これは大変長期間を要すというふうに委員からもお尋ねいただいたわけでございますが、ただ、その進捗状況については、定期的にこれを公表して、どの程度進んでいるかということがきちんと国民の皆様におわかりいただけるようなやり方をとってまいりたいというふうに考えております。

 また、最も難しい、年金の記録、証拠がない場合の取り扱いでございます。

 これにつきましては、二十五日の委員会でも総理から、領収書等がない場合であっても、御本人の立場に立って、さまざまな資料に基づいて納付があったと認められる場合には記録の訂正を行うという姿勢で臨むべきだという基本的な姿勢をお示しいただいております。

 こうした考え方に立って、まず、私ども、既にこの二十八日に、私どもの長官から現場に対しまして、保険料の納付に関する状況が記載された資料がない場合においても、申し立ての内容や関連する参考情報などをできる限り丁寧に聞き取り、そういったことをもとに徹底した調査を進めるべきということを文書をもって伝達をして徹底を図ったところでございます。

 さらに、実際の判断に当たりましては、御本人の申し立てと客観的な状況に基づいて公正な判断が行われるように、いわば手続的なものをきちんと定めなければならないということで、この準備もしております。この場合、先ほど御紹介いたしました総理からの御指示も踏まえまして、外部の有識者等から成る第三者委員会を設置いたしまして、この御意見を伺って、これを的確に最終判断に反映させることが必要であるというふうに考えております。

 以上申し上げました点について、直ちに実現に移せるものは直ちに実現し、また、準備がそれなりに必要なものについては、手続や体制等を整備し次第できるだけ早期に具体策を確立してまいりたいと考えております。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

○古屋(範)委員 この記録の突合は非常に時間がかかるというふうに考えます。この社会保険庁関連法案が成立をいたしますと、社会保険庁を廃止し、二〇一〇年の一月、日本年金機構に衣がえをするわけであります。調査の作業はこのまま機構に引き継がれるということになると思いますが、この作業が終わるまでの期間はどのぐらいかかるのか、そして、この責任の所在、これが決してうやむやになるようなことがあってはならない、この点について確認をさせていただきます。

○青柳政府参考人 まず、作業の進捗のめどについてのお尋ねでございますが、これは、先ほど申し上げましたように、機械の中でデータを突合して、これに基づいて御通知なりを申し上げるという作業については、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、平成二十年度中に何とかこれを終えるように私ども着手したところでございます。ただ、先ほどお尋ねのございました、いわば目と手で行います作業、これについては、現時点で作業のめどがお示しできませんので、先ほどの答弁でも申し上げましたように、その進捗状況を丁寧に御報告するということでこれにかえさせていただきたいと存じます。

 また、日本年金機構設立後にどのような責任体制でこれが行われるかというお尋ねにつきましては、機構の設立後におきましては、厚生労働大臣がまず公的年金に係る財政責任や管理運営責任を負い、日本年金機構は、大臣から委任を受け、その直接的な監督のもとで記録管理を含む公的年金に係る一連の運営業務を担うというのが大きなルールでございます。

 したがいまして、この記録同士の確認、時間が大変かかるというふうに申し上げた部分でございますが、基礎年金番号に未統合の記録の把握を徹底するために、社会保険庁が保有しております記録や市町村が保有しております記録とオンラインの記録を突合するという内容でございますので、手作業に頼る部分が大変多いということでございますが、いずれにいたしましても、日本年金機構設立後も、先ほど申し上げましたような、厚生労働大臣と日本年金機構の責任分担関係のもとで、最終的に最後まで全力を挙げて対応してまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 もう時間でございます。

 保険料をきちんと納めた方にそれに見合った年金の支給、これが確実に行われることが国民生活の基盤となる年金制度を守ることにつながると思います。私たち与党は、国民の信頼にこたえようと、時効のために年金の増額が受けられない方々を包括的に救済するため、今回の議員立法で、時効消滅した部分の回復措置を講ずることといたしました。これは、年金問題で国民に安心していただくための大きな礎となるものと思います。今後さらに国民の目線に立った改革を推進するため、本法案を早期に成立させ、可能な限りスピード感を持って対応していただきたいことをお願いし、質問を終わります。

 ありがとうございました。

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