第166回国会 厚生労働委員会 第21号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日も社会保険庁関連法案の審議となりますが、私からは、社会保険庁のこれまでの不祥事に対する対応状況と総括、そして、百年安心の年金制度改革のその後の状況について質問をしてまいります。

 今回の法案は、与党がリーダーシップを発揮し、徹底した改革を実現するために取りまとめた法案であります。ここに至るまで、社会保険庁のさまざまな不祥事、またその組織のあり方に対して、国民、マスコミ等から多くの批判を受け、当初、非公務員化ということに対し、官僚からの抵抗もありました。しかし、徹底した改革を行うとの観点から、今回の改革となったわけであります。

 私は、公的年金制度に対する国民の安心、信頼を確保していくために、まず制度自体が将来にわたって持続可能なものであること、また、制度を運営する組織が国民から信頼されることが大切であると考えます。このために次の課題として、公的年金制度の運営組織に対する国民の信頼を確保するため、社会保険庁の抜本的な改革を速やかに完了させることが不可欠であります。

 社会保険庁につきましては、平成十六年の年金法改正の国会審議を契機に、社会保険庁職員の不祥事や、年金保険料の無駄遣いや、加入情報ののぞき見など、事業運営上のさまざまな問題が明らかとなり、国民から厳しい指摘を受けたところであります。こうした批判に対し、当時、坂口厚生労働大臣が平成十六年夏から社会保険庁改革に着手をし、改革を主導してきたものであります。

 そこで、新年金組織を設置する法案の審議に当たり、まずはこうしたこれまでの一連の不祥事、また諸問題、例えば年金個人情報の業務目的外閲覧への対応、年金保険料無駄遣いへの対応と今後の使い道について、また年金福祉施設の検証結果と売却状況、そして国民年金保険料の免除等の不適正事務処理への問題、このような問題につきまして、その原因をどのように分析し、どのような調査、処分を行い、どのような再発防止策を講じたのか、副大臣にお伺いいたします。

○石田副大臣 それぞれの項目について申し上げたいと思います。

 社会保険庁につきましては、これまでさまざまな不祥事が発生したことから、その一つ一つについて徹底した調査と処分を行い、再発防止策を講じてまいりました。

 まず、御指摘のありました年金個人情報の業務目的外閲覧につきましては、オンラインの通信履歴の記録等をもとに徹底した調査を行いまして、停職を含む延べ三千七百八十六名の厳正な処分を行いました。再発防止策としては三点ございまして、一つは、端末操作に必要なカード番号の固定化、一人に一枚渡す、こういうことをいたしました。二つ目には、年金個人情報へのアクセス状況の監視をいたします。三番目に、全職員に対する研修、特に個人情報の保護、こういう観点からの研修を行ったところであります。

 また、年金保険料の無駄遣いとの指摘に対しましては、保険料の使途について整理するとともに、会計法令上随意契約ができる場合であっても、可能な限り競争入札または企画競争に付することを原則とし、民間企業人の参画する調達委員会において厳格な審査を行うなど、無駄遣いを排除するための取り組みを進めてまいりました。

 年金福祉施設につきましては、厚生労働省に外部有識者による検証会議を設けて検証を行い、かつては被保険者等の福祉の向上に一定の役割を果たしてきたものの、その後の環境の変化に対応した見直しがおくれた、こういう報告もいただいております。

 平成十七年十月から、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構により、一般競争入札による売却を進めておりまして、平成十八年度末までに六十六施設を売却いたしました。売却額は約三百五十億円、出資額の約一・四倍という実績であります。

 国民年金保険料の免除等の不適正事務処理につきましては、昨年八月に第三次調査報告書を公表するとともに、大臣政務官主宰の検証委員会においても報告書を取りまとめ、停職処分を含めた千七百五十二名の厳正な処分や、降格を含む厳正な人事を行いました。

 このような事案が生じた背景には、社会保険庁のかつての地方事務官制に由来する閉鎖的で内向きな組織風土、内部統制の不足などの組織の構造的問題があったところであり、このため、法令遵守意識やコスト意識の徹底、業務の標準化、統一化の徹底、広域的な人事異動等による組織の一体感の醸成、能力主義の人事評価などによる意識改革の徹底、こういうものに取り組んでいるところでございます。

○古屋(範)委員 一つ一つの課題に対し、調査、処分、そして再発防止への対策を講じられてきたものと存じます。

 図らずも、きょうの毎日新聞にまた、年金運用基金の裏金、飲食代年平均五百万というような記事も出ているわけでございますけれども、村瀬長官にお伺いをいたします。

 私は、このようなさまざまな不祥事や問題が発生したことに、社会保険庁の組織風土に根差す問題があるのではないかと考えております。これらの一連の問題の対応について、村瀬社会保険庁長官はこれまでも大変御苦労されてきたと思いますが、一連の問題について社会保険庁長官としての総括をお伺いいたしますとともに、職員の意識改革や法令遵守の徹底につきましてどのような取り組みをされているのか、この点についてお伺いいたします。

○村瀬政府参考人 委員の御質問にお答え申し上げたいと思います。

 まず最初に、さまざまな不祥事が起こったということでございまして、国民の皆様の信頼を損ねたことに対しまして、長官といたしまして深くおわび申し上げたいと存じます。

 また、御指摘を受けた事案につきましては、先ほど副大臣からお話ありましたように、一つ一つ徹底的な調査を行いまして、関係する職員の処分を行い、再発防止策を講じてまいりました。今後、このようなことが二度と起きないように徹底してまいりたいというふうに考えております。

 さらに、職員の意識改革について、ちょっと御説明申し上げたいと思います。

 職員の意識改革ということで今まで進めてきたことは何かといいますと、業務の進め方をやはり独自のやり方でやっておりましたので、これを改める。そして、みずから変わらなければだめだという意識を持ってもらう。こういうことを含めまして、現在、四十七の事務局、三百十二の事務所があるわけでございますけれども、やはり現場の職員が一人一人変わってくれないと組織全体が変わらないということで、二年半の間に複数回、全事務所を含めて回らせていただきました。その中で、私の方から現場の職員にどういうことを言ってきたかということを、ちょっと具体的に幾つかお話し申し上げたいと思います。

 一つは、すべての解は現場にある。職員のやる気をいかに引き出すかということで、現場の職員からさまざまな改善提案を組織的に吸い上げる仕組みをつくりたいということで、業務改善提案制度というものを設けまして、現在もメール等を通じまして幾つか、こういうふうにやったらもっとよくなるのではないか、こういう形での提案をいただいております。

 それから、私が入ってくるまでは、事務局、事務所ごとに事業目的を明確に定めるだとか、サービススタンダードということで事務処理をいつまでに完了させるかという明確な方向がございませんでした。したがいまして、事務局、事務所単位にその目標をしっかり定めまして、それをしっかりしていただく。また、その中で、いい事務所、事務局については、しっかり庁として表彰する、こういう仕組みを導入させていただきました。

 それから、やはり働く人が報われる組織にしなきゃだめだということで、能力と実績に基づく新たな人事評価制度、これを導入させていただきました。そして、先ほど副大臣からもお話し申し上げましたように、ばらばらの事務処理をやはり統一的な事務処理にしなきゃいかぬということで、事務処理の基準の統一をさせていただいております。

 そして、昨年の秋からは、さらにもう一歩スピードアップしたいということで、改革リスタートプランということで、職員一人一人から、こういうふうにしていったらいいんじゃないかという提案を出していただきまして、それを職場内トーキングいたしまして、それを社会保険庁改革リスタートプランに生かした。その最大のねらいは何かといいますと、組織内のコミュニケーションが残念ながらこの組織はなかなかなかったということで、組織内コミュニケーションをしっかりする、そして、ひいてはそれを組織の一体化につなげる、こういう形の取り組みをさせていただいているわけでございます。

 それから、法令遵守につきましては、先ほど副大臣からお話し申し上げましたので割愛をさせていただきたいと思います。

 どちらにいたしましても、全力で改革を進めまして、社会保険業務をできる限り高いレベルに引き上げてから新しい組織に移行できるよう、しっかり仕事をやってまいりたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 今長官より、さまざまな角度からの意識改革への取り組みをお答えいただいたわけでございます。

 しかし、これほどの多数の不祥事が集中して起きた組織の廃止、これは当然であります。そして、国の組織ではなく新たな法人組織とし、また職員も非公務員。すなわち、新年金組織を法人化、非公務員化することにより、新年金組織が単なる看板のかけかえにならないよう進めていかなくてはならないと思います。そして、すべての国民から、本当に変わったな、そう納得してもらえるようにすることが大切であり、今回の法案は解体的出直しにふさわしい内容でなければなりません。

 非公務員型の公法人の創設は、これまでの社会保険庁のぬるま湯的な体質を改め、民間的人事評価制度を取り入れることによりまして、緊張感を持った業務への取り組み、組織の活性化につながることが期待をされております。さまざまな不祥事を起こし、国民の信頼を失墜させた社会保険庁を廃止して、新たな組織として再出発させることについて、副大臣の御見解をお伺いいたします。

○石田副大臣 先ほども答弁を申し上げましたけれども、さまざまな不祥事を起こして、その後の対策についてもお話ししたとおりでありますけれども、やはり今回の改革案では、抜本的に社会保険庁を廃止する、そして新たに非公務員型の公法人として日本年金機構を設立して再出発させる、こういうことでございます。

 日本年金機構につきましては、今までさまざまな御議論がありましたので割愛をさせていただきますけれども、やはり先ほど委員がお触れになったように、本当に変わった、こういうふうに言っていただかなければならないわけでして、私は、もうそんなにチャンスは残されていない、ある意味ではラストチャンスだ、こういうぐらいの思いで取り組まなければならないと思います。

○古屋(範)委員 今副大臣からは、ラストチャンスと思い改革に取り組むという強い御決意をお伺いいたしました。ぜひとも、そのような新組織に向け邁進をしていっていただきたい、このように思います。

 次に、年金百年安心の制度改革とその後の状況につきましてお伺いしてまいります。

 少子高齢化が進行する中で、老後の生活を支える公的年金に国民の高い関心が寄せられております。公的年金の制度自体については、平成十六年度の制度改正におきまして、給付と負担、この両面からの改革を行い、百年間、給付と負担の姿を明確にし、年金百年安心の制度に改め、将来にわたって国民の信頼にこたえ得る持続可能な制度を構築いたしました。

 平成十六年度の年金制度改革におきまして、百年間の給付と負担の姿を明確にし、給付と負担を均衡させる、保険料の上昇は極力抑え、将来の保険料の水準を固定する、また、年金を支える被保険者数の減少に対応し、給付と負担のバランスを自動的にとることができる仕組みに変更する、標準的な年金受給世帯の給付水準は、現役世代の平均年収の五〇%を上回る水準を確保する、基礎年金への国の負担を三分の一から二分の一に引き上げるなどの改革でありました。

 年金制度に対する国民の信頼の確保を目指した平成十六年度年金制度改革から二年余りが経過をいたしました。その評価とこれまでの取り組みについてお伺いをいたします。

○渡辺政府参考人 御指摘のとおり、年金制度につきましては、平成十六年の制度改正で、長期的な給付と負担の均衡を確保して、制度を持続可能なものにするためのさまざまな見直しを行いました。これは、諸問題に真正面から取り組んだまさに抜本的な改革であると私どもも考えております。また、その中では、単に給付と負担だけではなく、本年四月に実施されました離婚時の厚生年金の分割制度を初め、女性など、さまざまな多様な生き方、働き方に対応できる仕組みが導入されております。

 さらに、十六年改正後の状況でございますが、大切な基礎年金の国庫負担割合を二分の一にする前段階として、毎年段階的に引き上げを図ってまいりました。従来の国庫負担割合を、三分の一というところからスタートいたしましたが、十九年度以降は三六・五%というところまで引き上げるに至っております。

 また、十六年改正時から検討課題とされておりましたが、翻れば二十年来の課題でありました厚生年金と共済年金の一元化を実現するとともに、また、二十七年ぶりにパート労働者の厚生年金適用基準を見直して厚生年金の適用範囲を拡大するというための法案を、あわせて被用者年金一元化法案として、先般国会に提出させていただいたところでございます。

○古屋(範)委員 今の御説明にもありましたように、百年、団塊の世代、そして団塊ジュニアの世代、この人口の二つの山を乗り越え、また、人口減少時代に持続可能な年金制度を確立する、そのための改革であったと私も認識をいたしております。

 次に、我が国の国民皆年金の制度は、世界的に見ても大変すばらしいものであると思います。年金制度を税方式に改めるべきという意見もございますが、年金制度は社会連帯に基づく支え合いの仕組みであり、社会保険方式の自助自立に立つ制度の基本を堅持すべきと考えます。基礎年金の財政方式を現行の社会保険方式から全額税方式に改めるべきとの意見がありますが、こうした考えについての御所見をお伺いいたします。

○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、基礎年金に関しましてさまざまな御意見がございます。そのうちの一つに、基礎年金を全額税方式化してはいかがか、こういう御議論もあることはよく承知しております。

 ただ、自立自助の考え方に立って、社会保険方式による拠出制の年金制度というものを昭和三十六年に皆年金の形でスタートした、このメリットを放棄するかどうかという問題であろうかと思っております。また、生活保護との関係をどう考えるか、巨額の税財源をどのように手当てするのか、それから、長年にわたりこうした自立自助の考え方に賛同し保険料を納めてこられた方々と、そうではなかった方々のバランスをどう考えるかなど、さまざまな解決しなければならない課題があると思っております。

 例えば、御承知のように、国庫負担二分の一を平成二十一年度に実現するというときの国庫負担総額の見積もりは、現在、九・九兆円でございますが、今の基礎年金六・六万円をいわゆる税方式にして、拠出制ではないということにいたしますと、所要総額は二十三・七兆円にはね上がると見ております。したがいまして、二分の一国庫負担実現のために必要な国庫負担追加所要額は二・五兆円であるのに対しまして、今のような仕組みでございますと追加所要額は十六・三兆円も必要である。こういう意味も含めて、巨額の税財源というものをどう考えるかということが避けて通れない課題であると考えております。

 引き続き、私どもとしましては、拠出制の社会保険方式の基礎年金というもの、それから厚生年金と、あわせて国民の老後生活の支えとして有効に機能させてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 私も、税財源とすべきという意見に関しましては、その財源を明らかにしていかなければ成り立たない論理だろうというふうに考えております。

 次に、平成十六年度改正におきまして、給付と負担のバランスを均衡させる、そうした制度改正を行いました。昨年十二月に発表されました日本の将来推計人口で、将来の合計特殊出生率が前回の推計よりも低く見積もられ、一・二六で半世紀後も推移するとの予測から、国民の年金への不安が高まり、年金の百年安心プランは大丈夫かとの声が上がっております。

 厚生労働省は、こうした不安の高まりに対し、平成三十八年以降、所得代替率五一・六%を維持できるとの試算をし直しました。しかしながら、この試算に対しまして、今後の物価や賃金上昇率、運用利回りの数字は好都合過ぎるのではないかとか、また、五〇%以上を確保するためのつじつま合わせではないかとの批判もございます。

 年金水準は将来にわたり所得代替率五〇%を確保する、この平成十六年度改正法附則の規定の考え方に変更はないと考えてよろしいのでしょうか。

○渡辺政府参考人 御指摘のとおり、平成十六年年金制度改正におきまして、年金水準を、標準的な世帯で見て、将来にわたり所得代替率五〇%を確保することが附則に織り込まれております。また、制度として、少なくとも五年ごとに財政検証を行い、年金財政の長期的な給付と負担の均衡を確保するというふうにされておるわけでございます。

 お触れになりました昨年末の新人口推計を織り込んで、ことしに入りまして行いました年金財政の暫定試算におきまして、人口面では、確かに一層の少子高齢化の進展が見込まれるため、大変厳しい要素は抱えますものの、近年の経済動向を織り込みました基本ケースにおいて、全体として年金財政は好転しており、最終的な所得代替率は五一・六%を確保することができるのではないか、こういうふうに見通しておるところでございます。

 私どもの現時点での認識でございますが、例えば、お触れになりましたように、こうした将来推計において非常に重要な要素を持っております実質運用利回りについて申し上げましても、過去十年の実質運用利回りは三・五%でございます。これに対し、今回の暫定試算は、これまでの財政再計算等の経緯も踏まえて、一・六%というふうにやや控え目な試算の前提を置いております。

 この実質運用利回りは、年金が物価や賃金の上昇に対応していくという性質のものでありますから、それを安定化させるために大変重要なファクターでございますので、そうしたところを見ていただきましても、控え目に見ても、将来にわたり所得代替率の五〇%を確保することは十分可能ではないかというのが今回の暫定試算でございます。

 いずれにしても、正式の審議会でまたよく見直してもらいますが、所得代替率五〇%を確保するとした平成十六年改正法附則二条でございますが、それを変更する必要は認められないと思っております。

 また、その認識のもとに、今般、国会に提出いたしました被用者年金一元化法案においても、当該条項を改めて存置しているということについて御報告申し上げたいと思います。

○古屋(範)委員 五〇%を確保するというお答えでございました。ぜひとも、国民の不安を払拭する、今後もそういったしっかりとした検討をよろしくお願い申し上げます。

 公明党は、こうした少子社会に対するさまざまな政策に取り組んでまいりまして、我が党が提案をいたしました少子社会トータルプラン、この着実な取り組みによりまして、若い世代が安心して結婚し、また出産、育児ができるように、希望する方々には子育てが安心してできる、そういう社会を構築しつつ結果として年金制度を支える、そうした着実な取り組みをさらに進めていきたい、このように考えております。

 次に、国民年金基金についてお伺いをいたします。

 年金制度を老後の生活の支えとするために、基礎年金よりもさらに高い年金水準を求める自営業者の方々のために国民年金基金制度がございますが、なかなかその存在自体、国民の間に浸透しておらず、まだまだ加入率も低い状況と聞いております。この国民年金基金について、現在の加入状況についてお伺いをいたします。

 また、自営業者の方々や加入率の低い若者たちにとって、より国民年金基金に入りやすい、使いやすい制度とするために、掛金の小口化等、制度を改善すべきではないか、このように考えますが、いかがでしょうか。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 国民年金基金制度についてのお尋ねでございます。

 御指摘のように、自営業者など第一号被保険者の方々が老後の所得保障をより充実したものとすることができるように、一例で申し上げますと、二十から御加入の場合、月九千円で、受給するときは月三万円、こういうスキームでございますが、老齢基礎年金に上乗せして給付を行う制度でございます。

 現況についてお尋ねがございましたので簡潔に申し上げますが、国民年金基金制度の加入者は、平成十七年度末で約七十三万人となってございます。ただ、第一号被保険者は全体で約二千百九十万人でございますので、ごく一部、そして、十分に普及していないという御指摘を各方面からいただいております。自営業者等の方々の老後の所得保障をより充実したものにするために、国民年金基金の普及促進は重要な課題であると考えております。御提案のございました掛金の小口化ということも課題の一つとして認識しております。

 国民年金基金については、従来から国民年金基金に関する理解を深めるための広報などを行ってきておりますが、引き続きこうした広報活動等に努力するとともに、今御指摘のありました点も含め、制度の改善の研究を行うなど、普及の促進をさらに図ってまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 この国民年金基金の普及活動、また小口化を含めましたさらなる使いやすい制度への改革を、ぜひとも早急に検討をお願いいたしたいと思います。

 最後の質問になります。

 副大臣、社会保険庁を解体いたしまして新年金組織を創設するねらい、これは、地に落ちた社会保険庁、ひいては公的年金制度に対する国民の信頼を回復するところにあります。

 そのために、国家公務員や地方公務員等について、民間のサラリーマンとは別制度となっている被用者年金制度の一元化が重要であると考えます。また、年金百年安心を実現するために、基礎年金国庫負担金、これの二分の一への引き上げの実現が不可欠でございます。官民の公平性を確保するための被用者年金一元化を早期に実現するとともに、次なる課題である基礎年金国庫負担金二分の一への引き上げに取り組むべきと考えます。私は、年金に対する国民の信頼を取り戻すだけでなく、納めやすい環境づくり、このような消極的なものではなく、納めたくなるような年金制度の確立が必要であると考えております。

 そこで、被用者年金制度の一元化、基礎年金国庫負担二分の一への引き上げ、そして納めたくなるような年金制度の確立につきまして、石田副大臣にお伺いいたします。

○石田副大臣 私は、年金制度の根幹はやはり信頼ということだろうと思います。四十年にわたり掛け続けていただかなければならないというのが大前提になっておりますので、そういう意味で、今回、しっかりとこれは取り組んでいかなきゃいけないというふうに思っております。

 今御質問のありました被用者年金の一元化につきましては、民間サラリーマンか公務員かにかかわりなく、将来に向けて、同一の報酬であれば同一の保険料を負担し同一の給付を受けるという、官民の公平性の確保などの観点から、厚生年金と共済年金の一元化を速やかに実現するため、今国会に法案を提出いたしました。

 また、基礎年金制度につきましては、現在、約三六・五%の国庫負担が行われておりまして、個々人で老後生活等に備えるより安心できる、有利な仕組みとなっております。

 今後、税制の抜本的な改革にかかわる動向も踏まえつつ、所要の財源を確保しながら、平成二十一年度までの二分の一への引き上げを実現すべく努力をするとともに、こうした仕組みについて、国民の皆様に十分説明をしてまいりたいというふうに思っております。

 また、昨年末に公表された新人口推計の中位推計や近年の経済動向を織り込むと、全体として、平成十六年財政再計算時より年金財政は好転してきておりまして、引き続き、所得代替率は五〇%以上を確保できる見通しとなっております。

 今後、法律の規定に基づき、平成二十一年までにしっかりと財政検証を行いまして、国民の老後生活等の安心と制度に対する信頼を確保してまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 この社会保険庁改革、二法案を早期成立させ、改革を促進させていく、このことを強く申し上げ、質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

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