第190国会 衆議院 厚生労働委員会 17号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 十五分ですので、早速質問に入ってまいります。私も、熊本地震に関して一問、質問をしてまいります。

 発災から約一カ月間が過ぎようとしております。私も、現地の公明党の女性局長、藤岡照代熊本市会議員ですけれども、ずっと連携をとってまいりまして、今の時点での要望などを伺いました。

 長期化する避難生活で、女性、子供、高齢者が安心して過ごすことができる環境整備の充実を図ってほしい、授乳室、男女別のトイレ、物干し場、更衣室、共用スペース、照明などを設置して、運営管理者に女性を配置してもらいたい、また、女性用品などの物資は人目につかないところに保管をして、避難者に渡す際は十分な配慮をしてもらいたい、また、避難所運営の責任者には女性を参画させてもらいたいとか、また、避難所において性暴力が起きる可能性がある、この被害防止の体制強化もしてほしい、また、地震の恐怖などで傷ついた親子のメンタルサポートの体制もつくってもらいたい等々、今要望が来ております。

 もう本当に、地震が起き、水もない、食べるものもない、亡くなっている人もいる中で、女性の要望というものは言い出しにくいのが現実です。三・一一東日本大震災の後もそうでした。トイレが共用であったり、授乳のスペースがない。今回も毛布にくるまって着がえをしている女性がいるということで、私たちも、そのときしばらく国会がお休みになって、再開された国会で、私もすぐにこのことを掲げました。

 やはり大きな原因は、意思決定機関に女性が入っていない。当時、中央の防災会議は、二十六人中、女性がたったの二人でした。また、各都道府県の防災会議でも、地方の防災会議は女性の割合が四・一%でした。

 そこで、公明党も、約九百人の女性議員で防災会議を立ち上げて、現場の調査をして、二度にわたる提言を行いました。その後、中央、地方の防災会議の女性の割合もふえまして、また、備蓄品なども女性に配慮するというようなことも指針に盛り込まれたところでございます。

 今、熊本でも、熊本市男女共同参画センターの職員が避難所の運営などの確認をしているということでございますが、熊本地震、女性への配慮、この点について、内閣府にその姿勢をお伺いいたします。

○大塚政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の避難所の運営につきましては、これはまさしく、男性と女性のニーズの違いなどにしっかり配慮をしていくことは重要でございます。

 私ども内閣府におきましても、発災翌日の四月十五日に、熊本県と熊本市に対しまして、まずは通知を発出いたしまして、東日本の教訓も踏まえた取り組み指針ですとか、あるいは避難所のチェックシートをまず活用して、きちんと女性等に配慮した対応をしていただくように要請をし、その後、被災市町村等にも周知をしていただいたというふうに承知をしてございます。

 その上で、先ほどお話がございました、市あるいは県が避難所を巡回する、実は、四月二十九日には内閣府の職員もそこに同行して、必要な助言等を行わせていただきました。その結果、把握をしたところでは、例えば、男女別のトイレ、授乳室、もろもろの配慮をした運営等につきましては、できているところもございます反面、確かに御指摘のとおり、更衣室がないですとか、なかなかそういう配慮が十分でない避難所もあったという報告を受けているところでございます。

 今後も引き続きまして、地元の自治体あるいは現地で支援を行っている民間団体等とも、いろいろな要望があればお聞きをし、連携をいたしまして、そういった女性のニーズを把握し、また、いろいろ頑張っている好事例もございますので、そういったところはまた我々が把握をし、逆にいろいろ情報発信をする。そういったようなことを通じまして、各避難所で少しでも女性に配慮した取り組みができるよう促していくとともに、そういった点に配慮した災害対応がなされるように引き続き支援、協力を行ってまいりたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 女性に配慮をしていく、また、女性の声を聞いていくことが、結局は子供たちであったり高齢者であったり被災者全体に通じていくものと思われますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、児童養護施設を退所した子供が生活保護を受給している家庭に戻ったときに、施設入所時の児童手当の積立金が収入認定をされてしまうという課題について質問してまいります。

 三月九日、この件について質問をいたしました。この問題は、児童養護施設に入所していて、その間、児童手当が積み上がっていった、しかし、生活保護家庭に戻ったときに収入認定をされてしまうという。

 児童手当につきましては、民主党政権時代に法改正をして、児童養護施設に入所している子供にも出るようにいたしました。これは、養護施設を出所する際に、自立をしていく、進学をする、就職する、そのときにこの積み上がった児童手当が使える、子供のためになる、そういうことを目指して私たちも法改正をいたしました。

 しかし、この中での課題は、現行の取り扱いでは、生活保護世帯で収入認定をされてしまう、児童手当を子供の将来の自立のために使うことができない。また、一般の生活保護家庭には児童手当と同額の児童養育加算が生活保護費から支給をされている、子供の保護脱却等のためにやりくりにより積み立てた預貯金は収入認定されないということで、児童施設に入所する児童の世帯とそれ以外の世帯の間で不公平が生じるという指摘がございます。

 三月の質問の際、厚労省からは、児童養護施設を退所した子供が生活保護を受給している家庭に戻ると施設入所中の児童手当の積立金が収入認定される取り扱いについて、取り扱いの変更を検討するというふうに答弁をされています。その後の検討状況についてお伺いをいたします。

○石井政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のような課題があることを、私ども深く受けとめているところでございます。

 生活保護でございますが、考え方の基本としまして、利用できる資産、能力その他あらゆるものを活用する、これを前提といたしておりますために、児童養護施設を退所した子供が生活保護受給世帯に戻る場合に、入所中に積み立てた児童手当につきましても、原則として収入認定をし、保護費を減額している実態があるということでございます。

 ただ、本当に先ほど議員から御指摘いただきましたように、この取り扱いというのが、そもそも児童手当が児童の健やかな成長に資することなどを目的としていること、そして、児童手当が、制度改正されまして、最も配慮すべき児童養護施設等に入っている子供たちも支給対象となったのにかかわらず、その場合、その子の将来を考えて、施設においては積み立てることがよく行われている、それでありますのに、積み立てたものの使い道において非常に制約がかかるということは大変課題だというふうに思っております。子供の将来の自立のために活用することが困難、こういうことはやはり避けなきゃいけないというふうに考えているところでございます。

 このため、子供の貧困の連鎖の解消という観点から、児童養護施設などを退所した子供が生活保護世帯に戻った場合に、入所中に積み立てられた児童手当を高校修学に必要な経費や大学の入学金など子供の自立に資する目的に使う場合には、収入認定から除外するよう取り扱いを改めたいというふうに考えているところでございます。

○古屋(範)委員 除外するように改めたいという答弁をいただきました。大変前向きな答弁をいただきました。養護施設の児童の自立について大きく資するものと思います。ですので、これを一日も早く実現していただくよう、さらに努力をいただきたいと思っております。

 さらに、生活保護世帯の子供が奨学金の給付を受けた場合についても同様の問題があります。

 現在の生活保護の運用では、高校生が奨学金を受けた場合、私立学校の授業料やクラブ活動費、修学旅行費などの高校修学のために必要な経費に充てられた場合については、収入認定から除外するという取り扱いになっています。これに加えて、現在は収入認定除外の対象となっていない、高校卒業後の自立に必要な費用、具体的には大学受験料や入学金といった大学、専修学校への進学にかかる費用、就職に当たってアパートを借りるための費用などの、自立のための準備金に奨学金を充てる場合も収入認定除外の対象とすべきというふうに考えます。私たちも、そのためにこうした制度を拡充してきているわけであります。

 生活保護世帯の子供が奨学金を大学の入学金や就職の準備に充てた場合の取り扱いについても、あわせて見直しをすべきと考えます。いかがでしょうか。

○石井政府参考人 御指摘のとおり、現在の運用におきましては、生活保護世帯の子供が奨学金などを受け取った場合に、修学旅行費など高校修学に必要な経費等に充てられたときは、収入として認定をせず、手元に残る取り扱いとしておりますが、大学等の入学金や、あるいは就職に伴う転居費用などに充てる場合につきましては、収入認定の除外の対象とはなっていないところでございます。

 ただ、子供の貧困の連鎖の解消に取り組むという観点からは、生活保護世帯の子供の大学や専修学校への進学、あるいは就労による自立を支援することは重要な課題というふうに考えております。

 このため、児童養護施設等に入所中に積み立てられた児童手当に係る収入認定の取り扱いとあわせて、奨学金等につきましても、その取り扱いを見直して、現行の取り扱いに加えて、大学等の入学金や、あるいは就職に伴う転居費用などに充てた場合におきましても収入認定から除外をして、その金額が手元に残るよう、これは運用を改めてまいりたいと考えているところでございます。

○古屋(範)委員 ありがとうございます。

 私たちも今、貧困の連鎖を断ち切るために、生活保護家庭の子供たちにはやはり教育支援、ここが最も重要だということで取り組んでいる最中でございます。それに向けて、ぜひともここのところの除外ということを実現させていただきたい、奨学金、また、その他についても取り扱いを見直していただきたいというふうに思います。

 平成二十六年八月に子供の貧困対策に関する大綱が出されました。これは超党派でつくった子どもの貧困対策法に基づく大綱であります。子供の将来が、どの家庭に生まれたとしても、それによって左右されることがないように、また、教育の機会均等を図っていくということが、法律、また、この大綱の極めて重要な目的でございます。

 全ての子供たちが、学びたい、あるいは高校進学、大学進学をしたい、そういう希望を実現していく、また、子供の貧困対策を前に進めていく。とりわけ、やはり生活保護家庭の子供が厳しい家庭に置かれています。親もなかなか教育に力を入れられなかったり、義務教育の、家庭で理解が十分にいかなかったり、いろいろな課題を抱えている、複合的な課題を抱えている家庭が多いわけですので、貧困の連鎖を断ち切るためにも、大学進学率の向上、就職率の向上というものが生活保護家庭において非常に重要だというふうに思います。

 貧困の連鎖を防ぐために、生活保護家庭の子供への支援が重要だと考えます。この点についてのお考えを副大臣にお伺いいたします。

○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されてしまうことは決してあってはならないことでありますし、特に、経済的にさまざまな困難を抱えている生活保護世帯の子供たちにはより一層きめ細やかな支援を行っていくことが必要である、このように考えております。

 このため、生活保護世帯の子供たちに対してはさまざまな支援をさせていただいておりますけれども、先ほど局長の方から御答弁させていただきましたように、貧困の連鎖を防ぎ、子供の自立支援を促進するために、今回、収入認定の取り扱いを見直していきたい、このように考えているところであります。

 こうした運用の見直しだけではなく、生活保護世帯の子供たちへの支援をさらに一歩前進させたいと考えておりますので、今後におきましても、生活保護基準やさらに生活保護制度の見直しの中で、本当に子供たちに添った自立支援というのはどういうものなのか、そして教育の機会をしっかりと確保していくにはどうしていったらいいのか、そういった必要な措置を引き続き継続して検討して、寄り添った形で対応させていただきたいと考えております。

○古屋(範)委員 大変前向きな答弁、ありがとうございました。  以上で質問を終わります。

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