第190国会 衆議院 厚生労働委員会 9号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、安倍内閣が取り組んでおります希望出生率一・八をめぐる諸課題についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 一人一人が家庭を持ち、また子供を持ちたいという希望を実現していくために、やはり非正規労働者の待遇改善また働き方改革というものが不可欠であろうと思っております。

 安倍総理が、施政方針演説の中で踏み込んだ言及をされました。同一労働同一賃金の実現、これは公明党においてもマニフェストに掲げて取り組んできたところでございます。

 総理は、二月の二十三日に、我が国の雇用環境に十分に留意しつつ、ちゅうちょなく法改正の準備を進めるということを表明されました。三月の二十三日には、専門家による検討会の初会合が開かれたということでございます。

 公明党におきましても、同一労働同一賃金の実現に向けた検討小委員会を立ち上げまして、現在、経済界また労働界、有識者と精力的にヒアリングを行って、政策を取りまとめているところでございます。

 この検討会の中で、具体的な法制度のあり方を改善していくべきだということが出てまいりました。同一または同等の職務内容であれば同一賃金を払うこと、これが原則であるということを明確にした法改正を行うべきではないかと考えます。合理的理由のない不利益取り扱いを禁止するということを明確にするために、労働契約法またパート労働法、それから派遣法、この三法律にこのルールを盛り込んでいくことが必要なのではないかというふうに考えます。

 また、現行法の中で、合理的な理由の中身、すなわち、雇用主が不当な理由で正規と非正規との待遇の差をつけることがないよう、どのような場合なら賃金格差が許容なのかということを、具体的な事例を示したガイドラインを早急に策定をして、これをしっかりと周知徹底させることが重要かと考えます。この点についての御見解を伺いたいと思います。

○三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 我が国の非正規雇用労働者については、例えば女性では、結婚、子育てなどもあり、三十代半ば以降、みずから非正規雇用を選択している方が多いことが労働力調査から確認できております。また、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の賃金格差は、欧州諸国に比して大きいとの指摘があると認識しているところでございます。

 同一労働同一賃金が実現すれば、非正規雇用で働く方の待遇改善が図られ、女性や若者などの多様な働き方の選択の範囲が広がることとなります。その結果、国民一人一人の結婚、出産、子育てなどの状況に応じた柔軟な働き方がかなえられ、一億総活躍社会の実現に大きく資するものとなると考えられます。

 同一労働同一賃金実現については、一億総活躍国民会議で議論いただいた上で、この春取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおいてその方向性を示すこととされております。具体的には、我が国の労働慣行にも留意しつつ、同時に、ちゅうちょなく法改正の準備を進めるとともに、あわせて、どのような賃金差が正当でないと認められるかについては、早期にガイドラインを制定し、事例を示してまいりたいと考えております。

 総理の指示に基づき、三月二十三日から議論を開始いたしました同一労働同一賃金の実現に向けた検討会におきまして、非正規雇用労働者の待遇改善のさらなる徹底に向けて、実効性のある方策について多角的、精力的に検討していただきたいと考えているところでございます。

○古屋(範)委員 やはり合理的な理由のない賃金の格差というものは、ここは改めていかなければならないというふうに思います。

 その上で、今政務官もおっしゃいましたように、不本意に非正規労働に従事をしている、そして、どうしても長年働いていても所得がふえていかない、家庭を持ちたくても持てない、ここのところを改善していくということが、私たちの今回の同一労働同一賃金を考える目的でございます。

 また、女性の中には、不本意とは言わない、本意とおっしゃっていながらも、やはりその選定状況がなかなか厳しい、諦めてしまっている、自分は非正規で働くしかないのだ、こういうところもやはり目を向けていかなければならないというふうに思います。若者、女性、中高年にかかわらず、この非正規の方々の処遇改善をどうアップしていくかということが問題だと思います。

 その上で、非正規社員には、やはりキャリアアップの機会が少ないのではないかというふうに思います。正社員の場合には、会社に入ってだんだんとスキルを身につけていく、それによって賃金も上昇していくということがあるんですが、そこのところ、生涯にわたるキャリアアップ、職業教育訓練、この機会を提供していくことが重要だと考えます。

 まず、早い段階、義務教育において職業教育をしていく、また、労働関係法令の知識を学んでいくこと。また、高校、大学におきましては、進路選択の際に職業に対する具体的な知識、情報提供を行っていく。また、ここでも、具体的な労働法制、また社会保障、自分がどういう働き方をして、そしてまた高齢になってどういう過ごし方をしていくのか、そういうことも必要だと思います。

 また、インターンシップ制度、これはもっと踏み込んで、例えば一日職業見学をしてきましたというような遠足のようなものではなくて、もっと一歩踏み込んでその職業というものを体験していく、こういうインターンシップ制度をもっと充実させていくことが必要なのではないか。また、中高年の再教育ということも必要だと思います。

 非正規労働者のキャリアアップを後押しするため、職業教育訓練についてのお考えをお伺いしたいと思います。

○宮川政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、非正規雇用で働く方のキャリアアップ、これを支援する、後押しするということは大変重要な課題だと認識しております。今、議員の方からお話がありましたさまざまな施策を総合的に進めていくことも必要でございます。そのために、さらに、企業や業界が主体となった人材育成、あるいは個人が自発的、主体的に取り組む能力開発、この双方をともに推進する必要があろうと考えているところでございます。

 このため、厚生労働省では、非正規雇用で働く方の能力開発の推進のため、一つは、企業等の人材育成に対する支援として、キャリアアップ助成金によりまして、非正規雇用で働く方に対して職業訓練を行った場合に、教育訓練経費等の一部を助成するということを行っております。

 また、個人の能力開発に対する支援といたしまして、教育訓練給付金制度による、働く方が自発的に行った教育訓練の経費に対する支援、あるいは、一旦離職した方の公的職業訓練の受講を通じた再就職の支援、それから、ジョブカードを活用したキャリアコンサルティングを通じたキャリアプランの作成、能力開発の助言指導などの取り組みを行っているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、これらの取り組みを通じまして、引き続き、非正規雇用で働く方の能力開発、またそれを通じたキャリアアップの実現を積極的に支援してまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 そうしたキャリアアップ助成金などのさまざまな施策、これを非正規労働者に直接届くように、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 また、希望出生率を実現していく上で、働き方改革も欠かせないと思います。非常に長時間労働、仕事が忙しくて、子供は二人欲しいんだけれども、やはり一人で諦めてしまう、このような方もいらっしゃるのではないかというふうに思います。

 安倍総理は、二十五日ですけれども、一億総活躍国民会議において、長時間労働の是正に向けた具体策の検討を指示されたわけでございます。公明党としても、希望出生率一・八の実現に向けた早急な対策として、これまでも、長時間労働の是正、また短時間勤務とかテレワークの推進、こういうことに取り組んでまいりました。このたび総理がこういう具体策を提示されたということは、非常に評価をしたいと思っております。

 時間外労働につきましては、これを定めた三六協定について、以前から、協定を結べば上限なく長時間労働をさせるという問題が指摘をされていました。過労死ラインとされる月八十時間以上の時間外労働を強いられているという方々もいるわけです。この上限規制を設けても、記録を残さないようないわゆるサービス残業というようなおそれもあるということも考えていかなければいけないと思います。以前この委員会でも申し上げた、インターバル規制の導入なども考えていく必要があるかなというふうに思います。

 実効性ある法改正、また、現行法の中で可能な取り組みについて早急に対応すべきと考えます。これについて、大臣にお伺いをいたします。

○塩崎国務大臣 安倍総理は、今後三年間の政権にとっての最大のチャレンジは働き方改革だ、こう言って、その中でも長時間労働の問題は、言ってみれば、これは働き方ではありますけれども、実は暮らし方というか、家庭での生活そのものにも投影をされる、そういう重要な問題だと思います。そういう意味で、長時間労働の是正に取り組むというのは極めて大きな、大事なことであり、また、家庭をどういうふうな位置づけにしていくかということにもつながってくる、そんなふうに思っています。

 もちろん、厚生労働省として、私どもも、長時間労働削減推進本部とか、それから、既に国会に労働基準法の改正法案を提出しております。

 総理から、三月二十五日に、国民会議の方で指示を受けました。それは、一つは、先ほどお話ありましたが、長時間労働の是正のために法規制の執行強化の具体策を早急に取りまとめて直ちに実行せい、これがまず第一。そしてもう一つは、三六協定がありながら、言ってみればその実効性がいかがなものだろうか、この実効性がちゃんとあるような再検討を行うということの御指示をいただいたわけでありまして、執行面では我々としてはできることは何でもやるということであり、また、そういう中で、重点監督の対象拡大、そして監督、捜査体制の強化、「かとく」というのを大阪と東京でやっていますが、これをもっと広げるべきじゃないかというようなことを今検討しております。

 そういった執行強化の具体策を、可能なものから実行に移すということをやっていきたいと思いますし、また、ニッポン一億総活躍プランでは、総理から示された指示に従って内容をしっかり盛り込んでいきたいと思いますし、それが広い意味での働き方改革につながるような改革になればという思いで、五月に向けて作業を詰めていきたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 執行強化をしていくということでございます。

 私も昨年、特にブラック企業の関係で東京労働局に行ってまいりましたけれども、この「かとく」、非常に成果を上げてきているというふうに思います。ただ、やはり人員が少ないという問題があるかと思います。この辺の人員の強化も含めて、ぜひ強化をしていただきたいというふうに思います。

 次に、待機児童対策についてお伺いをしてまいります。

 これは二〇〇一年なんですが、公明党が待機児童ゼロ作戦という政策を掲げまして、当時それがそのまま政権の政策となりました。

 また、二〇〇五年には党内において少子社会総合対策本部というのを立ち上げまして、少子社会トータルプランというものを作成いたしました。この中で、チャイルドファースト社会、子供最優先の社会ということをテーマに掲げてまいりました。

 また、二〇一二年には次世代育成支援推進本部を立ち上げまして、待機児童ゼロについては地方議員とも連携をしながら進めてきたところでございます。

 しかし、今取り沙汰をされております待機児童、本当にふえております。二〇一三年には、政府で待機児童解消の加速化プランというものを発表いたしました。しかし、待機児童は依然として二万人を超えているという状況であります。

 待機児童は、二〇一五年四月一日現在で二万三千百六十七人、前年より一千七百九十六人多い。保育施設定員というのは、今、二百六十二万七千八百八十一人ということで、前年に比べますと十四万六千二百五十七人ふえております。この定員は、一二年の自公政権発足以来、民主党政権の二倍というふうになっております。しかし、全体の枠がふえても、一人一人、入れたか入れないか、そこが非常に重要なんだろうというふうに思います。

 今般、潜在待機児童について、昨年四月時点において約一万一千人いるということが明らかになりました。これまでの判明分と合わせ、潜在的な待機児童は約六万人ということで、都市部を中心に、依然としてこれが非常に深刻な課題というふうになっております。

 先日、公明党の待機児童対策推進プロジェクトチームで緊急提言を取りまとめまして、総理に提出をしたところでございます。意欲ある女性たちが仕事と家庭が両立できる環境をつくっていく、未来を担う子供たちが健やかに成長できる環境を整えていく、このことが今求められているというふうに思います。

 この点について、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、小松委員長代理着席〕

○塩崎国務大臣 先般、総理の方に公明党から御提言をいただいて、特に、例えば短時間正社員制度の推進であるとか、あるいは施設整備費の補助の拡充であるとか、公明党ならではの御提案もたくさん盛り込んでいただいた提言をいただきました。

 待機児童への対策が喫緊の課題となっている中で、こうした与党からの具体的な緊急提言も十分踏まえて、特に現在、本当にお子さんを預けたくても預けられないで困っていらっしゃる方々に対して、早急な対応のために、短時間で実効性のある対策として、先般、私どもとして発表をさせていただいたところでございます。

 この緊急対策の中で規制の弾力化として挙げている項目も、国の定める人員基準であったり面積基準であったり、これを上回ったものについて、市区町村に実施を促すものであって、質の確保を行いながら実施をするということでございます。

 今後、この緊急対策に取り組みつつ、待機児童解消加速化プランに基づいて、質の確保を図りながら量の拡大を図っていくということをやるとともに、この春に取りまとめが予定をされておりますニッポン一億総活躍プラン、この中で、具体的で実効性のある待遇の改善策などをしっかりと示してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○古屋(範)委員 私も神奈川に住んでおりますが、横浜市、川崎市もこの問題には非常に熱心に取り組んでおりまして、川崎なども、横浜と川崎の連携協定というものを結んで、境においては相互乗り入れを行う、あらゆる施策を駆使して、川崎は、二十七年四月に待機児童を解消しております。保育コンシェルジュ、これは横浜発でございますけれども、やはり自治体と連携をしながら、待機児童解消に国が全力を挙げていくべきというふうに思います。

 公明党の提言の中で、保育士確保、ここが非常に重要だということで、保育士の処遇改善のことを提案させていただきました。保育士の賃金水準を四%引き上げるために、ぜひ財源を確保して、着実にこれを進めていただきたいということを申し上げました。

 保育士だけではなくて、介護従事者また福祉人材、ここの確保というのは一億総活躍に向けて非常に重要な観点であるというふうに思います。この保育士の処遇改善、福祉人材の確保について、総合的な取り組みを進めていただきたいというふうに思います。この点についての御所見をお伺いいたします。

○三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 保育士や介護職員など福祉人材の確保に当たっては、処遇改善や勤務環境の改善など、総合的対策を講じることが重要であると考えております。

 保育人材の処遇につきましては、人事院勧告に従った処遇改善を行うとともに、今年度の当初予算において、消費税財源を活用し、三%相当の処遇改善を行ったところでございます。

 介護職員の改善については、平成二十七年度介護報酬改定において、一人当たり月額一万二千円相当の処遇改善加算の拡充を行っており、平成二十七年十二月時点では、約七割の事業所がこの加算を取得しているところであります。

 また、保育につきましては、平成二十七年度補正予算及び平成二十八年度予算におきまして、保育士を目指す学生に、卒業後、保育士として五年間の勤務で返済を免除する奨学金制度の拡充、また、一旦仕事を離れた人が再び仕事につく場合に、保育士として二年間の勤務で返済を免除する再就職準備金や、未就学児がいる場合の保育料の一部貸付事業の創設、また、保育現場の厳しい勤務環境の改善のため、保育補助者の雇い上げ支援や、ICTの活用による業務の効率化を行うことによる離職の防止、このようなことに取り組むこととしております。

 介護につきましても、平成二十七年度補正予算及び来年度予算におきまして、介護福祉士を目指す学生に、介護職に五年間の勤務で返済を免除する奨学金制度の拡充、一旦仕事を離れた人が再び仕事につく場合に、介護職に二年間の勤務で返済を免除する再就職準備金貸付制度の創設、また、地域医療介護総合確保基金を活用した、介護施設等における職員のための保育施設の開設支援の実施、介護ロボットの活用促進や、ICTを活用した生産性の向上の推進、このようなことに取り組むこととしております。

 厚生労働省としては、処遇改善の進捗状況などを踏まえながら、この春に取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおきまして、具体的で実効性のある処遇改善を含む待遇の改善策を示し、不足している保育及び介護の人材の確保をしてまいりたい、このように考えております。

○古屋(範)委員 ぜひ、待機児童解消のためにも、財源を確保しつつ保育士の処遇改善に取り組んでいただきたいと思います。

 こうして、今は量の拡大をしなければならない、ここが差し迫った課題なんですが、とともに、子供の安全の確保ということも進めていかなければならないと思います。保育施設での突然死ということも、ずっと私も取り上げてまいりました。

 これについて、平成二十年から二十四年までの五年間、保育所及び認可外保育施設事故報告書を詳細に分析して昨年十一月に発表した、東京都保健医療公社多摩北部医療センターの小保内小児科部長らの研究グループの論文によりますと、二〇〇八年からの五年間で、保育施設で死亡した乳幼児は五十九人いる。うち五十人が睡眠中に死亡していました。月齢別では、六カ月以下が十八人、七カ月以上一歳未満が十五人、一歳が十二人、二歳が五人ということで、発見時の体位は五六%がうつ伏せ寝でございました。

 また、死亡した全乳幼児の在園期間との関係を調べますと、登園初日に死亡したのが六人、その後、二日目が三人、三日目から七日目までが四人、一週間以降一カ月以内が六人、一カ月以降が十四人ということでございました。やはり、うつ伏せ寝や、また登園して間もない時期にどう接していくか、保育をしていくかということが非常に重要かと思っております。

 保育施設での突然死を防ぐために、ぜひ、睡眠中の突然死発症リスクが高くなるということを保育現場に周知徹底していただきたいと思います。これについて、お考えをお伺いいたします。

○香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 保育施設の死亡事故でございますが、もちろん、これはあってはならないものと私どもも考えておりますが、今御指摘のありました睡眠中の事故を中心に、死亡事故は、年々、残念ながら発生しております。

 今先生から数字のお話がありましたが、平成二十六年度の数字で申し上げますと、死亡事例が十七、このうち睡眠中が十一ございまして、そのうち、いわゆるうつ伏せ寝が原因と思われるものが四件ということになってございます。

 この点につきましては、私ども、保育所保育指針解説書というものがございまして、この中で、いわゆる乳幼児突然死症候群、SIDSと言われているものですが、このリスク因子としてうつ伏せ寝というものが指摘をされてございます。うつ伏せ寝にしたまま放置をするということが非常に危険で、これは避けなければならないということで、うつ伏せ寝については、子供のそばを離れないこと、あるいは、離れる場合にはあおむけにする、ないしは保育士が見守るということで御指導申し上げているところでございます。

 死亡事故につきましては、保育園、幼稚園あるいは学校等でございまして、重大事故の発生を防止するということで、平成二十六年九月に、内閣府と文科省さん、それと私ども厚生労働省、三府省で、教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会というのを開催いたしまして、昨年の十二月に取りまとめをいただいております。

 この中で、睡眠中、食事中、それから水遊び中というのが特に死亡事故が高いということで報告がございます。このため、事故防止あるいは発生予防のためのガイドラインというものを三府省で今鋭意作成を進めております。この中でも、睡眠中の事故、とりわけうつ伏せ寝のリスクについては改めて記載をいたしまして、策定され次第、自治体、保育園等、関係機関に周知徹底してまいりたいと思っております。

    〔小松委員長代理退席、委員長着席〕

○古屋(範)委員 最後の質問に参ります。児童虐待についてお伺いをいたします。

 先日、相模原で、虐待を受け自殺をしたという事件がございました。全国の警察が昨年児童相談所に通告をした、十八歳未満の子供の虐待が疑われる数が三万七千二十人でございます。二〇〇四年以降増加を続け、過去最高を記録いたしました。

 児童虐待から子供の生命を守るために、塩崎大臣の御決意を最後にお伺いしたいと思います。

○塩崎国務大臣 残念ながら、児童虐待が、児童相談所や市町村で対応している件数を見ても増加傾向である、そしてまた、死亡事故も、今回のケースも含めて、あるというのは大変残念なことでありまして、これは何とか政府としても力を入れて取り組まなきゃいけないと思っておりますし、重要課題の一つだと思っております。

 今回、児童福祉法の改正を提出させていただきました。

 幾つかポイントがありますけれども、一番大きなことは、民法八百二十条で、親の権利、親権というものが明確に定められている一方で、子供の権利というのは法律のどこにも書いていないということが続いてまいりました。したがって、今回最大のポイントは、子どもの権利条約を批准している日本として、子供の権利、つまり、全ての子供は健全な養育を受ける権利がある、それを保障するということを定めたことが最大のポイントで、これは今後の司法関与の問題にも大いにかかわってくる問題だと思っております。

 それから、もう一つは、家庭養育というものについて定義をしました。一つは、やはり実の親による家庭養育が一番、そして次は、やはり家庭に準ずる、言ってみれば養子、特別養子縁組、そして里親、ファミリーホーム、こういった形でのものを家庭養護とすべきではないか、そして家庭的養護はやはり施設ということで、この三つを峻別するということも初めてやりました。

 国、都道府県、市町村の役割そして責任の再定義と明確化、これもやる。さらには、児童相談所、市町村の体制強化、そして中核市には事実上必置にしていくというぐらいの勢いでいかなきゃいけないし、専門性も高める。弁護士さんを、本来は児相にそれぞれ常勤でいるべきじゃないかと私は思っておりますが、そちらに向けての動き等々入れ込んでおります。

 こういったことで、児童虐待防止に法律としてちゃんと立ち向かえるような改正になればと思っております。

○古屋(範)委員 私も、児童福祉法改正案、国会の側として、成立に向け最大限努力をしていくことを申し上げ、質問を終わります。  ありがとうございました。

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