第197回国会 衆議院 消費者問題に関する特別委員会-4号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 質問時間が十五分しかありませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 本改正案におきまして、食品の安全性に重要な影響を及ぼす事項の表示の欠落、また誤表示をした食品を自主的に回収した場合についての届出が義務づけられることとなりました。これでようやく食品衛生法と一体的に自主回収情報が提供されることとなってまいります。

 まず、衛生法と表示法一体の自主回収情報を提供することでどのような効果を見込んでいるのか、これについてお伺いをいたします。

 さらに、特にアレルゲンなどの記載漏れは、アナフィラキシーショックを起こすなど、消費者の生命また身体に危害が発生することに直接つながることが多々あるものと認識をいたしております。食品の回収は迅速に、また徹底して行わなければならないと思います。

 今回の改正案では、回収に着手してから、その後に届出をすることとしておりますが、これでは、その間、健康被害が拡大をしてしまうのではないかと危惧をされます。着手をしてからではなく、記載漏れ、誤表示等がわかった時点で直ちに届出をすべきではないかと思います。この件についてお考えをお伺いをいたします。

○左藤副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 食品リコール情報の届出については、異物混入といった、食品が通常有すべき安全性を欠くことによりリコールを行う場合は、食品衛生法に基づきやります。

 そして、一方、食品が通常有する安全性が担保されているものの、アレルギーの表示欠落等、健康被害が生じるおそれがある不適正な表示によりリコールを行う場合は、食品表示法に基づきそれぞれ行うこととなっております。

 これらの二つの法律に基づくリコール情報を共通のシステムで一元的に把握することにより、消費者に食品リコール情報を迅速に提供することができるわけです。

 さらに、その情報によりリコール対象食品の喫食を避けることで、健康被害の発生防止が期待できることとなります。

 このため、二つの法律により届出制度の円滑かつそごのない運用を図るとともに、公表するリコール情報を消費者の方々に有効に活用していただけるよう、本法案の内容について周知を図ってまいりたいと考えております。

 それから、被害の問題でございますけれども、委員御指摘のように、健康被害の発生を防止するためには、事業者が誤表示等に気づいた時点で食品の自主回収を行うことを決定し、直ちにその情報を食品の納入先に伝え、回収を開始するといった具体的な対応が重要と考えております。それとともに、行政への速やかな届出が重要であると思っております。

 そのため、事業者が回収に着手するとともに、遅滞なく当該情報を行政に届出いただくよう、行政への普及啓発をしっかり行ってまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 消費者の健康被害につながってしまうようなアレルゲンの誤表示は今までもあったと伺っております。今回の改正案によりまして、よりこれが安全対策の強化につながっていくものであると認識をいたしております。早期の成立を期していきたいと思っております。

 私は議員になって既に十五年になるんですが、議員になる前に、神奈川でアレルギーに関する約十四万人ほどのアンケート調査を行いまして、その結果を持って国会に参りました。その後も、こうした表示も含め、学校や保育園におけるアレルギー疾患のお子さんへの対策ですとか治療研究の推進など、ずっとアレルギー疾患対策に取り組んでまいりました。

 特に、二〇〇八年には議員立法に着手をいたしまして、二〇一四年、アレルギー対策基本法が全会一致で可決するまで、強力に反対する党もありまして、いろいろと苦労いたしましたけれども、成立まで諦めずに取り組み、基本法が成立をいたしました。

 この基本法を受けまして、昨年、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針が策定をされました。各都道府県では、どの地域に住んでいても適切なアレルギー疾患に対する医療が受けられるよう、今、環境整備に取り組んでいただけることとなっております。

 医者に行っても治らない、こういうお声をいまだに伺うところでございます。どの地域に住んでいても適切なアレルギー疾患医療が受けられるためには、各都道府県でアレルギー疾患拠点病院が選定をされ、指定をされていくことが重要であると考えております。

 本年度予算におきまして、アレルギー疾患都道府県拠点病院モデル事業が行われております。この拠点病院の指定状況をまずお伺いをいたします。

 この成果を踏まえまして、追加的な体制整備が重要であります。そのために、来年度予算におきましてもさらなる財政支援が不可欠であります。全国の拠点病院の体制整備ができる予算の拡充また確保を確実に行っていただきたいと思います。この点について厚労省にお伺いをしてまいります。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県アレルギー疾患医療拠点病院につきましては、昨年七月より整備をお願いしているところでございますけれども、現時点までに、全国で十七府県におきまして既に指定されているところでございます。今後とも順次指定が行われる見込みでございます。

 また、アレルギー疾患対策を推進するための予算の関係でございますけれども、厚生労働省といたしましては、平成三十一年度概算要求におきまして、医療提供体制の整備、情報発信、研究等につきまして、平成三十年度予算が六億八千万円ほどでございましたけれども、三億八千万円ほど増加いたしまして、十億六千万円の予算の要求をいたしているところでございます。

 引き続き、必要な予算の確保を図り、アレルギー疾患対策の充実に努めてまいりたいと考えてございます。

○古屋(範)委員 国民の三人に一人、あるいは二人に一人が何らかのアレルギー疾患があるとも言われております。その医療提供体制を整備していくために、やはり、まずは拠点病院を整備していくことが重要であります。まだまだ整備をしていない都道府県がございますので、しっかり推進をしていただきたいと思っております。

 厚生労働省の免疫アレルギー疾患研究戦略検討会がこの九月、報告書を取りまとめ、国として初めて免疫アレルギー疾患研究十か年戦略が策定されることとなりました。アレルギーの原因となる物質の特定や症状を抑える医薬品の開発は進んではいるんですが、多くの疾患で完全な治癒を目指す根治治療というのはまだ確立をされておりません。この課題に政府が本腰を入れて取り組む意義というのは非常に大きいものがあると思っております。

 やはり、アレルギー疾患があり学校に通うことが難しかったり、あるいは就業していく上でもそれがいろいろなマイナスとなってまいります。アレルギー疾患患者がライフステージに応じて安心して生活できる社会の構築を目指して、予防的、先制的医療の実現、世界に先駆けた医薬品の開発が進むことが期待をされております。

 基礎研究の充実を目的とした十か年戦略の策定によりまして、包括的な対策を進める上で必要な診療と研究の両輪がそろうこととなります。こうした治療法の開発に向けた研究は当然といたしまして、一人の患者を継続的に診ることができる医師の育成、医療機関の整備についても更に検討を進めていただきたいと思います。

 この十か年戦略のポイント、着実な戦略の実行についてお伺いをいたします。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 免疫アレルギー疾患研究十か年戦略についてでございますけれども、先ほど委員から御指摘もございましたが、平成二十七年十二月に施行されましたアレルギー疾患対策基本法や、平成二十九年三月に告示されましたアレルギー疾患対策推進に関する基本的な指針に基づきまして策定することとしているものでございます。

 厚生労働省におきましては、本年七月から免疫アレルギー疾患研究戦略検討会を開催いたしまして、現在、報告書の最終取りまとめに向けて関係者が調整を行っているところでございます。

 本年九月二十五日に開催されました第三回の免疫アレルギー疾患研究戦略検討会におきましては、今後、免疫アレルギー疾患研究につきまして推進すべき柱といたしまして、免疫アレルギーの本態解明に関する基盤的な研究、免疫アレルギー研究の効果的な推進と社会構築に関する横断的な研究、ライフステージ等免疫アレルギー疾患の特性に注目した重点研究の三つを戦略的に行うこととされたものでございます。

 厚生労働省といたしましては、今後取りまとめられる報告書を踏まえまして、免疫アレルギー疾患研究十か年戦略を速やかに策定し、発症予防や重症化予防、生活の質の維持向上を図る取組を進めるなど、アレルギー疾患対策を強化してまいりたいと考えているところでございます。

○古屋(範)委員 この十か年戦略がしっかりと策定をされ、着実に実行されていくよう求めていきたいと思います。

 アレルギー疾患を持つお子さんを持つ母親、保護者は大変苦労しております。食品を見ても、穴のあくほどその表示を見ながら、アレルゲン物質があるかないか、それとずっとつき合いながら子育てをしております。やはり学校での生活というものが非常に心配をされるところだと思っております。

 私も、十年前になるんですが、強く主張いたしまして、学校でのアレルギーガイドラインというものがつくられました。非常によい内容でありまして、学校生活に即して、また、いざという危機があったときとか、プールに入るとき、林間学校に行ったとき、そのような学校生活の場面に即してこのガイドラインがつくられました。しかし、これは校長、副校長、養護教諭だけではなくて担任の教諭にも徹底をしてほしいんですが、そこのところはまだ課題があるというふうに思っております。

 このガイドラインがまだまだ活用されていない、十分に徹底をされていないという状況もございます。管理指導表も医師の診断が伴っていないというものがあり、学校現場ではいろいろと混乱もあるところでございます。

 これを改定するということを伺いました。今回の改定を機にさらなる周知をしていただいて、全国全ての学校で活用されるよう文科省としても頑張っていただきたいんですが、文科省のお考えを伺います。

○下間政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインにつきましては、平成二十年に公益財団法人日本学校保健会において作成したものでございます。これを各教育委員会、学校等に配付をいたしまして、アレルギー疾患に対する取組に活用されているところでございます。

 文部科学省といたしましては、アレルギー疾患を持つ児童生徒が学校生活を安心して送ることができるよう、学校におけるアレルギー疾患に対してはこのガイドラインに基づく適切な対応を行うよう、各種会議や講習会などを通じて周知徹底に努めてきたところでございます。

 現行のガイドラインが発行されて十年が経過しておりまして、その間、アレルギー疾患対策基本法の制定や新たな医学的知見の集積があったことを踏まえまして、現在、三十一年度中の完成を目指して日本学校保健会において改定作業を行っているところでございます。

 速やかに改定作業を進め、完成後は、各教育委員会及び学校等に配付いたしますとともに、御指摘のとおり、本冊子の内容が各学校において着実に理解されるよう、あらゆる機会を通じて普及啓発を図ってまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 もう十年もたちましたので、いろいろと変化もあると思います。しっかりと改定を行っていただき、また、教育現場への普及徹底をよろしくお願いを申し上げます。

 今回の食品表示法の改正案、これを行うことによりまして、衛生法と一体で、より消費者の健康が守られるという改正案だと思っております。早期成立を求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

○土屋委員長 古屋先生、ちょっとお待ちください。古屋先生、ちょっと申しわけない。副大臣から。

○左藤副大臣 ごめんなさい。先ほど、答弁でちょっと言い間違いをしております。

 回収に着手するとともに、当該情報を行政へ届出いただくと、行政と私言ってしまいましたが、ごめんなさい、事業者への普及啓発をしっかりと行っていきたいということでございますので、訂正をさせていただきます。

 ありがとうございます。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

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