第198回国会 衆議院 環境委員会-5号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 午前中に引き続き、一般質疑の質問を行わせていただきます。

 まず、五月の五日、六日、原田環境大臣、G7メッス環境大臣会合に出席をされました。G7各国また招聘国と、生物多様性、また気候変動、また海洋プラスチックごみ等をテーマに議論をされたというふうに伺っております。

 まず、このG7メッス環境大臣会合の成果について大臣にお伺いをいたします。

○原田国務大臣 連休中でありますが、五月五日及び六日に、フランス・メッスで開催されたG7環境大臣会合に出席したところであります。

 会合では、幅広い地球環境問題について議論されました。G7等の生物多様性に対する今後の取組をまとめた生物多様性憲章などが採択されたところであります。

 加えて、この機会を捉えG7各国と個別会談を行い、海洋プラスチックごみ問題を始めとする課題の解決に向けた協力、さらにはかたい結束を確認したところでございます。

 なお、来月、いよいよ長野県軽井沢町で開催いたしますG20環境・エネルギー関係閣僚会議においては、私が議長を務めることになります。リーダーシップを発揮し、今回のG7の成果も踏まえてしっかりと成果を取りまとめたい、こう考えているところであります。

 また、この会合に先立ちまして、我が国の水素・燃料電池関係企業を引率しまして、日本の環境大臣として初めて、フランスの水素技術先進企業との意見交換や、水素燃料電池列車への試乗をいたしました。今回の訪問も踏まえて、水素社会の実現に向け尽力をしていきたい、こういうふうに思っているところであります。

○古屋(範)委員 大臣におかれましては、生物の絶滅を食いとめる取組を加速するこのメッス憲章を採択されたということでございます。

 百万種に上る生物が絶滅の危機に今瀕しております。人間が食料としてきた哺乳類は六千百九十種存在するんですが、そのうちの一割近くに当たる約六百種が二〇一六年までに絶滅をしました。更に一千種以上が絶滅をするおそれがあると指摘をされております。

 六月には、大阪で二十カ国・地域首脳会議が開かれます。ここで生物多様性の保全を議題として取り上げて、日本の主導により各国が取組の強化をするということが非常に大事な点だというふうに思っております。ぜひ、日本がイニシアチブをとってこの分野に取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 また、私の地元は横須賀なんですが、そこにもやはりこの水素の関係の企業が最近進出をしてまいりました。ぜひ、この水素社会の推進についても前進をさせていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 きょうのテーマは、浄化槽について順次お伺いをしてまいります。

 現在、全国の汚水処理人口の普及率は九〇・九%となりましたけれども、いまだ約一千二百万人の汚水処理未普及人口が残されております。その早期解消に向けて、下水道や農業集落排水施設と並び立つ汚水処理サービスとして、この浄化槽への期待が高まっているところでございます。

 しかし、この浄化槽の新設基数は近年減少傾向にありまして、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換も遅々として進んでおらず、加えて、新規基数を上回る既存浄化槽の基数減少が見られます。

 さらに、法定検査率の低迷に象徴されているとおり、関係する主体それぞれの負うべき役割が十分に果たされていないという面もありまして、浄化槽に対する社会の信頼感は必ずしも高いとは言えない状況にあります。

 初めに、合併処理浄化槽の整備状況とその特性についてお伺いをいたします。

○山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、合併処理浄化槽の普及状況ということでございますが、平成二十九年度末現在において、約三百六十七万基という整備状況となってございます。

 それから、特性につきましてですが、浄化槽は、水環境保全上につきましては下水道と同等の処理性能を有している、そして、特に人口密度の低い地域において比較的安価に整備できて、短期間で整備できる、さらに、地震等の災害に強いというような特徴を有しております。また、地域の水環境保全を通じまして農林水産業や観光業の振興といった地方創生につながる地域の活性化を図るという意味でも、重要な汚水処理施設と考えてございます。

 環境省といたしましては、特に先ほど御指摘あった一千二百万人の未普及地域でございますけれども、今後、人口減少等の社会情勢変化によりまして、こういった地域を中心に汚水処理のための施設整備が進められるということから、浄化槽の役割はより一層重要になるというふうに考えておりますので、合併処理浄化槽の普及を通じて未普及の解消に努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 合併浄化槽の特性として、下水道と同等の処理性能があり設置コストも安い、また地震にも強い、また地方創生にもつながっていくことでございます。こうした合併浄化槽は、適切な整備が必要と考えます。

 先ほど申しましたように、二〇一七年度末現在で、いまだ約一千二百万人の汚水処理未普及となっています。その多くは都市郊外、地方部を中心に存在をしております。汚水処理未普及の解消に向けて、都市郊外や地方部で効率的また経済的に汚水処理サービスを提供できる浄化槽への期待が高まっているところでございます。

 しかしながら、単独処理浄化槽は、合併処理浄化槽に比べて約八倍の汚濁負荷、公共用水域の汚濁の主要な原因となっており、水路の悪臭等、周辺の生活環境にも影響を与えております。

 既存の単独処理浄化槽は減少傾向でありますけれども、約七百万基存在をしておりまして、四十年以上経過したものは推計で約百三十六万基あります。老朽化による破損、漏水等の事例が多く報告をされております。生活排水の垂れ流しのみならず、公衆衛生に支障を生じるという可能性もあるわけであります。汚水処理形成に向けては、未普及人口の半数以上を占める単独処理浄化槽の合併浄化槽への転換が大きな課題となっております。

 そこでまず、単独処理浄化槽設置者に対する指導を強化していく、あわせて合併処理浄化槽への転換を強力に推進すべきと考えます。また、浄化槽本体のみならず、転換に付随する宅内配管工事への助成が必要と考えます。これは本年度予算での対応が図られていると承知をしておりますけれども、その詳細についてお伺いをいたします。

 せっかくの政策予算も知らないと使われないわけですので、徹底した周知が必要かと思います。その対応についてもお伺いをいたします。

 あわせて、市町村整備推進事業の市町村の浄化槽を整備する区域において、単独浄化槽等を使用している住民が同意した場合には、市町村が設置する合併処理浄化槽の使用を推進すべきというふうに考えております。

 以上の点についてお伺いを申し上げます。

○山本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたように、特に未普及のところでまだ単独処理浄化槽がたくさんあるということは非常に大きな問題だと思っております。

 御指摘あったように約四百万基がまだ残っているという状況でありまして、これを合併処理浄化槽に転換していくということが、水質改善のみならず、委員御指摘あったように、現に老朽化が進んで生活環境保全上の問題あるいは衛生上の問題も生じているというような状況がございますので、この転換促進を行うのは非常に重要だと考えております。

 一方で、個人の方にとりましては、既に単独処理浄化槽をつけることでトイレの水洗化が実現してしまっているので、そこであえて生活雑排水まで含めて処理をする、コストのかかることをやっていただくというのは非常に大きなハードルがございました。それで、先ほど御指摘ありました本年度の予算で、こちら単独処理浄化槽から合併処理浄化槽に転換する場合、その宅内配管工事、水回りの工事をしていただく費用を新たに補助の対象に追加するという予算をお認めいただいたところでございます。これは、従来、なかなか普及の進まなかった個人の方に対する訴求という意味では非常に大きな変更だと考えております。

 ただ、それをいかに活用するかということで、委員御指摘ありましたように、しっかりと、制度が変わったということを関係者にPRしていくというところが重要だと考えております。特に、それを実施、実際に補助をする地方公共団体あるいはそれにかかわる事業者の方の関係団体、こういったところに制度の周知をしっかりとしていくということが重要かと思っております。

 具体的には、環境省におきまして、浄化槽トップセミナーというようなことで、首長あるいは議会議員の方々、政策決定にかかわる人たちへの直接周知をするというような取組とあわせまして、説明会などを通じまして、地方公共団体それから浄化槽関係団体への周知を行っているというところであります。

 本年度、最初の年ということでありますので、このあたりの周知はしっかりと徹底してまいりたいというふうに考えております。

 それから、もう一点、市町村整備事業についての御指摘がございました。

 こちら、浄化槽は、基本的には個人が設置するものに対して市町村が助成するという形なんですが、市町村みずからが、下水道と同様に、市町村の事業として、設置主体となって浄化槽を整備する浄化槽の市町村整備推進事業ということがございまして、これは特に生活排水対策が重要な地域を面的に整備していけるという意味でも重要な施策だと考えております。

 これに関連しまして、本年度の予算で、浄化槽の整備区域におきましては、汚水処理人口百人以内で、比較的小規模で処理を行う共同浄化槽の整備に対しても予算として新たなメニューを設けさせていただきました。個々につけるとコストがかさむ場合で、何軒か一緒になってやることでもってコスト的にも安くできる、こういった形でできるようになりましたので、こういったものも活用して、地域の実情に沿って多様な形で汚水処理施設の整備が可能となりました。

 こういったものも最大限活用いたしまして、地方の皆様の声を聞きながら、積極的に未普及解消に努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 なかなか合併浄化槽に転換をしにくいというのを、今答弁にもありましたように、使っている住民としては、水洗というものが実現をしていると、改めて浄化槽を転換していくというインセンティブが働きにくい。また、転換する設置費用の問題もあると思います。また、この合併浄化槽の特徴、単独浄化槽との違いがいまだ知られていない、普及が不十分であるなど、さまざまな理由が考えられます。

 ですので、宅内配管工事への部分も補助対象となるということが新たな予算として今年度盛り込まれておりますので、ぜひともこのところを更にPRをしていただき、トップセミナー等も行っていらっしゃるということですので、積極的に取り組んでいただきますようにお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、検査体制についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 浄化槽が、持続可能で信頼をされる汚水処理サービスとして生かされていくために、浄化槽システムへの信頼性を向上することが必要であると考えております。単独浄化槽を含めて検査体制を強化していくことが必要だと思います。

 二〇〇五年の浄化法改正によりまして、法定検査に基づいて行政指導を行うということが明確化をされました。これを契機に、浄化槽法定検査の見直しに関する検討が進められてまいりました。浄化槽の設置及び維持管理に対する行政指導を強化していくためには、公平性の観点から、浄化槽法第七条検査及び第十一条検査の受検を徹底していく必要があります。

 資料をいただきましたけれども、二〇一七年度末時点において、全国平均の受検率が今四一・八%ということであります。合併処理浄化槽に限れば六〇・四%ということで、いまだ低い水準になっておりまして、多くの都道府県では第十一条検査の受検率向上が喫緊の課題となっております。

 さらに、近年、合併浄化槽の省スペース、高性能化による構造が複雑化をしておりまして、浄化槽管理士の高い維持管理技術というものが求められていると思います。一部の自治体では、保守点検業者の技術力向上に関する都道府県の取組を条例で規定をしております。また、浄化槽管理士の知識及び技術の向上に向けた取組は極めて重要だと思っております。登録、更新の際に、浄化槽管理士が最新の浄化槽技術、知識を身につけていくことができるよう、研修の仕組みというものも重要ではないかというふうに考えているところでございます。

 この受検率の向上のためには、受検者のメリットを高める必要があり、検査結果から浄化槽の調整や補修が必要と認められた場合には、速やかに改善できる仕組みを地域で構築していくことが必要だと思います。

 この検査体制強化の取組についてお伺いをいたします。

○山本政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、浄化槽法第七条、第十一条に基づきまして検査をするというところをしっかりやっていくことが浄化槽の信頼性向上にとって非常に大きいということは、おっしゃるとおりでございます。

 特に、定期検査は、浄化槽が適正に設置されて、その後、保守点検、清掃が適正にやられている、浄化槽の機能が正常に維持されているということを確認するという意味で、都道府県が指定する検査機関が年一回行うという仕組みでありますので、これは浄化槽の信頼性を保つ根幹となる仕組みだと考えております。

 ただ、受検率は、委員御指摘のとおり、単独処理浄化槽も含めた全体では四一・八%、合併処理浄化槽に限ってもまだ六〇・四%ということでありますので、まだまだ改善を図らなければならない状況だと考えております。

 特に受検率の高い地方公共団体もございまして、そういったところは、浄化槽台帳システムを整備したり、あるいは保守点検、清掃、法定検査などを一括で契約したりとか、あるいは、未受検者に対しての受検の勧奨というのを組織的に取り組んでいる。さまざまそういった優良な取組もありますので、そういった優良な取組も参考にしながら、これをしっかりと後押ししていくような取組を進めてまいりたいと思います。

 その意味でも、まず未受検の浄化槽をなくしていくという意味では、浄化槽台帳システムをしっかり整備するということも重要でありますし、あるいは、行政と検査機関、それから維持管理の業者が連携して受検手続を円滑にできるようにする、そういったような取組も重要でございますので、こういったところに積極的に取り組む地方公共団体をしっかりと支援するようにしていきたいと考えております。

 それから、あと、御指摘のありました浄化槽管理士ですね、実際にそれを管理する国家資格を持った方々の資質向上というのも重要でございます。

 委員御指摘のとおり、浄化槽もどんどん性能が上がってきて、かつコンパクトなものになってきて、従来と同じような形で維持管理しているだけではいけなくて、また留意すべき点も変わってきているということがありますので、その点につきまして、研修なりを各都道府県で工夫されてやっておられるところがあって、それは本当に望ましいことだと考えておりますので、こういったことに関してもできるだけ支援をしていくというようなことを方向としては考えていきたい。

 委員御指摘のように、受検者がメリットがあるというのと同時に、やはり受検していないところで不適切なことが起きているということがありますので、まずはしっかりと受検をしていただいて、悪い浄化槽をしっかりと浄化槽法に基づいて指導していって改善をしていくということが重要だと思いますので、そのための手だて、引き続きしっかりと検討して、講じてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 やはり、検査を徹底して行っている自治体は台帳をつくっているということでございました。

 この浄化槽の台帳整備について、引き続きお伺いをしてまいります。

 この浄化槽台帳システムというのは、行政において、浄化槽管理者から届出による情報、指定検査機関からの報告、その他浄化槽関係者からの情報整理をして電子データ化をして、データベースとそれを管理するシステムで構成されたものであります。

 平成三十年度、浄化槽の指導普及に関する調査結果によりますと、都道府県の台帳整備状況は、約一七%が未整備、また、システム台帳管理は約七〇%というふうになっております。また、市町村の台帳整備の状況におきましては、約三四%が未整備、システムによる台帳は約三〇%という結果が出ております。

 この法定検査受検率の高い県を見ると、先ほどおっしゃいましたように、この台帳整備一括契約、未受検者に対する受検勧奨などが行われているわけであります。行政による浄化槽の台帳システムが整備をされれば、維持管理状況等、的確な把握により、行政によるきめ細かな管理指導が可能となってまいります。

 この浄化槽の単独転換対策、適正な維持管理の確立及び災害対応力の強化に向けた情報整理、更新、精査が効率的に行える浄化槽の台帳の整備を強力に推進すべきと考えます。この浄化槽台帳システムの整備推進及び情報管理のための助成等をすべきと考えます。

 またさらに、この台帳を整備した上で、過疎化による空き家が増加をしておりまして、当然、その空き家では、使われていない浄化槽が増加をしております。浄化槽法でも、休止や停止などの概念がないために、長期にわたり使用しない浄化槽があっても、年一回の法定検査、数カ月に一度の保守点検が求められております。

 都道府県や市町村によっては、休止や停止を条例、規則等で規定をしているところもあります。資料をいただきましたけれども、調査によれば、三百五十五の自治体において休止制度を活用している、採用しているということであります。

 浄化槽台帳とあわせて、過疎化で使用していない浄化槽の把握、適切な管理、そして休止などの措置が必要と思いますが、この点についてお伺いをいたします。

○山本政府参考人 お答えいたします。

 浄化槽台帳に関する問題点、課題につきましては、委員がただいま御指摘のとおりでございます。

 特に、設置状況、維持管理状況を把握する上で台帳システムは重要でありますが、先ほど最初の方で御指摘いただいた単独処理浄化槽から合併処理浄化槽に転換していくという際にもそういった情報がないといけませんし、あと、先ほど御指摘いただいた休止している浄化槽、これもなかなか行政によっては十分把握できていない。そもそも、どこにどういうものがついているのかが十分把握できていないとその先の施策というのはできませんので、そういったものをしっかりと把握するという意味でも、浄化槽台帳システムは重要と考えております。

 環境省におきましては、これまでも、台帳の電子化や関係機関との連携ですとか、あるいはGISの活用などによりまして台帳システムを整備していく、あるいは、施策を活用していくというための、それを促進するマニュアルを整備して、これを積極的に使っていこうという自治体への導入支援というようなことは行わせていただいておりますが、まだまだ、御指摘いただいたように、やっているところとそうでないところの濃淡は大きいということがございます。

 昨年六月には、廃棄物処理施設整備計画というものを閣議決定させていただきましたが、この中でも、浄化槽台帳に法定検査等の結果等も反映して、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換や浄化槽の管理の向上に活用するということを閣議決定計画の中にしっかり位置づけさせていただきましたので、委員本日御指摘いただいた点も踏まえて、引き続き、これをどうすればよりいい形で整備推進していけるかというのを検討し、実施してまいりたいと考えます。

○古屋(範)委員 検査にいたしましても維持管理にいたしましても、台帳というものが全ての基本になっていくと思います。この台帳を整備していくことを推進していただきたいということを要望しておきたいと思います。

 次に、災害時における学校、公民館、また公共施設と避難場所への浄化槽の設置についてお伺いをしてまいります。

 近年、大きな災害が頻発をしております。浄化槽は、分散処理であるために長い配管整備を伴わないために地震等の災害に強い、個別処理であることから、施設がもし損壊した場合でも、その影響範囲が屋内にとどまるために広範囲に影響を及ぼしにくいという特性を持っていると思います。

 今、関係省庁が一丸となって汚水処理施設の早期整備に向けて取り組んでおり、都市郊外及び地方部においては浄化槽の役割が増していると思います。防災、減災の観点からも、こうした公共施設への、特に避難場所に指定されている施設への設置の必要性が高いというふうに考えます。避難場所等災害拠点においても適切な衛生環境、生活環境保全を確保するためにも、平時から地域内にし尿浄化槽汚泥収集システムを確保して、緊急時に必要に応じて利用することができるよう、こうした避難指定場所への浄化槽の設置を進めるべきと考えます。この点についてのお考えをお伺いいたします。

○山本政府参考人 お答えいたします。

 合併処理浄化槽は、御指摘のとおり、災害に強い構造であって、被災しても早期復旧が可能ということでもありますので、災害に強い町づくりや国土強靱化の観点から重要というふうに考えております。また、さらに、御指摘いただいたように、避難所にそれを設置するということにつきましても非常に有効な手段だと思っております。

 現状ですが、全国の防災拠点に設置してある浄化槽の基数は、平成二十九年度末時点で約二万三千基ですが、残念ながらそのうちの約一万基は単独処理浄化槽ということでありますので、こういったものも合併処理浄化槽にしていく必要があると考えております。

 環境省といたしましては、市町村が地域防災計画等に位置づけて実施する浄化槽の面的整備でありますとか、あるいは防災拠点における浄化槽整備を財政的にも支援しておりますので、引き続き、こういったものを通じて、浄化槽の災害対応ということで整備推進に努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 最後の質問になります。

 午前中、小宮山委員も質問されていたんですが、日本の浄化槽の情報発信、国際展開の強化についてお伺いをしてまいります。

 浄化槽は日本で高度に発達した技術でありまして、世界でも注目をされております。この浄化槽の輸出基数におきましては、資料をいただきました、二〇一五年には千三百十四であったものが二〇一八年におきましては一万四百二十三基と、過去三年間で約八倍に飛躍的に増加をしております。

 国際的にも、二〇一五年九月の国連総会において、未処理排水を二〇三〇年までに半減をさせるという国連の持続可能な開発目標が合意をされまして、日本の浄化槽を輸出する機運も高まっているというふうに思います。輸出拡大を通じて世界の公衆衛生の向上、水環境改善に応じていくということが期待をされていると思います。

 この日本の浄化槽の情報発信、また国際展開の強化について、最後、お伺いを申し上げます。

○山本政府参考人 お答えいたします。

 今まさに御指摘ありましたように、国際的にもSDGsの目標で二〇三〇年までに未処理排水割合を半減するという大きな目標が掲げられておりますので、その有効なツールとなり得るものですので、この辺は、下水道ともしっかり連携して海外への展開ということを考えていきたいと思っております。

 海外への展開につきましては、午前中大臣からも答弁申し上げましたとおり、しっかり環境省としての基本戦略をつくってその中に位置づけて進めているという中で、具体的には、国際会議等を活用したトップセールスでありますとか、浄化槽セミナーによる技術のPR、それからワークショップや国内研修による人材育成、それから浄化槽の性能評価制度というものをソフト面でのインフラ支援ということで海外に展開する、こういった事柄にも取り組んでおります。

 海外からも非常に最近強くそういう期待感があらわれておりますので、今後とも、関係機関、民間企業と連携しながら、しっかりと、浄化槽ニーズの高い国を中心に海外展開を戦略的に推進して、SDGsの国際目標に貢献できるように取り組んでまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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