第200回国会 衆議院 環境委員会-3号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、小泉大臣に初めて質問をさせていただきます。私も同じ横須賀在住でございますので、いつも行事は一緒に出させていただいておりました。御活躍を心から期待を申し上げております。

 台風十九号を始めといたしまして、甚大な被害が全国に及びました。私も千葉県に行ってまいりまして、千葉は、十五号で、大規模な長期間にわたる停電、それから浸水、崖崩れ、また竜巻の被害もございました。大臣も被災地に直接足を運ばれたと思っております。

 そこで大きな課題となっているのが、被災地に山積みとなった大量の災害ごみでございます。これがやはり復旧の妨げになってきていると思います。この災害廃棄物の処理、また災害をもたらした気候変動の問題について質問をしてまいります。

 この災害ごみなんですが、使えなくなった家財道具など、これは、今回の災害は、昨年の西日本豪雨、約百九十万トンを上回る、数百万トンに上ると言われております。リサイクルや埋立て、焼却などによる最終的な処理完了までに二年以上もかかると言われております。小泉大臣は、二十二日、閣議後の記者会見で、年内を目標に生活圏から災害廃棄物を撤去することを目指す、そして、住宅に近い公園などに山積みしている災害ごみの処理に全力を挙げるという見解を示されております。

 こうした災害ごみ、自治体間連携などもありまして、例えば横須賀市などは千葉の災害ごみを受け入れる、こうした連携も行われておりますけれども、これほどの甚大な災害になりますと、埋立てのスペースであるとか広域連携にもおのずと限りがございます。

 今後、災害ごみの発生制限、減量を考えるべきだと思っております。減量にはやはり分別が有効だと思うんですね。発生抑制には、ふだんの生活で不要になった家電、日用品など、早目に処分することが必要だと思っております。こうした日ごろからごみを出さないようにするということが防災活動につながっていくのではないかと思っております。

 私たち公明党は、十一月二十八日、官邸に参りまして、経済対策の提言を提出をいたしました。その中で、環境省関連といたしましては、災害等廃棄物の処理、廃棄物処理施設の復旧、また災害対応の観点も含めた浄化槽整備の一層の加速化、また一般廃棄物処理施設の強靱化、災害時の拠点化の推進などなど要望をしているところでございます。こうした財政出動を伴う施策におきましては、補正予算と来年度の当初、これを含めて所要の予算を確保していただきたいというふうに思っております。

 小泉大臣、ここで改めて、この災害ごみにつきまして、年内完全撤去へ向けての御決意、また平時からの備えについてお伺いをしたいと思います。

○小泉国務大臣 横須賀同士のこの質疑はうれしく思います。私の前任の大臣の原田前大臣もかつて選挙区は横須賀でしたので、環境と横須賀の縁を改めて感じています。

 今、災害廃棄物について御指摘いただきました。

 おっしゃるとおり、環境省は今、生活圏内からの災害廃棄物の撤去、これを年内で完了するという目標で、全力で進めています。自衛隊・防衛省の皆さんにも御協力いただいて、最大のピークでは七県二十三市町村で活動されておりましたが、今では自衛隊の活動も終わりました。

 そして、身近な仮置場からの搬出については、古屋先生からは横須賀での広域処理の受入れという話もありましたが、陸上輸送、海上輸送、また、今は鉄道輸送、こういったことも含めて、さまざまな形で、環境省などの調整によりまして、広域処理が進展をしています。例えば、長野県の災害廃棄物は、富山県、また三重県及び愛知県内の処理施設で広域処理が実施されているほか、先月二十八日に宮城県大崎市から岩手県のセメント工場への搬出を開始するなど、広域処理も進んでいます。

 予算の確保についても御質問ありました。

 早期の概算払いの要望のあった自治体における災害廃棄物処理に必要と見込まれる金額を予備費に計上しています。このほか、台風第十九号により平成三十年七月豪雨に匹敵する甚大な被害が生じていることから、予備費に加えて補正予算においても、総理指示に基づいて、災害廃棄物処理に必要と見込まれる金額を計上すべく、調整を進めているところであります。

 引き続き、人的、物的、財政支援のあらゆる側面から、被災市町村に寄り添って支援してまいりたいと思います。

○古屋(範)委員 ありがとうございます。予備費、また補正予算、また来年度当初も含めて、必要な予算の確保をぜひよろしくお願いを申し上げます。

 次に、自治体の災害廃棄物処理計画策定についてお伺いをしてまいります。

 約三千百万トンもの災害ごみが発生をして、処理完了に三年を要した東日本大震災を契機といたしまして、事前対策の重要性というものが認識をされました。

 二〇一四年、災害時のごみ処理方針を示した災害廃棄物対策指針が策定をされました。この対策指針の中で、災害廃棄物を、自然災害に直接起因して発生する廃棄物のうち、生活保全上の支障へ対処するため、市区町村等が処理を実現するものと位置づけまして、自治体に、台風や地震などの災害の種類ごとにごみ発生量をまず推計をする、処理する前に一時保管する仮置場や処理手順を事前に決める、この災害廃棄物処理計画の作成を求めております。

 しかし、今回の台風災害でも、自宅の前の道路に出してくださいということで、そこに大量のごみがあふれてしまった自治体、あるいは一方で、きちんと仮置場を開設をして、畳とか家電、布団など品目別に置くように指示をした自治体、これが分かれました。

 この処理計画の作成状況なんですが、二〇一七年度末時点で市区町村は二八%にとどまっております。都道府県八七%で、まだつくっていない都道府県もあるということでございます。第四次循環型社会推進基本計画に基づく二〇二五年度目標においては、市町村は六〇%、都道府県は一〇〇%となっております。

 ここで、環境省として、各自治体の災害廃棄物処理計画の策定促進への取組支援を強化すべきではないか。具体的方策についてお伺いいたします。また、こうした広域的大規模な自然災害が発生する中で、いつ災害が起こってもおかしくないわけですので、一刻も早く計画を策定することが必要であり、この目標年度を更に前倒しすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○山本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、事前の備えというのは非常に大事で、その中でしっかりとした処理計画をつくるというのは大変重要だと考えております。

 にもかかわらず、まだまだ策定がおくれているということは重要な問題だと認識しておりまして、その大きな要因が、やはり中小の市町村ではなかなか計画策定に至らないということがございますので、こちらは、特に中小規模の自治体に対しては、都道府県がリーダーシップを持って市町村を巻き込んで計画づくりをするというようなことを、環境省として、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策の一環として、モデル的な事業として進めているところでございます。

 こういった事業を通じまして、しっかりと、できるだけ早期に計画策定が進むようにということで取り組んでございます。

 それから、先ほど御指摘ありましたように、初期の、特に初動の段階で仮置場をうまく設定できるかどうかというようなところは非常に重要でございまして、この点につきましては、初動対応に必要な事項に絞ってそれを策定するような手引というのを本年度つくっておりまして、これはこれとして、計画が策定できている、できていないにかかわらず、初動対応の充実を図るということで、今年度中に取りまとめて、しっかりと周知してまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 災害ごみのところに被災者ではない方が自宅のごみを持ってきてしまうようなことがないように、ぜひとも策定を急いでいただきたいというふうに思っております。

 こうした災害ごみが大量に発生してしまう、とりもなおさず、災害が激甚化をしているからであります。

 十二月二日から、スペインのマドリードでCOP25が開催をされております。パリ協定が二〇二〇年、もうこれは来年なんですけれども、実施期間に入る前にどこまで対策が前進をするかということが注目をされております。小泉大臣も参加をされたニューヨークでの国連気候行動サミット、ここでは、スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんのスピーチが大変注目をされました。

 今、世界では、地球温暖化の進行とともに大きな災害が起きております。水の都として知られるベネチアでは、北部ベネチアが冠水するという災害が起きております。十一月十五日、再び高潮に見舞われまして、サンマルコ広場が冠水により数時間封鎖をされた。政府が十四日、非常事態宣言を出しているということであります。インドネシアとバングラデシュの国境地帯にあるマングローブ、これが消滅の危機にあります。また、オーストラリア南部で続く記録的な干ばつと森林火災、こういうことも懸念をされております。

 重要なのは、温暖化の被害は、将来だけでなくて、既にもう今起きているという点であります。

 WMO、世界気象機関は、去年の夏、西日本豪雨を始めとして世界各地で相次いだ大雨や熱波、干ばつなどの異常気象が地球温暖化の長期的な傾向と一致していると警鐘を鳴らしております。国連のグテーレス事務総長は、気候変動はもはや気候危機であり気候非常事態だと発信をしております。

 IPCCは、先月、土地関係特別報告書を、去年十二月には一・五特別報告書を発表して、今回とあわせて最新の科学研究をまとめております。この土地関係特別報告書では、温暖化により砂漠化や水不足が深刻化するとともに、一・五度C特別報告書では、気温上昇を一・五度Cにとどめられるか、二度上昇をするか、わずかこの〇・五度Cの違いでも洪水や干ばつの被害を受ける人の数などに大きな差が出る、早ければ二〇三〇年代にも気温上昇は一・五度Cに達すると言われております。

 こうした危機的な状況に対しまして、気候非常事態宣言というものを出して緊急行動を呼びかける自治体がふえてきております。世界では、千を超える自治体が気候非常事態宣言を出しております。日本では、長崎県の壱岐市、神奈川県鎌倉市のみであります。ようやくそのような動きが始まってまいりました。

 日本でも、自治体が気候非常事態宣言を出して、自治体としてできること、これを進めながら、住民や他の自治体にも行動を呼びかける動きが広がっていくことが期待をされています。我が国も、非常事態にあるという認識を宣言をしていくこの気候非常事態宣言を出して、地球温暖化対策に総力を挙げて取り組むべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

○近藤政府参考人 申し上げます。

 今委員御指摘のように、壱岐市や鎌倉市などの自治体が気候非常事態宣言を出されております。気候非常事態宣言につきましては、二〇一六年にオーストラリアのデアビン市議会において気候非常事態宣言を採択されたものが始まりと認識をいたしております。その後、多くの自治体、それから学会などで気候非常事態宣言を出されておりまして、その内容といたしましては、気候変動による地球環境の危機への認識を示した上で、危機感を持って気候変動対策に取り組むこと、それから行政に取組を求めるものであると承知をいたしております。

 今委員御指摘のありましたように、近年、気温の上昇、大雨の頻度の増加など、気候変動及びその影響が全国各地に広がっておりまして、特に国民の生活、社会経済に多大な影響、被害を与えました二〇一八年夏の西日本豪雨についても、気候変動が一因と考えられると示唆されております。

 我が国といたしましては、この気候変動に危機感を持って対策に全力を挙げて取り組むべく、いわゆる長期戦略や昨年十一月に策定しました気候変動適応計画において、気候変動の脅威への対応強化の必要性などを発信いたしますとともに、これらの計画、戦略に基づいて、危機感を持って対策を進めているところでございます。

 環境省といたしましては、引き続き、気候非常事態宣言の発出も含めまして、気候変動に限らず、どのような形で、強い危機意識を持ってさまざまなステークホルダーに取り組んでいただけるかということについて考えながら、自治体や企業の積極的な取組を求めるべく努力をしてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 ぜひ進めていただきたいと思っております。

 パリ協定一・五度目標を達成するためには、この気候非常事態宣言級のものを発信して、全体的に意識改革を強力に進めていく必要があると思っております。この一・五度目標を達成する、これは空前絶後の努力が必要であります。パリ協定が来年から本格的に始まるわけですけれども、COP25で各国がどのような取組を示すのかが注目をされております。

 この気候変動を食いとめるための施策として、エシカル消費といった、国民一人一人の消費行動の積み重ねも重要になってくると思います。消費者は、自分の利益だけではなくて、社会、地球環境、地域、次世代に配慮した消費行動を行うということが求められております。

 消費者庁でも、国民の理解を広めて日常生活での浸透を深めるため、エシカル・ラボを行うなど、エシカル消費への普及に取り組んでおります。しかし、まだまだ国民への浸透が広がっているとは言えない状況でございます。

 このエシカル消費の一つとして、必要な食品を必要なときに必要な量だけ購入する、こうした食品ロスの削減ということも重要な取組の一つだと思っております。

 昨日、東京農業大学世田谷キャンパスに行ってまいりました。ここでは、日本の大学で初めて、生協が運営をしている学生食堂で、TABETEというアプリケーションを使って、余った食品を最後はお弁当に詰めて、それを出品をして購入をしてもらう、こういう取組を始めております。ここは、学生、教職員だけではなくて、近くで働いているサラリーマンもそのお弁当を買いに来ているそうであります。学生のうちに、食品ロス削減、環境問題、こういう意識を高めていくということは大変重要なことではないかというふうに思っております。

 この食品ロス削減に向けて国民運動を促す、食品ロス削減推進法が十月一日に施行をされました。ここでは、都道府県、市町村は食品ロス削減推進計画を定める努力義務が課せられまして、事業者や消費者も食品ロスの削減に積極的に取り組むことが求められております。

 十一月二十五日、食品ロス削減推進会議の初会合が行われました。小泉大臣も出席をされて、その意気込みを示されています。

 食事をした後、ドギーバッグを根づかせる運動、これらについて具体的なお考えを伺いたいと思います。あわせて、発信力の強い大臣のリーダーシップで、このエシカル消費、これを大きく推進をしていただきたいと思います。大臣の御決意を伺います。

○小泉国務大臣 古屋先生におかれましては、この食品ロスの削減などにつきましても長く取り組んでこられていることに敬意を表したいと思います。

 私、この前、消費者担当大臣、衛藤大臣、そして農水大臣の江藤大臣、また加藤勝信大臣などとともに、食品ロスの推進会議に出席をしました。

 私は、今、特に思っているのは、もちろんまず最初に、食べ切ることは大事なんですが、残ってしまったときに、もっとレストランや飲食店などで持ち帰ることが当たり前になる社会を実現をしたいと思っています。特に私はアメリカで三年間、生活をしていましたが、アメリカでは当たり前です、ドギーバッグといって、食べ残したものを持ち帰れる。特にアメリカはボリュームが何でも多いので、私も食べ切れることがいつもではなかったので、また、特に学生のときは、そういったものを持ち帰って翌日食べたり、これは家計にもいいですよね。

 なので、日本はまだまだ、食中毒などの懸念、そういった事業者側からの懸念なども含めて進まない状況がありますので、改めて、これは行政サイドとして、自己責任で整理をしている今の現状とか、また、あわせて、今、環境省としても具体的に、このドギーバッグなど持ち帰りが普及するように、私から加藤政務官にこのプロジェクトを回していただくようにお願いをして、今後、一つの形をつくっていただきたいと思っています。

 そして、あわせて、今回の関係省庁との取組で大事なのは、例えば賞味期限と消費期限の違い、こういったこともまだまだ浸透していないんじゃないでしょうか。卵の賞味期限についても、冬だったら相当長期いけるわけです。それが賞味期限だと通年の形で出ますから、そういったことも、事実を知ると行動は変わります。

 ですので、改めて、情報を国民の皆さんに届ける、そして、取組は環境省としてできることをやる、合わせわざでしっかりと取り組んでいきたいと思います。

○古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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