第201回国会 衆議院 消費者問題に関する特別委員会-3号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは大臣所信質疑ということでございますが、私も新型コロナ関連の質疑をしてまいりますので、よろしくお願いをいたします。

 新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中で、消費者の不安な心理状態につけ込むような詐欺、また悪徳商法が相次いでおります。新たな消費者被害が発生をしております。

 これはメールや電話を使った手段が多いと聞いております。例えば、スマホに、不足するマスクの提供を申し出る内容のショートメール、メッセージが届く、文末にURLのアドレスが記載をされているとか、また、水道業者を名乗る人物から、コロナウイルスが水道管に付着している、除去に数万円かかるなど、金銭を要求する不審な電話がかかってくる、このような案件がございます。

 ことしに入って受け付けた新型コロナウイルス感染症に関する消費者生活相談件数、また、深刻な消費者被害につながりかねない主な相談内容、その対応についてまずお伺いをしたいと思っております。

 消費者庁は、三月十日、例示を挙げられて、例えば、新型コロナウイルス対策にビタミンDが効くとか、納豆に含まれるペプチドは肺炎の起因菌を破壊するとか、予防にはタンポポ茶など、こうした新型ウイルスの予防効果を標榜する商品には根拠がないということで、具体的な注意喚起をしていらっしゃいます。

 その後の状況、また予防効果をうたう新たな商品が次々と出てきております。この注意喚起の結果、これが一定程度鎮静化したのかどうか、その効果についてお伺いをしたいと思います。

○坂田政府参考人 お答え申し上げます。

 ことしに入ってから受け付けた新型コロナウイルス感染症に関する消費生活相談として、三月三十一日までにPIO―NETに登録された件数は八千六百十七件となっております。

 主な相談内容としては、旅行やイベント等のキャンセルに伴う返金に関するものや、マスク等の品不足に関するものなどでございますけれども、中には、フィッシング詐欺、送りつけ商法、新型コロナウイルスへの効果を標榜する商品に関するものなど、深刻な消費者被害につながりかねないものも見られます。

 お尋ねの新型コロナウイルスの予防に効果があるかのような広告表示を行っている商品に対する注意喚起等につきましては、景品表示法及び健康増進法の観点から行った緊急監視の結果を踏まえたものでございます。

 具体的には、インターネット広告において、健康食品、マイナスイオン発生器、空間除菌剤、アロマオイル、光触媒スプレー等を販売している事業者に対し改善要請等を行うとともに、消費者に対して注意喚起を行いました。その結果、六十四事業者による八十七商品の表示について、既に全ての表示が改善されております。

 このような緊急監視は、迅速な表示の改善に結びつき、一定の成果を得たものと考えております。

 本件を含め、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、消費者の心理につけ込む悪質商法等による消費者被害の防止は急務と認識しております。

 去る三月三十一日に閣議決定いたしました新たな消費者基本計画においても、感染症拡大時等の緊急時における正確な情報発信や悪質商法への厳正な対処を盛り込んだところでございます。

 引き続き、関係省庁や関係機関とも連携し、消費者や市場の状況を注視しつつ、必要な施策に機動的に取り組んでまいりたいと思います。

○古屋(範)委員 既に、六十四事業者、八十七商品、対応してくださったということでございます。

 今、国民は、新型コロナウイルスそのものの不安、また経済的な不安、生活不安、そういう中にいます。その上にこうした、更に悪徳商法に遭う、こういうことがないように万全を期していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、買いだめ等についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 昨日の専門家会議でも、東京など首都圏における感染拡大の危機感が示されたところでございます。東京都の小池知事は、先週、週末の外出自粛を住民に要請いたしまして、首都圏の各知事も同調したところでございます。

 こうした週末の自粛を呼びかけた二十五日の夜から、都内のスーパーでは、米、パン、卵、乳製品、冷凍食品など食料品を購入する客が目立ち始めました。一部のスーパーでは、水など飲物が不足をするというような事態にもなっております。また、開店前から長蛇の列ができる、入場制限をかけたスーパーもあると聞いております。

 こうした、不安を感じた消費者が買いだめに走ったために、更に社会不安を引き起こしてしまう。棚に商品がないと、より買わなければというような意識に駆られてしまう。今、消費者に冷静さが求められている、重大な局面だと思っております。

 業界の方でも、在庫は十分にあるんですということを呼びかけていまして、まとめ買いを控えるよう、ふだんどおりの買物をしてくださいということを呼びかけております。

 三月二十六日、農水省、経済産業省、消費者庁連名によります「食料品についてのお願い」というものをホームページに掲載されています。食料品は必要な分だけ買うようにしましょう、過度な買いだめや買い急ぎはしないでください、また、転売目的の購入はしないでくださいということを呼びかけられております。

 こうした消費者がかつてない不安に陥っているような日々の中で、こうしたときこそ正確な情報と冷静な思慮が大事であると思います。

 消費者庁は、ホームページには掲載をされているんですけれども、やはりこういうときこそ、消費者を守らなければいけない、そういう使命感に立って、大臣、いち早く、国民に向けてあらゆる場で冷静な行動を呼びかけていただきたい、このように思いますけれども、いかがでございましょうか。

○衛藤国務大臣 東京都知事の会見後、一部店舗でそのような買いだめと思われるような状況が見られたことから、今お話しいただきましたように、翌二十六日付で、農林水産省及び経済産業省と連名で消費者向けの啓発チラシを作成をいたしまして、消費者庁ホームページで公表するとともに、消費者庁のツイッターにおいて冷静な購買行動の呼びかけを行ったところでございます。できるだけ正確な情報を国民の皆様方に発信してまいりたいと思っております。

 食料につきましては十分な供給量が確保されているものと承知しておりますので、このような正確な情報を発信し、冷静な購買活動をお願いしたいというぐあいに考えている次第でございます。

○古屋(範)委員 更に危機的な状況が増していきますと、パニックを起こすということが最もよくないというふうに思います。どうか大臣、先頭に立って、消費者への冷静な行動を呼びかけていただきたいと思います。

 次に、マスクについて、私からもお伺いをしてまいりたいと思います。

 マスク不足、この品薄状況が続いております。私も、手持ちのものをもたせながら今使っているような状況です。私もかねてから消費者庁に、マスクの高額の転売禁止は何とか現行の制度の中でできないのかというやりとりをしておりました。

 政府は、国民生活安定緊急措置法の政令を改正して、三月十五日からマスクの転売禁止に乗り出してくださいました。購入したマスクを取得価格以上で不特定多数に転売すると違法になる。違反者は一年以下の懲役又は百万円以下の罰金。罰則を盛り込んだことで一定の転売抑制効果があると思っております。この効果について、まずお伺いをしたいと思っております。

 しかし、マスクの供給、やはり中国からの輸入に多く頼っていたという面もあり、この転売を禁止したというだけでは需要に供給が全く追いついていない現状であります。品不足から価格が上昇していくという兆しもあります。

 国内メーカーは二十四時間体制で通常の三倍のマスクを今生産をされております。安倍総理も、三月は六億枚のマスクを供給するということをおっしゃっています。更に増産するとも伺っております。しかし、なかなか、一枚もマスクが手に入らない、こういう方が大半です。

 また、休校ですけれども、今開いている保育所、学童、医療機関、高齢者施設、こういうところに優先をしていくということも当然であります。高齢者、持病のある家族がいる一般家庭など、必要なところに必要な枚数が行き渡るようにしていかなければならないと思っております。

 現実にマスクがいつ出回るのか、いつ手に入るのか、このめどを示していくということが、国民にとって安心な情報となります。

 御存じのように、台湾では、販売している薬局、在庫状況を示すマスクマップ、アプリなどを活用して混乱の回避を行っております。また、医療現場でも、N95のマスクを始め普通のマスクも不足をしております。いつになったら消費者が朝から並ばずにマスクを買えるのか、このめどについて、厚労省、消費者庁、両省にお伺いをいたします。

○椿政府参考人 お答えいたします。

 マスクについては、三月中にはマスクの生産にかかわる企業への設備導入補助を行うとともに、諸外国の輸入の回復に官民連携して取り組み、委員御指摘のとおり、月間六億枚のマスクを確保したところでございます。

 このように供給量を増加させてはいるものの、一般用マスクについては、現時点では供給が追いつかず、店頭には十分な量が並んでいない状況でございます。十分な量のマスクが店頭に並ぶまでには、なお一定の時間を要するものと考えておりますが、さらなる生産の増強や、マスクの適正販売、購入の働きかけを行うとともに、感染拡大防止の観点から、必要性の高い施設にしっかりと供給を確保してまいりたいと考えております。

 具体的には、四月以降も、月六億枚にとどまらず、さらなる供給量の確保に取り組むとともに、マスクの高額転売禁止を継続し、マスクの効能や代用品の活用の周知といった需要面での働きかけを行うなど、需給両面から、関係省庁と連携し、取組を進めてまいります。

○高島政府参考人 消費者庁からもお答えを申し上げます。

 必要な方が必要な物資を確保できることが重要だというふうに考えておりますので、マスクにつきましては、消費者庁といたしましても、転売目的の購入は望ましくない旨の呼びかけや、デジタルプラットフォーマー各社への呼びかけを累次行ってきたところでございます。

 また、今も厚生労働省からもお話がございましたように、マスクの転売を禁止する政令も三月十五日に施行されておりますし、また、そのほか、食料品や生活必需品が必要な方に届くように、消費者に向けまして、正しい情報を見きわめ、デマに惑わされず、冷静な購買活動をお願いしますという呼びかけを行っているところでございます。

 引き続き、関係省庁や各機関と連携をいたしまして、国民が安心するような情報の発信など、迅速な取組を行っていきたいと考えております。

○古屋(範)委員 昨日、総理の方からも、国民にガーゼのマスクを届けるというような発表がございました。しっかり、国民が安心できるように、マスクの供給体制確保に全力を尽くしていただきたいと思います。

 次に、医療体制についてお伺いをしてまいります。

 昨日の専門家会議で、五都府県におきまして、感染者がふえて医療崩壊のおそれがある懸念を表明いたしました。病院の役割に応じて総力戦で医療を担う必要があるということを指摘をしております。死亡事例の発生をまずは最小限に食いとめていく、このために、地域ごとに病院の役割分担を明確化をして、重症者を優先的に治療していく医療体制の構築が急がれております。

 また、医療現場では、軽症状の人も入院対象のために、人工呼吸器また人工心肺装置など、必要な重症患者のケアに支障が出てしまうという事態もございます。

 私の地元神奈川では、クルーズ船の感染症患者を早くから一般病院で受け入れなければならなかったということもあり、こうした体制整備を急いでおります。神奈川では、神奈川モデルというのを発表しました。この経験を踏まえまして、増加が懸念される中等症の患者を集約する県独自の重点医療機関というものをしていく、そして、軽症、無症候の患者は、自宅、宿泊施設で経過観察をしていくということを立て分けて、体制整備を既に行っております。

 政府の方も、今後は、感染動向により、軽症、無症候の人を自宅療養に切りかえていく方針を表明をしております。

 十九日には、症状の軽重に応じて患者の受入れの検討をする調整本部の設置を都道府県に要請をして、コロナ患者を重点的に受け入れる医療機関の設置なども促しております。専門医を集約して治療に当たる体制整備を急いでおります。

 また、三月二十六日には、更に事務連絡を発出をされて、都道府県の体制整備とか、また広域連携などもこの中で促していらっしゃいます。

 特に、私も、相模原の医療関係者とも連携をとりながら、早くから、消毒液がない、防護服が不足をしている、マスクも不足している、このようなことを厚生労働省にも求めてまいりました。看護師も、なかなか、家族にまで風評被害が及ぶような状況の中で対応を行っていらっしゃいました。

 その中で、呼吸器の専門医もいない、感染症病棟もない普通の病院で、重症の患者、人工呼吸器をつけた方も、数種類の薬をカクテルにして投与をして、その人工呼吸器を無事取り外せたというような事例も伺っておりまして、医療関係者に敬意を表する次第でございます。

 爆発的な患者の急増、いわゆるオーバーシュートが起きないよう、流行をおくらせる対策と並行して、首都圏一円など、患者の搬送、受入れについて、県境を越えた連携のあり方を早急に構築していく必要があると思っております。また、軽症者が滞在できる施設も確保していかなければならないと思います。

 この件について、厚生労働省にお伺いをいたします。

○宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今、もう委員がかなり御指摘されたとおりでございますが、我が国で、感染症指定医療機関における空き病床数については、三月三十一日時点で、各都道府県から御報告いただいておりますが、感染症病床約二千床のうち一千床がまだあいているという状況、それから、そこの一般病床も十五万床ありますが、そのうち空き病床が二万四千床ということで、合計二万五千床を確保しているという状況でございます。これが直ちにすぐ全部というわけではないですけれども、そういう状況ですし、更に引き続き、必要な病床の確保に努めてまいりたいと考えております。

 この病床の確保の関係で、幾つかいろいろ通知とかを示させていただいておりますが、三月一日の通知におきましては、地域での感染拡大により、入院を要する患者が増大し、重症者や重症化するおそれが高い者に対する入院医療の提供に支障を来すと判断される場合には、更に一般の医療機関においても必要な病床を確保するとともに、高齢者や基礎疾患を有する方等のハイリスク者以外の方で、症状がない又は医学的に症状が軽い方には、検査の結果が陽性であっても、自宅で安静、療養を原則とするようにお示ししておりまして、なお、体制の移行に当たっては厚生労働省ともよく相談してくださいということとしております。

 また、委員からも御紹介がありましたが、三月十九日の専門家会議での提言の中でも、引き続き同じような指摘をいただいておりまして、入院治療の必要のない軽症者や無症状者の陽性者は自宅療養とし健康状態を把握すること、これらの自宅療養をする方が高齢者や基礎疾患がある方と同居していて家族内感染のおそれが高い場合は、症状が軽い陽性者等が宿泊施設等での療養を行うなど、接触の機会を減らす方策を検討することということが示されております。

 また、広域調整の関係でも委員から御指摘がございましたが、三月二十六日に事務連絡を出させていただいておりまして、都道府県域を超えた患者受入れの調整を行うために、各都道府県の調整本部に広域調整担当者を配置して、その方が中心となって隣県との広域搬送の調整をしてくださいということとか、あるいは、都道府県域を超えて広域調整を行うに当たっては、厚生労働省としても、各都道府県の調整本部への職員の派遣も含めて必要に応じた支援を行う予定である旨もお示しさせていただいております。

 これらの取組によりまして、引き続き、各都道府県や関係団体とも協力、連携して、適切な医療体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 時間が参りましたので、医療体制の構築を求めまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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