第201回国会 衆議院 環境委員会-3号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 冒頭、私からも、新型コロナウイルス関連、一問質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 連日、新型コロナウイルス感染症患者が増大をする中で、安倍総理は本日にも新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令されるという方針を示されております。この新型コロナウイルスのオーバーシュートへの危機感が大変高まっております。感染拡大が更に加速すれば、イタリアまたスペインのような医療崩壊を招きかねないという、ぎりぎりのところに来ていると思います。

 私の地元、神奈川なんですけれども、クルーズ船の問題がありましたので、早くから一般病院でこの新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れておりました。専用の病床もない、また呼吸器の専門医もいない、そういう中で重症患者を受け入れて懸命な治療が行われておりました。防護服もマスクも足りないという中で、重症患者で人工呼吸器を装着したその方々に複数の薬をカクテル療法で用いて、無事にその人工呼吸器を取り外すところまでいったというようなリポートも公開をされております。

 病床を、ある程度解消しないとなかなか受入れも難しい、そのような中で、私も、医療資材の不足とか病床の解消に対する予算措置、このようなものを、現場の県会議員と医療関係者の声を聞きながら、一つ一つ厚労省に対応を求めてきたところでございます。

 初めに、環境省における新型コロナウイルス関連の政策、主な取組についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 また、医療機関、検査機関から、この感染症の診断、治療、検査等に使用されたマスク、防護服など医療器材が感染症の廃棄物として排出をされております。感染した者に対する、防護服を着用せず診療した場合、医療従事者が感染するおそれがある、医療の提供ができなくなるということが想定をされます。こうした診療時防護服、マスク、不可欠なものでございます。

 この医療従事者を感染から守るためのこうした医療用廃棄物が山のように積まれているというのが現状でございます。こうした医療機関等から排出をされる感染症に係る廃棄物の適正処理、医療及び廃棄物処理従事者の感染予防に不可欠である、安全な、またそして安定的な廃棄物の適正処理がどのように行われているのかについて質問いたします。

 また、一般家庭からも、ティッシュであるとか鼻水やたんが付着したマスクなど、こういうものが一般廃棄物として排出をされます。この一般廃棄物処理について、国民の生活を維持するため不可欠なサービスであります。今後、感染症が拡大をしていく中で、ごみ収集と一般廃棄物の処理についてしっかり継続をしていくことが求められております。この点について答弁を求めます。

○奥田政府参考人 私の方から、まず、環境省の全般の取組についてお答えをしたいと思います。

 環境省においては、大臣を本部長とする環境省新型コロナウイルス感染症対策本部を設置しておりまして、大臣の御指示のもと、関係部局が一丸となって対応に当たっております。

 まず、環境省の所掌である廃棄物処理に関しましては、処理業者等が実施すべき感染防止策、若しくは、新型コロナウイルスに関連する感染性廃棄物等の適正処理に関する基準等々について周知を図るなど、廃棄物の適正処理の体制が維持されるよう対応してきております。

 また、多くの利用者がある新宿御苑につきましては、感染防止策を徹底した上で開放を行ってまいりました。ただ、都内の感染状況に鑑み、三月二十七日より当面の期間、閉園としております。このほか、国立公園のビジターセンター等の施設についても、地域の状況を踏まえ、同様に閉館等の対応をしております。

 さらに、環境省内部でも、環境省の主催のイベント、会議等に関しましては延期又はウエブ開催としているほか、出勤が必須となる業務以外は原則テレワークとするなど、感染防止策に取り組んでいるところでございます。

 なお、これらの取組に関しましては、公衆衛生学の専門家の先生をアドバイザーとして委嘱をしておりまして、御助言をいただいているところでございます。

 引き続き、大臣を中心に、しっかりと状況を注視しつつ、これらの取組を更に強化していきたい、そういうふうに考えております。

 残りの質問については、循環局長の方から。

○山本政府参考人 委員から御指摘ありました、特に医療体制の維持という観点も含めて、国民の生活、経済活動を支える不可欠なインフラだということで、適正処理を確実に維持する必要があると考えております。

 病院等から発生します感染性廃棄物につきましては、法令に基づく特別な処理基準、それから、それをしっかりやっていただくために感染性廃棄物処理マニュアルをつくっておりますので、それに基づいての適正処理を確保する。それから、新型コロナウイルスに係るそれ以外の廃棄物につきましても、廃棄物処理における新型インフルエンザ対策ガイドラインの内容に準拠して適正に処理するということで、地方自治体それから関係団体ということで、排出される事業者の方あるいは処理に当たる業者の方、それぞれに対して繰り返し周知をさせていただいております。

 また、そういった事柄が現場でしっかり浸透するように、あるいは住民の皆様方に御理解いただけるようにということで、先ほども御紹介したような、御家庭におけるごみの捨て方のチラシ、あるいは医療関係機関における感染性廃棄物を取り扱う際の留意点のチラシなども作成して、あわせて周知活動をしてございます。

 それから、先ほども申し上げましたように、廃棄物の処理の現場で必要となるマスク等の防護具につきましては、関係団体からの要望を随時受けておりまして、それを関係省庁と連携して確保に努めているというところでございます。

 日々状況が変わるということもありますので、緊密に関係者と連携を日々とっておりまして、そういった事柄に基づいて迅速に対応していくように、引き続き、危機感を持って対応してまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 緊急事態が発令をされるという中ですけれども、国民の日常の衛生的な環境を維持をして、また健康、生活を守るために、医療廃棄物また一般廃棄物、ごみ処理等、この継続に万全を期していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、河川のマイクロプラスチック実態調査についてお伺いをしてまいります。

 公明党は、全国で約三千名の議員がいるんですが、その中で女性議員が九百名以上おります。その女性議員で、全国で多様な声を聞いていこうということで、ウイメンズトークという運動を行っております。二月の初め、公明党の山梨県の女性局でこのウイメンズトークを開催いたしました。マイクロプラスチック汚染の課題と対策ということで、学識経験者またNPO団体などからも御意見を伺いました。

 その中で、認定NPO法人スペースふうというところの永井寛子理事長のお話を伺いました。ここは、さまざまなイベントで、使い捨て食器を使うのではなく、リユースの食器を使うという活動を進めているところであります。

 今、さまざま食に関するイベントというのが全国各地で開かれております。それが終わりますと、大量の使い捨ての食器が出てきてしまうというのが現状です。少なくとも、地方自治体などが主催したり後援したりするような食のイベントであれば、そうした使い捨て食器を使わずに、リユースのものを使っていくようにすべきではないかというふうに考えます。

 この永井理事長の活動もありまして、山梨県の富士川町というところでは、条例もつくりまして、こうしたリユース食器を使う利用者は無料で使用できるというような取組を進めております。

 また、帝京大学、仲山英之教授からは、県内の各河川でのマイクロプラスチックの調査報告をいただきました。

 御存じのように、マイクロプラスチック、環境中に放出されると回収が不可能でいつまでも残り、有害物質を吸着して消化器系に入り込む可能性があるということです。調査をした河川のごみは、食品の包装袋、また硬質のプラスチック、発泡スチロールなどが六〇%以上を占めていた、河川では、洗濯などによるマイクロプラスチックの繊維物質が非常に多かったという結果報告をいただきました。海洋汚染問題というのは今クローズアップされているんですが、河川のマイクロプラスチック汚染の調査というのは余り全国的には行われておりません。今後この調査を進めていくべきだとの提言をいただきました。

 二〇一八年、原田環境大臣のときなんですが、こうした河川水中のマイクロプラスチックについて、その実態を把握するための調査を実施を予定しているというような会見がございました。マイクロプラスチックが海に流入する前に河川でどう食いとめるかということが重要だと思っております。当時の環境大臣が海洋プラスチック汚染の中で特に問題視をされているこのマイクロプラスチックの実態調査について、国として初めて国内の川でも調査することを明らかにされているんですが、その後の取組について環境省にお伺いをいたします。

○小野政府参考人 お答えいたします。

 マイクロプラスチックの問題、非常に重要であると考えております。

 先ほど委員から御指摘ございました、マイクロプラスチックの河川における分布実態等に関する調査でございますけれども、世界的に見てもまだ標準的な調査手法が確立していないという状況でございます。

 このため、環境省におきましては、まず、河川におけるマイクロプラスチックの分布状況を的確に把握するための採取の方法、それから分析の方法等の検討、整理を行うことを目的といたしまして、先ほど委員からもございましたが、二〇一八年度末から実態把握も兼ねた形で調査を実施しているところでございます。

 具体的には、東京湾に流入する多摩川、鶴見川、荒川等の河川を対象にいたしましてマイクロプラスチックの分布実態の調査を行っております。また、採取、分析方法については、採取するときの、例えばネットの形状とか網の目の細かさとか、あるいは前処理のときのやり方、さらに、マイクロプラスチックを例えば顕微鏡なんかを使って判別する必要がございます、そういった判別の方法とか成分の測定の方法などの検討を行ってございます。

 環境省といたしましては、これまでの調査結果から得られた知見等を踏まえまして、今年度中を目途にいたしまして河川におけるマイクロプラスチックの分布実態の調査マニュアルを作成する予定でございます。その後、これに基づく分布実態の把握を行う、さらに、海洋へのマイクロプラスチックの流入削減に向けた効果的な対策の検討についても進めてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 環境省では、今年度中にこのマニュアルを策定をされて把握を進めていくということでございます。やはり、海に着目をするわけですけれども、そのもとである河川の汚染についてしっかり取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、石炭火力について質問をしてまいります。

 本年、通常国会の冒頭、公明党の斉藤幹事長も代表質問の中で、地球温暖化対策として石炭火力発電の新増設を禁止する対策が必要だということを申し述べております。

 四月一日、世界から厳しい視線が向けられております日本の石炭火力発電をめぐる輸出政策の見直しに向けて環境省としても本格的な議論が始まったと承知をしております。関係省庁の議論を進める上で、議論のベースとなる客観的な事実を整理するために、有識者を交えたファクト検討会の初会合が持たれました。

 これは、小泉環境大臣が環境省内で記者会見を開いて、火力発電所の輸出要件の見直しに向けて省内で検討会を立ち上げるという表明を実現したものと思います。ぜひ、国際社会からも非難を浴びている石炭火力につきまして、輸出の要件を厳しくする方向で関係省庁と議論を進めていただきたいと思います。脱炭素社会の実現のために日本のエネルギー政策をどうするのか、関係省庁の立場を超えて議論が進めていかれるよう、小泉大臣のリーダーシップを大いに期待しているところでございます。

 関係省庁で議論できるようになったことは、脱炭素化に向けて非常に大きな意義があります。パリ協定の目標達成に向けて、気候危機の回避に向けた議論をぜひ尽くしていただきたいと思います。大臣の御所見を伺います。

○小泉国務大臣 古屋先生から御質問いただきました、石炭火力の輸出の四要件の見直しに関する議論をする有識者によるファクト検討会、これは四月の一日に第一回を開催をしました。

 このファクト検討会という名前に込めた思いは、やはりそれぞれ、関係省庁、さまざまな思い、立場があります。それがなかなか調整するのが難しいからこそ今までこれだけ、今のままでCOPのような場に行くと批判を浴びるというような、そういうことが続いていたんだと思います。

 じゃ、いかに関係省庁が同じテーブルに着いて、立場を超えて前向きな建設的な議論ができるか、どうしたらいいかと考えたときに、やはりそれはファクトベースの議論をしっかりやることであろう、そういった思いに至りました。

 ですので、今回、有識者の先生方にも入っていただいていますし、一回目には大変有益なデータなども提供していただきました。そういったことを通じて、立場を超えて、関係者が、関係省庁が、このファクトに基づいた国際社会の今の状況、そして技術的なこと、さまざまな観点から思いを乗り越えた議論ができる土台をつくる。そして、六月をめどに、輸出の、インフラ輸出戦略の骨子を策定することになっていますが、そこに対して前向きな形につながるようにこのファクト検討会を動かしてまいりたいと思っております。

○古屋(範)委員 脱炭素社会に向けて、小泉大臣の強力なリーダーシップを期待しております。頑張っていただきたいと思います。

 時間がなくなってまいりました。最後に二問、まとめてお伺いをしたいと思います。

 二月の初めに、私は開所前の福島水素エネルギー研究フィールドに行ってまいりました。

 ここは、施設内にある約六万八千枚の太陽光パネルの発電した電力を使って、水を電気分解して水素ガスを発生させるという製造方法をとっております。この製造技術、パワー・ツー・ガスと呼ばれて、世界的にも非常に注目をされている施設でございます。年間で最大九百トン規模の水素を製造できるということで、延期になりましたけれども、オリンピックのトーチであるとか、あるいは、選手村からの選手の輸送にFCVを活用していくということになっております。

 まず、経済産業省の方に、二〇一七年に決定をされました水素基本戦略、これについて、その意義、重要性、利用促進についてお伺いをしたいと思います。

 また、引き続き、石原副大臣に、こうした水素の活用ということにつきまして、例えば、既にアメリカのロサンゼルスでは、港湾では、FCVのトラックのみ走らせるというような取組が始まっておりますし、また、セブンイレブンでは、FC小型トラックを実証実験として既に走らせるというような取組も進められているというふうに聞いております。

 本当にクリーンなエネルギーであるこの水素社会形成の推進についてお伺いします。

○鷲尾委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。

○松山政府参考人 お答え申し上げます。

 日本が脱炭素化社会を実現していく上では、現在の技術を超えた非連続なイノベーションが不可欠だと考えておりまして、水素はその非常に大きなポテンシャルを持った技術の一つだと考えてございます。

 委員御指摘の水素基本戦略、二〇一七年の十二月に世界に先駆けてつくった国家戦略でございますが、水素、燃料電池の製造から輸送そして利用のところまで、さまざまな面についての技術のロードマップ、これから取り組むべき課題と方向性を示したものでございます。

 現在、これに基づきまして、燃料電池及び水素の利用に関しまして、例えば、燃料電池車の導入補助、水素ステーションに対する補助、技術開発、規制改革などに取り組んでいるところでございますし、委員にも御視察いただきましたが、福島県浪江町におきまして、再エネを活用しました水素製造の実証プロジェクトにも取り組んでいるところでございます。

 引き続き、しっかりとした水素社会実現のための取組を進めてまいりたいと考えてございます。

○石原副大臣 お答え申し上げます。

 脱炭素社会実現のためには、再エネ主力電源化には、再エネの大規模導入とあわせてエネルギーをためることが必要であり、委員指摘のとおり、水素を利用してエネルギーをためる、いわゆる再エネ由来水素の利活用が切り札というふうに期待しております。

 再エネ由来水素は、環境省の事業により、つくり、使うことは実証ができました。ただ、現状ではコストが高いことが課題になっておりまして、本年一月に策定した革新的環境イノベーション戦略においても、この再エネ由来水素等の低コスト化の目標の一つとして位置づけているところでありますけれども、脱炭素社会実現のために、この水素の利用にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。

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