第203回国会 衆議院 文部科学委員会-4号

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、東京オリパラへの感染症対策について、まず橋本担当大臣にお伺いをしてまいります。

 十六日、菅総理は、来日中の国際オリンピック委員会、IOCのバッハ会長と会談をされました。大臣もお会いになったと伺っております。来年夏のオリパラ開催予定を確認した、そして、欧米や日本国内で新型コロナウイルスの感染が再拡大をしているわけですけれども、感染対策を徹底して大会を実現するということが確認されました。

 会談後、記者団に対して菅総理は、観客の参加を想定したさまざまな検討を進めているという趣旨のお話をされたと伺っております。IOCのトーマス・バッハ会長は記者会見で、新型コロナウイルス対策として、参加する選手のワクチン接種費用をIOCが負担するという意向を表明されております。

 一方で、今、製薬会社各社が新型コロナウイルスの予防ワクチンの開発を進めておりまして、それも大詰めを迎えていると承知をいたしております。

 この実用化が進んでいけば、今株価も上がっているようですけれども、経済の活性化にもつながるということで、期待は大きいものがございます。効き目、効果と安全性にさらなる検証を加えまして、今後は輸送また接種の体制を整備していくということも急務であると思っております。

 まず初めに、この新型コロナウイルスワクチンにつきまして、アスリートそれから大会運営スタッフ、ボランティア、報道関係者等への接種のあり方についてどのようなお考えを持っていらっしゃるか、御見解を伺います。

橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の世界的な制圧に向けてワクチンが果たす役割は大変大きなものであると理解しておりますが、先日来日されたバッハ会長は、ワクチン接種を大会参加の条件にはしないというふうに述べております。

 今後、アスリートそして関係者、関係には、コーチや監督やスタッフといった選手団と、そしてメディアの関係の方もいらっしゃいますし、あるいは大会に来られる観客の方もいらっしゃるというふうに思いますけれども、政府といたしましては、引き続きIOCや大会組織委員会、東京都などと緊密に連携して、安心、安全な大会実現のために、このワクチンに関してもどのように準備をしていくべきかということをしっかりと今調整会議の中で議論をしているところであります。

古屋(範)委員 ぜひ、安全な競技の環境を整えて、また、国民も安心できるような体制をつくっていただきたいと思っております。

 続きまして、この新型コロナウイルスワクチン以外のワクチンについて伺ってまいります。

 この新型コロナウイルスのワクチン以外にも、スポーツを行う場なので、感染症が拡大をするというものがございます。その一つが、侵襲性の髄膜炎菌感染症、IMDであります。

 この侵襲性の髄膜炎菌感染症といいますのは、髄膜炎菌が原因で起こる感染症で、この菌は、健康な人の鼻や喉、粘膜などにも存在をして、人から人にうつる、鼻や喉、気管などの粘膜に感染をしていきます。さらに、これが血液また髄液に侵入して全身に広がると、敗血症、また菌血症、髄膜炎、髄膜脳炎などを引き起こします。この進行はとても早くて、重症化をして死に至ることもありまして、注意が必要です。

 このIMD、日本においては発症数が少なくて、医療関係者でも認知度が極めて低いのが現状です。しかし、世界に目を向けますと、年間五十万人が発症いたしまして、うち約五万人が死亡しております。欧米においても、大学、寮、スポーツイベントなどでアウトブレークが発生をしております。昨年開催されたラグビーワールドカップでも、来日したオーストラリア在住の男性がこのIMDを発症しております。これに関してもぜひ感染予防を講じておく必要があるのではないかと思います。

 また、風疹も五年ごとの流行というのが抑制できていません。また、麻疹も今制圧はできておりません。接種率が低くなる中で、WHOも接種を呼びかけております。また、B型肝炎も、血液、汗を介して感染するリスクがありまして、これも、海外の専門家は、過去のオリンピックに際して接種を強く推奨しているところでございます。

 来年のオリパラに向けまして、髄膜炎菌ワクチンをぜひ、アスリート、大会運営スタッフ、またボランティアへ無料接種、また国民への注意喚起を行う必要があると思います。また、麻疹、風疹など予防接種の推進について、大臣の御見解をお伺いいたします。

橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 アスリートや大会関係者における感染症対策については、大会組織委員会において、侵襲性髄膜炎菌感染症、B型肝炎等も含めて、それぞれの感染症のリスクに応じて必要な対策が講じられているものと承知しております。

 具体的には、例えば風疹、麻疹については、昨年八月に策定した二〇二〇年東京オリパラ競技大会に向けた感染症対策に関する推進計画に基づきまして、我が国の大会関係者等に対する予防接種の取組など、感染リスクを低下させるための特別な対策を講じているところであります。

 引き続き、政府として、IOC、大会組織委員会、東京都など、緊密に連携して、しっかりとした安心、安全な大会の実現に向けて準備をしてまいります。

古屋(範)委員 新型コロナウイルス感染症、これも最大の課題でありますけれども、そのほかこうした、それ以外の感染症についてもしっかり体制をつくっていただきたいと思っております。

 この髄膜炎菌感染症につきまして、国内でもアウトブレークの事例がございます。余り知られていないかもしれないんですが、二〇一一年五月、宮崎県の高校で集団感染が発生いたしまして、寮生一人が死亡しております。また、二〇一三年、三重県の全寮制高校の校内で髄膜炎菌性髄膜炎が感染を拡大をいたしました。また、二〇一七年、神奈川県内の全寮制の学校で発生したIMDに関しましては、十代の男子学生が死亡しているという案件がございます。学校関係者、濃厚接触者が四十二名いた中で保菌者が十名おりました。ですので、こうした髄膜炎菌の感染症、国内でもこうした感染の拡大が確認をされているところでございます。

 学校保健安全法の中には、学校において予防を努める感染症について、髄膜炎菌性髄膜炎が第二種の感染症と指定をされております。

 この髄膜炎の感染症、発生が少ないので認知度が低いわけなんですね。しかし、発生した場合、治療を行わないと致死率がほぼ一〇〇%に達するという重大性を考えますと、特に寮生、また児童生徒、学生等へ疾患について知らせておく必要があるのではないかと思います。

 これから学校におきまして周知啓発が重要と考えます。鰐淵文部科学大臣政務官に答弁を求めたいと思います。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。

 髄膜炎菌感染症は、集団生活で感染しやすく、先ほど古屋委員からも御紹介いただきましたが、過去に十代の死亡例も出ている感染症であり、学校において予防すべき感染症として、学校保健安全法上に規定をされております。

 文部科学省では、髄膜炎菌感染症を含めた、学校において予防すべき感染症の解説のための冊子を作成し、全国の教育委員会等の関係者が集まる会議の場で周知徹底を行っているところでございます。

 また、先ほど委員の方からも御指摘がございました学生寮等における感染症対策につきましては、国内の学生寮において新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生しましたことを踏まえまして、文部科学省が作成しております衛生管理マニュアル、これを本年九月に大幅に充実をしたところでございまして、引き続き、こうした内容を学校現場にしっかりと周知徹底を図ってまいりたいと思っております。

 また、来年度は、オリンピック、パラリンピックの開催に伴いまして、訪日外国人の増加などが見込まれることから、関係省庁ともしっかりと連携をとりながら、感染症対策に引き続き全力で取り組んでまいります。

古屋(範)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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