第203回国会 衆議院 消費者問題に関する特別委員会-3号

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑を行ってまいります。

 初めに、NTTドコモの電子決済サービス、ドコモ口座に端を発しました預貯金口座からの不正出金被害の現状について、お伺いをしてまいります。

 過去に知らずに不正なドコモ口座をつくられてしまって、自分の銀行預金がひそかに抜き取られていることに気づいていないという預金者が少なくありません。突出して被害が多いのが、ゆうちょ銀行であります。ドコモを含め七種類のキャッシュレス決済サービスでの不正引き出し、最も古い被害は二〇一七年七月でありまして、三年以上前から断続的に被害が出ていたことになる。被害が多い理由というのは、安全対策に不備があったのではないかと思います。ドコモの場合はメールアドレスだけで架空名義の口座登録ができてしまい、そこに、ゆうちょ銀行など甘い金融機関のセキュリティーが重なって不正が拡大をしました。

 被害が確認されていないメガバンクでは、決済サービスと預金口座の連携時に携帯電話のショートメッセージサービスなどを使った二段階の認証を導入しています。預金口座から入金する際も一時的に有効なパスワードを発行するなどの対策をとっています。

 銀行等、キャッシュレス事業者は、安全上の懸念があるサービスは金融庁の要請で一時とめておりまして、被害が更に広がるリスクは少ないということであります。

 まず、金融庁に、二〇一九年にセブンペイなど決済サービスで不正が相次いだことを受けまして、キャッシュレス事業者への立入検査などを進めてこられたと認識をしております。今回、十分な検査を終えないうちに不正が発覚をいたしました。手間をかけない、利便性と安全性の向上は相反するわけですけれども、利用者が安心してできる環境を整備する必要があると思います。初めに、キャッシュレス決済サービスとひもづいた銀行口座から不正に預金が引き出された被害の現状、金融庁の対応について伺います。

 続きまして、今回の決済トラブルに便乗して、事業者を装って、被害に遭った人に補償するといっていわば二重の詐欺被害を行っている者がおります。キャッシュカードの暗証番号を聞き出すというケースがあると聞いております。消費者庁に、こうしたケースに対しての対策について、まずお伺いをしたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 NTTドコモによりますと、ドコモ口座に係る被害は、昨年十月から本年九月にかけまして、百二十八件、二千八百八十五万円発生してございます。また、NTTドコモ以外の複数の資金移動業者においても被害が発生しているところでございます。

 これを受けまして、現在、銀行や資金移動業者に対しましては、金融庁から、銀行による認証の強化、資金移動業者による本人確認の強化等の不正対策の実施及びそれまでの間の口座連携の停止、補償方針の策定と実施、利用者相談への真摯な対応などを求めているところでございます。

 金融庁といたしましては、引き続き各事業者にこうした対応を促すとともに、必要な内容につきましては、今後、監督指針等に盛り込むことを検討してまいりたいと考えております。

 また、広く国民の皆様に対しましても、消費者庁、警察庁とも連携した上で、銀行口座からの不正な出金やこうした事案に便乗した詐欺につきまして注意喚起を行っているところでございます。

坂田政府参考人 二次被害への対応についての御指摘についてお答え申し上げます。

 消費者庁といたしましては、金融庁などと連携し、今回の事案に便乗した詐欺に関する注意を呼びかける注意喚起資料を作成、公表したほか、あなたも被害に遭ったと警察官を装ってキャッシュカードの暗証番号を聞き出そうとする不審電話などを念頭に、キャッシュカードの暗証番号や口座情報の管理に注意が必要であること、また、身に覚えのない取引がないかの確認を求める金融機関に成り済まして暗証番号やパスワードを教えてほしいなどと依頼するメール等に注意が必要であることなどにつきまして、SNS等により呼びかけをしてきたところでございます。

 今後も引き続き、金融庁等と連携いたしまして、消費者被害の防止に取り組んでまいります。

古屋(範)委員 こうした被害に遭った方々に適切、迅速な対応を徹底していただきたいと思っております。また、再発予防に全力を挙げていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、定期購入に関するトラブルについてお伺いをしてまいります。

 定期購入に関する消費者相談につきましては、例えば、初回限定とかお試し価格というような広告を見て一回だけのつもりで商品を購入したところ、いつの間にか定期購入で毎月商品が送られてくる、支払いをしなければいけない、このような相談件数がふえております。

 令和二年度消費者白書によりますと、二〇一八年定期購入に関する消費者生活相談件数は二万一千九百七十七件、二〇一九年になりますと四万四千三百七十件に、約二倍に増加をしております。二〇一五年が四千百四十一件ですので、ほぼ十倍に増加をしているということが報告をされております。

 商品別に見ますと、健康食品に関するものが最も多くて六〇・三%、化粧品に関するものが三九%ということで、相談の九割がインターネット販売によるものであります。お試しのつもりが定期購入になっていたケースとか、解約をしたいんだけれども事業者に連絡がとれないなどの相談が寄せられております。

 トラブルの特徴は、複数の購入回数を契約の条件としている、一回限りの販売と見せかけておいて実は最低何回購入しないとそれは販売しないということになっております。いつでも解約できるといいながら、解約しようとすると通常価格の支払いを求めてくる、また、解約をしようとすると電話がつながらない、解約できなかった、このような相談が寄せられております。

 まず、これは定期購入が条件であるという契約内容がわかりにくくなっております。スクロールで長文あるいはとても小さな文字でその条件が書かれていて、消費者が認識しないまま注文してしまう、あるいは、解約条件の表示がわかりにくい、解約の手続が困難である、このようなことが指摘をされております。

 また、サブスクリプション、サブスクでも同様の問題が発生をしていると思います。毎月決まった金額を払って、決められた範囲内でのサービスということで、非常に気軽に、使いたい放題ということで使う方が多いサービスです。この解約に関する相談がやはり後を絶たないんですね。

 サブスク関連を中心とした例えば動画配信サービスに関する相談件数は、二〇一〇年度が二百十五件だったにもかかわらず、二〇一九年には千七百七十件に増加をしております。二〇二〇年九月中旬までで、もう千五百件を超えております。

 こうした、インターネットで、まあ、私も活用するので、ボタンをクリックすると簡単に注文ができます。特に若者はスマホを使う機会が多くて、被害の増加が懸念をされております。

 この定期購入等に関するトラブルの現状、また問題点について、消費者庁の認識をお伺いいたします。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 相談件数でございますけれども、委員御指摘のとおり、国民生活センターで受け付けた消費生活相談のうち、定期購入に関する相談件数について、昨年の相談件数は約四万四千件となっておりまして、二〇一五年の相談件数から約十倍となるなど、近年急激に増加しているところでございます。また、この約四万四千件の定期購入に関する相談のうち、九割以上がインターネット通販によるものとなっております。

 定期購入に関するトラブルの例として、消費者が一回限りの購入と思って購入したところ、知らない間に定期購入になっているなど、消費者が定期購入であることが容易に認識できないような広告を表示する、定期購入であることはわかるようになっているけれども、いつでも解約可能と称して契約を締結させ、解除には応じなかったり、解除のためのハードルを意図的に上げたりするといった手口が見られるところでございます。これも委員御指摘のとおりでございます。

 このように、詐欺的な定期購入商法による消費者トラブルが多発している現状を踏まえまして、消費者庁においても、この一年間において、定期購入に関連する表示について特定商取引法に違反する行為を行っていた四事業者に対して行政処分を行うなど、監視を強化しているところでございます。

古屋(範)委員 消費者庁におかれましても、四事業者、行政処分ということで対応されているところだとは思います。しかし、非常に多くの方がこういう相談を寄せられているということ、これは看過できないと思っております。

 このネット通販トラブルというのは、よくネットを活用する若者だけではなくて、今、もう高齢者の間にも広がっております。

 国民生活センターの相談データによりますと、六十歳以上、二〇一九年度で約二万五千八百件ですので、二〇一〇年度の十五倍になっております。五十九歳以下が六倍弱ということと比較いたしますと、六十歳以上の相談が急増しているという現状が見てとれます。

 なれない画面で誤作動をしてしまう、そういうトラブルもあるのかなと思います。ネット操作にふなれな高齢者が相対的に多いと思います。決済後も購入ボタンを何度も押してしまう過剰に注文する事例であるとか、一回のつもりが定期購入になっているというような相談がふえています。確認表示とか注意書きが小さな字で書いてあると、高齢者には気づきにくいというようなことも原因の一つになっているかというふうに思います。また、キャンセルしたくてもネット上でしか手続できない、となると、そこで難しくて断念してしまう。

 もう一つは、認知機能の低下ということもあると思います。認知症になって、同じ商品を何度も買ってしまう人がいる。直前の行動も忘れる傾向が強いアルツハイマー型などはリスクが高い。手軽に買えるネット画面でのデザイン、過剰購入を招くという有識者の指摘もございます。認知機能が衰えると、画面を見る視線が散漫になったり偏ったりすることもあるようです。

 今後、認知症の人がもっとふえていくということを考えますと、深刻な社会問題になり得る可能性があります。高齢者を狙った悪質商法等の中で、特定商取引法で規制している過剰販売等については、これまでも行政処分が行われてきたところでありますけれども、立証に時間がかかることが多いということが指摘をされています。現状で、高齢者への過剰販売の規制がまだ未整備と言わざるを得ません。

 高齢者を守る対策、被害の拡大を迅速に防ぐための対策をしっかりとっていただきたいと思います。消費者庁の考えを伺いたいと思います。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 インターネット通販等の利用者は拡大しており、インターネット通販による高齢者の消費者トラブルの防止は重要な政策課題と認識をしております。

 認知症等の高齢者においては、消費者トラブルに遭っているという認識自体が低く、みずから声を上げてSOSを発信することが難しい場合もあることから、認知症等の高齢者の消費者トラブル防止には周囲の方々の見守りや気づきが大切であり、消費者庁では、インターネット通販等のトラブルや高齢者の見守りに関する注意点に関する情報を随時公表しているほか、地域におけるいわゆる見守りネットワークの設置を推進し、高齢者等の配慮を要する消費者の見守りを強化しているところでございます。

 インターネット通販になれない高齢者などの消費者が安心して消費活動を行えるよう、注意喚起や見守り活動の充実などの取組を引き続き進めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 高齢者で、買物弱者という言葉があるんですが、これはどちらかというと買物に行く移動手段がないということを今まで買物弱者というふうに呼んでいたのかと思いますけれども、ネット上においても高齢者は買物弱者であるということが言えるのではないかというふうに思います。ぜひ、高齢になってこうしたネット上での消費者被害に遭わない体制整備をお願いしたいというふうに思います。

 最後に、大臣に質問させていただきます。

 大臣、御就任おめでとうございます。

 新型コロナウイルス感染症防止の観点からも、今後もインターネット通販の利用増加というものが見込まれていくと思います。当然、時代とともに、実際にお店に行ったりして買うというよりも、ネットで購入をしていくということがもともとふえておりました。私も、議員になって十七年になるんですが、なかなか買物に行くことができず、食品はもう二十年以上、毎週ネットで購入をしております。それに加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大ということで、家から出たくない、買物に行くと、人混みを避けたいという思いから、やはりいろいろなものをもうネットで買おうという人が急増していると思います。

 この定期購入に関するトラブルにつきましては、これまでも、消費者庁、国民生活センターも注意喚起を行うなど対応されてきていると思います。これに適用される現行法としては、特定商取引法があると思います。また、そのほか、景品表示法、消費者契約法、現行法でも適用される法律はあるとは思います 大臣は、先日の委員会の所信の御発言の中で、悪質商法への対策の一層の強化のために、抜本的な制度改革への早急な具体策検討と、消費者の安全、安心の確保に必要な法的枠組み等の環境整備に関する検討を進める旨の御発言をされています。

 こうした詐欺的な定期購入に関するトラブルへの対応、デジタルプラットフォームを経由した取引等への対応について、消費者庁の制度の在り方に関する検討委員会が検討されて、この八月、報告書を取りまとめていらっしゃいます。

 そこで、現行法の厳正かつ適切な執行、これは当然なんですけれども、特定商取引法においては、消費者の意に反した契約の申込みの禁止、解約を妨害する行為の禁止とともに、通信販売の広告の表示義務の厳格化や表示方法の規制など、規制強化が必要であると考えます。この対策をぜひ打ち出していただきたいと思います。

 特定商取引法の見直しを含めて規制強化の必要性について、大臣の御所見を伺います。

井上国務大臣 古屋委員御指摘のとおり、今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて新たな日常が模索される中で、通信販売、特にインターネットを通じた通信販売の利用者が急増しております。このため、インターネット取引における消費者の安心、安全を確保することが重要と考えています。

 インターネット通販が関連することが多い詐欺的な定期購入商法に対しては、消費者被害の拡大防止を図る観点から、消費者庁としても、監視を強化し行政処分を行うとともに、消費者への注意喚起を行っております。しかし、引き続き消費者トラブルが多数発生している状況を踏まえ、特定商取引法の規制の重要性が高まっていると認識しております。

 本年八月に消費者庁において取りまとめられた有識者検討委員会の報告書でも、詐欺的な定期購入商法に対する規制強化の必要性が提言されております。具体的には、特定商取引法における顧客の意に反して通信販売に係る契約の申込みをさせようとする行為等に関する規制の強化、それに加えて、解約、解除を不当に妨害する行為の禁止や解約権等の民事ルールの創設などが提言されております。

 消費者庁では、この有識者の検討委員会の報告書も踏まえ、現在、具体的な制度設計を行っており、次期通常国会への法案提出を目指して、可能な限り早期に成案を得たいと考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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