第204回国会 衆議院 文部科学委員会-3号

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 今日はラストバッターですけれども、よろしくお願いいたします。

 まず、萩生田大臣に、新型コロナウイルス感染症の子供たちに対する影響についてお伺いをしてまいります。

 一斉休校から一年になるわけですけれども、昨年、首都圏を中心に、三か月に及ぶ、異例の長さでの長期休校がございました。再開後も、学校生活はやはり一変したと言えると思います。

 この新型コロナ感染症の子供の心身に与える影響につきまして、これは国立成育医療研究センターの調査でありますけれども、小学校四年から六年の一五%、中学生の二四%、高校生の三〇%に中等度以上のうつ症状が見られた、小学四年生以上の子供の六%が、ほとんど毎日、死んだ方がいい、又は自分を何らかの方法で傷つけようと思ったと回答するなど、不安、ストレスが深刻化していることがうかがえます。

 また、せんだって文部科学省からも発表になりましたけれども、子供の自殺者は最多となっております。昨年一年間に自殺をした小中学生と高校生合わせまして四百七十九人、前の年の一・四倍、過去最多となっております。

 学校別としては、小学生が前の年より八人増えて十四人、中学校が四十人増えて百三十六人、高校生が、九十二人も増えております、三百二十九人ということで、特に女子の増加率が高く、小学生の女子は三人から十人に増えているということで、高校生の女子は六十七人から百三十八人と二倍以上になっております。

 また、教育格差について、広がったかどうかという調査に関しましては、これは日本財団が行っております、二人に一人は感じると答えている。格差の原因では、家庭の経済力、学校の指導力、また本人の努力などが挙がっている。今後、教育格差は広がると思う人は五割、思わない人は一割という調査結果がございます。

 このコロナ禍で子供たちがどのようなダメージを受けているのか。親の失業、減収また家庭内のストレスなど、家庭の中で更に孤立している子供が増えているということが考えられます。

 この新型コロナウイルス感染症で深刻化する子供の心身、また学びへの影響について、大臣の御認識を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 先生御指摘のとおり、去年のちょうど今頃は、全国一斉休校が始まって間もない時期でございました。本当は春休みまで、新学期には正常化できるんじゃないかという期待の中で始まったんですが、その後、地域にもよりますけれども、三か月程度学校が開けないという状況が日本中で続くことになってしまいました。

 そのために、先生方も、大変な御負担をかけながら、その失われた時間を取り戻すべく大変な御努力をいただいたことはもう既に御承知のとおりでございまして、大方の学校が、言うならばカリキュラム上は何とか取り戻すことができた。

 しかし、先ほど他の委員とも、質疑でありましたけれども、実際には、教科書は予定どおりちゃんと最後まで行ったんだけれども、スピードを上げたり一日の補習時間が長かったりして、理解度はどうなんだという課題は当然あるわけですから、これはしっかりウォッチをしていかなきゃいけないなと思っております。

 また、心理面でも、やはりストレスを物すごく感じているお子さんが大勢いらっしゃるということは、今御指摘のデータなども含めて承知をしているところでございます。児童生徒の心理面や学習面への影響に対してしっかりと対応する必要があると考えております。

 このため、文科省においては、児童生徒の心のケアや福祉的な支援の充実に向け、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等について、自治体からの要望を踏まえつつ追加措置のための支援を行うとともに、各教育委員会に対して、養護教諭やスクールカウンセラー等による支援を行うこと、それから、今御議論ありましたように、子供たちの自殺が増えていますので、二十四時間子供SOSダイヤルなど相談窓口を周知することなど、児童生徒の心のケア等に十分配慮するように求めているところでございます。

 また、感染症対策を徹底しつつ、最大限子供たちの健やかな学びを保障するため、令和二年六月に取りまとめた「学びの保障」総合対策パッケージを踏まえ、加配教員や、学習指導員等の追加配置や、ICT環境の整備等に必要な人的、物的支援を進めてきたところでございます。

 今年も、中学校は、大体公立は来週ぐらいが卒業式、小学校が再来週ぐらいということなので、一都三県においては緊急事態宣言下での卒業式になるかもしれませんが、逆に、この一年間でいろんな知見を積み上げてきて、いろんな工夫をすれば感染拡大防止を、しっかりケアしながら行事を行うことも可能だと思いますので、昨年と今年では違うんだということを学校現場とも共有しながら、子供たちに寄り添って、引き続きしっかりとした対応をしてまいりたいと思っています。

古屋(範)委員 文部科学省においては様々な施策を講じてくださっているというふうに思いますけれども、大切な子供たちに対する心のケアであるとか学びの確保、きめ細やかな支援をお願いしたいというふうに思います。

 さらに、具体的な課題について質問してまいります。

 不登校についてお伺いをしてまいります。

 不登校の児童生徒数は、二〇一八年度が全国で約十六万五千人、一九年度は約十八万人と増加傾向にあります。中学校に関しては二十五人に一人という、一つの学級に不登校の生徒がいるのが当たり前というような状況が起こっております。中でも宮城県は、小中学校における千人当たりの不登校の児童生徒数が二十四・〇ということで、全国最多となっております。

 二〇一九年度、不登校が理由で小中学校を三十日以上欠席した児童生徒数は十八万一千二百七十二人、過去最多を更新しました。七年連続で増加をしておりまして、約十万人が九十日以上欠席をしていたということになります。不登校の原因としては、無気力、不安というのが最も多いんですね。それで、次は、いじめを除く友人関係、親子の関わり。

 学校などで指導を受けた結果、一九年度中に登校するようになった児童生徒は全体の二二・八%にとどまっております。

 都道府県の中で、千人当たりの不登校生徒の割合、中学生の一位がやはり宮城県なんですね。また、二位は高知県、三位が北海道という順番になっております。

 私たち公明党の女性委員会、九百五十人ほどの女性議員がいるんですが、昨年一年間も、ウイメンズトークといいまして、様々な境遇の方々から多様な意見を伺ってまいりました。この一月、宮城県本部でウイメンズトークを行いまして、そこで、フリースペースつなぎという活動をされている中村みちよ代表理事から、不登校、引きこもりに関するお話を伺う機会がございました。この中村代表理事は、二〇一三年から不登校の子供たちの居場所づくりをしていらっしゃいます。

 文部科学省における定義として、不登校については、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因、背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるため、年間三十日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたものとしています。

 結局、こうした不登校を続けていく、そして、九月に学校が始まる、あるいは四月から新学期がスタートをする、そのときと自殺者の増加というのは重なっております。不登校の問題というのは子供の命とも関わるような深刻な問題だと思っております。

 一七年十二月に、国は、フリースクールや夜間中学など多様な学びの場づくりを進める教育機会確保法を制定しました。これは、不登校の子供たちの教育の機会を十分に保障しますという法律であります。この教育機会確保法の制定、またその後、文部科学省の通知で、不登校は問題ではないとされたんですけれども、まだまだ不登校は悪いものだという認識が抜け切れていないのではないか、選択肢が整備されていないのが現状ではないかと思っております。

 学校もなかなか休むことができないとか、親の許可がなければもちろん転校もできませんし、学校はやめることができない。子供はぎりぎりまで学校に行こうとする、親も頑張って子供を行かせようとする。行けなくなったとき、もうそのときは、子供にとって既にぎりぎりの状態ということになります。こうした不登校の現状について御見解を伺いたいと思っております。

 また、ICTを使った教育の機会づくりというようなことも今進められていると思いますけれども、まだなかなか十分ではないというふうなことが言われております。

 この点に関して、鰐淵政務官に質問いたします。よろしくお願いいたします。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。

 まず、不登校の増加の現状でございますが、令和元年度の義務教育段階における不登校児童生徒数は十八万一千二百七十二人と、七年連続で増加をしており、文部科学省としましても憂慮すべき大きな課題であると認識をしております。

 また、委員の方から御指摘もございました教育機会確保法の趣旨等の周知の徹底につきましては、教育機会確保法の成立以降、通知の発出や会議等を通じまして、同法や同法に基づく基本方針の内容等につきまして周知を図ってきたところでございますが、令和元年五月の文部科学省の調査におきまして、法の成立後、教職員に対する研修を通じた法の趣旨等の周知徹底を行った教育委員会等が一六%にとどまっており、教員研修会等を通じた周知が十分でないと考えております。

 こうした状況を踏まえまして、文部科学省では、改めて令和元年十月に通知を発出するとともに、今年度より新たに、不登校児童生徒に対する支援推進事業を創設し、法の趣旨を踏まえた支援の推進に向け、不登校に関する教職員向けの研修会等の実施に対する支援を開始したところでございます。令和三年度予算案につきましても、更なる充実に向けた予算を盛り込んでおります。

 文部科学省としましては、引き続き、教育機会確保法や同法に基づく基本方針の考え方につきまして、あらゆる機会を捉えて周知徹底を図るとともに、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援を推進してまいります。

瀧本政府参考人 お答えいたします。

 不登校生徒のICTの活用について、数字等、私の方からお答えさせていただきたいと思います。

 学校に行きたくとも行くことができない不登校児童生徒に対し、ICTを活用した学習支援を行うなどにより、教育の機会を確保することは重要であると考えております。

 文部科学省としては、不登校児童生徒がICTを活用した学習活動を行った場合、一定の要件の下で、指導要録上の出席扱いとできることとしているところですが、令和元年度に出席扱いとなった件数は、御指摘のとおり、全国で六百八人と、必ずしも多くない状況でございます。この数字自体は前年度から倍増はしているものの、制度の活用促進が課題であるというふうに私どもは認識をしております。

このため、昨年九月には、出席扱いの制度の更なる利用促進のため、各教育委員会等に対し、好事例を周知するとともに、ICTを活用した学習支援やスクールカウンセラー等による相談支援の積極的な実施を依頼したところです。

 文部科学省としては、魅力ある学校づくりを推進するとともに、やむを得ず学校に登校することができない不登校児童生徒へのICTを活用した学習支援については、GIGAスクール構想によります一人一台端末も活用し、一層取組が円滑に行われるよう、出席扱いの制度の利用状況の分析も踏まえつつ、必要な対策を検討してまいります。

 以上でございます。

古屋(範)委員 こうした貴重な教育の場をつくっているフリースクールなんですけれども、利用料が月平均三万三千円と言われております。これに加えて車の送迎代などもかかりまして、親にとって大変経済的な負担が重くなっております。

 こういうことも含めまして、不登校児童生徒を受け入れて、成長、自立を促す、そういう役割を果たしているフリースクールに通う児童生徒への支援をもっと強化する必要があるのではないかと思います。

 これについての見解を伺いたいと思います。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 不登校児童生徒が、家庭の経済状況に関係なく、フリースクールや教育支援センターなど、学校以外の多様な場で社会的自立に向けて学習等に取り組むことができるよう、きめ細かな支援体制を整備することは重要なことと考えております。

 こうした認識の下で、文部科学省では、経済的に困窮した家庭の不登校児童生徒に対する経済的支援の在り方に関する調査研究というものを実施をしております。この事業の中では、フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒に対し、通所や体験活動に必要な費用を支援しながら、その効果の検証を進めているところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、こうした経済的支援が不登校児童生徒の社会的自立に与える効果の検証を進めてまいりたいと考えているところであります。

古屋(範)委員 最後の質問に参ります。

 文部科学省におかれましては、大学入試改革、英語の四技能評価と記述式についてはこれから検討するという見解を示されまして、夏にも政策の見直しを行う予定と承知をしております。

 こうした英語の検定だけではなくて、例えば、大学入試における外部検定試験の活用以外でも、商業高校であれば簿記検定、工業高校では情報処理検定など、高校の指導の下で資格の取得というものが強く推奨されております。この検定料の多くは私費の負担になっているのではないかと思われます。加えまして、基礎学力の確実な習得を図るために、学びの基礎診断という新たな仕組みが国主導の下で推進をされております。学校で実施するわけなんですけれども、生徒や保護者の私費に依存している側面が強いのではないかというふうに思っております。

 こうした、本来であれば公費で負担されることが望ましいと考えられる検定試験、特に低所得者の世帯の生徒については配慮が必要ではないかと思っております。具体的には、生活保護及び高校生の奨学給付金、こうした検定試験料を対象経費として扱うことについての見解をまず厚生労働省にお伺いをしたいと思います。

 そして、このような検定試験、模擬試験がどの程度使われていて、その中で私費負担、公費負担がどのようになっているのか実態調査を行うべきではないかと思います。これについて文部科学省の見解をお伺いいたします。

岩井政府参考人 御指摘の高校生の就職に必要な資格取得の検定費用につきましては、在学中の高等学校等での授業に関連のある資格試験を受ける場合、その資格を取得することが自立助長に効果があると認められる場合、在学中に卒業後の就職が内定し、内定先での就労に当たって資格取得が必要な場合に支給して差し支えないこととしております。

 このような取扱いにつきまして、福祉事務所に対し、通知等によりお示ししているところでございますが、必要に応じて全国会議等の場を通じて周知を図ってまいりたいと存じます。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、後段の高校生の学びの基礎診断でございますけれども、令和元年度には延べで約四百万人の高校生が受検をしておるものでございます。非常に多くの高校生が利用しているということで、文科省で認定をするに当たっては、経費のバランスを踏まえつつ、可能な限り低廉な受検料となるように、民間事業者に対して要請をしているところでございます。

 また、今後とも、この高校生のための学びの基礎診断の活用状況の実態把握を行い、できるだけ多くの生徒が受検しやすくなるよう、工夫、改善を行ってまいりたいと思います。

 もう一点、検定についての御質問がございました。

 御指摘のとおり、高校生等奨学給付金については、授業料以外の教育費を支援する、使途を限定しない給付型の奨学事業でございまして、文部科学省においては、今年度の第三次の補正予算においても単価増を前倒して上乗せ支給を実施するとともに、令和三年度予算案においても給付額の増額を計上し、その充実を図ろうとしているところでございます。

 委員御指摘の検定試験につきましては、極めて多様なものがございまして、負担軽減の検討に当たって様々な課題があるものと存じますが、高校生等の修学支援については、引き続き、都道府県と連携し、充実を図ってまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 前向きな検討をお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。

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