第204回国会 衆議院 文部科学委員会-7号

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 今日は、幼児教育類似型施設をテーマに質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 二〇一九年十月から、消費税引上げによる税収を活用いたしまして幼児教育、保育の無償化という制度が施行されまして、はや一年半が過ぎようとしております。家庭の経済事情にかかわらず、希望すれば誰もが必要な教育を受けられる社会、これを目指して、私たちも一貫して教育費の負担軽減を訴えてまいりました。二〇〇六年、大分前になりますけれども、我が党で少子社会トータルプランというものを発表いたしまして、一年半かけて、百五十ページにわたる子育て支援の集大成というべき政策でございますけれども、この中にも幼児教育の無償化を掲げて取り組んでまいりました。

 まず、政府・与党として、全世代型社会保障の構築に向けて、消費税率一〇%への引上げ増収分を使って財源を生み出すという大きな決断で、少子化を克服する、子育て世代の負担を軽くするという強いメッセージを発信して、未来の宝である子供たちを社会全体で育てていくという大きな第一歩になったと考えております。

 初めに、幼児教育、保育の無償化という新たな制度の施行状況についてお伺いしたいと思います。内閣府藤原審議官、よろしくお願いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年十月から実施をされております幼児教育、保育の無償化でございますけれども、生涯にわたる人格形成の基礎や、その後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性と、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るといった少子化対策、この両面に鑑みて行っているものでございます。

 この幼児教育、保育の無償化では、三歳から五歳までの子供と、〇歳から二歳までの住民税非課税世帯の子供についての幼稚園、保育所、認定こども園等の費用を無償化をしているところでございます。

 令和三年度予算案におきましては約三百万人の子供がその対象となっておりまして、予算規模といたしましては公費で八千八百五十八億円というふうになってございます。

 幼児教育、保育の無償化につきましては、自治体の御尽力によりましておおむね順調に実施をされていると認識をしておりまして、引き続き円滑な実施に努めてまいります。

古屋(範)委員 約三百万人、予算八千八百五十八億円規模という幼児教育無償化の施行状況でございます。

 このとき、幼稚園、保育園、認定こども園のほかに、私たち主張いたしまして、幼稚園の預かり保育とか認可外保育園施設も対象となったところでございます。

 これが施行されて、我が党、約三千人の議員がいるんですけれども、幼児教育無償化について子育て世代の御意見を伺う、そういう声を聞く運動を展開いたしました。その結果を翌年の二月に発表したんですけれども、利用者の八七・七%から評価をするというお声をいただきました。また、幼児教育、保育の質の向上とか受皿の整備といった課題も上がりました。また、その中で、幼稚園として基準を満たさず無償化の対象とならない幼稚園の類似型施設、この利用者の負担を軽減してほしいという声をいただきました。

 私、神奈川県に住んでいるんですが、子供が小さい頃、茅ケ崎に住んでおりまして、そこでお世話になった幼稚園、浜竹幼稚園というんですけれども、小さな幼稚園で、とてもきめ細やかな教育をしてくれる大変いい幼稚園でした。そこの副園長さんが、認可幼稚園よりもより質の高い保育実践を目指して、自宅を開放して、定員二十四名の少人数制できめ細やかな保育を行う幼稚園類似施設、虹の丘というものを創設されたんですね。認可外のために行政からの補助金はほぼないんですけれども、いろいろと工夫をしながら、園長である自分は無給にするというような努力をして経営を維持してこられたそうです。

 ところが、無償化が始まって、この虹の丘が無償化の対象外となったということで、保護者が、無償化の対象になった方よりも年間三十万円前後、三年間で百万円近い経済的負担を強いられる。その経済的負担から、もう他の幼稚園に行かざるを得ないというようなことも出てきた。障害を持ったお子さんが、障害児施設と併用を希望していたんだけれども、経済的負担から来られなくなった。ほかにも、様々な影響で親の仕事が厳しくなり、転園をされたお子さんもいるということでございました。園児募集で、例年、募集人員の三倍以上の入園希望の方がいたんですけれども、無償化対象外となってからは定員にすら達していないということで、非常に御苦労されている実態がございます。

 こうした施設、面積、一学級の幼児数など国の設置基準を満たしていない施設を対象に都道府県が認可をしているんですけれども、類似型施設の明確な定義というものはありません。成り立ちも様々で、第二次のベビーブームの頃に幼稚園の設置が追いつかなくて自治体主体で生まれた施設、また、虹の丘のように独自の教育を実践している場、いろいろなパターンがあります。

 この類似型に関しまして、文科省として調査を行っていらっしゃいます。こうした類似型の施設も、地域にとって大変な重要性があるというふうに思っております。文科省は、今年度、こうした幼児教育の類似施設を支援している自治体に対して調査を行っていらっしゃいます。

 本年四月から、幼稚園として基準を満たさないためにこれまで幼児教育無償化の対象となっていなかった、いわゆる幼児教育類似施設に通う世帯への支援がスタートとなりますが、この調査結果についてまずお伺いしたいと思います。そして、幼児教育類似型に通う世帯への支援の必要性、また意義についてお伺いをしたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 令和元年十月からの幼児教育、保育の無償化の対象となっていない多様な集団活動につきましては、法令の定めや基準等はなく、先生御指摘のように多種多様なものが存在しておりますけれども、各地域に固有の様々な歴史的な経緯を経て、現在も、地域や保護者のニーズに応える重要な役割を果たしているものというふうに認識してございます。

 そのような観点から、無償化の対象となっていないものの、地域にとって重要な役割を果たしている集団活動に対しまして、今年度、令和二年度において、国と地方が協力した効果的な支援の方策について検討するため、二十二の自治体に対して委託調査を実施したところでございます。

 その中におきましては、独自の市町村の支援方策としまして、一定の認証を設けてその中で活動して支援していくとか、あるいは、支援を行う施設についての活動を収集して、認可施設への移行についての支援あるいは調査を行っていくとかいうふうな自治体での支援の状況、さらには、集団活動につきましては、歴史的な経緯の中で、例えば、人口急増期に団地の有志で創設した幼児施設があったりとか、地域の神社、お寺あるいは教会等が地域の子供たちを集めた集団活動を行う、さらには、地域の豊かな自然を生かして自然体験の活動を中心とした施設など、様々な経緯から、いずれにせよ、教育的な観点から活動の計画を策定され、それを自治体が認証する基準でやっていくというふうな実態も分かってきたところでございます。

 この調査と並行しまして、関係各府省、自治体と協議を進めまして、地方自治体が国の補助なしに独自に支援を行っている実態が先行しているということ、さらには、早期に国による支援を求める声があるということ等を踏まえまして、支援を行っている、あるいは支援を希望する地方自治体の取組を後押しするような制度設計が妥当というような考え方に基づきまして、令和三年度の事業として、市区町村の手挙げ方式により、国の補助を行うこととしたところでございます。

古屋(範)委員 ありがとうございました。調査結果に基づいて、令和三年度から支援を実施することとなったということであります。

 令和三年度から、子ども・子育て支援法に規定をされました地域子ども・子育て支援事業、いわゆる十三事業の多様な事業者の参入促進・能力活用事業に、新たなメニューとして、地域における小学校就学前の子供を対象とした多様な集団活動事業の利用支援というものを追加されました。

 こうした幼児教育無償化の対象外だった幼稚園の類似型施設について、この事業の中に位置づけていくということ、そして、幼児一人当たり月額二万円を給付するということを決定をされました。これは、大きな意義がある、前進だと思っております。

 地域にとって重要な役割を果たしている施設を利用する子供の保護者の利用負担の観点から、利用料の一部を給付をしていくという制度だと思います。これが、市町村の手挙げによる国費の補助事業として、令和三年度の子ども・子育て関係予算に計上がされました。

 自治体の手挙げ方式だ、それから、給付は幼児一人当たり二万円を基準とするということで、この幼児教育類似施設の支援の仕組み、また、支援の対象の基準、国、地方の負担の在り方など、要件の具体的な内容についてお伺いしたいと思います。また、今回、支援対象となった施設はどのくらいあるのか、分かれば教えていただきたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、令和三年度からの事業につきましては、内閣府の子ども・子育て関係予算のうち、地域子ども・子育て支援事業、いわゆる十三事業の中で、多様な事業者の参入促進・能力活用事業に、地域における小学校就学前の子供を対象にした多様な集団活動事業の利用支援のメニューを追加するということとしたところでございます。

 具体的には、委員御指摘のとおり、地方自治体からの手挙げ方式とするというふうなことにしておるところでございますけれども、支援する対象としましては、幼児教育、保育の無償化の給付を受けない、事業の一定の要件を満たす施設を利用する三歳以上の幼児の保護者が払う利用料について、二万円を基準額として月額として支援するものでございます。

 国と地方の負担の割合でございますけれども、国と都道府県、市区町村、それぞれが三分の一ずつというふうな形で、分かち合う負担にしているところでございます。

 それから、対象施設の基準ということでございますけれども、多様な、いろんな施設があるということを鑑みまして、例えば、保育士あるいは幼稚園教諭等の有資格者の割合ですとかその配置の基準、さらには非常時の対応、それから、幼児の健康管理、安全確保というふうな面につきましては国としての必須の基準を設けるものの、その他につきましては、例えば保育室の面積など、地方自治体の裁量を認める仕組みというふうにしているところでございます。

 市区町村の確認を経た施設については、こうした観点からの支援をさせていただく予定でございます。

 対象の規模でございますけれども、この要件をどれだけ満たすかについてははっきりしないところでございますけれども、本事業の対象となる施設については、市区町村の手挙げ方式の状態等によりますけれども、以前実施した調査では、大体二百前後存在するというふうに理解しているところでございます。

古屋(範)委員 約二百前後が対象となるのではないかということでございました。

 この幼稚園の類似型施設への支援につきましては、萩生田大臣は、大臣御就任前から、この支援が必要だということを国会において問題提起をされ、発言をされてきたというふうに思います。大臣が御就任されたからこそ、この支援策が決定をしたのではないかなというふうに推察をしております。

 ただ、この手挙げ方式では、自治体によって不公平が生まれないかとか基準のハードルが高いなど、課題を指摘する向きもあります。今、弾力的に運用していくという答弁もありましたけれども、いずれにしても、この幼児教育類似施設を利用されている方が、利用料負担を軽減されている、無償化の支援を受けていることに実感が持てるような、そういう制度にしていただきたいというふうに思っております。

 今回の幼児教育無償化は、義務教育と同じように、子供たちにひとしく充実した教育環境を提供する理念だというふうに思っております。是非、大臣のリーダーシップでこの支援策を成功させていただきたいと思います。御決意を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 多様な集団活動については、各地域に固有の様々な歴史的な経緯を経て、現在も、地域や保護者のニーズに応え、重要な役割を果たしている施設があるものと考えております。

 今先生から御披露いただきましたけれども、私、党の幹事長代行時代に、幼児教育、保育の無償化はいい制度なんだけれども、ここにあぶれてしまう施設があって、しかし、それは、やはり国の基準を満たしていないわけですから、例えば、園児たちの安全性だとか、そういう課題は当然あります。あるいは、給食の調理室がない施設などもあったり、元々宗教施設の教会やお寺などから発祥しているので、そういった宗教的な色彩の行事なども行うようなこともあったりして、一律には線を引くことは難しいんだけれども、しかし、大事なことは、設置をされている自治体が、この無償化制度の枠に外れたことによって、この施設が消えてなくなってもしようがないんだというふうに思われている施設なのか、いやいや、今までのことを考えたら是非うちの町にはこの施設は残ってほしいんだということを考える施設なのかを、地方の皆さんに是非責任を持って判断していただきたいということで、この一年間、いろんな調査や研究をしてまいりました。

 したがって、やや規制改革なところがあって、本当の社会福祉法人や本当の学校法人であるならば、園児一人当たりの床面積ですとかあるいは階段の桁ですとか、細かい国の基準があるんですけれども、それは、じゃ、現場に任せるから、その代わり、責任を持って一緒にこの園をしっかり守っていくことをやってくれるところに手を挙げていただいて、そこに国費を入れようということにしました。

 逆に言いますと、国費が入ることによって、いろんな足らざるところが全てお墨つきをもらったという勘違いをしてもらうのも困るわけでありまして、園児の安全、安心のためには、やはり今後も、自治体やあるいは設置者が共に施設のブラッシュアップをしていくことも引き続きやってもらわなきゃいけないんだと思います。

 令和三年度予算案においては、内閣府の子ども・子育て関係予算において、地域における小学校就学前の子供を対象とした多様な集団活動事業の利用支援のメニューを追加することにできそうです。

 今お話がありましたように、約二百園が研究段階では対象になっておりましたので、この皆さんが、地元の首長さんがちゃんと手を挙げていただくならば、きっと対象になるということで準備をしております。

 この支援事業については、文科省としてもその企画立案に取り組んできた責任がありますので、まずは、事業の円滑な導入のために、引き続き内閣府等と連携して取組をしてまいりたいと思います。

 あわせて、私、これに甘んじて、やすきに流れてはいけないんだと思うんですね。

 例えば、園舎を持っていない幼稚園などもありますよね。それは、施設の維持費もなければ、固定資産税もなければ、何もないわけですから、じゃ、雨が降ったときにどうするんだと。ふだんは公園で元気に子供たちを遊ばせていろんな教育をしてくれているんだろうけれども、雨が降ったときの代替策だとか、こういうことも、仮に公費が入るということは、多少そういうことを窮屈になってちゃんと考えなきゃいけないんですよということも、この間、呼びかけてまいりましたので、きっと、こういった二百の施設がもし仲間に入っていただくならば、少しずつまた環境がよくなっていっていただけるんだろうということを期待していますし、また、その応援や見守りをしていきたいと思っているところでございます。

古屋(範)委員 大臣、ありがとうございました。園児の安全、安心が最優先ということでございます。

 私の党におきましても、地方議員とのネットワークで、例えば、これから、茅ケ崎の場合なんかは六月の市議会でこの予算を通して、こうした、自治体がある程度きちっと認めたところに限ってはこの支援策を取っていこうというところもございます。また、子供のために、私たちも、地方議員とのネットワークで、この制度が最大生かされるよう頑張ってまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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