第210回国会 衆議院 厚生労働委員会-7号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 今日はワクチンをテーマに質問してまいります。

 まず、財務省にお伺いをしたいと思っております。今日は秋野副大臣においでいただいております。よろしくお願い申し上げます。

 七日に、新型コロナウイルスワクチン接種の費用を国が全額負担していることをめぐり、財務大臣の諮問機関、財政制度等審議会では見直しを求めることでおおむね一致したという報道がございました。これはNHKの報道なんですが、毎日も、全額国費負担廃止を、朝日、コロナワクチン、いずれは自己負担に、読売、ワクチン一部実費提案、全額国費見直し等々、全紙こういう報道が出ました。特に、季節性インフルエンザなどと同じように、接種希望者が費用の一部を負担する定期接種に移行するなど、見直しを図るべきとの指摘がされたということであります。

 審議会の増田分科会会長代理は終了後の記者会見で、重症化の程度や重症化率を見ながら、特例的な措置は廃止をしていく方向で検討していくべきだと述べております。また、このNHKの報道でも、これに対して、委員の間からも支援の緊急性は薄れているといった意見が出され、見直しを求めることでおおむね一致したということでございました。

 緊急性が薄れているかどうか、ましてやコロナワクチンの法的位置づけを今後どうしていくか、これは専門家による精緻な議論が必要だと思っております。

 政府は、希望する全ての対象者が年内にオミクロン株対応ワクチンの接種を受けられるように、接種促進に向けて今取り組んでいる真っ最中でありますが、こうした報道があるのはいかがなものか、この接種の加速化にブレーキをかけかねない、そのように思っております。

 今回の財政審での議論、ワクチン接種費用の一部負担について、この真偽をお伺いしたいと思います。

○秋野副大臣 現在、新型コロナワクチン接種は特例臨時接種として国費負担にて実施をしておりますけれども、仮に蔓延予防上の緊急の必要性が認められない場合にはその特例は終了するということを、この点は国会でもこれまで説明がなされてきたとおりでございます。

 一昨日、七日に財政制度審議会が開かれ、社会保障につきまして幅広い議論が行われました。数多くのテーマの一つとして、新型コロナワクチンについても事務局から資料を提出しておりまして、接種費用の支援に関する今後の課題として、感染症の状況の変化等を踏まえて、重症化率やほかの感染症とのバランス等を見ながら定期接種化を検討すべき、その際には特例的な措置は廃止すべきといった指摘がございました。

 この点は今後の検討課題として議論がなされているものでありまして、足下で行われているオミクロン株対応ワクチンの接種については、特例臨時接種として全額国費で行っております。まず、希望する全ての対象者が年内にオミクロン株対応ワクチン接種を受けられるよう、接種の取組を支援していきたいと考えているところであります。

 よって、一昨日、官房長官からも、財政制度審議会の指摘は足下の接種加速の方針とは矛盾するものではないと説明をさせていただいているとおりでございます。

 国費の件にお触れになりましたので、買上げについて御答弁しておきたいと思いますけれども、今回の経済対策におきましては、来年の秋冬用のワクチンを買い上げることとしております。また、国産ワクチンの開発やワクチンの国内製造ができる体制を確立しておくことは重要な課題であると認識をしておりまして、開発が成功した場合の買上げに係る予算も既に措置済みでございます。

 いずれにしろ、ワクチン接種に係る対応は、感染症法上の位置づけ、疾病の性質、ほかの疾病とのバランス等を踏まえ検討していくものと考えてございます。

○古屋(範)委員 多くのテーマの一つとしてこれが扱われた、そして、今後の検討課題であると。また、オミクロン株対応のワクチンについては、当然のことながら全額国費であるという御説明を頂戴いたしました。

 国民に今、誤ったメッセージを発することがないよう、是非丁寧な御説明をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 副大臣、一問だけですので、ここで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 今、副大臣の方からも、国産ワクチン等々、次に向けてのワクチンの予算についての答弁もございました。大臣に、これまでも何度もほかの委員も質問している点でございますけれども、国内ワクチンの開発についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 次の新たな感染症危機に備えるために、感染症法改正案、今衆議院を通過したところでございます。早期成立を図るべきと考えております。

 コロナ禍におきまして、検査体制、医療提供体制とともに不安視されていたのがワクチンの供給の遅れでありました。これも私たち、海外メーカーとの契約を早期に締結すべきだということも訴えてまいりました。また、早くからコロナワクチンの国産化も提唱してきたところでございます。今、国内では、数多くの企業、研究機関がワクチンの開発、生産体制の整備に取り組んでいるところだと思います。国として最大の支援をすべきと考えております。

 私も、昨年なんですが、山口県の光市にあります武田の工場を訪問してまいりました。本年四月十九日、副反応が少ないとも言われております組み換えたんぱくワクチン、武田で生産をしておりますけれども、ノババックスのワクチンの新規承認がされました。

 本当にこれは、二〇〇九年の新型インフルエンザの教訓を基に、国内でのワクチン製造体制を整備しなければいけないということで、国費で工場を造りました。その後、幸いにもSARS、MERSは日本に入ってこなくて、それで、ここが稼働することはなかったんですが、この度、少し改修をして、そしてコロナワクチンを製造することとなったということであります。社員たちも非常に高いモチベーション、使命を感じながら生産をしているという印象を受けました。

 国内で数多くの企業、研究機関がワクチンの開発、生産体制の整備に取り組んでおります。国産ワクチンの製造拠点の整備に向けた取組の現状、国産ワクチンの開発状況についてお伺いをいたします。

 また、あわせまして、新たな感染症が流行する事態に備えて、対応できるワクチンも早く開発をして提供できる体制を整備するということが重要であり、ワクチンの国産化、国内製造を国家戦略として進めることが急務であると思っております。

 海外メーカーに比べてどうしても資本力の弱い日本の製薬メーカーが開発をし、そして治験をし、承認を得て、そして製造、販売して、もうここに一貫した支援がなければならないと思っております。感染症に強い国づくりに向けまして、国内におけるワクチンの開発、生産体制を構築していくことが重要であると思います。

 これに関しての大臣の御決意を伺いたいと思います。

○加藤国務大臣 今回のコロナへの対応の中でも、やはり我が国におけるワクチン、治療薬もそうでありますけれども、全体として、研究開発、また、それを作る力が大変不足をしているということを認識をし、この間、生産設備支援を行い、委員が多分御視察されたところもそうだと思いますが、今、二社のワクチンについて、国内で製造するということが実現をされています。

 また、ワクチンの開発については、研究開発の支援、また、臨床試験の実施費用に対する補助、生産体制の整備に関する支援、さらには、ワクチン開発が成功した場合の買上げに係る予算、こういった措置を取っております。

 現在、そうしたことも背景に、複数社においては第三相の臨床試験を実施されているということで、これがいわゆる製品化につながることを期待をしているところであります。

 さらに、今回、今のは新型コロナでありますが、今後の感染症に対するワクチンの開発できる基盤をつくっていこうということで、昨年六月にワクチン開発・生産体制強化戦略が閣議決定をされました。これに基づいて、AMEDにおいて、先進的研究開発戦略センター、SCARDAの設置、また、経産省においては、デュアルユースのワクチン製造拠点の決定などを行ったところでございます。また、厚労省においては、臨床研究中核病院の連携により治験のデータを効率的に収集する基盤の構築等も併せ行っております。

 こうした様々な施策をしっかりと進めていくことで、国内でワクチンを開発、生産できる体制、この確立に向けて更に努力をしていきたいと考えております。

○古屋(範)委員 コロナの変異株、また将来の感染症に備えて、質の高い国産ワクチンの製造、また海外ワクチン国内製造というものも、長期的視野で積極的に是非取り組んでいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、足下、オミクロン株対応のワクチンについてお伺いをしてまいります。

 新型コロナウイルスワクチンの接種間隔期間が、三か月以上ということで短縮をされました。このオミクロン株に対応したワクチン二種、BA・1型、それからBA・4、5型、どちらを接種すればいいのか。流行しているのはBA・5なのに、なぜBA・1でもよいのか。国民や自治体で少し混乱があるかというふうに思います。

 厚労省では、二種類どちらも違いがないということを強調されています。はっきりと方針を示す必要があるのではないか。また、違いがないという根拠についてお伺いをしたいと思います。

 先日、感染症法の参考人質疑の中で、国立国際医療センターの大曲国際感染症センター長に第八波への備えということを伺いました。それに対しては、二つの政策が必要と。一つは、やはりワクチン接種なんですね。このワクチン接種を加速化していく、これが第八波への備えだということをおっしゃっていました。

 今、新型コロナ感染者は微増の状態にあるかと思いますが、新型コロナの行方は本当に予断を許さない状況にあります。新規感染者は全国的に増えているようで、第八波の入口に入りつつあるのかという懸念もあります。年内に再び流行が来る可能性、また、年明けに大規模な流行が来る可能性というものを専門家が指摘をしております。やっと戻りつつある社会経済活動。何としても、景気回復のために、これを戻してはならないというふうに思います。これにはワクチン接種が欠かせない。政府は国民に丁寧に理解を求めて、協力を得なければならないと思います。

 ワクチン接種促進について、これは局長にお願いをしたいと思います。

○佐原政府参考人 お答えいたします。

 オミクロン株対応ワクチンにつきましては、BA・1かBA・4、5かにかかわらず、現在のオミクロン株が流行している状況では、どちらのワクチンであっても、オミクロン株成分を含むことで従来株ワクチンを上回る重症化予防効果があること、また、新しいワクチンはどちらも二価のワクチンでありまして、今後の変異株に対しても、従来型ワクチンよりもより効果が高いことが期待されます。また、安全性につきましても、現時点で重大な懸念は認められない旨が関係審議会で報告をされているところでございます。

 このため、接種対象者には、種類を問わず、その時点で接種可能なオミクロン株対応ワクチンの接種をなるべく早期に受けていただきたいと考えております。

 また、委員御指摘のとおり、ワクチンの接種の促進は重要であります。こうしたワクチンの有効性や安全性に関する情報につきましては、リーフレットやQアンドAを作成し、厚生労働省のホームページで公表することやSNSで発信するなど、様々な媒体を活用しながら、国民の皆様への周知に取り組んでいるところです。

 引き続き、こうした様々な媒体を活用しながら、国民の皆様に丁寧に周知し、できるだけ多くの方が接種を受けていただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 どちらも重症化予防に効果があるということでございますので、またしっかり、その辺、していらっしゃるとは思うんですが、更に広報、周知をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、ワクチン定期接種の質問をしたいと思います。

 私も、二〇〇三年初当選なんですが、そのときから、ワクチンで防げる病気から国民の命を守る、これに取り組んできました。

 当時はまだ、Hibワクチン、小児用の肺炎球菌ワクチンも定期接種化されておらず、子供たちも細菌性髄膜炎の危機にさらされているというような状況でした。一つ一つ定期接種化を求めながら、その後、水ぼうそうとか、直近ではロタウイルスのワクチンなどが定期接種化となりました。都度都度、交付税措置の裏打ちが必要ですので、総務大臣にも要請をしながら、定期接種化を進めてきました。当時、二十年あるいはそれ以上ワクチンギャップがあると言われておりましたけれども、大分それは縮まってきたのかなというふうに思っております。しかし、まだ課題がございます。

 まず、おたふく風邪ワクチンについてお伺いしたいと思います。

 コロナ以外にも、子供を中心に注意が必要なのがこのおたふく風邪なんですね。四年から六年の間隔で流行を繰り返している。おたふく風邪は子供を中心に流行しまして、発熱、また耳の下の腫れ、また、このウイルス感染症で千人に一人が難聴になるという報告があります。先日も、おたふくで難聴になられた方のお話を聞きましたけれども、聞こえないわけではないんだけれども必要な情報を聞き分けられない、それを絵にも描いてくださったんですけれども、日常生活に非常に大きな影響があるということであります。

 このワクチン接種は、現在、任意接種となっておりますので、対象者の四割程度しか受けておりません。このおたふく風邪による難聴というのは、治療が難しいそうであります。日常生活に非常に大きな支障を来してしまうということで、このリスクを考えますと、誰でも公費で受けられる定期接種化の検討を急ぐべきではないかと思っております。

 これにつきまして、伊佐副大臣にお伺いしたいと思います。

○伊佐副大臣 先ほど、おたふく風邪に罹患されて、後遺症で難聴になった若い女性のお話、副大臣室にも来ていただいて、直接お話を聞かせていただきました。これは厚労省としても、こういうことを減らしていきたい、また、なくしていきたいというふうに強く思っております。

 現在、このおたふく風邪ワクチンにつきましては、二種類が薬事承認をされていると。定期接種に位置づけるかどうかについては、これまでも審議会において議論していただいておりまして、医学的、科学的知見等について今整理を進めているというところでございます。

 この審議会の議論の中では、接種後の、ワクチンを接種した後の副反応で無菌性髄膜炎というものがありますが、この発生頻度が非常にばらついている、つまりデータが不十分だというような指摘が今なされておりまして、しっかりとしたデータを集めていく必要がございます。

 そこで、厚労省としては、今、小児科学会にも協力をしていただいておりますが、更に呼びかけをさせていただいて、参加していただく小児科医の皆さんが増えるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 もう本当に検討が長過ぎて、いつになったら結論が出るのかと思いますけれども、しっかりと症例を集めて、定期接種化への議論を加速化してほしいと思います。

 次に、帯状疱疹ワクチンについてお伺いしてまいります。

 この帯状疱疹ワクチン。コロナ禍で急増していると言われております。それは、免疫力が下がっているとか、コロナ感染で免疫細胞の働きがダメージを受けているとか、新型コロナワクチンによって一時的に感染したときに似た状況が生じるとか、いろいろ原因は言われておりますけれども。

 この帯状疱疹、私の学生時代からの友人は、持病があったんですけれども、帯状疱疹にかかって、あっという間に意識不明になって、亡くなられました。これはもう随分前のことなんですが、それ以来、その追悼の意味もあり、帯状疱疹ワクチンに取り組んでおります。

 非常にすごい痛みがあるそうなんですが、虫に刺されたものなのか、あるいはじんま疹なのか、帯状疱疹だと気がつかない方もいらっしゃいます。ですので、早期に医療機関で診察を受けることが大事なんですけれども、それに至らない、まだ認知度が低いということもございます。

 発症予防率を見ると、インフルエンザ、肺炎球菌ワクチンが六〇%で、この帯状疱疹ワクチンは九七%と高いんですね。このように予防率の高い帯状疱疹ワクチンですけれども、接種率は、最も高い六十五歳でも四割程度にとどまっております。

 そこで、現在、厚労省でも、この帯状疱疹ワクチンの定期接種化について議論が進められていると承知をしております。帯状疱疹の予防、重症化、後遺症を防ぐためにも有効なこの帯状疱疹ワクチンの定期接種化、これを一刻も早く実現すべきと考えます。

 この見解をお伺いしたいと思います。伊佐副大臣によろしくお願いいたします。

○伊佐副大臣 委員御指摘のように、この帯状疱疹につきましては、コロナ禍、またコロナ前からも増えているというふうに認識をしております。

 現在、この帯状疱疹ワクチンにつきましては、二種類が薬事承認をされております。定期接種化に位置づけるかどうかについては、これまでも審議会において議論をさせていただいておりますが、その議論の中では、例えば、期待される持続効果がどれぐらいか。十年もつのか、それ以上もつのか。あるいは、費用対効果。こうした評価を踏まえて、どの年齢層にどのタイミングで接種するべきか。例えば、六十歳で打った後、七十歳でもう一回打っていただいて、その次、十年後、八十歳か、それとも六十歳に一回打てばいいのかというところについて、今検討していく必要があるというふうに思っております。

 なお、現在、この帯状疱疹ワクチンの接種に関しては、自治体が独自に補助制度を設けているところもございまして、定期接種化ではありませんので救済制度の対象にはならないんですが、ただ、例えば、今回の補正予算で臨時交付金というものがございますが、この対象にも措置されているというふうに伺っております。

 こうした論点について審議会でしっかりと、先ほど一刻も早くという御意見もいただきましたので、しっかりと議論を前に進めてまいりたいというふうに思っております。

○古屋(範)委員 ありがとうございます。

 副大臣がおっしゃいましたように、幾つかの自治体では既にこの助成を始めているところもございます。しかし、助成というのは大体一回だけなんですね、三千円から五千円程度の助成を行っているというところが多いんですけれども。そうすると、この八年後、再び接種が必要になった際の助成というのはほとんどがないというような状況でもございます。

 地方議員さんたちも、やはり高齢者のためにここの助成をしたいという動きをしている自治体もございます。国としてもそれに呼応して、先ほどおっしゃったように、有効性とか費用対効果、またその対象、こういうことを加速化をさせて調査をさせて、定期接種に向けての議論を加速化してほしいと思っております。

 最後に、これは、もう時間ですので、指摘にとどめておきたいと思います。

 今、予防接種基本計画が、予防接種施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、中長期的なビジョンを示すものとして平成二十五年に策定をされ、今検討中だというふうに伺っております。五年の見直しということなので、もう既に七年たっているということで、コロナで少し議論がストップしていたものと思われます。この総合的な計画を推進する基本的な方向とか、国、地方の、また関係者の役割分担とか、そういうものをしっかりとこの計画に位置づけてほしいと思っております。

 この三年近くに及ぶコロナの知見等も踏まえまして、充実をした基本計画策定への議論を進めていただくようお願いをして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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