第210回国会 衆議院 消費者問題に関する特別委員会-3号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 今日は、旧統一教会の問題をテーマに質問してまいります。河野大臣、よろしくお願い申し上げます。

 旧統一教会に関しましては、長年にわたって霊感商法、高額献金の被害の訴えが相次いでおりまして、家庭崩壊、また困窮問題など、深刻な被害が生じております。

 十月十七日、大臣の音頭取りで設置をされました消費者庁の有識者会議では、被害者の救済また再発防止に向けて報告書が取りまとめられております。

 また、総合相談窓口、ここが九月の五日から十月三十一日まで開設をされております。その中で、旧統一教会による被害に関する相談、二千三百六十七件が寄せられております。うち金銭的なトラブルが六八%ということで、千六百十五件あったという報告がございます。多いと言わざるを得ないというふうに思っております。

 公明党の消費者対策本部におきましては、これまで六回にわたり、被害者、また有識者等、ヒアリングを行ってまいりました。十月の二十八日には、岸田総理に、霊感商法等による被害の救済及び防止に向けた提言を提出いたしました。悩んでいる方々一人一人に寄り添いながら、実効性ある仕組みを整える必要があると考えております。

 大臣、七日ですけれども、消費者契約法の改正案を今国会に提出するという考えをお示しになりました。

 霊感商法、以前は主に高額なつぼ、印鑑を売りつけるという手法でしたけれども、最近は、高額な献金、寄附を要求する、教典などを授けるという形に変わってきております。

 物を売りつける霊感商法については、二〇一八年、消費者契約法改正の中で取消権が盛り込まれました。しかし、献金、寄附については、ほとんど対策が取られてこなかったと指摘があります。確かに、現行の消費者契約法で取消権を行使した裁判例というのはなくて、現行法では、救済すべき者が救済できない可能性があります。この取消権の対象範囲の拡大など、要件を緩和して、取消権行使による被害救済の実効性を高める必要があると考えます。

 また、霊感商法において、取消権の行使期間が短過ぎるとの指摘がございます。被害の実態を踏まえた上で、この権利を行使できる期間を延長すべきと考えております。

 救済手段として早期に実現が見込めるのが、消費者契約法の改正です。一刻も早く改正案を提出し、成立を急ぐべきと考えます。消費者庁の見解を求めたいと思います。

○片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先日総理からも御発言がございました、旧統一教会問題を受けまして、被害者の救済と再発防止の観点から、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案を今国会に提出すべく、政府として、現在、最後の詰めを行っているところでございます。一刻も早く改正案を提出できますように準備をしてまいります。

○古屋(範)委員 早急に検討し、提出をしていただきたいと思います。提出をされた暁には、しっかりと成立をさせてまいりたいと決意をいたしております。

 次に、新法の方向性についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 宗教法人が正体を隠して勧誘する、信者が判断不能の心理状態に追い込んで献金をさせる、このようなことがあってはならないと思っております。この消費者契約法の規制対象とならない悪質な寄附、献金の勧誘行為による被害を防止していく、また救済をしていくために、新たな立法措置等、実効的な方策を講ずる必要があると思っております。

 岸田総理は、八日、悪質な寄附要求行為の禁止などを盛り込んだ新法を今国会に提出したい、新たな法制度の実現に取り組む決意を示されました。霊感商法等の悪質な寄附による被害者の救済に万全を尽くすとともに、一刻も早く、二度とこのような被害者が生まれないよう、早急な対策が求められております。

 さらに、度重なる高額献金を行って家庭が破綻をしたとの報告も数多く寄せられております。また、困窮に陥ったいわゆる宗教二世の問題も放置できません。

 そのために、まず、消費者契約法の対象とならない寄附一般について、社会的に容認し難い悪質な勧誘行為を禁止していく、そして、悪質な勧誘行為に基づく寄附について、取消しや損害賠償を可能とする、また、子や配偶者に生じた被害の救済を可能にする等を盛り込んだ新法を早急に検討すべきと考えております。

 その際、信教の自由とか、また個人の財産権等、憲法との整合性を図る必要があると思いますので、憲法等専門家の意見も聴取しながら検討を進めていただきたいと思っております。

 被害救済に向けて、実効性を確保し、また、家族の被害救済の仕組みなど、具体像を早急かつ慎重に固めて、実効性ある新法としていただきたいと思います。この被害救済に向けての新法の方向性、また今後のスケジュールについて、消費者庁にお伺いいたします。

○片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からも既に細かく御指摘をいただきましたけれども、新法につきましては、まさに信教の自由、それから憲法規定との関係などにも配慮しながら、消費者契約法の対象とならない寄附一般について、社会的に許容し難い悪質な勧誘行為を禁止すること、それから、そうした悪質な勧誘行為に基づく寄附について、取消しや損害賠償請求を可能とすること、そして、子や配偶者に生じた被害の救済を可能とすることということを主な内容として検討しているところでございます。

 具体的なスケジュールにつきましては、今国会を視野に、できるだけ早く法案を提出すべく、現在、最大限の努力を行っているところでございます。

○古屋(範)委員 早急にしっかりとした検討を進めていただきたいというふうに思います。

 次に、相談体制の充実についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 昨日、十四日なんですが、霊感商法の被害者を救済するための電話相談窓口が新設をされました。これは、公明党の提言を取り入れていただいたと思っております。霊感商法等による被害者の相談機能の継続とともに、弁護士、心理専門職を配置した形で的確な支援ができるよう、体制が強化されたものと承知をしております。

 国民生活センター、また消費生活センターなどにおきましては、相談者や被害者の相談の対応に当たるスタッフのスキル向上に向けた研修などの取組強化を図る必要があると思っております。宗教などというと、そこで相談員の方もちゅうちょしがちであるかと思います。霊感商法による消費者被害について、消費生活相談の対応の一層の充実を図って、公認心理師、精神保健福祉士、精神科医、宗教者、社会学者、弁護士など専門家との連携をしていくということが大変重要であると思っております。

 旧統一教会の信者の二世の方からの訴えのうち、現在、児童の福祉に関するものとして、保護者の事情に起因する問題について、そもそもどこに相談していいか分からない、誰にも相談できなかった、また、児童相談所などに相談しても、児童虐待に該当すると思われるケースであっても、家庭内で話し合うようにと言われて、話を十分に聞いてもらえなかったという事例があったそうであります。

 そこで、宗教という原因に限らず、これは依存症などが原因であるということも考えられるんですが、保護者の社会的、経済的生活に関する問題に起因して児童の福祉が損なわれる場合において、相談できることを明確化して、切れ目ない支援が行われなければならないと思います。保護者のこうした事情、様々な事情に応じて、被害を被っている児童に対して、実態を把握して、切れ目ない支援が行われるようにしていかなければいけない、その体制整備を求めたいと思います。そして、こういう機関が利用されるように周知啓発、また、裏づけとなる財政的な措置も必要だと考えます。

 消費生活相談の専門性の強化、旧統一教会をめぐる宗教二世、三世の実態把握、また総合的な支援、相談体制の充実について、これは法務省、それから消費者庁、両省にお伺いをいたします。

○柴田政府参考人 お答えいたします。

 先日、十一月十日、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の第三回会議を開催し、関係省庁において、被害者の救済に向けた総合的な相談体制の充実強化のための方策を確認し、申合せをいたしました。

 その方策の一つとして、法テラスにおいて、合同電話相談窓口の機能等を継承した対応窓口である霊感商法等対応ダイヤルを新設し、金銭的トラブルに限らず、心の悩み、家族の悩み、生活困窮等に関する相談に幅広く対応し、二世、三世信者の実態把握に努めるとともに、心理専門職等を配置した対応部署を新設し、二世、三世信者の様々な相談事例を含むデータの分析や支援策の企画立案等を実施していくこととし、十一月十四日、昨日ですが、対応窓口等の業務を開始いたしました。

 また、関係省庁におきましても、法テラスを中核として関係相談機関等を互いにつなぐネットワークを強化するとともに、寄せられた相談等のデータの収集、分析を行って、二世、三世信者の抱える課題の実態等を把握し、関係省庁間で共有するなどして、相談対応の充実に努めてまいります。

 また、委員御指摘のいわゆる二世、三世信者が抱える悩みや問題に関しましては、特に子供、若者の救済の観点から申し上げますと、市町村及び児童相談所における虐待対応に関するQアンドAの作成やSNSによる相談体制の整備、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーによる支援の推進、ハローワーク等を通じた就労支援、高等教育の修学支援新制度等を通じた修学支援、人権擁護機関による人権教室、出前講座等の消費者教育等の方策を取りまとめたところでございます。

 今後とも、申し合わせた方策について、関係省庁間で連携しながらしっかりと推進し、総合的な支援や相談対応の充実に努めてまいります。

○片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議取りまとめにおきましては、消費生活相談につきましてもその強化を図ることとされたところでございます。

 これを受けまして、消費者庁といたしましては、相談内容が宗教に関わることのみを理由として消極的な対応を行わないよう、改めて周知をいたしました。

 また、霊感商法等に関する現場の相談員向け研修の充実などを通じて、スキルや対応力の向上にも取り組んでまいります。

 それから、先ほども御答弁ありましたけれども、関係機関、関係省庁との連携の強化にも努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○古屋(範)委員 法務省としても、法テラスで対応強化をしてくださるということでございました。

 先ほども言いましたように、まず、子供たちがどこに相談していいか分からない。学校の教師が応じてくれるかというと、これも難しいかもしれない。また、児童相談所に相談をするということもなかなか難しいことであります。児童相談所の方も、この問題に関してはやはり家庭内の問題と捉えがちであると思います。

 献金問題によって進学ができないというお子さんもいるかと思います。確かに、奨学金制度、給付型の奨学金等もありますけれども、子供が一人でまずは受験をしていくということも、経済的な基盤がなければ難しいですし、自分一人で進学の手続をして、そして奨学金の手続をする、こうしたこともなかなか困難ではないかなという気がしております。

 ですので、窓口に相談が来たら、法律家、あるいはこうしたスクールソーシャルワーカーですとか、また学校関係者等、必要な専門家につなげていただくということが重要かと思っております。こうした問題で悩む二世、三世への救済、これをしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 最後の質問になりました。大臣にお伺いいたします。神奈川で大変いろいろとお世話になっております。

 この旧統一教会の問題につきましては、まず事態を分析して、被害者一人一人に寄り添ったきめ細かな対策を講じるべきであると思います。また、苦しんでいる方々の相談、支援、これを一体的に進めるなど、体制の充実が不可欠であります。霊感商法等による消費者被害の救済については、実効性ある救済の仕組みを早急に構築すべきと考えます。最後に大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

○河野国務大臣 ありがとうございます。

 消費者庁で行いました検討会から報告書が出されておりますので、それを踏まえまして、相談対応を充実する、あるいは消費者教育をしっかりと推進をしていくとともに、被害の発生を予防し、あるいは救済を容易にするために必要な法律の整備といったものを速やかに行ってまいりたいというふうに思います。

○古屋(範)委員 大臣の御決意をお伺いいたしました。相談対応の充実、それから消費者教育の充実、また、予防、救済、こうした構築をしっかりとしていただきたいと思っております。

 今、消費者契約法の改正案、早急に検討していただくことになっておりますけれども、是非その先にある新法も視野に入れて早急に検討をしていただきたい、作り上げていただきたいと思っております。

 時間を少し残しておりますけれども、そろそろ時間でございますので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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