APEC保健・経済ハイレベル会合に参加して(公明新聞 2016年9月5日付)
最も高齢化が進む 日本の経験、各国で共有を
手記 古屋範子 厚生労働副大臣
8月21、22両日、ペルーのリマで開催された「第6回APEC保健・経済ハイレベル会合」に出席しました。
APECとは、アジア太平洋地域の21の国と地域が参加する経済協力の枠組みです。「保健・経済ハイレベル会合」は、APECにおける保健および経済に関する問題解決に向け、各国が協力や連携することをめざしています。
今回は「持続可能な開発目標をサポートするための『健康アジア太平洋2020』の実施の推進」をテーマに、持続可能でパフォーマンスの高い保健システムを築くため、各国の成功事例や革新的アプローチを共有しながら議論することを目的に開催されました。
会合では、開催国であるペルーの保健大臣の基調演説の後、私は三つのテーマでスピーチをしました。
第一に、エボラ出血熱の流行などの公衆衛生危機について、国際保健の枠組みを強化するため、世界保健機関(WHO)などと協力し、関係機関への支援を強めること。そして、世界健康安全保障アジェンダなどを通じて、世界に貢献していくと訴えました。
第二に、全ての人が適切な保健医療サービスを必要な時に受けられる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」に関して、わが国は1961年に国民皆保険制度を構築し、2000年に介護保険制度を導入したことを紹介しました。そして、世界で最も高齢化が進んだ社会に直面している日本の経験を各国と共有したいと強調しました。
第三に、薬剤が効かない、あるいは効きにくくなる「薬剤耐性(AMR)」の問題について、獣医や畜産、農業分野など多様なセクター(部門)と共同で取り組む「ワン・ヘルス・アプローチ」を推進することを表明しました。保健人材開発の重要性についても触れ、アジア太平洋地域の発展のため、保健分野における課題に対して全力で貢献していくと決意を述べ、スピーチを締めくくりました。
最終議論の総括では、コーディネーターより国際社会における日本の取り組みについて評価をしていただきました。APECの会議での経験を生かし、今後も国際社会において、人々の生命や健康を守る取り組みに力を尽くしていきたいと思います。