第189国会 厚生労働委員会 12号

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 先日の本会議に引き続きまして、医療保険制度改革法案について質問をしてまいります。

 そこでも述べましたように、昭和三十六年に全国で国民健康保険事業が実施をされまして、国民皆保険が達成をされてから五十年以上が過ぎたというわけであります。この間、国民健康保険は、国民皆保険の中核的役割を担うとともに、医療のセーフティーネットとして国民の医療を支えてまいりました。

 この国民健康保険は、発足当時は農水産業あるいは自営業を中心とした制度でございましたけれども、現在では、無職者あるいは非正規の被用者、低所得者の割合などがふえ、医療保険制度を取り巻く環境というのは大きく変化をし、財政状況も厳しい、課題が山積をいたしております。

 平成二十四年、三年前になりますが、この通常国会におきまして、民主党政権下でございました、社会保障と税一体改革関連七法案が提出をされました。それとあわせまして、年金、医療、介護、また子育て支援、この四分野におきまして、社会保障の国民会議を設置して、改革を総合的、集中的に推進していく社会保障制度の改革推進法案、これは議員立法であわせて提出をされたところでございます。

 その当時、私たちは野党であったわけでございますが、衆議院だけでも百時間を超える税と社会保障一体改革の審議に応じ、法律が成立に至ったというわけでございます。

 その社会保障制度改革推進法に基づきまして、社会保障国民会議が設置をされました。その年の十一月三十日、自民、民主、公明三党で決めた委員で構成される国民会議がスタートしたというわけであります。これと並行いたしまして、自民、民主、公明の三党協議がダブルトラックで行われてまいりました。

 年金に関しましては、社会保障・税一体改革の中で、既に、被用者年金の一元化であるとか、あるいは厚生年金の適用拡大、また、受給資格期間二十五年から十年への短縮というようなことが盛り込まれて成立をした。子育てに関しましても、子ども・子育て支援制度、この関連法案が既に二十四年のときには成立をいたしました。

 残されたのが、医療、介護の分野であったわけであります。

 三党協議というのは、週一回から二回、一回一時間から二時間、行われてまいりました。私は、民主党に対しましては、医療、介護の議論をしようということを何度も申し上げてまいりました。しかし、民主党の側は、どうしても年金の抜本改革の議論をしようということで、そこにこだわり続けて、結局は半年間入り口論で終始したというわけでございます。大変残念だったと言わざるを得ません。

 そのとき、民主党サイドも、医療に関しては、例えば後期高齢者医療の廃止ということを主張されていたんですが、国民健康保険の都道府県単位化などは、お互いに共通の認識を持っていたのではないかという印象がございました。

 三党として、国民に対して、半年も議論したのだから、こうした医療を初め共通の認識に立てる項目については一定の取りまとめをし、提示をすべきであったというふうに私は今でも考えております。それが私たちに課せられた責任であったというふうに思います。しかし、どこまでも年金の抜本改革をするのだということを述べられて、入り口論で、実質的な議論にはなかなか入れなかったというわけであります。

 一方、国民会議の方は、二十回に及ぶ会議を経まして、翌年の平成二十五年八月六日に最終報告を取りまとめた。我が国の社会保障、その最高峰の有識者が集まって、子育て支援から始まる報告書が出されたということは、大きな意義があったというふうに考えております。

 社会保障改革推進法にありますように、施行後一年以内に、国民会議の報告書を踏まえてという、そこの条項に基づいて、八月二十一日に法制上の措置の骨子が閣議決定をされました。既に、年金と子育て関連は、前年に法律が成立をされております。

 そして、その十月に、いわゆる社会保障改革のプログラム法案が提出をされました。このプログラム法案に基づいて、昨年、平成二十六年の通常国会では、医療介護の総合確保法が提出をされて成立をした。そして、このたびの医療保険制度改革法案の審議に至っている。この三年間の経緯でございます。

 プログラム法の中に、医療保険制度に関しまして、次のような検討項目が盛り込まれております。国民健康保険に対する財政支援の充実、あるいは国民健康保険の運営業務を財政運営を初めとして都道府県が担う、あるいは協会けんぽの国庫補助率に対する所要の措置、国民健康保険等保険料に係る低所得者の負担軽減、被用者保険に係る後期高齢者支援金の総報酬割、このようなことが八項目盛り込まれておりました。この内容を踏まえての本法律案であるというふうに思います。

 改めて、ここに至る税・社会保障一体改革からの本法律案の位置づけ、また意義について、政務官にお伺いしたいと思います。

    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕

○橋本大臣政務官 今、古屋委員から、社会保障・税一体改革のこれまでの経緯の御紹介をいただきました。私が国会にいなかった時期も含めて丁寧に御紹介をいただきまして、ありがとうございます。

 今御紹介いただきましたとおり、今回の法案は、三党合意をいただいて行われてきた一連の社会保障・税一体改革の一環として検討し、そしてまたプログラム法などによりまして今回の御提案に至ったという位置のものでございます。

 法案の意義につきまして申し上げますと、我が国の医療保険制度は世界に冠たる国民皆保険を達成しておりますが、これを維持し、国民が安心して必要な医療を受けられるようにしていくことが医療政策上の重要なテーマであるということは、もう論をまたないことだと思います。

 加えて、近年、少子高齢化の急速な進展等により、地域包括ケアシステムの必要性が高まり、医療のあり方そのものも変化が求められております。

 こうしたことを踏まえまして、昨年六月に医療介護総合確保推進法が成立し、都道府県を地域医療構想の策定主体と位置づけた上で、病床機能の分化、連携、在宅医療の充実等、医療提供体制の改革を今進めてきているところでございます。

 他方、医療の提供面はそういうことで取り組んでおりますが、財政面の方を見てみますと、高齢化の進展や医療の高度化等により医療費の増加が続いており、医療保険制度の財政基盤の安定化、負担の公平化、医療費適正化の推進などを図る必要がなおあると考えるところでございます。

 これらを踏まえまして、医療保険制度においても、医療提供体制の改革における都道府県の役割強化と方向を同じくし、あわせて、国保が抱える財政上の構造問題により的確に対応できるよう、都道府県を国保財政運営の責任主体と定めるとともに、国保財政の安定化等、またそのほか、さらにさまざまな医療保険の財政面での諸課題への取り組みを進めることなどが、今回の法案の大きな意義の柱であると考えております。

○古屋(範)委員 今、本法案の意義を伺いました。

 いわば、民主党政権下で行われた税・社会保障一体改革、その流れの中で本法律案が最後に出てきた法律であるというふうに言えると思います。

 税・社会保障一体改革三党合意は、社会保障、特に年金のような、人の人生においては、六十年、七十年、あるいはそれ以上長期にわたってかかわる社会保障制度というものが、政権交代をしても、実際政権交代が起こったわけですが、大きく振れて国民の信頼を失うということがないように、そういう意味があったというふうに思っております。この法案を成立させることにより、大きな山が三年を経て一つ区切りとなるというふうに考えております。

 その上で、今回の改革は、生活、家計に影響が及ぶというような内容でもあるわけなんですが、医療水準を維持しつつ、持続可能な医療制度への移行を見据えて効率化、適正化を進めていかなくてはならないわけであります。医療費の増大をどう抑えていくのか、また医療の質を上げていく、これは非常に難しい課題だというふうに思っております。

 昨年、医療介護総合確保法が成立をしたわけなんですが、その中で、二次医療圏ごとに、どのような機能を持った医療機関がどれくらい必要か、目指すべき医療提供体制を実現する、この施策を定める地域医療構想をつくることが重要であるというふうに思っております。

 国保財政が今後都道府県に任されるわけなんですが、この地域医療ビジョンをつくっていく、ここが非常に重要となり、結果、国保財政の安定化にもつながっていくというふうに思っております。

 地域医療ビジョン、昨年法律ができてから一年近くたつわけなんですが、この点について御所見を伺いたいと思います。

○橋本大臣政務官 昨年成立しました医療介護総合確保推進法によりまして、本年四月から、都道府県が地域医療構想を策定し、高度急性期、急性期、回復期、慢性期といった病床の機能分化、連携を進め、質が高く効率的な医療提供体制を構築することとしております。

 都道府県は、地域医療構想の中で、地域ごとに将来の医療機能別の医療需要と病床数の必要量を推計するほか、地域医療構想の実現に向けて、地域医療介護総合確保基金を活用して、病床の機能分化、連携に係る事業等を支援する、地域医療構想調整会議を設置し、医療関係者による協議を進めることとなっておりまして、都道府県がしっかりとその地域の医療を進めていくという役割を持っていただく、大変重要な役割を持っていただくということとしたところでございます。

 厚生労働省といたしましては、地域医療介護総合確保基金への財政支援を実施しているほか、この三月には地域医療構想策定のためのガイドラインを都道府県にお示しをし、今年度つくっていただくということにしたところでございます。

○古屋(範)委員 そのような中で、今進行中ということでございます。国がしっかりと都道府県についても指導、推進をしていただきたいというふうに思っております。

 国保財政を都道府県が担っていくということは、地域医療ビジョンを策定していく上でも、財政を担うということが一つの大きな責任にもなっていくんだろうというふうに思います。これからは都道府県が医療提供体制また財政運営、両方責任を担うということが明確になっていくというふうに思います。国も、さらに後押しをしていただきたいというふうに思います。

 さらに、地域医療ビジョンの確立だけでは、なかなか、医療費の伸びというものを抑制していくのは難しいかというふうに思っております。本法律案には、自治体また健康保険組合などの保険者と個人の両方に健康増進や病気予防への取り組みをお願いしております。私たちも、これまで、健康、予防に頑張っている方々また保険者に対して、保険料を軽減する仕組みなど、インセンティブを取り入れていただきたいということは主張してきたところでございます。このようなことが盛り込まれたということは評価をいたしております。

 今回の改正で、予防、健康づくりの取り組みをする保険者に対するインセンティブをより重視するために、後発医薬品、ジェネリックの使用割合また特定健診の実施率などに応じて、保険者の後期高齢者支援金を加減算する仕組みが取り入れられております。昨日の参考人質疑でも、岡崎高知市長また福田栃木県知事も、こうした健診率のアップとか予防、健康づくりには全力を挙げていきたいというようなことを述べられていらっしゃいました。

 保険者努力支援制度を創設して積極的な自治体に財政支援をする、このような取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○唐澤政府参考人 ありがとうございます。

 御指摘のように、予防、健康づくりなど積極的に医療費の適正化という面で御努力いただいている自治体を支援する仕組みが必要ではないかということは、かねてから御指摘をいただいておりました。

 ただ、これまでございましたような加減算というのは、片方にはペナルティーというようなものがついておりまして、なかなか保険者の御理解を得られない面もございまして、私ども、今回、新たな財源をいただくことができましたので、これを活用させていただきまして、保険者努力支援制度ということで、予防、健康づくりを初めとする、そういう医療費の適正化に積極的に取り組む自治体への財政的な支援をインセンティブとして行えるようにしたいと考えております。

 具体的な指標につきましては、今御指摘ございましたような特定健診や特定保健指導などの実施状況、それから、医療の効率的な提供という観点から後発医薬品の使用割合、あるいは保険料の収納率の向上の努力など、こういうようなものを指標として評価をしていったらどうかということを考えておりますけれども、具体的には、今後、国、地方の協議会もございますので、都道府県や市町村の御意見を十分伺いながら、よい制度に設計していきたいと考えているところでございます。

○古屋(範)委員 最後の質問になります。

 健康ポイント制度等も拡充をして、個々人が健康づくりに取り組む努力を支援するということも盛り込まれております。

 私たちは、介護の分野で、お元気な高齢者がボランティアなどをして、そしてボランティアポイントを積み立てていく、そして何らかの、それを評価していくというような制度を公明党のネットワークで全国に展開をして導入をしてきたところでございます。ボランティアに対するやりがいというものを持っていただくということで、大変これも評価をいただいている制度でございます。

 今回の健康ポイント制度は自助努力への支援ということで、私たちが介護で行ってまいりました医療版のポイント制度とも言えるかと思います。努力をして健康維持をしている方々、医療保険を使わなかった方、医療保険を納めるだけというのは不公平感もあるように思います。そういう意味でも、将来の利用料負担軽減に通じる健康ポイント制度等の導入、また保険料への支援について、大変効果が期待されるところでございます。

 医療に関する全国のデータベース、ビッグデータの活用で、医療費の地域差の見える化、あるいは予防、健康づくりへのインセンティブの充実強化を一層推進すべきと考えます。この点について伺いたいと思います。

○唐澤政府参考人 予防、健康づくりの自助努力のインセンティブということで、一つにはヘルスケアポイントというような形で、健診を受けていただいたり、あるいは保健指導を受けていただいたり、あるいはウオーキングをしていただくというような御自分の目標を設定していただくというようなことで、それを実施していただきながらその健康ポイントをためていただきまして、そしてそれを健康の増進のためにさらに活用していただく、そういう仕組みを導入させていただきたいと考えております。

 また、あわせて御指摘のございました、全国のデータベースを活用いたしまして、レセプトデータ、特定健診のデータというものが既にナショナルデータベースとして蓄積されておりますので、これを保険者ごとに分析、活用していただくデータヘルス計画というものも、全ての保険者で計画を策定していただくということを要請しているわけでございます。

 今回の法案では、こうした保険者の、ただいまのヘルスケアポイントのような取り組み、あるいはデータヘルスの取り組みというものを法律上にも位置づけているところでございまして、今後、保健事業の中で、保険者が、加入者の皆様の予防、健康づくりのための取り組みを一層推進していただけるように環境を整えてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 税・社会保障一体改革の総仕上げともいうべき本法律案、一日も早く成立をさせなければいけない、このことを申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。

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