第198回国会 衆議院 環境委員会-6号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、フロン管理適正化法案について質問をしてまいります。

 かつて、オゾン層を破壊するとして、フロンが世界的に製造禁止ということが進んでまいりました。それにかわって使われているのが代替フロンであります。しかし、この代替フロンは、オゾン層を壊さないけれども、二酸化炭素の数百倍から一万倍超の温室効果があるということで、温暖化対策の面から規制するため、政府は、代替フロンが大気中に排出されるのを抑えるためにこの法律案を提出をされました。

 今回の改正の主な柱として、まず、一回でも違反すれば罰則を科していく、罰則強化、そして、回収済みの証明書がないと処理業者に機器を渡せないようにする、また、都道府県が建物の解体現場に立入調査をすることができる、このような改正点が盛り込まれております。

 今改正案は、回収率の向上につながる実効性ある対策の第一歩であると評価をすることができると思っております。

 このフロン類の回収・破壊につきましては、二〇〇一年の六月に、業務用冷凍空調機器等からのフロン類の回収・破壊を義務づけるフロン回収・破壊法が制定をされました。しかしながら、この機器廃棄時の冷媒回収率、法施行後十年以上で三割台で推移をしました。

 廃棄時の回収率の向上に累次の改正が行われてきたわけでございます。二〇〇六年には行程管理制度の導入等の改正、二〇一三年にはフロン回収・破壊法を抜本改正、フロン類製造から破壊まで、ライフサイクル全体にわたる包括的な対策を講じるフロン排出抑制法とする大幅な改正をしたわけなんですが、二〇一七年度現在でも廃棄時の回収率は四割弱と、飛躍的な向上には至っておりません。

 初めに、代替フロンが地球温暖化に与える影響について、また、フロン回収・破壊法の制定後、廃棄時回収率が低迷し続けている原因、そして、今回の改正まで非常に長い時間がかかった原因についてお伺いをいたします。

○森下政府参考人 まず、代替フロンでございますけれども、二酸化炭素の数十倍から一万倍以上と、非常に高い温室効果を有してございます。冷凍冷蔵機器や空調機器の冷媒において特定フロンからの代替が進んでいることなどによりまして、近年排出量が増加をしているというところでございます。

 フロン類の廃棄時の回収につきましては、御紹介もありましたが、平成十三年の法制定時に、まず、ユーザーによる冷媒フロン類の引渡義務、これは罰則などの担保措置はございませんでした、が規定をされまして、その後、平成十八年の改正によりまして、現状の間接罰あるいは行程管理制度、そういったものが導入されてございます。

 さらには、平成二十五年の改正によりまして、ライフサイクルをしっかりと管理をしていこうということの中で機器の管理者が位置づけられまして、ユーザーの適切な機器管理の認識が高まったということで、これまでフロン対策につきましては、逐次、状況も踏まえながら、施策の見直しそして強化を図ってきておるところでございます。

 しかしながら、廃棄時回収率につきましては、当初、約三割というところでスタートをしておりまして、こういった改正によりまして、特に直近の平成二十五年の改正で一定程度回収率が向上いたしましたが、現状としてはまだ四割弱にとどまっているということがございます。

 まだまだこの法律の周知、そして実効性を上げていくといった取組を強化をしていく必要があるというふうに考えておりまして、そういったことも踏まえまして、今回、法制定以降の累次の改正や詳細な要因分析を行いまして、法律の改正案を御提示させていただいているということでございます。

○古屋(範)委員 廃棄時回収率達成への取組、また目標達成についてお伺いをしてまいります。

 本法律案では、施行日を、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 地球温暖化対策計画におきましては、廃棄時回収率目標、二〇二〇年五〇%、また二〇三〇年七〇%ということが掲げられております。しかし、残された時間は非常に短いということが言えます。この廃棄時回収率目標達成見通しにつきまして、京都議定書目標達成計画における廃棄時回収率の目標、二〇一〇年度において六〇%、これも既に達成ができなかったということがわかっております。

 二〇二〇年五〇%の廃棄時回収率達成のために、この改正成立後、一刻も早く施行されて、目標達成に取り組んでいくことが必要であるというふうに思っております。この点について、また、廃棄時回収率の目標達成、先ほど言いました二〇二〇年度五〇%、二〇三〇年度七〇%の見通しについて、これは大臣にお伺いをしたいと思います。

○原田国務大臣 本改正は、再三議論が進んでおりますけれども、機器ユーザーの回収義務違反に係る直罰の導入、解体現場への立入検査の対象範囲拡大等によりユーザーに対する指導監督の実効性を向上させること、さらには、ユーザーによるフロン回収が確認できない機器を廃棄物・リサイクル業者等が引き取ることを禁止する、こういうことによって廃棄時回収率を向上させることを目指しているところであります。

 今回の改正により相当程度の回収率の向上を見込んでおり、二〇二〇年度には、現状の四割弱から、地球温暖化対策計画の目標である五〇%への引上げを達成したいと考えております。

 今委員が御指摘のように、全体としてはかなりおくれているんじゃないかということでございまして、私どもその辺は真摯に反省いたしまして、できるだけ、当初立てた大なる目標を達成できるようにこれから努力をしたい、こう思っております。

○古屋(範)委員 国会といたしましても、本法律案、早期に成立をさせ、ぜひとも早期に施行していただいて、目標達成に全力を挙げていただきたいと思っております。

 しかし、フロン類を使用した機器が一旦市場に出回ってしまって、その機器を使用している事業者、また行政も、労力また費用をかけてフロン類を回収するということになってしまうわけであります。これを着実に効果を上げていかなければならないんですが、しかし、これはやはり対症療法であると言えると思います。抜本的な対策として、フロン類を代替物質へと転換をしていく、廃棄時にフロン類を回収する必要のない機器へとかえていくことが最も重要であります。

 私も、せんだって、委員長とともに、大田区にあります東京団地冷蔵株式会社に行かせていただきました。こちらは、全体が老朽化したということで、総額約四百億円をかけて全て建て直して、そのときに、アンモニア、CO2を使っている省エネ型の自然冷媒機を導入をしています。これは環境省の補助金制度を活用をしておりました。マイナス二十度の冷凍庫にも入り、体験をさせていただき、バックヤードも機械室も見せていただきました。

 また、ローソンなども二〇一〇年度からノンフロン冷凍冷蔵システムの設置を開始をしているということで、徐々にこうした取組は広がりつつあるのかなというふうに思っておりますが、この脱フロン、低炭素化を進めるために、こうした自然冷媒機器を導入を促進するということが不可欠であります。政府として、こうした代替フロンにかわる冷媒の開発を後押しすべきと考えます。この点についてお伺いします。

 また、省エネ型の自然冷媒機の導入に対して、二〇一八年度から五年間の事業として支援を行っていらっしゃいます。今年度も七十五億円の予算が充てられております。こうした自然冷媒機器の導入の状況と、そして温室効果ガスの削減効果についてお伺いします。

 さらに、この自然冷媒機器の導入を加速化していく事業の今後の見通しについてお伺いをいたします。

○勝俣大臣政務官 ありがとうございます。

 代替フロンからグリーン冷媒への転換については、経済産業省が研究開発を、環境省が普及を促進しているという役割分担のもと、開発及び導入の支援を進めているところであります。

 経済産業省では、現時点で代替技術が見込まれない分野について、産学官のプロジェクトにより、グリーン冷媒技術の開発を進めていくこととしております。

 環境省においては、省エネ型自然冷媒機器の導入補助事業を実施してきておりまして、平成三十年度までの自然冷媒機器の累積導入数は、現在千八百五十件に上っております。

 これらの取組は、温暖化防止に貢献するとともに、日本企業の新たな市場獲得にもつながります。今後、更にグリーン冷媒機器の開発導入を進め、地球温暖化対策計画に定められた、二〇三〇年度までにCO2換算で一千百二十万トンのフロン削減を目指してまいるところでございます。

○古屋(範)委員 今、導入の状況を政務官からお答えをいただきました。

 今後、設備更新時に、事業者、中小企業も含めまして、自然冷媒機器を選択するために、機器の低価格化とともに、導入するメリット等の情報を的確に発信をしていくということが必要になってくると思います。

 事業者が自然冷媒機器を導入するメリット、また導入を加速化をするための情報発信の取組についてお伺いをいたします。

○森下政府参考人 事業者の方々にしっかりとこういった環境によい機器を導入していただくことは非常に重要でございまして、そのために、適切なタイミングで正しい情報を御提供することは非常に大事だというふうに思っております。

 こういった新しい機器を導入することのメリットとしましては、例えば、もちろんオゾン層保護にも役に立つし、そして温暖化対策にも役に立つということでございますけれども、また、経済的なメリットということもあるということを御理解をいただくことも非常に重要かと思います。

 特に、非常に省エネ型ということで、ランニングコストで見てみると、かなり戻ってくる、あるいはプラスになる部分も出てくる。あるいは、機器がより高性能化、高度化して、安定的なオペレーション、そして、事故あるいは故障がより少ないものが提供されている。そういったことをしっかりと情報提供させていただくことで、導入促進のまた後押しをしていきたいというふうにも考えております。

○古屋(範)委員 事業者への導入促進、これはしっかり図っていかなければならないと思っております。

 現行法の九十七条第一項には、国は、フロン類の大気中への排出を抑制するために、事業者及び国民の理解と協力を得ることが欠くことができないものであることに鑑み、フロン類の使用の合理化と、充実に必要な措置を講ずるということが規定をされております。

 政府は、九月をオゾン層保護対策推進月間と定めております。今回の改正で罰則が強化をされるわけなんですが、廃棄が限定的なために、その内容を十分認識しないまま廃棄をしてフロン類が大気中に放出されることのないよう、法改正後の周知を図るべきと思っております。家庭用エアコン、冷蔵庫などにもフロン類が含まれておりますので、温室効果ガスとしてのフロン類排出削減について、国民の理解また協力を得るための取組も重要であると思います。この具体的方針について伺います。

○森下政府参考人 国民の皆様方に、フロン類対策の重要性、そして今回の法改正の必要性について御理解をいただくことは極めて重要だというふうに考えてございます。

 私ども環境省といたしましては、関係省庁あるいは都道府県、関係団体等とともに緊密に連携をしまして、お話にもありましたオゾン層保護月間などの機会に、ポスター、パンフレットの作成、そして説明会の開催を行う等によりまして、フロン類対策の重要性の周知に今努めているというところでございます。

 今回の法改正につきましては、お認めいただけましたならば、普及啓発ツールを作成をいたしまして、解体元請業者さんあるいは廃棄物・リサイクル業者さん等の協力を得て、機器が廃棄される局面において、ユーザーと相互に確認、周知を図っていくということで、しっかりとこの法の趣旨、そして施行が徹底されるように努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、地球温暖化防止推進センターというのもございますので、そことも連携をいたしまして、普及啓発を強化をしてまいりたいというふうに考えております。

○古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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