第204回国会 衆議院 消費者問題に関する特別委員会-8号

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 今日は、四人の参考人の皆様、国会においでいただきまして、御意見を述べていただきました。感謝を申し上げます。

 先ほども参考人からも御紹介がありましたけれども、今回の特定商取引法の改正案、三十五年ぶりの抜本改正となっております。これまでの委員と若干ちょっと重なる質問になってしまうんですが、お許しいただいて、私からも確認の質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、河上参考人にお伺いいたします。

 検討会の座長として報告書を取りまとめられ、心から敬意を表したいと思います。販売預託商法の原則禁止ということに関しまして、豊田商事事件、被害者二万九千人、また約二千億円という莫大な消費者被害をもたらしました。これに対しましては、毅然とした態度で臨んでいくということで、無限連鎖講に匹敵する危険極まりない商法であるということを断じていらっしゃいます。

 改めまして、今回、販売預託商法原則禁止の意義と、それからこの法律の成立の必要性、そしてまた施行までにやらなければいけないこと、これについて、まず河上参考人にお伺いいたします。

河上参考人 原則禁止という形にするという法案になっていることについては、これは私は大いに評価しているところであります。

 もちろん、契約自由という対抗原理はあるわけですけれども、販売預託というのは基本的にはウンベルトである、無価値であるという評価でありまして、このようなものの有効を前提としていろいろな対策を講ずるという必要はないというふうに考えていたところでございます。

 実際にこの法律を施行するというために幾つかあり得るのは、場合によってですけれども、例外的な措置というものが必要になる場面があるかもしれないというような懸念がいつもついてきたわけなんですけれども、それについては限りなくゼロにするということと、もし仮に必要な場面があったとしても、金商法とかそういう金融関係の法律との間に隙間がないようにするということと、場合によっては、そのような取引をするための前提要件について消費者委員会なりに諮ってそのような要件を考えてもらうというふうにして、ハードルを高くしていくということが必要だろうと考えております。

古屋(範)委員 この販売預託商法、高利回りをうたって、実際に物品はほとんどない、あってもごく僅か、それを、一方の契約者から他方の顧客にいわばお金をただ回していくだけ、無価値という御意見をいただきました。しっかりこれを早急に成立させていかなければいけないと思っております。

 今、河上参考人の方からもこの例外について期せずして言及があったんですけれども、石戸谷参考人にお伺いをしてまいります。

 この原則禁止ということに関して、厳格な手続の下で消費者庁が個別に確認をしていくということになっております。この販売預託の確認は、契約の勧誘等の段階及び契約の締結等の段階、それぞれにおいて内閣総理大臣が確認を行うということになっております。このところ、厳正に行っていかなければいけないと私も思います。ここに関して、御意見がありましたらお伺いをしたいと思います。

石戸谷参考人 この確認制度でありますけれども、日弁連の方では、金融商品取引法に一本化、それが駄目なら同等の法律を消費者庁で隙間なくという路線で来たというのは、登録制にすると、隙間なくカバーできて、審査もできるのではないかということです。禁止するというと、どうしても禁止対象というのが罰則との関係で狭くなってしまうのではないかというところで、そういう組立ての意見になっていたわけです。

 原則禁止というもので、かつ隙間なくというのはどういう形でやれるのかというところが、私は今回、確認制度という新しい制度で、非常に工夫されたものだと思っております。ですので、そこのところは、原則禁止しながら、かつ例外的に許容できるものという振り分けをその段階でするという仕組みになっておりまして、これは高く評価できると思います。

 かつ、消費者庁だけではなくて、消費者委員会の意見を勧誘段階、契約段階それぞれについて聞くということになっていますので、消費者委員会の方もそれを審査できる体制の方をしっかり考えてほしいというふうに思います。

古屋(範)委員 確認制度が実効性あるものとなるように、体制の整備等も含めて今後取り組む必要があるという御意見をいただきました。ありがとうございました。

 もう一度、河上参考人にお伺いをいたします。

 今回、送りつけ商法に対する対策が盛り込まれました。参考人も、全体としては八十五点の法律という御評価を述べていらっしゃいましたけれども、消費者は一方的に送りつけられた商品を直ちに処分等ができる、また、送付した事業者に返還請求できないようにする規定が整備をされることとなりました。この内容の意義、また課題について、御意見をいただければと思います。

河上参考人 送りつけ行為というのは、それ自体、何ら正常な事業活動ではないということは、これは明らかであります。そもそも、消費者を誤認させて代金を支払わせるという行為ですから、詐欺行為に匹敵するということでありますから、それは禁止されるべき行為であろうということは確かであります。

 法案の中で禁止規定が入っていないということはいろいろな方がおっしゃるところでありますけれども、禁止されなくても禁止しても、結局は禁止されている行為でありまして、消費者としては、代金を払う必要は全くございませんし、払ってしまったお金は返還請求ができるということであります。

 特商法なんかで禁止した方がいいんじゃないかという主張は理解できますし、私も賛成なんですけれども、それをやるんだったら、そっとやらないと、こういう公の場で今度禁止することにしたんだと言ったら、禁止されるまでは禁止されていないんだと思うやからがいる可能性があるんですね。ですから、その意味では、送りつけ商法は、もうこれは今でもビジネスとしては成り立たない、禁止された正当性のない行為であるというふうに捉えておくのが差し当たりは適切かと考えているところでございます。

古屋(範)委員 適切な御意見をいただきました。ありがとうございました。

 増田参考人にお伺いをしてまいります。

 日頃から消費者を守る活動に尽力されていて、感謝を申し上げたいと思います。

 定期購入販売についてお伺いしてまいります。

 SNSが普及をし、やはりネットで購入するという場面が増えてまいりました。また、通販も本当に広がっております。その中で、この定期購入販売に関する相談件数が大変増えてきております。

 それで、今回、この詐欺的な定期購入の対策として、定期購入でない、初回限定みたいな誤認させる表示に対する直罰化とか、このような表示で誤認して申込みをした場合に申込みの取消しを認める制度を創設するなど、この定期購入販売に関する被害を防止する、そのような改正点が盛り込まれております。今回のこの法律の有効性、また意義についてお伺いしたいと思います。

増田参考人 ありがとうございます。

 今回の改正は非常に有効だというふうに思っております。既に、一定の事業活動をしている事業者の間ではこの法案については理解をしていて、定期購入の相談が少しずつ減少しているのではないかというふうな感触を持っておりますので、これがきちんと公布された場合には効果が大きく出るのではないかなというふうに思っております。

古屋(範)委員 続けて、増田参考人にお伺いいたします。

 成年年齢の引下げで、十八歳、十九歳、こうした若年層への消費者被害というものが懸念をされる。また、当然、高齢化も進んでいる。対応に大変御苦労されていると思うんですけれども、こうした脆弱な消費者が増大をしていく中で、やはり、消費者被害に対する対策も当然なんですけれども、消費者被害を起こさないために消費者教育が大変重要かと思います。これについて、御意見があればお伺いをいたしたいと思います。

増田参考人 まさにそのとおりだというふうに思っております。現在、消費者庁でも消費者教育に非常に御尽力いただいていると思います。ですので、それは引き続き、この一年、最後の一年になりますので、是非実行していただきたい。私たちも努力したいと思っております。

 ただ、高齢者に関して言えば、消費者教育がほとんど効果はないですね。幾ら教育しようとしてもなかなか効果が発揮できないというふうに思いますので、そこはやはり、教育というよりは見守りが必要だというふうに理解しております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 河上参考人に、最後、お伺いをしてまいります。

 今回、電磁的方法による契約というものが盛り込まれました。政令の定めるところにより、消費者の承諾を得て、書面の交付に代えて電磁的方法で提供できるようにすると。前回の議論でも、口頭だけの承諾は認めないとか、明示的に確認をする、また明示的に返信、返答がなければ合意とみなさないなど、やはり、消費者の承諾を得る、その承諾の取り方、それが非常に重要だというふうに思います。消費者庁としてもこれから政省令をしっかり策定をしていくということでございますけれども、その政省令も、消費者団体の皆様の意見を十分に聞いて策定をしていく必要があると思います。

 ここの承諾の取り方、また今後の政省令の策定について、御意見をいただきたいと思います。

河上参考人 ありがとうございます。

 これは、先ほど尾辻先生からの質問に池本先生なんかもお答えになっていたところについて、私は全く賛成でございまして、つまり、承諾の取り方、そして承諾の質、さらに、前提とされた説明義務といったようなものがちゃんと確保されていくかどうかというのは、きっちり見ていかないといけないというふうに思います。

 意味のある承諾を確保するために、どういうタイプの契約類型についてはどういう形で承諾を取っていくかということを一つずつ、政令を確定する際には固めていかないといけない。その際に、是非とも消費者団体の意見をきちんと聞いて、それに必要なものを集めていくということが重要であろうと思います。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 貴重な御意見、法案の審議にしっかりと生かしてまいりたいと思います。ありがとうございました。

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