健康増進国際会合に参加して(公明新聞 2016年12月8日付)
高齢化対応の保健施策を強調
手記 古屋範子 厚労副大臣(公明党)
11月21日、中国・上海で開催された「第9回健康増進国際会合」に出席しました。これは世界保健機関(WHO)が主催する閣僚級会合で、約3年ごとに開催され、第1回から今年で30周年になります。ホスト国の中国からは李克強首相が出席し、WHO事務局長や各国保健相、専門家や国際機関などが集いました。
今回は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた健康増進の役割、健康を社会の優先課題とするための政治的リーダーシップ、感染症流行時の対策などを話し合い、「健康増進に関する上海宣言」が採択されました。
私は「政治的リーダーシップ」をテーマにしたパネル討論にフィンランド保健相、ロシア保健相、中国教育副大臣、スイスの国際・開発研究大学院教授とともに登壇。G7議長国の経験を踏まえ、日本が健康増進分野で、今後どうリーダーシップを発揮すべきかについて、4点発言しました。
まず、わが国は強力な政治的リーダーシップで国民皆保険を達成し、多くの健康増進に関する施策を実施したこと。公的介護保険の創設など、急速な人口の高齢化に対応した保健システムを強化し、高齢者の健康状態改善につなげたことを述べました。
次に、1954年から政府開発援助の提供を開始し、2000年以降は人間の安全保障を外交政策と国際協力の柱の一つとしたこと。全ての人の福祉は健康の上にあり、健康は人々が自身の人生の目標を追求する上で重要なものであると訴えました。
また本年のG7神戸保健相会合の成果として、高齢化を初めて取り上げ、あらゆる分野において健康的で活動的な高齢化の追求にG7が取り組むことを確認。
最後に、SDGsの達成には、多様な利害関係者の力を結集することが重要であり、日本は安倍晋三首相を本部長とするSDGs推進本部を本年5月に立ち上げ、関係閣僚や市民社会、アカデミア、民間セクター、国際機関などが協働し、目標達成に向けた取り組みを始めたことを報告しました。
健康増進、国際保健に関する国際会合は、WHO総会やG7、G20会合と続きます。今後もこれらの機会を生かし、健康増進を国際社会の中で主流化させるために尽力してまいります。