女性をもっと応援!(公明新聞 2016年1月1日付)

女性活躍推進法が昨年成立し、2016年は“「女性の活躍」元年”とも言える年になると期待されていますが、一方で多くの課題もあります。女性を取り巻く現状や公明党の取り組みについて解説するとともに、女性をもっと応援するための処方箋を識者に聞き、古屋範子・党女性委員長に決意を語ってもらいました。
 『活躍推進法/企業に行動計画求める』
 公明党の強い推進もあり、日本初のポジティブアクション法ともいわれる女性活躍推進法が昨年制定されました。同法は、企業内などで女性が十分に活躍できるよう、国や自治体、従業員301人以上の企業に、女性活躍のための行動計画の策定を求めるものです。
 これが、「主たる業務は男性、女性はその補助」などの認識に基づき結婚や出産による退職などを迫られる無言の圧力やハラスメントなどの問題をしばしば起こしてきた日本の企業社会に、意識改革を促すものであることは間違いありません。
 また政府は10年以上前から、2020年までに指導的立場に占める女性の割合を30%以上にするという目標を掲げています。
 しかし一方で、民間企業の課長相当職の割合は9・2%、第1子出産を機に離職する人の割合が62%など、日本社会における女性をめぐる現状は、まだまだ女性の社会参画にとって満足のいくものではありません。
 『阻害する制度を早期改革/法政大学教授/武石恵美子さん』
 安倍政権が、女性の活躍を標榜し、政策に取り組んでいることは評価したいと思います。ただ、政治に期待されることは、女性の社会進出や就業を阻害するような制度を早急に改革することです。
 その意味で、高度成長期の名残で、20年以上前から改革の必要性が指摘されている税制の配偶者控除などは、直ちに改正が必要です。専業主婦の家庭の方が世帯主の収入は多く、共働きの家庭は経済的な理由から妻が働く傾向があります。
 また、少子高齢化社会への対応という観点からすれば、財源の配分を、子育てや教育、介護などの支援に振り分けることが求められています。税制は国のあり方に関連しますが、その制度が社会の変化を捉えていないのは重大な問題です。
 公明党は昔から女性議員も多く、子育てをはじめ、女性に関する問題に積極的に取り組んできました。生活者の視点を失わず、政治が陥りがちな“男の論理”と対峙し、将来を託す若い世代のために構造改革に取り組んでほしいです。
 『子育て支援/切れ目ない制度構築へ』
 女性の社会参加を制度面で力強く支えるのは子育て支援や介護支援など。公明党の主張により、社会保障と税の一体改革の一環として、「子ども・子育て支援新制度」が昨年から本格的に始まりました。
 保育所の待機児童解消や産前・産後のケアとしての妊娠・出産包括支援事業を含めた切れ目のない安心の子育て支援に向けた体制がいま、全国各地で整いつつあります。
 出産育児一時金の創設や拡充、不妊治療支援や妊婦健診助成、児童手当、児童虐待の防止など、公明党の推進で子育てを支える政策は数多く実現してきました。
 一方、時短や時差だけでなく、ICT(情報通信技術)を駆使し、時間と場所を選ばず働くことができ、子育てや介護などを機に離職せずに仕事との両立を可能にするテレワークも広まってきました。昨年12月17日、総務省が中心になり、ふるさとテレワーク全国PR会議が、全国15会場を結び、開催されました。
 『能力評価される社会に/テレワーク導入シニア コンサルタント/田澤由利さん』
 女性の活躍において、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方であるテレワークは、大きな役目を担っています。しかし、働く時間や場所が柔軟になることで、労働者の評価が下がったり、過剰労働になったりしては、本末転倒です。
 労働力人口が減少し、子育てや親の介護により、働く時間や場所に制限がある人が増える中、長時間労働が評価される社会ではなく、たとえ制限があっても、仕事の能力が正当に評価され、柔軟に働き続けることができる社会にすることが求められています。
 そのためには、労働者の評価軸を「成果+時間」ではなく「成果÷時間」とし、「時間当たりの生産性」に置くべきと私は考えています。
 2016年は、国によるテレワークの普及や規制改革がさらに進み、企業が時代の変化に柔軟に対応できる体制づくりを進めることで、女性はもちろん全ての国民が働きやすい社会へ向け重要な年になることを願っています。
 『女性の貧困/子ども世代への連鎖防止を』
 現在、女性の非正規雇用の割合は56・7%と、依然過半数。非正規労働者は収入も低く、平均年収は168万円(国税庁調査)。しかも3人に1人は、家計の主たる稼ぎ手です。
 母子家庭などで、家計収入が低いため子どもが十分な教育を受けられず、また資格も取得できず、貧困が子どもに継承されてしまう「貧困の連鎖」が大きな社会問題になっています。
 子どもの貧困率は30年前の1985年に10・9%だったものが、最新の数値では16・3%と、実に6人に1人の子どもが貧困な状況に置かれています【表参照】。この数値はひとり親家庭では54・6%とハネ上がります。
 公明党の取り組みで成立した子どもの貧困対策推進法や生活困窮者自立支援法などに基づき、相談のたらい回しなどを防ぎ、的確な支援策につなげるワンストップ相談窓口や子どもの学習支援などが各地で進んでいますが、さらなる取り組みが必要です。
 『困難抱えた人へ支援強化/公明党女性委員長(党副代表、衆院議員)/古屋範子さん』
 あらゆる分野で女性が生き生きと活躍できる社会をめざし、公明党女性委員会は全力で取り組んできました。
 昨年は、女性活躍の基盤整備のための女性活躍推進法が制定されました。また、私たちは第4次男女共同参画基本計画の策定に向け、提言を発表しました。
 その中にも取り上げましたが、妊娠から子育てまで切れ目ない支援の推進や、介護離職を防ぎ、子育て・介護のダブルケア問題に取り組むことが重要です。介護休業制度の見直し、テレワークの普及などにより、仕事と家庭の両立支援を図ります。
 さらに、男女雇用機会均等法などを改正し、マタニティーハラスメント防止対策を進めていきます。
 また、ひとり親世帯への支援や子どもの貧困対策、児童虐待防止など、困難を抱えた人たちへの支援強化に力を入れて取り組んでいく決意です。
 本年一年、全国の女性議員と共に、一人一人が輝き活躍できる社会の実現へ、走ってまいります。

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