第161回国会 衆議院 厚生労働委員会 第8号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律案につきましてお伺いしてまいりたいと思います。

 まず冒頭、本法案作成に尽力をされてこられた与野党の議員の先生方に、心から敬意を表したいと思っております。

 さて、今、国民の皆様が大変強い関心を持っていらっしゃるのが年金問題でございます。さきの通常国会におきましては、年金の給付と負担の均衡、また世代間格差の是正など、将来にわたる持続可能な制度にするための年金改革法が成立をいたしました。そして、課題として残されている年金制度一元化の問題、第三号被保険者の取り扱い、社会保険庁改革、そして今回の法案の目的であります無年金障害者対策など、積極的に取り組み、制度の信頼回復に努めていかなければいけないというふうに考えております。

 私は、これらの問題に取り組むために、本年五月の自民、公明、民主の三党合意に基づき、一元化問題を含む社会保障全体のあり方を議論することが急務であると考えます。政府におかれましても、細田官房長官の私的懇談会、社会保障の在り方に関する懇談会を立ち上げ、既に社会保障全体の見直し議論を進めていると聞いておりますが、三党合意の与野党協議を早急に始める必要について、まず尾辻大臣にお考えをお伺いいたします。

 また、三党合意にございました与野党協議を行うことについて、民主党の皆様も、年金問題を政争の具とすることなく、一刻も早く協議開始に応ずるべきと考えております。ここで、確認の意味で、民主党、与党の皆様にお考えを伺ってまいります。

○尾辻国務大臣 さきの通常国会における改正年金法の御審議の中で、公的年金制度の一元化を含む社会保障制度の一体的な見直しが大きな論点になりました。そうした中で自民、民主及び公明の三党合意が行われた、こういうふうに理解をいたしております。

 政府といたしましては、この合意を受けまして、さらにまた経済界、労働界からの御要請もありましたから、社会保障の在り方に関する懇談会を設置いたしまして、年金一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的な見直しについて議論を行っているところでございます。

 年金の一元化を初め、年金制度のあり方について引き続き幅広い議論が必要だと考えますので、三党合意を踏まえ、与党間におかれましても、国民的な見地から早急に真摯な協議が行われることを望んでおるところでございます。

○山井議員 古屋範子議員にお答えいたします。
 通常国会の衆議院厚生労働委員会において強行採決が行われた後、民主党、自由民主党、公明党の三党の間で合意が行われました。しかし、参議院厚生労働委員会で、与党は再度強行採決をしました。その時点で与党の行為によって信頼関係が壊されたことは、先日の党首討論によって岡田代表が申し上げたとおりです。そういう意味では、まさに強行採決という手段によって、この年金協議を政争の具にしているのは与党だと言いたいわけであります。

 小泉総理も含め、与党は、三党合意を持ち出して早急に協議を開始することが必要だと言われますが、抜本改革案について責任を持って議論をまとめるというような姿勢は、小泉総理を先頭に、全く見られません。

 岡田代表も、再三、自民党総裁である小泉総理に提案をしております。それは三点であります。第一に、基礎年金ないし最低保障年金相当分について、全額税方式により一元化し、その財源に年金目的消費税を活用すること。第二に、いわゆる二階建て部分については、一元化を前提に、国民年金対象者を含めた負担と給付のあり方について検討すること。最後の第三に、納税者番号制の導入を行うこと。この三点を与党各党が約束するのであれば、与野党間の協議は意味あるものになりますから、すぐにでも協議に入りたいと考えております。さらに、私たちもこの厚生労働委員会において年金の集中審議を求めておりますので、来週からでもその審議を行っていただきたいと思います。

 本気で審議をする気がないのに、アリバイづくりのためにだけ与野党協議という場だけをつくるのは、結果的には国民をだますことになるので、断じて反対であります。
 以上です。

○長勢議員 三党合意の経過につきましては、委員御指摘のとおりでございます。
 年金を初めとする社会保障制度についての国民の関心は非常に高いわけでございますから、党派を超えてきちんとした議論をすることが政治の責任である、このように我が党は考えております。
 今国会におきましても、今山井議員からいろいろお話がありましたが、本会議あるいは予算委員会、国家基本政策委員会等におきまして、総理から、るる御提案の三項目につきましても積極的に、また具体的な意思表明があったところでありますから、ぜひ早急に与野党協議を開始すべきものと考えております。

 このために、先日の当委員会理事会におきまして、与党から、本委員会としての年金改革に関する決議の案、また小委員会設置の案を、野党の皆さんにも具体的に提案をさせていただいたところでございます。この小委員会におきまして、年金の一元化を含む社会保障制度全般の一体的な見直しの議論はもちろんでありますし、また、今まで当委員会で議論となってまいりました年金未納者の問題、あるいは社会保険庁改革の問題も集中的に議論すべきものという御提案を申し上げておるところでありますので、野党においても、党利党略にこだわらず、ぜひ協議を開始していただきたいものと希望いたしております。

○古屋(範)委員 では、先ほどの質問とも若干重複いたしますが、本法案について順次質問を行ってまいります。

 無年金障害者対策について、公明党は、学生が強制加入となった平成三年以降、主婦や学生無年金者から要請を受け、党の重点政策に掲げ、救済の実現を一貫して主張してまいりました。

 無年金障害者問題については、十年前の平成六年、衆参厚生労働委員会において、「無年金である障害者の所得保障については、福祉的措置による対応を含め検討する」との附帯決議が行われており、前坂口厚生労働大臣も平成十四年七月に試案を発表し、さらに、本年二月には、「無年金障害者については、その実態を踏まえた福祉的措置の在り方についてさらに検討し、必要な財源の在り方とともに速やかに結論を得ること」との与党合意、そして、四月六日の与党協議会では合意文書が示されております。

 このように、平成六年から長い間据え置かれておりましたこの問題に関し、今回、本法案が審議をされたということに至ったことについては、大変評価すべき英断であるというふうに考えております。本法案がここに至った経緯についてお伺いをいたします。

○長勢議員 経過は御指摘のとおりであるというふうに思っております。
 大変検討に時間がかかったわけでございますが、御案内のとおり、この無年金の方々を年金制度で見るということになりますと、拠出に応じて給付を行うという年金制度の建前とは若干違うことになる。そういう意味で、年金として給付をすることには問題が多い。一方で、福祉措置として行うという場合にも予算の問題等々もありまして、いろいろ議論の経過、大変御党におかれましても御苦労いただいておったわけでございますが、今日に至ったものでございます。

 そういう中で、今お話しのように、平成十四年の坂口前厚生労働大臣の試案ということを契機として与野党間でいろいろな議論を行い、ようやく今回、福祉的な救済措置を講ずるという立場での結論を得て、本法案を提出するに至ったものでございます。
 ぜひ、早急に本法案を成立させていただいて、実施をさせていただきたい、強くお願いを申し上げます。

○古屋(範)委員 やはり、関係者の方々においては本当に待ちに待った法案であるというふうに思いますので、ぜひ早急に成立させるべきというふうに私も強く望んでおります。

 次に、与党案のポイントについてお尋ねをしてまいります。

 まず、対象者の範囲についてお伺いいたします。
 現行法におきましては、年金を受給できない障害者が生ずるケースといたしまして、一つに、昭和五十七年一月の国籍要件が撤廃される以前に既に障害の状態にあった在日外国人、また二番目に、昭和六十一年四月前の海外滞在中に障害を負った在外邦人、三番目に、昭和六十一年四月に国民年金の強制適用となる以前に制度に任意加入していなかったサラリーマンの配偶者、また四番目に、平成三年四月に国民年金の強制適用となる以前に制度に任意加入していなかった学生、五番目に、強制加入である年金制度に加入していない期間に障害を負った未加入者、六番目に、保険料を滞納していたことにより支給要件を満たさなかった滞納者、以上の六種類があると言われております。本来であれば、これらの無年金障害者の方々すべてを救済することが望ましいと思いますが、財源問題等、なかなかそういうわけにもいかない難しい点があるということも承知をしております。

 そこで、この六種類のケースのうち、今回の法案の対象者を、平成三年度前の国民年金任意加入対象であった学生、そして、昭和六十一年度前の国民年金任意加入対象者であった被用者の配偶者である障害者に対して、救済の道が開かれました。この対象者に絞られたことについて、その理由を御説明いただきたいと思います。

 特に、在日外国人に関しましては、昭和五十七年まで国籍条項があり、入りたくても入れなかったという現実があります。年金制度から除外されていた実情を考えますと、任意加入のできた学生、主婦を救済するのであれば、任意加入さえできなかった外国人をここで救済する必要性はあるのではないかという意見もありますが、この点についてお伺いいたします。

○鈴木(俊)議員 先生が無年金障害者で六つの分類に分けてお話がございましたが、御指摘がありますとおり、与党案におきましては、平成三年三月以前において任意加入であった学生、それから昭和六十一年三月以前において任意加入であった被用者の配偶者、この方々を特別給付金の支給対象としているところであります。

 そのようにした理由でございますが、その理由は、国民年金発足時には任意加入の対象でありましたが、その後、制度の発展に伴い現在は強制加入の対象とされているという経緯の中で、国民年金制度が対象としつつも、任意加入か強制加入かという加入形態の違いによって、結果として、障害年金、障害基礎年金を受給していないという特別な事情が生じた方々を救済する、そういう考えによるものでございます。

 先生が在日外国人の例をお引きになりましたが、この方々は国籍条項撤廃前は国民年金の対象の外にあった方でございまして、こうした今回対象にした学生、被用者の配偶者とはその事情が大きく異なると考えております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 次に、特別障害給付金についてお伺いをしてまいります。
 本法案の特別障害給付金については、月額一級五万円、二級四万円の支給額で、拠出制障害者年金の趣旨を損なうことなく、福祉的措置として配慮を行うとされております。つまり、このことは、いわゆる年金制度として支払う趣旨ではないと理解されますが、この福祉的措置として配慮を行うとの部分について、いま少し具体的な説明をいただきたいと思います。また、一級五万円、二級四万円、この支給額について、このように決められた経緯をあわせてお伺いいたします。

○福島議員 お答えいたします。
 本案の特別給付金は、委員も御指摘のように、あくまでも年金制度を補完する福祉的措置として講じられるものであります。その福祉的措置を講じるに当たりまして、保険料を拠出しなくても年金給付と同じ給付が得られる、こういう水準でありますと、拠出制の年金制度に対して影響を与えざるを得ないという観点から、年金給付よりも給付額や給付条件に制約のあるものにせざるを得ないというふうに判断したものであります。

 その上で、福祉的措置といたしましても政策効果の期待できる水準の給付額としなければいけない、そういう観点から、現行の福祉的措置の中で最も高い水準である特別児童扶養手当、これは月額一級五万九百円、二級三万三千九百円でありますけれども、これらの水準に見合ったものといたしました。
 また、二十歳前障害基礎年金の国庫負担相当、これは月額一級で四万九千六百五十六円、二級で三万九千七百二十五円でありますけれども、これもあわせて水準を考えたものであります。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。
 このような無年金障害者について、中には御自分が対象であるということも全く知らない方々も多くいらっしゃるのではないかと思っております。また、もう既に自分は救済は受けられないとあきらめてしまっている方々もいると思いますし、また、そういう方々は、役所でありますとか社会保険庁へみずから出向いて、みずからこれからこういった措置を受けられる、そういうこともなかなか知りにくい環境にあるのではないかという気がいたしております。この対象者御本人、または御家族の方々に、この制度ができましたら、これについてどのように周知徹底が図られていくか、ここが大変重要であると考えております。

 そこで、特別障害給付金の対象者が確実に申請することができるよう、市町村の広報紙などを通じた通常の周知方法に加え、障害者団体、また障害者施設を通じた情報提供などを行うなど、積極的に努力をしていただきたいと考えております。この点の取り組みについてお伺いいたします。

○尾辻国務大臣 特別給付金の対象者につきましては、個別にはなかなか把握できないのが現状でございますから、特別給付金の制度に関する広報等の情報提供が重要であると考えております。
 このため、社会保険事務所等による広報に加えまして、障害者と接することの多い行政の障害福祉担当部門や、相談支援事業等の障害福祉サービスの事業所、施設、障害者団体等の関係者にも協力を求めまして、可能な限り広く情報が特別給付金の対象者に届くように、積極的に取り組んでまいりたいと考えます。

○古屋(範)委員 ぜひ全力を挙げて周知徹底をお願いしたいと思います。
 次に、まさに無年金障害者の問題につながる未納者の問題についてお伺いをしてまいります。
 私は、未納問題と無年金障害者の解決の問題は、切っても切り離せない問題と考えております。さきの通常国会ではこの未納問題が大きく取り上げられ、年金加入への関心も高まっております。
 しかし、会計検査院報告によりますと、未納のまま時効となり、徴収できなくなった国民年金保険料が、昨年度分で八千四百七十六億円に上り、過去最悪となったことがわかりました。これは九年前と比べて約二倍になっております。この現状を放置すれば、年金制度そのものが崩れかねない大問題であります。
 そこで、時効額が増加した原因とその対策について、社会保険庁にお伺いいたします。

○青柳政府参考人 ただいま保険料の時効消滅額が大変増加しておるということでのお尋ねをいただきました。
 これの原因を一言で申し上げれば、国民年金保険料の納付率が低下しておるということに尽きるわけでございますが、国民年金の保険料の納付率は、平成十四年度までずっと低下をし続けております。しかしながら、平成十五年度の納付率は六三・四%ということで、前年度よりも〇・六ポイント上昇いたしました。ただし、納付状況は依然厳しい状況にあるというのが私どもの認識でございます。

 このような納付率の長期的な低下要因といたしましては、一つには、長期的な経済低迷の中で、離職等により国民年金の一号被保険者となる方が増加しておられるわけですが、この方々が、経済的な状況等にかんがみて、結果的に納付状況が非常に低くなっているということ。

 それから、二つ目は、平成七年度以降、実は二十に到達したような方につきましては、私どもの方から二十到達ということを確認した上で年金手帳をお送りして、いわば強制的に適用というのをしておるわけでございます。しかしながら、これらの方々は、御自分のことがなかなか年金ということと結びつきにくいということもあろうかと思いますが、年金制度への関心や、あるいは保険料納付の意識が比較的に薄い、このようなことが原因としてあるわけでございます。

 納付率につきましては、私ども社会保険庁改革のいわば一つの象徴といたしまして民間から迎えました村瀬長官のもとに、平成十九年度までに八〇%にこの納付率を回復するということを当面の目標として設定して、納付率の低下要因に応じた収納対策に全力で取り組んでいるところでございます。

 特に、今般、この対策といたしまして、年次目標を盛り込んで、かつ、それを社会保険事務局、社会保険事務所単位ごとに目標という形で設定する行動計画を策定いたしまして、この進捗管理をきちんと行うとともに、私ども、必要に応じて現地に赴いたりして、きちんと本庁としても進捗管理をし、また指導を行っていくという体制をしかせていただいているところでございます。

○古屋(範)委員 今のお話のとおり、民間から入られた村瀬長官を筆頭に、目標の八〇%、これを目指して、ぜひとも徴収率アップを目指していただきたいと思っております。

 次に、会計検査院の調査では、六十歳未満の現役の被保険者のうち、年金保険料の支払い期間が規定の二十五年に満たず、今後払い続けても国民年金の受給権を得られない人が督促状名簿から外されており、その数が約四十万、そのデータを社会保険庁が持っていることが明らかになりました。これは、現役の被保険者に含まれる無年金者の実態に近い数字と会計検査院は判断しており、これに六十五歳以上の無年金者約四十万を合わせますと、推計で八十万を超えることが明らかになりました。

 こうした無年金者の増大は、生活保護費の膨張など、社会保障の圧迫原因になるだけでなく、社会不安の拡大になるおそれがあると考えております。そして、この八十万という推定値には、六十から六十四歳の数字が抜けており、無年金者の実態を正確に把握したものとは言えないのではないかと思います。

 これまで、なぜ厚生労働省はこのような無年金者の実態を把握されてこなかったのか。早急に調査をし、実態の把握に努めるべきだと思いますが、大臣、この点いかがでございましょうか。

○尾辻国務大臣 無年金者八十万人という数字は、一定の条件のもとに二十五年の受給期間を満たさない可能性のある者を集計したものでございますけれども、こうした数の中には、社会保険庁において把握していない共済加入期間等を有する者も含まれておりますし、すべてが無年金者またはそのおそれがある者というわけではないと考えております。

 これまで、国民年金の受給権を確保できないおそれのある方などの実態につきましては、社会保険庁が管理している被保険者記録の限界や、個々人の状況を特定するための前提条件の定め方など難しい面もございまして、確たる数字をお示しすることができなかったところでございます。

 しかしながら、今後は、国民の皆さんにいたずらに不安や誤解を与えることがないような形で、これらのデータについても調査をいたしまして、公表する方向で検討してまいります。
 いずれにいたしましても、将来、支給要件を満たさないというような方が出ないよう、今後も国民年金の収納対策に全力を挙げて取り組んでまいります。

○古屋(範)委員 こうした危機的状況に対しまして、厚生労働省また社会保険庁の皆様の抜本的な意識改革をお願いしたいと思っております。

 次に、年金の受給権に関して、国民年金法には二十五年規定というものが明記されておりますが、平成十四年の社会保険庁の調査では、国民年金加入者の四割がこの規定を知らないと報告されております。この二十五年規定によって、無年金者がさらにふえているということが考えられます。

 外国の場合、年金受給権を得るのに必要な期間は、フランス三カ月、またスウェーデン三年、ドイツが五年、アメリカが十年となっており、日本は群を抜いて長期間となっております。特に、日本で働いている優秀な外国人にとっては非常に厳しいこの二十五年規定がございます。社会保障制度が違う外国とは単純に比較できないことは言うまでもありませんが、この日本の加入期間の長さというものは大きな問題ではないかと思っております。

 日本が国民皆年金を標榜する以上、こうした加入期間の問題はどうしても克服しなければならない問題であります。ここで改めて、この二十五年規定の根拠について大臣にお伺いをいたします。

○尾辻国務大臣 老齢基礎年金についての二十五年の受給資格期間につきましては、基礎年金制度導入前における国民年金の老齢年金の受給資格期間を引き継いだものでございます。

 我が国の公的年金制度は、そもそも、すべての国民に加入していただくことにより老後の所得保障を確保することを目的といたしまして、強制加入を前提とした、お話しのように国民皆年金制度にしております。このため、現役世代のすべてに加入していただき、四十年間保険料を納めていただくことを原則といたしております。

 ただし、低所得等で保険料負担が困難な方には、免除制度等を御活用いただきまして、免除期間も受給資格期間に含めるとともに、六十歳から六十五歳まで任意加入できる道も開いておりまして、ここでまた二十五年に到達していただくようにということでございますが、こうした制度を利用することによって、少なくとも二十五年の受給資格期間を満たしていただくこととしておるものでございます。

○古屋(範)委員 若干時間がございますので、本法案から離れますが、三位一体改革の中での生活保護の問題について、大臣にお伺いしたいと思っております。

 無年金者がふえる、多いということ自体、生活保護の増大につながるのではないかというふうに推察されますけれども、大臣は就任のごあいさつの中で、「地方自治体に自立・就労支援について一層の役割を担っていただくことに対応する生活保護制度における費用負担の見直し等の代替案の方針をお示ししたところでありまして、引き続き、これらについて議論を深めてまいります。」と述べられております。私は、これは、憲法二十五条、また生活保護法第一条の目的条項に照らして、国の責務であると考えております。

 この点、生活保護につきましては、さまざま運用面について改善していかなければいけない点があるということも承知をいたしております。この件について、大臣の御真意を伺いたいと思います。

○尾辻国務大臣 お話しいただきました生活保護の件でございますが、大きく言いますと、私のところにこのたびのことでいろいろ御意見をお寄せいただいたりいたしました。その中で、一つには、全国の市長会の皆さんがお見えになりました。その御意見の中に、生活保護は制度疲労を起こしておるというような御意見もございました。こうした認識というのは、かなり共通した認識であろうというふうに思います。したがいまして、私どもがまず今御提案申し上げておりますのは、とにかく広く生活保護の制度というのを見直す必要があるのではないかということでございます。

 ただ、それは、三位一体の改革の中で私どもが御提案申し上げましたから、そのことについてのお話だろうとは思いますけれども、今、生活保護の地域間格差というのがかなり大きなものでございますので、そうしたことにも着目をいたしまして、地域の裁量権を大きくいたしまして、そして補助率を変えるということを御提案申し上げたところでございます。この地域の裁量権を大きくいたします方法、いろいろ考えておりますが、このことについては、また機会を見つけて御説明申し上げたいと思います。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。
 地方六団体も、移譲対象としない国庫補助負担金というふうに主張をしております。ぜひとも、大臣におかれましては、この地方の声に耳を傾けていただきたいということを強く望みまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律案に対する附帯決議】

 政府は、国民年金制度の発展過程で生じた無年金障害者の福祉の増進を図ることは喫緊の課題であるとの認識の下、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 無年金障害者の生活を支える家族の高齢化等の実情を踏まえ、国民年金制度に加入できなかった在日外国人その他の特定障害者以外の無年金障害者に対する福祉的措置については、本法の附則の規定に基づいて、早急に検討を開始し、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。

 二 国民年金に加入できなかった在日外国人及び在外邦人を含む現在無年金となっている高齢者の社会保障制度における位置付けについても所要の検討を行うこと。

 三 障害者の基礎的な生活の支えとなる特別障害給付金の額については、今後の障害基礎年金等の水準の推移を踏まえて検討すること。

 四 本法の施行に当たっては、申請窓口となる市町村との連携を図りつつ、特別障害給付金の制度についての周知徹底を図るとともに、受給者が障害を有することに配慮して、請求手続の簡便化・迅速化等に努めること。

 五 今後、無年金障害者が発生することがないよう努めること。

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