第161回国会 衆議院 憲法調査会公聴会 第3号

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
 三人の公述人の皆様、本日は、お忙しいところ国会までわざわざおいでくださり、貴重な御意見を述べていただき、大変にありがとうございます。
 本日は、私、この憲法調査会におきまして初めて質問をさせていただきます。私も、昨年十一月に初当選をいたしました新人議員でございます。

 現在、私は神奈川県の横須賀市に住んでおります。横須賀市は、国際情勢をまさに直接肌で感じる町でございます。九・一一同時多発テロが起きましたとき、横須賀には米軍の基地がございます、私たちはベースと呼んでおりますけれども、このベースのゲートのセキュリティーが一気に上がり、その周辺が渋滞し、横須賀市の中心部は全く交通麻痺を起こしました。また、その後も、イラクに派兵、その米軍の満ち引きというようなものも現実に日々空気で感じているような地域でございます。また、自衛隊もありまして、イラク派遣の折には護衛艦もお見送りをいたしました。また、神奈川におきましてはキャンプ座間も抱えておりまして、現在の米軍再編問題、こういった問題に関しましても非常に関心を持ち、また注視をしているところでございます。

 我が公明党は、先日、十月三十一日、結党四十周年の党大会を行いまして、ここにおきまして、平和主義を守る、憲法九条の堅持、そして新たな平和主義を創造する、世界の平和貢献、また、さまざま世界の民生の安定に貢献をしていく、国際貢献をしていくというような基本路線を確認いたしました。
 冒頭の意見陳述、また先ほどのお二人の委員とも重複する部分もございますが、私が最もお伺いしたい観点に絞りまして、順次質問をさせていただきます。
 まず、白石公述人、冒頭ですが、憲法九条と国際貢献のあり方についてどう思われるか、お伺いいたします。

○白石公述人 先ほども申し上げましたように、日本という国は資源のない国でございまして、資源を輸入して、加工して諸外国に売るという、貿易があってこそ初めて成り立つ国家でございます。そのためには、まず資源の供給国の政治が安定しなければならない。また、輸出国の政治が安定しなければならないという意味でいえば、一国平和主義は全く考えられない。そういう意味で、私は、国際平和を維持するためにも、日本がもっとより積極的な立場で国際平和に貢献していくべきだというふうに考えております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。
 ただいま非常に話題、関心事となっておりますのがイラク自衛隊派遣、十二月十四日の期限を迎えようとしております。これに関しまして、延長すべきかどうか、これはお三方にそれぞれお伺いしたいと思います。

○白石公述人 私は、何度も申し上げておりますように、日本の平和は世界の平和の中にしかあり得ない、特に資源のない日本にとって、中東の平和、中東の安定はまさに日本の存亡にかかわる問題だというふうに考えております。
 今、イラクで大変な命の危険を顧みずに復興支援に努力されている自衛隊の皆さんや御家族の皆さん方のことを思うと、個人的な感情から言えば、早く逃げてきた方がいいかなというふうには思いますけれども、撤退というのは危険から回避する、逃げるというだけのことですから、そういう意味でいえば、我が国の自衛隊はイラクの復興のために最善の努力をさせていただいているんだということを考えれば、必要最小限度日数までは駐留すべき、撤退すべきではない、こういうふうに考えております。

○篠原公述人 私は、まず、イラクに自衛隊を派遣したという枠組み自体には賛成をしております。国際的な協力を日本という国がなしていくのはやはり国益にかなうことだというふうに思います。しかし、法律の問題になると、やはり憲法との問題で、正直に、素直に憲法を読めばわかりにくい部分が多々あるなという違和感も持っております。
 今回の、派遣を十二月に撤退すべきかどうかに関しては、私ちょっと、きちんとした根拠を持って申し上げられる自信がないんですが、しかし、あいまいな法律のもとで派遣されている自衛隊の皆さんには同情の念を感じております。

○平塚公述人 私も、こういうことについて意見を述べるという用意は心の中にありません。ですから、ここで意見を述べてくださいということに対して、個人的な意見を述べることが果たして私はいいのかどうかということもあると思うので、ちょっと控えさせていただきたいと思います。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。
 次に、平塚公述人にお伺いしてまいります。
 公述人は、冒頭の意見陳述の中でも憲法に対する教育の必要性というようなものをお述べになりまして、私も非常に共鳴をしております。小学校、中学校、そういった義務教育においてこういった憲法教育をもっと取り入れるべきであるというお話、これも私も賛成でございます。
 現在、選挙におきまして非常に投票率が低い、これは、とりもなおさず私たち政治家、国会議員の側に責任があるというふうに感じております。選挙民の皆様の厳しい監視の目にさらされている、あるいは議員としての活動が厳しく評価をされる、こういったものが私どもに対して非常に大事であるというふうに感じております。それこそが私たちにとって、自分を律し、また議員活動に邁進をしていくための非常に大切なものであるというふうにも感じております。

 私も高校生の子供がおりますけれども、母親が国会議員でありますので普通の家庭とはもしかしたら違うかもしれませんが、政治問題、さまざまなことに対してかなり長い議論などもいたします。しかし、若い方々は、政治に余り関心がない方々も多い、ましてや憲法というものが非常に遠い存在かもしれないというようなことを考えますと、義務教育を卒業して後、大学生あるいは社会人となり、また、そのときに選挙における投票権というものを得ることになる。そのような二十歳を過ぎた時点におきまして、そのような世代に、どのような形で政治に対する関心、あるいはさらに憲法というものに対して関心を持っていただけるか。先ほどのお話にも幾つかのサジェスチョンがございましたけれども、この点に関してどうお考えになるか、お伺いいたします。

○平塚公述人 質問がかなり漠然としているので、どういう答えをしていいか私も迷うところなんですが、当然、本来でしたら、年齢がある程度高い人たちに憲法について知ってもらう方がいいとは思うんですね。ただ、その人たちがはっきり言って憲法に触れているかという問題、先ほどから述べているんですが。私自身も、実は学生のとき法学部におりました。ただ、社会に出て二十数年たつわけなんですが、卒業後、憲法自体を手元で見たことはありません。見ようとする必要性も感じたことは余りありません。この現実をどうやって解決していくかというところだと思うんですよ。

 当然、日ごろから、いわゆる労働六法だとか安全衛生法だとかというのは身近に置かなきゃいけない。当然講習会も、実は午後もそういう講習会に出なきゃいけないんですが、そういった講習会は日常的にある。最近は、特に指針だの、いろいろなものがたくさん出ているという印象が非常に深いわけなんですね。
 いろいろな法律が成立して、いろいろな法律も施行されて、周知するということもいろいろされているんですが、憲法についていえば、そういった情報がほとんど何もないんじゃないか。これは、私は一企業人としてそういった情報が非常に入ってくるという立場にあるということもあるんですが、実際に日本がこの憲法で統治されているということ自体がもう頭に残っていないというふうにしか考えられない。

 個別の税法、または、最近ですといわゆる社会保険関連の法案というのは、通った時点でかなり周知されます。それについては興味を持っている人間もたくさんいます。ただ、根底にまずは憲法があるんだということを何かにつけて周知していく努力が必要なんじゃないか。すべて日本の法律というのは憲法が根底にあるんだということをどうにかして周知していかないと、法律、法律が全部ばらばらで運用されているというふうな観念が非常にあるんですね。日本は、憲法に反する法律はでき上がらないんだということも多分わかっていないんじゃないかなというふうに思います。
 ですから、法律を審議して、周知して国民に知らせるときに、必ず根底には憲法があるんだということをつけ加えた形でどうしても周知していかないといけない、こういうふうに考えます。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。
 次に、篠原公述人にお伺いしてまいります。
 国会の行政監視の強化について、一つには、決算行政評価等の事後的な監視に力を入れるべきである、またもう一つには、各委員会と決算行政監視委員会の連携が必要である等の意見を述べられていらっしゃいます。私も、この視点は大変に重要であるというふうに考えております。

 これまでの国会は、どちらかといいますと立法、予算策定の機能に傾き、事後監視、その統制機能はとても軽視されてきたのではないかと感じております。このことはさまざまな形で識者等により指摘をされているところですが、私は、国会は法律や予算を審議し決定するだけでなく、それがどのように実施され、どのような成果があったのかを把握していくことが大切であると考えております。すなわち、立法、予算等で決定した政策の実現がどの程度なされているのか、それを把握し、次の段階の政策に生かしていくこと、むだや不正があった場合、翌年度の予算で自動的にその分を削減するなど大胆な方策を打ち出す必要があると考えております。

 そのためには、会計検査院の一層の機能強化が必要であり、私ども公明党も決算検査の充実に力を注いでまいりました。今回、会計検査院は例年より一カ月近く早く報告をまとめ、報告が出されました。今まで年明けの通常国会に提出されていたことを考えますと大きな前進であると思いますが、国会では精力的に決算審査を行い、来年度予算の編成審議に生かしていかなくてはならないと考えております。

 国会ではこのように改革も、徐々にではありますが進んでいると思いますが、今後の行政監視機能のあり方について、会計検査院のさらなる機能強化による対応が可能なのではないかと考えますが、この点について御見解を伺います。

○篠原公述人 私も、会計検査院が機能強化をして国会と連携していくことが一番だというふうに思っています。
 その際にやはり一番重要なのは、決算行政監視委員会には、むだな予算を削減するんだ、それがやはり第一の機能だと思うんですね。補助金をふやしたり、予算をふやすというのは政治の生理でありまして、事後的に、黙っていてもふえていくものだと思います。それを食いとめる役割を決算行政監視委員会でできればいいのではないのかなというふうに思います。
 イギリスのNAO、アメリカのGAOでも、GAO、NAOの予算一ドル当たり何ドル削減しましたというような成果を明確に出しています。そういう成果が決算行政監視委員会なり会計検査院なりで出していければいいのではないのかなというふうに思っております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。
 時間でございますので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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